紡ぐ夢 綴る夢
2024-03-07T00:31:11+09:00
f-as-hearts
タロット占い師ASのブログです。
Excite Blog
サウザンドアイランド 173
http://fashearts.exblog.jp/33277015/
2024-03-07T00:31:00+09:00
2024-03-07T00:31:11+09:00
2024-03-07T00:31:11+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百七十三話 「 オーディーンの物語? 」
オーディーンは空を駆ける愛馬スレイプニルに乗ったまま、エリックの顔を睨みつけた。
「おまえが敵将エリックか。
知恵比べと申すか。
それは戦略の為の時間稼ぎだろう。
埒もなし。
愚か者よ、今は、話し合う時間ではないと知れ!」
巨大な槍をエリックの方に向けようとするオーディーン。
「オーディーンは運命の女神が怖いんだよね、違う?」
いつの間にかリリアがそばに飛んできていた。
エリックの言葉に、オーディーンの槍の先がピタッと止まった。
「・・・小僧、今なんと申した?」
「運命の女神が、オーディーンの弱点だ。」
オーディーンは轟くような声で、戦闘を一時止めるように告げた。
「面白いことを言う。
エリック、運命の女神の予言でも聞いたか。」
「ううん、でも運命の女神でも勝てない魔法使いなら、いるよ!
ぼくの仲間なんだ。」
ははははははは!!!
オーディーンは豪快に笑った。
「そのような者がいる訳がない!!
神々でさえ、運命には逆らえぬのだからな!」
そこでリリアがすかさず、話し始めた。
「いいえ、本当です。
あなたと戦っていたれぜんだは、運命に逆らう者です。」
オーディーンはリリアを見た。
「馬鹿な話だ。
だがおまえは、マシーナだな、マシーナは嘘など言えない筈。
・・・エリック、どういうことだ?おまえは何を知っている?」
エリックはオーディーンにもう一度、言った。
「知恵比べしようよ、どっちがれぜんだちゃんをつかまえられるか。
運命の女神にもどうしても殺せないれぜんだちゃんを捕まえて、謎が解けた方が勝ちだ!!」
オシリスとトート神が動いた。
使い魔がオーディーンに伝令を伝えに来た。
「オーディン様、こちらにも策がございます。
れぜんだのことはご安心を。どうぞ戦闘を続けてー」
「エリックの申し出を受けよう!
オシリス神、トート神、これは運命の女神ノルンと私の問題でもある!
では、すぐにれぜんだ捕獲作戦に移ろうぞ!!
いでよ、女戦士ヴァルキリーよ!
北欧の神々よ!
れぜんだを我が元へ連れてくるのだ!」
一連の流れを聞いたキングは、思わずうなずいていた。
「オーディンの、終末戦争のことか!
ラグナロク・・・運命の女神ノルンに告げられたオーディンの最後・・・」
オーディーンの行動は早かった。
女戦士ヴァルキリー達が、空駆ける天馬に乗って召喚されると、その後ろから続々と北欧の神々が現れた。
雷の神で軍神トールは、オーディーンに角笛の音が聴こえなかったが、と言った。
「ラグナロクではないのか?一体何が始まったのだ?」
「運命の女神の謎を解く為の戦争だ。
あそこにみえるマシーナ、巨人のロボットを捕まえてくれ。」
「・・・?ノルンがこんな戦場に現れたというのか?」
「そうらしい。
そして、どうやらノルンにも弱点があったらしいのだ。
この謎は、ラグナロクで我々が勝つ為に必要になる。」
トールはふーむ、とうなずくとヴァルキリーの後を追った。
その後ろ姿に、オーディーンは声をかけた。
「あのマシーナは雷は効かぬぞ、気を付けるが良い。」
リリアはエリックと共にれぜんだを追った。
「エリック、れぜんだにはなんて言ってあるの?」
「オーディーンから逃げてねって言ったよ。」
「それだけ?」
「それだけ。」
リリアはこの作戦の意図がわからなかったが、これがエリックだったと再認識した。
「わかったわ、私達はれぜんだを援護すればいいのね!」
れぜんだは鼻歌を歌いながら、敵から逃げまくっていた。
「ふんふ~~~~ん♪逃げながら攻撃してもいいのよね~~~!
いっけえええええ~~~~!!ろぼっち軍団!!!
敵はおーでぃーんだあああああ!!!
・・・・・・あ、なんか増えてるケド。
まっいっかっ!!!あっはははははは!!!」
・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・
「私のクイーンノルンが・・・・・なんでいっつもれぜんだなんかにっ!!」
「オーディーンが今捕まえますから。」
「オシリス、この状態をなんていうか知ってる?」
「いいえ。」
「三すくみよっ!!!」
トート神もうなずいている。
「ほうほう!」
・・・・・・・続く・・・・・・・
(えーこのお話は、フィクションです。)
]]>
サウザンドアイランド 172
http://fashearts.exblog.jp/33261466/
2024-02-16T13:50:00+09:00
2024-02-16T13:50:46+09:00
2024-02-16T13:50:46+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百七十二話 「 知恵の女神 」
オシリスとトート神はレゼンダの話から、ひとつの結論に達した。
「大きな謎は・・・キングはクイーンのカードを何の為にレゼンダに創らせたのか、ということですね。」
「とはいえ・・・謎の大部分は、解けましたがね。
キングはクイーンの思考の謎を知りたかったのではないかと。」
オシリスはうなずいて、言った。
「ああ、そうですね・・・
何故クイーンはれぜんだを認識できないのか。」
トート神は魔法書を開くと、中の一文を引用した。
「目に見えぬものは無いのではない。
ただ、在ると思えぬゆえに見えていないとしたら
それが知らぬということなのだ。」
「我思う ゆえに我あり・・・そして思わなければ我はいない
とはなりませんね。少し、違いますが。」
トートは笑った。
「れぜんだの存在は、誰が思ったものなのでしょうね?」
イムズとマドックスはその声をテレパスで聞いていた。
「やめてくれ!・・・今更だが、おれは哲学は苦手なんだ!」
「そうっすよね、ほんと!!
んなこといったって、ここまでゲームが進んでいるんだし!」
オシリスも笑いながら言った。
「少なくとも、クイーンやキングではないですね。
・・・勿論、レゼンダでもないですよ。
さて・・・我々の魔法でれぜんだを止めましょう。」
レゼンダの気落ちした顔をみて、オシリスも珍しく励ます言葉を考えようとしていた。
だが、それもエリックの唐突な攻撃の前に吹き飛んでしまった。
・・・それより数分前。
「イシス~~~!オーディーンって弱点は?」
エリックがろぼっちに乗ったまま、スフィンクスに近づいた。
「北欧神話の全知全能の神オーディンに弱点はないわ。
・・・ちょっと待って。
ネフィテス、オーディンの伝説は知っていたわよね?」
「お姉様、葡萄酒のこと?」
「そうそう。」
「でもここに美酒はないわ。」
「それじゃ、あれはどうかしら?」
イシスとネフィテスは顔を寄せて話している。
二人はうなずくと、エリックを呼んで作戦を告げた。
「わかった!!!やってみるね!!」
ろぼっち軍団の先頭にいるれぜんだは、オーディーンにミサイルを次々とぶっ放している。
しかしオーディーンの雷はすべてのミサイルを粉々にしていた。
この膠着状態は、ずっと続きそうだった。
「れぜんだちゃん、ぼくが攻撃してくるねっ!!」
「あ~~~~~!!ずっるいっ!!ちえのめがみに何か聞いたんでしょっ!!!」
「そうだよ、だかられぜんだちゃんは、できるだけ逃げ回ってね!!
オーディーンにつかまらなければ、いいんだ!!」
「なになに?鬼ごっこ??
わかったっ!!!いいよ、逃げ回るのは面白そうっ!!!!」
れぜんだが逃げると今度は、エリックがオーディーンの前に来た。
「オーディーン、僕はエリックだ!!
これから知恵くらべをしようよ。
僕の問題に答えられたら、オーディーンの勝ちだ!!」
オシリスとトート神、そしてエリックの陣のリリア達までもが、こんな展開を予想もしていなかった。
そしてそれはキングも同じだったのである。
・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・
(このお話は、フィクションです)
]]>
サウザンドアイランド 171
http://fashearts.exblog.jp/33189441/
2023-12-18T14:12:00+09:00
2023-12-18T14:12:04+09:00
2023-12-18T14:12:04+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百七十一話 「 キングの計画 」
キングはイムズの想像通り、サウザンドアイランドの一つの島にいた。
そこには、ディラルド・ジェイントン博士の新しい研究所と、キングの塔と、大きな地下の洞窟があった。
キングは山頂近くに建てられた塔の中で、ゲームを見守っていた。
クイーンがカードに戻されたところで、キングは目を閉じてクイーンの話を思い出していた。
あれは・・・クイーンが他の生き物に意識を移せるという超能力を発揮した時だった。
「キング、私ね・・・面白い島を見つけたわ。
鳥になって飛んでいて、見つけたのよ。
・・・夢じゃないわ、とんでもなくリアルに羽根の一枚一枚にあたる風まで感じられたから。
鳥って、強風を受けると羽根を体につけるようにしないと、どんどん上に上がってしまうのね。
ちょっと怖かった。
初めての体験よ?
どんな・・・って、私の体は寝ていたでしょう?
意識だけ、よ。」
「それは、幽体離脱じゃないのか?そんなことを続けると危ないぞ?」
「・・・何故できたのか、わからないの・・・
だから、止め方もわからないわ。」
「運命の、女神ノルンだからじゃないか?」
「・・・ノルン、は 人の数だけある・・・
キング・・・私、こう考えたの。
人だけじゃない、生き物すべてにノルンは存在しているのかもしれない。
だとしたら、私はどのノルンにもなれる・・・
ふふふふ・・・冗談よ!キングったら、驚きすぎ!」
クイーンの話は、冗談じゃなかった。
それからというもの、クイーンは眠っていることが多くなり、日に日に衰弱していったのだ。
キングはあの頃の焦燥感をまざまざと思い出して、目を開けた。
クイーンがせめて・・・私のテレパシーを受け取れていたら!
何故、あんな稀有な能力がありながら、テレパシストではなかったのか。
キングは再び過去の記憶の世界に没頭していた。
「クイーンをアンドロイドにできないだろうか・・・」
科学技術の研究でトップである博士、そしてキングのご意見番でもある長老との会合で、キングは新たな計画を話した。
キングの頭の中にはマーマレード・リリアの姿があったのだ。
その後、アンドロイドの研究者を集めたところで、どうやってリリアと接点を持つか・・・
「アンドロイド・グランドクロス計画」
科学技術省総裁ワインバーガーは、この計画をアンドロイドの発展に欠かせないとして推進していた。
「キング、私ね・・・面白い島を見つけたわ。」
サウザンド・アイランド連邦国。
すでにもう人類が立ち入りを禁止した禁忌の場所なのに、何故クイーンは面白い島と言ったのか。
クイーンはエリックにもとても興味を示した。
それらがすべて、繋がっていく・・・
ゲームが行われている壁の中で、イムズ将軍は漠然と考えていた。
・・・キングは、このゲームを楽しんでいるのか?・・・
今は、思考はシャットアウトされていて、キングの考えは何も聴こえてこない。
マドックスは首をひねって、言った。
「そうですね、あんまり、楽しそうな雰囲気じゃないっすね。」
れぜんだとエリックの大騒ぎする世界で、神話の神が雷でロボットを壊そうとやっきになっている。
「あっはっは~~~!!ダンボールなんだからっ!かみなりなんかで壊れないよ~~~だっ!!」
れぜんだが大笑いしている。
カネムラが唸った。
「いやいやいや、防火も雷対策も完璧って、ダンボールじゃないだろっ!!!!」
「ダンボールの新しい使い道か。」
「サカマキさん、そんな真面目な顔しないでください。」
・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・
このお話はフィクションです。
]]>
サウザンドアイランド 170
http://fashearts.exblog.jp/33155961/
2023-11-22T17:26:00+09:00
2023-11-22T17:26:27+09:00
2023-11-22T17:26:27+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百七十話 「 れぜんだという存在 」
イムズとマドックスも、クイーンのその欠点に遅ればせながら気がついた。
「それにしても、クイーンは運命の女神、ノルンだったんだろう?
どうして れぜんだの行動が読めないんだ??」
「それですよ、どう考えても意味不明じゃないっすか!」
「・・・それに、もし・・・
キングがゲームマスターのレゼンダに、クイーンのカードを作るように言ったんだとしたら・・・
いや、間違いなく命令があったはずなんだが、こんなミスは・・・」
イムズはマドックスにしばらく考えさせてくれと言うと、黙り込んだ。
(アンドロイドグランドクロスの話の頃から、キングはクイーンをどうやって助けるか、そればかり考えていた。
あの、クイーンの難病・・・いや、超能力から始まった、意識を他の生物に乗り移らせる能力。
そしてその類まれな予知の能力をもってしても、自分を救うことはできなかったクイーン・・・
・・・何か、見落としていることがあるんじゃないのか・・・)
リリアは今までのすべての経緯を総合的に判断、何故このような結果になるのか計算していた。
「でもまだ、情報が足りないわ。」
サカマキも同感だと言った。
エリックはれぜんだと一緒に、ろぼっちの竜の討伐部隊を率いて戦っている。
「きゃはははは!!楽勝~~~~~~おおおお!!」
レゼンダの悲痛な叫びが響いた。
「クイーン!!本陣に戻るのよっ!!」
オシリスはトートに何か耳打ちした。
「そうですな、それが寛容かと。」
オシリスはレゼンダの肩を叩くと、言った。
「れぜんだとの戦闘は、私達に任せてください。
クイーンをカードへ。」
レゼンダは悔しそうにカードを掲げると言った。
「クイーン、カードに戻って!」
クイーンは戦線を離脱してカードに戻った。
オシリスは北欧の主神オーディーンを召喚、雷の攻撃でろぼっちを殲滅しようとした。
オーディーンが愛馬に乗って空を駆ける姿を見ながら、オシリスはレゼンダに尋ねた。
「・・・クイーンは何故、れぜんだを攻撃できないんですか?」
レゼンダは、渋々説明した。
「クイーンノルンは・・・いえ・・・ノルンという女神の能力は、生き物の運命を知る能力なのよ。
れぜんだ、は、生き物ではないわ・・・
私は、そんなことも今まで気がつかなかった・・・」
オシリスは不思議そうにさらに尋ねた。
「だが、ここにいる者たちは、ほとんどゲームのキャラだから、生き物ではないが?」
「そうよ!
でも・・・ゲームのキャラには制作者がいて、キャラには役割や能力が割り当てられているわ。
つまり、制作者やゲームマスターの運命、命令に従うだけ。
・・・・・・・・れぜんだは、そんな存在じゃないのよ。
だって・・・
ただ、遊んでるだけなんだから・・・」
がっかりしているレゼンダに、トート神が慰めるように言った。
「確かに、おっしゃる通りですな。
つまりは、クイーンは生前からそんな者たちの存在を否定していた、と。」
「否定したかったんだと思います・・・だって・・・
ゲームが台無しになるから。」
(クイーンがゲームに参加することは、ほとんどなかった。
私が知っている限りでは・・・数回しか・・・
だから、みんながクイーンがいるのは珍しいって・・・)
イムズはその声が聴こえたのか、ぱっと目を開けると、マドックスを見た。
「ほんとっすか??れぜんだがゲームキャラでも特別変わってるって??」
「・・・そうだな。
どうやら、このゲームの攻略方法が見えてきたぞ。」
・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・
(このお話はフィクションです)
]]>
サウザンドアイランド 169
http://fashearts.exblog.jp/33124614/
2023-10-15T13:42:00+09:00
2023-10-15T19:51:35+09:00
2023-10-15T13:42:33+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百六十九話 「 黄金虫 」
レゼンダはその瞬間、クイーンのゲームを初めて見た20数年前の感動を思い出していた。
キングは仮想無限城を初めて創り出すことに成功し、多くのゲームマスターと共に、自分の帝国とは別の、創造性が無限に広がる世界の王に君臨していた。
キングのそばには、クイーンがいた。
その頃のクイーンは、勿論実体のある姿で、キングの突拍子もない企画やゲームセンスを笑って・・・いや、怒っていた。
「いいじゃないか、このキャラクターは絶対バランス的には必要だ。」
「何言ってるの?こんな戦闘力のない、ふわふわしたのなんて、データの無駄使いでしかないじゃない!」
「君は、夢がないな!」
「結構よ、夢よりも現実!この世界を拡大できるかどうか、は、強いキャラがどれだけいるかに、かかっているんだから!」
クイーンはあの頃から、真面目だったから・・・
その頃、もう予知の力で、キングの世界を守って・・・
竜の雄たけびが響き渡った。
「レゼンダ、竜はかなり相手にダメージを与えています。
クイーンがその後どういう手が有効か、考えているようですが。」
オシリスの声に、我に返ったレゼンダは、クイーンに声をかけた。
「クイーン、次の手はもうあるのよね、どう動くのがいいの?」
「今はタイミングが悪いの・・・」
「え??タイミングって、そんなの悪いことは避けていけばいいのよ!!
ん??? でも、何故タイミングが悪いの??」
「きゃはははははは!!!!!ふっかあああああ~つ!!!!」
「そ、その声は????」
レゼンダがぎょっとして声の方を見上げた。
「なあによおおおお!!!へんてこな魔法つかっちゃってさ!!!
あたしがエリックと遊ぶんだからねっっ!!
クイーン、めっずらし~~~!!あんたに会えるとはおもってなかった!!」
「れぜんだちゃん!!よかったあああ!!ろぼっちも戦って!!」
「あっははははは!!!ドラゴンがいっぱいだあ!!ろぼっち、いっけええええ~~!!」
ドドドドドドーーーーーー!!!
ろぼっちのジェット音が響き渡った。
イシスがスフィンクスまで飛んできた黄金虫の姿の神に言った。
「ありがとう、エリックの大切な仲間を救い出してくれて。」
「おほめにあずかり、恐悦至極に存じます。」
「あなたたちは自軍に戻っていて。
お疲れ様!」
黄金虫の神は、小さな姿に変身して飛んで行った。
レゼンダは意味がわからないと頬を両手で叩いた。
「れぜんだあ~~~??だって、だって、オシリスが閉じ込めた筈じゃあ???」
オシリスが珍しく真剣な顔でトートに言った。
「失敗しました、黄金虫の神が!」
「そうでしたね、まさか見落とすとは!」
「隠密に動くのに、あれほど適した者たちはいません・・・」
ほほほ・・・・・・
イシスはとても満足そうだ。
レゼンダは、はっとしてクイーンノルンを見た。
「ま、まさか・・・
まさか、残りの1パーセントって・・・」
クイーンは食い入るようにれぜんだとろぼっちを見ている。
何かを掴もうと必死になっているようだ。
レゼンダはさっき思い出した記憶からある事に気がついたが、時すでに遅く状況は一変していた。
同じく、リリア達もクイーンの弱点に気がついたのである。
「前にも同じようなことがあったわ。
れぜんだの攻撃を、クイーンがよけられなかったことが。」
「リリア、あの時は何かの偶然かと思ったけど、本当にれぜんだの行動予測ができないとしたら!」
「サカマキさん、れぜんだにこの場を掻き回してもらうことにするわ!
計画変更。
ろぼっち部隊を再編制。
増殖のカードでろぼっちを3倍にしてクイーンを直接攻撃。」
レゼンダは叫んだ。
「きゃああああ!!!まってまってまって!!!!!
な、な、何 固まってるの?クイーン???
今は逃げるのよっ!!!!」
・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・
このお話は フィクションです。
]]>
サウザンドアイランド 168
http://fashearts.exblog.jp/33099072/
2023-09-19T14:44:00+09:00
2023-09-19T14:44:12+09:00
2023-09-19T14:44:12+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百六十八話 「 ノルン達 」
リリアはクイーンについてのあらゆる情報を引き出して、対策を立てようとした。
そこに、PCの中のサカマキとカネムラが割って入ってきた。
「リリア!!ワインバーガーの工場での戦闘を知っているだろ、到底無理な話だ!
相手は、予知のクイーンだぞ?!」
リリアもそれに同感だと言った。
「そうね、あの時はアンドロイドのクイーンだったけど。」
「おまけに、リリア、君の頭脳からできたクイーンだっただろ??
つまりこっちのことをすべて熟知してるんだ。
そんな敵をどうやってーーー」
エリックが不思議そうに言った。
「リリア、あれってレゼンダが創ったクイーンなの?」
「そのようです。
・・・レゼンダもカードマスター。
レゼンダがクイーンをカードとして再生できる能力があっても
少しもおかしくないわ。」
敵陣営の混乱を眺めながら、レゼンダは機嫌が良いようだ。
「ふ・・・ふふふふふふふ!
ようやく私の恐ろしさに気がついたようねっ!!」
「レゼンダ様。
笑うところではないと思いますが、その通りだと思います。」
レゼンダの笑いは、急にひきつった。
「オシリス!!!!!
ちょっ・・・・ちょっとおおおおおおお!!
その言い方!!!!」
「・・・善処いたします。」
ほほっ!!
トートは思わず笑ったが、すぐにレゼンダに真剣な目を向けて言った。
「レゼンダ様はノルン様を使役されるほどのお方。
このトート、感服致しました。」
トート神は大きな魔法全書を空中に浮かべながら、ノルンを全書に書き記した。
「さてさて。
敵将にことの重大さがわかるでしょうかね。」
オシリスは再び尋ねた。
「トート神。
我々の勝率は?」
「・・・99%、 でしょう。」
レゼンダは大いに満足していた。
オシリスはトートを見つめていた。
「・・・・・・・・残りの、1% は?」
「はて?・・・なんでしょうね・・・」
オシリスも100%だとは思っていなかった。
だが、理由はわからなかった。
レゼンダは自虐を込めて言った。
「私が、ミスしなければ、ということでしょ!
・・・十分だわ、99%に不満なんかある訳ない!!」
クイーンノルンは、動き出した。
すかさずレゼンダは声をかけた。
「クイーン!
エリックは?何か仕掛けてくるかしら?」
「エリックは、スフィンクスの未確認の攻撃方法を試してきます。」
「それなら、こちらの攻撃で効きそうなのは、何?」
「竜族の攻撃は有効です。」
「わかったわ!!
クイーンノルン、あなたはオシリスの、いえ、キングの勝利に貢献してくれるわね!
さあ、いつまでもキングを待たせてもいけないわ、総攻撃よ!!!」
クイーンノルンは呪文を唱えた。
「すべての生きとし生ける者の、ノルン達よ。
そのエネルギーを予知の力に変えて、キングに勝利をもたらすのだ!」
呪文はオシリスを驚かせるに十分だった。
「そんなことができるのですか??」
トート神がクイーンの代わりに答えた。
「北欧神話にいわく
・・・人は生まれた時に一人のノルンを背負う のだそうな。
運命の女神ノルン達が、我々に運命を見せてくれるのですよ。」
「そうよ。」
レゼンダは確信をもって言った。
「神々でさえ、運命の女神の告げた未来は変えられないのよ!!!」
ズドーーーーン!!
魔法使い達の雷と、天使軍の光の攻撃が、あちこちでぶつかり合っている。
エリックはスフィンクスの攻撃力を見たいと言った。
「スフィンクスって王を守るの?
どんな攻撃ができるの?」
イシスは落ち着いた様子で、スフィンクスの背をなでて、言った。
「そうね、太陽神ホルスの盾であり、城でもある巨大な天空の戦車よ。
太陽風で相手を干上がらせることも、できるわ!」
エリックはクイーンノルンをその攻撃で撃破できるかどうか、試したかった。
「いいえ、その攻撃はこの場にいるすべての戦士に死をもたらす、太陽神以外。
さすがにそれは、できないわね。」
「じゃあ、風!!台風みたいな風だけで、天使軍を追い払える?」
「素晴らしいわ!それでいきましょう!!」
スフィンクスはその体の中で、空気を超圧縮、その塊を天使軍の中心に放った。
それは天使たちを粉々にするだけの破壊力があった。
クイーンノルンは竜族に攻撃開始を告げた。
「竜族よ、太陽神とスフィンクスを総攻撃せよ!」
・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・
(このお話は、フィクションです)
]]>
サウザンドアイランド 167
http://fashearts.exblog.jp/33061895/
2023-08-07T13:46:00+09:00
2023-08-07T13:46:07+09:00
2023-08-07T13:46:07+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百六十七話 「 ノルン 」
「・・・・・・・・・できた・・・・・・・」
レゼンダは、そうつぶやいて、しっかりと手の中にあるものを見つめた。
唐突に、レゼンダの中に、誰かの意識が入ってきた。
・・・知ってる。
この、感覚。
まだ幼かった私に、見知らぬお姉さんが声をかけてきた。
あの始まりと、同じ。
「・・・とても上手だわ。」
綺麗な銀色の髪の毛の。
「牙のある猫の絵・・・
まるで太古の・・・」
「・・・まさかこんな小さな少女が?」
「時は関係ないですから」
椅子から立ち上がると、レゼンダは窓の外の青空を見上げた。
「・・・・・!
そうよ、時、は、関係ないのよ。」
PCの仮想無限城には、古のスフィンクスが空を飛び、女神と神々と魔物が、盛大で絢爛豪華な絵巻物のように戦っている。
「それを知る者だけが、ここにいるんだから。」
キングの声が、オシリスに届いた。
「魔女レゼンダが、再び参戦する。」
「キング、それでは・・・・」
「いや、君達はそのまま指揮をとってくれ。
レゼンダ、よいな?」
オシリスの背中から声が聞こえてきた。
「キングのおおせのままに。」
トート神がうやうやしく場所を空けた。
「ありがとう、トート様。
さあ、行くわよ!
本物の魔女の怖さを思い知らせてやるんだから!!」
レゼンダはスフィンクスをじっと見つめ、そして太陽神の動きに注目した。
「オシリス、女神イシスについて教えて。」
「女神イシスは、エジプト神話における最高神の1柱。
知恵の女神にして・・・
王の玉座を約束する者・・・女神イシスは玉座の化身と言われています。」
「あなたの妻、よね?」
「・・・・・・・・・・」
一瞬オシリスの瞳に影が流れたのを、レゼンダは見逃さなかった。
「まあいいわ!
イシスには、私の最高のカードで対抗します。
トート様、太陽神ホルスを抑える方法を教えて!」
レゼンダはカードをかざした。
「ここに魔女レゼンダが召喚する。
我が愛するクイーン、ノルンよ! 我が呼びかけに応えよ!!」
突然 全てが闇に包まれた。
闇は巨大な嵐を呼び、その闇を風の渦が巻きこんでまるでブラックホールのように1点に収縮し
そして、消えた。
その中心に、クイーンノルンが現れた。
レゼンダはひざまずくと、ノルンの足元を見つめた。
「・・・サーベルタイガーは、元気?」
レゼンダは、はっとしてクイーンノルンの顔を見上げた。
「キングの戦場に、やっと来られたのね。」
穏やかな瞳は、今までのような儚さは感じられなかった。
キングはひとり、その様子を車の後部座席で見ていた。
レゼンダのサーベルタイガー・・・か・・・
そうか、レゼンダと会うのは、あの時以来ということか・・・
「そうか・・・」
思わずため息のような声が漏れて、運転手が話しかけた。
「どうかされましたか?」
「いや、何も・・・」
「そうですか。」
車はスピードを緩めてカーブの続く道を疾走していく。
不思議なものだな。
この道も、何度も通っているというのに
今日は何もかもが、違って見える・・・・・・・・
「クイーン、ノルン?????」
その姿に、エリックの陣営は皆が驚きの声をあげた。
「あれは、クイーンだわ!!!!!」
イムズ将軍はその姿を見るために、キングの陣営に行こうとしたが、思い直して止まった。
それは、イムズの直感だったのだろうか・・・
・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです)
]]>
サウザンドアイランド 166
http://fashearts.exblog.jp/33050520/
2023-07-23T16:40:00+09:00
2023-07-23T16:40:19+09:00
2023-07-23T16:40:19+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百六十六話 「 五分五分 」
カネムラとサカマキは、カードゲームのキャラにすぎないはずの女神イシスや、トート神が
次々と様々な怪物や神々を召喚しているのを見て、驚きの声をあげた。
「何故、こんなことに?」
「エリックのゲームだから、としか言いようがないな!」
リリアはわかったことがあるとカネムラ達に言った。
「エリックには、すべてが現実なのよ。」
「・・・それを言われたら、反論できないんだけど。」
最初から、おかしいことだらけだった。
おばけ達が勝手に増殖したり、現実の世界で暴れまわったり・・・
そのうち、エリックがやっているからという、非現実的な理論が通用してしまっていた。
イムズはぼそっとつぶやいた。
「でも、キングだって同じ力を持っている」
「ですよね!」
イムズはこぶしを握り締めていた。
これはエリックのゲームだったとしても、だ!!
リリアはイシスに、魔法結界を頼んだ。
「女神イシス、そして女神ネフィテス、そしてエリックは魔法防御結界の中で戦ってください。
お二人は、エリックが勝てる方法を考えてください。」
すでに魔法使い達が結界を作っていたが、イシスはうなずいた。
「スフィンクスは我々の最先端の科学技術の粋を集めし最終兵器。
トート神とて太陽神ラーのこのマシーナには勝てないわ!」
イシスはスフィンクスの目と同じデザインの杖を手の中に呼び出した。
「古代の宇宙神より賜りし王を守護するスフィンクスよ。
今こそそなた本来の輝きを取り戻せ!」
ライオンの王の咆哮が大気を切り裂くように響いた。
石組みで作られたと思っていたスフィンクスが、金色に輝く巨躯、巨大な4枚の羽根を持つ魔獣へと変化した。
女神ネフィテスも笑いながら言った。
「うふふ、もう大丈夫よ。
皆、心置きなく戦って!!!」
獣達は神々とともに天使軍やマシーナに攻撃を始めた。
魔法使い達も、炎や氷の巨人たち相手に戦いを繰り広げている。
スフィンクスは自在に空を飛びながら、その口から魔法弾を敵陣にぶつけ始めた。
トート神はうなずいた。
「うむ!
スフィンクスよ、謎多き素晴らしき古代兵器よ。
女神イシスならばあるいは、と思っていましたが。
それでこそ叡智の女神。」
オシリスはトートの方を見ながら言った。
「・・・太陽神ラーのエネルギーがあればこそ、ですが。
褒めたたえている場合ですか。」
トート神は面白そうに言った。
「まあ五分五分。
これからも五分五分には変わりありませんがね。」
イムズ将軍とマドックスはあっけにとられて、完全にいち観察者となっていた。
「なんですか????スフィンクスって兵器だったんすか????」
「そんなことを俺に聞くな。」
・・・いや、俺は一体何を見せられているんだろう??
キング、これは一体、何をどうすれば勝つことができるんですか??
イムズは冷静になろうとつとめていた。
エリックは大喜びでスフィンクスの背中で、他の戦いにも大きな声で応援していた。
「ブラックマジシャン!!クーフーリン!!巨人の足に気を付けて!!
あ、光の矢だ!!天使が弓矢で狙っているよっ!!!
リリアが竜と戦ってる!!
ホルスが加勢してるっ!!すごいやっ!!!!」
・・・・・・その頃。
キングはエリックの父、ジェラルド・ジェイントン博士のもとにいた。
「・・・キング、クイーンのことは心からご冥福をお祈り申し上げます。」
キングは側近もつけずにたった一人で、ジェイントン博士の前に座っていた。
「私は、どこで間違ったのでしょうか。」
博士は首を振った。
「キング、間違いなどありません。
死は誰にでもやってくるものです。」
「・・・だが、エリックの能力で、一度ならず何度も、クイーンは・・・」
復活、できていたのに・・・
という言葉が、出てこなかった。
「・・・・・・・・そうでしたね。キングの研究所でも・・・
ですが、エリックの能力は、復活や生き返らせられる能力では・・・」
キングは目を上げた。
「エリックには、不可能がないのです。」
今度は博士が黙る番だった。
キングが続けた。
「リリアをみていて、気がつきました。
彼女はアンドロイドのはずが、すでに人格すらできている。
我々はアンドロイドグランドクロス計画で、リリアの研究を母体にすれば、アンドロイドたちの人格や性格ができるものかどうか、も研究した。
汎用アンドロイドがそのうち、学習してリリアクラスのニュータイプになれるのかどうか。
結果は、それは不可能だと知りました。
リリアは特別だったのです。」
博士はまだ何も言わない。
「・・・・だが、リリアのデータでクイーンのアンドロイドは作ることができた・・・
その時は、頭脳さえ生きていれば、と少しだけではありましたが、研究の方向が見えた気がしていたのです、が・・・」
博士は重い口を開いた。
「・・・キング。
どんなにかけがえのない女性だったとしても、命は戻りません。」
「だが私はあきらめていない。」
「その、キングの望むクイーンが・・・
もしも・・・もしも、まったく違ったとしても?」
キングはゆっくり立ち上がった。
「何が違うか、それすら、私にはわからないかもしれませんが。
・・・あきらめる気は、まったくないのです。
博士、この部屋の録画データは、すべて削除するように、技術庁に伝えてあります。
今日の、この話も、忘れてください。」
ドアは博士の落胆した顔を静かに閉じていった。
・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです。)
]]>
サウザンドアイランド 165
http://fashearts.exblog.jp/32998434/
2023-06-12T17:57:00+09:00
2023-06-12T17:57:34+09:00
2023-06-12T17:57:34+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百六十五話 「 総攻撃 」
イムズはエジプト神話に詳しいわけではなかったが、エジプトのピラミッドなどの遺跡に
興味があった為、多少の知識があるとマドックスに説明した。
「将軍、それにしても、キングは何故オシリスに任せたんですかね?」
「俺たちが中に入ったから、かもな。
ゲームに関わるとは思ってもいなかったんだろう。」
マドックスの質問は続いた。
「に、しても・・・キングもエリックも、別の場所にいて、ゲームしてるんですよね?
どうして我々だけ、ここで現実にゲームに入れたんすかね??」
イムズが唸った。
「・・・お前は、時々、本当に的を得たことを言うよな。
それが、我々がここにくることを想定していなかったキングの誤算かもな。」
イムズは、しかし、別の事も考えていた。
・・・キングに誤算なんてあるのか?
・・・だが、どっちにしろ、俺たちはよそ者だ。
イムズは立ち上がると、目を細めた。
「オシリスの軍が何か仕掛けてくるか?
トートが何かを召喚するようだ。」
トート神は天使の軍の攻撃が、剣や弓矢というのが気に入らないらしかった。
「あちらはマシーナを持っている。
オシリス様、手に入れることはできますかな?」
オシリスはうなずいた。
「キングが様々なロボットやマシーンを使えるようにしてくれています。
他にもゴーレムや鉄の巨人も召喚しましょう。」
トート神はリリアに注目していた。
「あの女性は、人型のマシーナでしょうか。
なんと機動力のありそうな女神ではありませんか。」
「マーマレード・リリア・・・
確かに、アンドロイドとしてはあんなに完成した姿の者は見たことがないですね。
でも人ではない。」
トート神は、その言葉を考えているようだった。
「ほう・・・・・・
ずいぶんと、マシーナにしては優れているようですね。」
「敵の大将であるエリックの大切なマシーナです。」
「なるほど。
それは倒しがいがある・・・」
トート神は大きな羽根ペンで空中に魔法陣を描いた。
「さて、総攻撃、すべての布陣を完成できました。
あとは魔法にてこの形に駒の配置を。」
ドドドドドドドーーーーーーーン!!
リリア達の頭上に巨大な雲が稲光とともに現れると、中央から大きな光珠が落ちてきて四方に光が散った。
トート神は羽根を振った。
「魔法陣発動」
天空を覆うばかりの数の天使が天の境界を、そして巨大な蛇ウロボロスが、この空間の地平の境界線を取り巻いて、魔法陣の結界を完璧にした。
「巨人族の火の魔人、氷の魔人、風の魔人、そして巨人族の雷を起こすマシーナ召喚!
これより 総攻撃!
敵の大将 エリックとマーマレードリリアを殲滅せよ!」
「ー始まったわね。」
イシスとネフティスは空を見上げ、そして大きくうなずいた。
「我が息子 太陽神ホルスよ。
いまこそラーの名において命じよ。
そなたに従う者たちに。」
ホルス神は鷹のごとく鳴くと全身を震わせ、金色に輝く太陽の化身となった。
「われは太陽の神。
我に従いし神々よ、エリックの創世の世を守れ!
オシリス神とトート神を封じるのだ!!」
ホルスの真下の大地が隆起し、ピラミッドを守る巨大なスフィンクスが現れると、オシリスのいる陣に向かって吠えた。
リリアやエリックはスフィンクスの背中に乗って、振り落とされないようにしっかりつかまっていた。
ライオンの姿をしたセクメトや異形の姿をした神々が、彼らの部下である動物たちの大軍団を率いて
戦いに参戦した。
巨大なマンモスや首が何本もある蛇、神話でしか見たことのないドラゴンも、そこにはいた。
リリアも大きな声で魔術師たちを鼓舞した。
「ブラックマジシャン、あなた達も魔人や天使を倒して!」
「承知いたしました!」
・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・
このお話は フィクションです。
]]>
サウザンドアイランド 164
http://fashearts.exblog.jp/32931437/
2023-03-26T14:38:00+09:00
2023-03-26T14:38:06+09:00
2023-03-26T14:38:06+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
オシリス ・・・38歳 ゲームマスター レゼンダの執事
第百六十四話 「 女神集結 」
女神イシスはリリアに忠告した。
「トートとオシリスが組んだのなら、このままではこちらに勝ち目はないわ!
もっと強力な神を召喚しなきゃ!」
リリアは困ったように言った。
「強力な神、ですか?
私のデッキにはもう・・・」
イシスは考えながら言った。
「私が、呼ぶならいいの?」
イシスは呪文を唱えた。
「古代エジプトより蘇りし 女神イシスが願う。
ヘリオポリス九柱神の一柱にして 我が妹、
砂漠の神セトの妻、女神ネフィテスよ、あれ!!」
ネフィテスはイシスの前に、煙のように現れた。
「お姉さま、おはようございます。
・・・ん??
なに?
ここ、どこ????
お姉さまったら、夢の中でもリアル・・・」
「ネフィテス、夢じゃないのよ。
いいから、私と一緒に戦って!!」
かくかくしかじか・・・
「待って、敵にオシリス神とトート神、おまけに大天使軍団までいるじゃないっ!!」
「もっとひどいことに、こっちは私達が出なかったら、あなたの夫がでてきちゃうのよっ!!」
女神が、揃ってリリアとエリックを睨んだ。
「え??女神様、なんで怒ってるの??」
「はい、オシリス神は昔、セト神の計略で殺されるというひどい目に遭っています。
その時、オシリス神を復活させたのが、このお二人の女神なのです。」
エリックはうなずいた。
「そっか~~~~!!
じゃあオシリスは女神に弱いねっ!!」
ふふんっとイシスは顔を上げると言った。
「そうだけど?
でもこの世界では、通じるかしらね?」
ネフィテスも、じっとオシリスを見ながら言った。
「・・・無理かもしれないわ、あのオシリス神・・・
お姉さまと一緒に暮らしていた頃とは、ずいぶん違うもの。
・・・なんか、ちょっとイケてるっぽくない?」
「・・・・・・・ま、そう・・・ね。
そうかもしれないわね。」
二人の女神の声が聞こえたのか、トート神が笑いながら言った。
「・・・相も変わらず、ですね。
あのおふたりは。
おや、おやおや?」
オシリスがトートに突っつかれた。
「・・・なんですか?」
「奥様方は相変わらずお美しいことですな。
イケてるそうですよ?」
PCの前のレゼンダが、呆れたように突っ込みを入れた。
「執事~~~~~!!!
なに にやけた顔してるわけ??ばっかじゃないの!!!!
はっ!!!!
これは急がないと!!!!」
オシリスはイシスとネフィテスの姿を、少しだけ見たが、何も言わなかった。
トートだけがオシリスの耳が赤いのを見てとっていた。
オシリスがトートに尋ねた。
「ところで、ネフィテスまで出てきましたが、勝算は?」
「そうですな・・・まあ五分五分、でしょうね。」
「それでは困るんです。」
「・・・ええ、わかりますよ。
それではあなたの面目が立たない。
そこで、ですが・・・」
イムズとマドックスは、いつの間にか壁の中を移動していた。
「イムズ将軍、女神なんかと対戦で、あっちには勝算があるんですかね??
女神って、あきらかに戦争なんてイメージがないですけど。」
「そうだな・・・」
イムズはその為に移動し始めていたのだ。
どんな作戦なのか、掴む為だった。
イムズは女神をよく知っている筈のトート神が五分五分と言ったのが、信じられなかったのだ。
エリックは綺麗なお姉さんに囲まれて、嬉しそうだ。
「れぜんだちゃんが敵に捕まっちゃったんだ!!
女神様、助けてくれる?」
「れぜんだって?」
「ええ、エリックの大事な友達です。」
「どんな魔法で捕まったの?」
「オシリス神が、小さな箱の中に閉じ込めてしまったんです。」
「箱、ね。
そう、棺ということね。」
女神イシスはうなずくと、呪文を詠唱始めた。
「小さきものよ、我がしもべよ。
我は願う、不当なる手段にて奪われし友を救いだし連れ帰らんことを。」
カタン・・・
カタカタ・・・・・・
オシリスとトートは作戦を練るのに集中していて、何かが動いていくのを見過ごしていた。
その小さな箱は、何かが運んでいた。
その間に、女神達はさらに別の召喚魔法も唱えていたのだ。
「偉大なる女魔法使いにして女神イシスが再び召喚す。
我が息子にして偉大なる王、天空神ホルスよ、あれ!
忠実なる王の守護者にして戦の女神、セクメトよ、あれ!」
天空から1枚の羽根が落ちてきた。
羽根は地上に落ちた瞬間、天空神ホルスになった。
その傍に、球体の光が浮かぶと、ライオンが姿を現した。
女神イシスは微笑んでホルスとライオンに手を差し伸べた。
「ホルス、そしてセクメト、よく来てくれました。」
その様子を見ていたイムズは、驚きを隠せなかった。
「エジプトの神々を全部、呼ぶつもりか?!
・・・そんな馬鹿な・・・」
マドックスも驚いていた。
「ライオン、も 神なんですか??」
「ああ、エジプトでは動物もみんな、神になってる。
ホルスは、ハヤブサの姿だよ。」
これに大喜びしたのがエリックだった。
「すごいやっ!!!!ライオンも神様なの?」
女神イシスはうなずいた。
「そうですよ、皆、変身できるんです。
ネフィテスも女神を召喚してくれるかしら。
セトを呼ばなくても、勝てるってことを、証明しなければならないから!」
トート神がその様子に苦笑いした。
「これだから!
さすがは最高の女魔法使い!
ですが、そう簡単にはいかないですな。」
・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・
(このお話はフィクションです)
]]>
サウザンドアイランド 163
http://fashearts.exblog.jp/32909203/
2023-03-01T02:17:00+09:00
2023-03-01T02:17:21+09:00
2023-03-01T02:17:21+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
第百六十三話 「 秩序? 」
オシリスは長い詠唱が終わり、自軍の大幹部を呼び出すことに成功した。
「トート神!
よくぞ我が召喚に応えてくれた。」
トートと呼ばれたのは、顔を半分仮面で隠した男だった。
「・・・まさかとは思ったが・・・
現世ですかね、ここ?
私を呼ぶとは。
オシリス神もご冗談がお好きになったようですな。」
オシリスはにこりともせず、言った。
「セト、のことは覚えておいでですか?」
「セトとはあのセトで?」
「あの、セトです。」
「ご冗談を」
「冗談なら良かったのだが。」
トートはぐるりと確認した。
「いませんが。」
「・・・後からでてくるようです。」
トートはじっとオシリスの顔を見ながら、言った。
「これは、代理戦争?」
「その通りです。
軍神であるトート神、いにしえの我を助けし賢者殿。
我々が勝利することで、世界の秩序が保たれるのです。」
トート神はあきれたように言った。
「世界の秩序!
・・・そんなものが保たれたことがありましたかね。
やはりオシリス神は、ずいぶんと変わられたことだ。」
トート神は笑った。
「それでは、敵のことを教えていただきましょうか。
その、世界の秩序なる難解な話も、ちょいちょいはさんでいただきながら。」
イムズとマドックスは壁の中にじっとしていた。
マドックスが小声で言った。
「あの・・・トート神って?
俺、こういう系の話ってまるっきり・・・」
「まあ、まて・・・説明が始まりそうだ。」
オシリスがトートに今までの流れを短く話した。
「エリックとその仲間達が、主であるキングとこのゲームをしているのですが。
エリックはゲームマスターと同等の特殊能力を発揮して、ゲーム内のキャラに
次々と命を吹き込んでいます。
それが仮想無限城の王であるキングが、エリックに勝負を挑む理由です。
・・・キングが勝てば、ひとつだけ願いを叶えることが約束、です。」
トートはオシリスの目を、仮面の下から覗き込むように見た。
「それで・・・キングは、エリックに勝たなければならない、ということですか!
復活を冥界神に頼むのではなく。
・・・それはそれは!
まことに人間の欲望というのは、無限でありますな。」
イムズはぞっとして、思わず息をとめていた。
マドックスもイムズの隣で、そうか!と言った。
「クイーンの、復活か!!!」
「マドックス、声を抑えろ」
急にオシリスの軍が騒ぎ出した。
「おい、あれは??」
「オシリス様、大変です!!!あれを!!」
リリアが召喚したのは、女神だった。
その女神が、驚いた表情で口を開いた。
「リリア、あの陣にいるのは、もしや・・・
トートじゃない?!」
「はい、そのようですね、女神イシス」
「ええっ!!その隣にいるのって・・・
やだっ!!オシリスじゃないっ!!
なんで敵方にいるのよ!!!」
エリックが良くわからないという顔で聞いた。
「リリア?誰なの?」
「女神イシスは冥界神オシリスの奥さんですよ」
「奥さん???え???
じゃあ、わかれちゃったの??」
「別れてないわ」
「ええ、今は敵になってますけど。」
「どうするのよ、こういう場合?!」
リリアが笑って言った。
「イシス様が出てくれなければ、セト神を召喚するしかないんです。」
「な、なななな何言ってるの???
セトなんか出したら、大変じゃないのっ!!!
知ってるの、あの世界を巻き込んだ兄弟げんか!!!!」
エリックがふきだした。
「兄弟げんか??」
「・・・聞こえているが。」
オシリスは冷静に言った。
「イシスを呼ぶとは。
これは、さすがというしかないですね。」
トートがさらにあきれたような顔で言った。
「ゴホン、オシリス神。
あなたもたいがい、大変な目にあっているが。
さてはて、難解で面妖な戦い、さすがはキングが参戦しているだけありますな。
これを、なんとかせよと主がおおせとは。
さてはて・・・・・」
・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・
「続く、だと???」
「イムズ将軍、もう足が震えています!」
「しかたないな、座っていいぞ」
「て、いうか、誰なんですか、あの神様って???」
「エジプト神話だよ。」
「へっ??エジプト??」
「聞こえているが。」
このお話は、フィクションです。
]]>
サウザンドアイランド 162
http://fashearts.exblog.jp/32892474/
2023-02-10T11:39:00+09:00
2023-02-10T11:39:20+09:00
2023-02-10T11:39:20+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
第百六十二話 「 戦略会議中 」
エリックはれぜんだがおもちゃ箱に入れられたことが、大ショックで、おばけのニーソックスを大声で呼んだ。
だがニーソックスは、冥界神オシリスを怖がって出てこない。
リリアはエリックを心配してすぐにブラックマジシャン達に陣営を立て直すように指示、エリックのそばに来た。
「エリック、レゼンダちゃんを助けるのは後でも大丈夫だから。
あの司令官、とても切れ者だから、こちらも攻撃の方法を考えないと。」
「でもれぜんだちゃんが戻ってこなかったら嫌だ!!」
「今までも味方が捕まったことあったでしょ、でも大丈夫だったわ。」
「うううん!!でもさあ!!ろぼっちも捕まっちゃうのやだ!リリア、オシリスの弱点って何?」
カネムラがPCで調べたが、でてこないと言った。
「情報が少なくて・・・ごめん、もう少し調べてみる。
なんとか時間稼ぎしてくれないか?」
その間にも天使軍が増殖のカードで増えている。
「わかったわ、こちらも魔法使い達を強化しましょう。」
ブラックマジシャン達は二重結界を作って、魔法と物理防御で完璧なガードをした。
その中で、リリアは魔法カードでそれぞれ魔法使いを強化していく。
イムズはオシリスの姿を見ながら、マドックスに言った。
「執事がゲームマスターで、皆が混乱しているが。
混乱していないのは、相変わらずリリアひとり、か。」
「まあ、そうでしょうね。
アンドロイドだし。
それに戦略を考えるの、大体リリアですよね。」
「・・・・・・オシリスの能力がわかったところで、
マドックス、おまえなら、どんな戦略をたてる?」
「はい、敵はまず、どんな手が有効か、試してくるでしょうね。
兵を使って。
オシリスの能力の範囲がどこまでなのか、見極める必要がありますね。」
・・・リリアの陣営に変化があった。
クーフーリンがリリアに情報を持ってきたのだ。
「モリガンが冥界の神オシリスについて知っているそうです。」
モリガンはカラスに変身して危険を承知でクーフーリンとともに敵陣営に来たのだ。
カラスはリリアの前にいくと変身を解いた。、
「時間がないから、手短に話すわ。
オシリスには弟のセトという、私達のよく知っている砂漠の神がいるのよ。
その二人は長い間敵対していたから、セトなら戦えるわ!」
リリアは感謝して言った。
「モリガン、ありがとう!!セト神のカードならあるわ!」
モリガンはつんつんした態度で言った。
「クーフーリンが死んだりしたら、リリア!あんたのこと容赦しないからねっ!!!
あ、それと、私、こっちにつくから。」
エリックがびっくりしてこっちを見ている。
「なによっ!!!!エリック、なんか文句あるの?!
クーフーリン、絶対このゲーム、終わらせないんだからっ!!!ねっ!!」
これにはリリアも驚きを隠さなかった。
クーフーリンがモリガンの前にリリアを隠すように立つと、笑った。
「それはよかった。」
モリガンは満足そうにうなずくと、再びカラスに変身してクーフーリンの肩にとまった。
・・・そしてこちらは、オシリスの陣。
オシリスは真面目な顔で立体のゲーム面を見ている。
「・・・まる聞こえなんですけどね。
それよりも、このゲーム画面・・・
まるで立体になっていない。
異空間、にしても・・・普通は、自分たちが把握できる世界を構築するものですが。
さすが、カオスの申し子エリック。」
画面をくるくる動かして確認していたが、天使軍がじっと指令を待っているのを見てオシリスが立ち上がった。
「セトが出てくるということは、このままではすみませんね。」
レゼンダはPCの前からオシリスに言った。
「どうするの??セトに勝つ方法あるの?」
「御心配にはおよびません。
天使軍は、臨戦態勢のまま、防御するように。」
オシリスは魔法書を空間から出すと、長い詠唱を始めた。
・・・再びエリックの陣営。
リリアはセト神を召喚した。
「セト、敵陣には冥界の神オシリスがいるわ。」
セトの表情はみるみる怒りで目が吊り上がった。
「そのようですね、あの、すましたキザな顔!!!
一番上の兄だからというだけで、人々の尊敬と信仰をほしいままにした、あの時のまま!
何度殺しても、あきたりない!!!
今度こそ、あいつを滅して私が玉座につくのだ!!!」
リリアはしまったと思った。
これでは混乱が増してしまう。
そこで計画を変更することにした。
「セト、あなたはもっと重要な場面で呼ぶことにするわ。
一度戻っていて。」
そういうと、新しいカードを出した。
・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・
(このお話はフィクションです)
]]>
サウザンドアイランド 161
http://fashearts.exblog.jp/32853561/
2022-12-28T16:24:00+09:00
2022-12-28T22:39:41+09:00
2022-12-28T16:24:43+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
第百六十一話 「 降伏と幸福? 」
レゼンダはキングの頼みを真剣に受け止めたが、それがどんなにありえないことかもわかっていた。
どうしよう・・・どうすればいいの???
確かに、エリックは次々と「ゲームの中のキャラ」を実体化していた。
私は、エリックの能力を、ただゲームの世界を現実に移せる「コピーの能力」だと思ってた・・・
世界を拡張して、現実の中に虚構を作っていると思ってた・・・
でも確かに・・・今考えてもおかしいことばかりだったわ!!!
あれが「ゲームのキャラに命を吹き込む能力」だったとしたら、すべて理解ができる!!
でもそれ・・・
「それ私達ゲームマスターにできることじゃないのくらい、わかるわ!
馬鹿じゃないんだから。」
レゼンダはもうキングの言った言葉は胸に刻んだ。
「でも私にはできることがある。」
シュシュシュ・・・
レゼンダは紅茶を飲みながら何かをノートに書き始めた。
・・・・・・こちらはイムズとマドックス・・・・・・・
イムズはマドックスに、テレパシーの使用を禁止した。
キングに居場所を知られないようにするためだった。
そして顔には泥を塗って枝を服に差し込むと、森の木々の中に溶け込むカメレオン作戦を決行していた。
「これで、キングにはわからないですかね??」
「気休めだがやらないよりはいい。」
イムズは気休めという言葉に笑いそうになった。
まったくだ、ゲームなんぞ気休めでおこなうもんじゃないか!!
体を低くして、ゆっくりと移動しながら、二人は小声で話していた。
目の前に大きな城が見えてきた。
二人は目で合図すると、壁から中へ入っていった。
中は異次元空間だった。
螺旋階段が上に伸びているが、透明な床が何層にも重なっているようだ。
「? 変だな? こんな城をキングが作る訳がー-」
ビュン!!!!!
イムズは柱の陰に隠れると、飛行物体を見上げた。
「ろぼっちかよ!!」
「やばっ!!見つかりましたかね??」
「いや、あれはれぜんだだ。あー--いや、れぜんだちゃんの方だな。」
上空の方は、天使とろぼっち、魔法使いが戦闘中だ。
どっかんばったんと爆弾の音が響き渡っている。
イムズは急いでマドックスの腕を引っ張って壁の中に隠れた。
「幽霊の奴らが見張っている・・・騒がれたら面倒だ。」
「あのおばけ達、エリックの番犬みたいですね!」
「あっはっは!!!キングってば、やっぱりあたしが怖いんじゃんか~~~~!
あんな弱っちいの、かんたんかんたん!!」
れぜんだちゃんのろぼっちは大きな大砲を抱えると、新しい司令官に向かってぶっぱなした。
「かんたんにぶっとばー----す!!!」
ど~~~~~~~~~ん!!!!
黒髪の男は微笑むと指を小さく回した。
「おもちゃ箱におかえり。」
弾は男の手元に落ちた。
それは小さな銀色の弾だった。
エリックは驚いて、その指を見つめた。
「あれえ???れぜんだちゃん、魔法とけちゃったよ??」
男はくすっと笑った。
「これはこれは、エリック君。
初めまして、君とはいつか会えると思っていました。
私と君とは、正反対なので、近寄らない方がいいと思いますよ。
私は冗談が嫌いなので。」
ろぼっちに乗ったれぜんだが、男に体当たりしようと、猛スピードで飛びかかろうとした。
だが、近づけば近づくほど、ろぼっちは小さくなっていく・・・
「おやおや、かわいいろぼっち君ですね。
これは箱に入れておきましょう。」
ろぼっちは男の手の中で動けなくなったまま、箱に入れられて鍵までかけられてしまった。
リリアは急いでサカマキとPCを通じて話した。
「彼は、いったい誰??私のデータにはいないわ!」
「こちらにも情報がないです!」
男は涼しい顔で天使軍に命令を出している。
「ひとりひとり捕まえて、ここまで連れてくるように。」
イムズとマドックスは城の壁の中を歩きながら、キングの陣に近づいていた。
「キングがいませんね?」
「・・・あの男が指揮をしているらしい。
誰だ?ゲームマスターだよな?」
イムズはその男の横顔で、気がついた。
「あの男は・・・」
おばけ達が急にそのフロアからいなくなった。
イムズはおばけが壁に逃げ込んだのを捕まえた。
(声をかけて引き留めたのだが)
「おい、ニーソックス。
あいつは、レゼンダの執事だよな?!
あんなところで何してる??」
「ひ・・・おれ し ら な い・・・」
「でもお前ら、怖がってるじゃないか。」
「・・・つかまったら
ひつぎ に とじ こめ られ る で ら れ な い 」
それだけ言うと、おばけはその場から消えた。
「棺に、閉じ込められる?」
エリックが天使軍と戦っている。
イムズは状況が理解できず、その場で頭を抱えてしまった。
キング、このゲームはなんなんだ???
何故執事がいる??
カネムラがリリアに話しかけた。
「ゲームキャラで、敵の攻撃を一切受け付けず、敵を自分の墓場に入れられる神のような存在が、1人だけ・・・
冥界神オシリスです!」
その声は、男にも聞こえていた。
「失礼。
私はゲームキャラではないですよ。
キングのもとにいるゲームマスターのひとり、
オシリスと申します。
元々の神話では穀物の神です。
私は戦いは好みません。
ここで降伏してくれたら、れぜんだちゃんとろぼっちはお返ししましょう。」
その場の皆の動きが一斉に止まった。
イムズが天を見上げた。
「・・・・・・・・・・・最強かよ!!!」
・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・
「マジ????」
「 れぜんだ でて これ ない ・・・
おれ ひつぎ に はいる の こ わ い 」
「いやそれおかしいから!!」
「おお れ ぜ ん だ ちゃん げ ん き ? 」
「元気じゃない!!!はやく 出してよ~~~~!!おばけ、おまえはおばけだからっ
なんで怖いのさあ!!!しんじらんない!!!おばけのくせにっ!!!はやくここから
だせっ!!!キングのばかああああ!!」
(このお話は フィクションです。)
]]>
サウザンドアイランド 160
http://fashearts.exblog.jp/32850868/
2022-12-25T14:42:00+09:00
2022-12-26T02:00:16+09:00
2022-12-25T14:42:41+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
第百六十話 「 メリークリスマス! キング 」
イムズ将軍はサウザンドアイランドのどこかに、キングがいるということを確信していた。
だが、何故キングは我々のテレパシーを遮断している?
「イムズ将軍、キングは何を隠しているんでしょうか?」
「・・・イムズ、でいい。
そうだな、クイーンのことに決まってるが、な。
なんだ?」
「い、イムズって俺が言えるわけないじゃないっすか!!」
「イムズでいい、と俺が言ってるんだ。
マドックス、それより、おまえの勘に期待してるぞ。
どっちだ?」
マドックスは目を閉じると、感覚を研ぎ澄ました。
「・・・あっちの方角・・・何か・・・建物が・・・」
マドックスの指さした方角へ、イムズは走り出した。
「は、速い!!待ってください~~~!!イムズ将軍!!」
「イムズだ!」
心の中ではいはいと返事するマドックス。
急に風が冷たくなるのを感じたイムズは、マドックスに言った。
「・・・どうやら、キングは俺たちをそばに近寄らせない気らしい。」
「え?」
「キングは俺たちがゲームにかかわると、キングを助けるだろうと考えて、近寄らせなかったんだよ!
来たぞ!!」
マドックスは目の前に現れた巨人に驚いて、慌てて止まった。
それは山が崩れたかと思うような、得体のしれないものだった。
「氷の・・・巨人??」
「つまり、もうゲームに入り込んだってことだ!!!」
ひゅんひゅん!!!
巨大な氷柱が何本も矢のように降ってきた。
ドスドスドスッ!!!!
「やばっ!!!!」
「くそっ!!!!キング、俺たちを殺す気か??」
氷柱に足をとられながら、逃げる2人。
巨人は今度は余裕で大きな氷の球を飛ばしてくる。
「戦車相手の方がまだましだ!!」
「いやそれよりあいつ、なんですか???」
「巨人だろ?」
「俺巨人の倒し方なんてしらないっすよ!!!」
「これはゲームじゃない!!武器を探すぞ!!」
「イエッサー!」
森の中に逃げながら、イムズはどうやって巨人を倒すか考えていた。
マドックスはその頭の回転の速さに、ついていくのがやっとだった。
・・・そして、もうひとつの戦いの場は、膠着状態だった。
天使軍がろぼっちに苦戦していたのだ。
「リリア~~~!!魔法で僕たちのろぼっち、はやく動けるようにして!」
「わかったわ!スピードアップの魔法発動!!」
「やったー--!!!あたしも2倍にして!!」
「1つの魔法は1体だけなのよ」
「けち~~~~~~~!!」
画面を見つめるレゼンダは、キングにまた質問していた。
「あのレゼンダは私をコピーしたものですよね??それなのに、どうしてエリックが作ったっていうんですか??」
キングはレゼンダを見つめながら、静かに言った。
「ゲームのキャラは、本来ゲームマスターの駒でしかない。
確かに、クイーンがれぜんだを作ったのだが。
それなのに何故、エリックが参加すると、キャラ達が自由に動き出すのか、考えたことは?」
「・・・わかりません・・・」
「つまり・・・エリックは、ゲーム内の者には、新しい命を吹き込めるということだよ。」
その言葉に、レゼンダはぞっとした。
「だから、現実世界でも・・・」
「おばけ達のように、動き出してしまうんだ。」
そんな、馬鹿なありえないわ!!・・・確かに、恐竜やおばけ達が現実で暴れたことがあった・・・
でも現実世界に仮想ゲームの世界を広げたんだと思ってた・・・・
「レゼンダ、だから君に頼みたい事がある。」
レゼンダはキングの話を聞いていて、思わず口を押えた。
・・・再び、イムズ達の戦っている森・・・
「やべえな・・・金属もなければ、弾になりそうなものは何もない!!」
「おまけに隠れられそうな建物も何もー--」
「あるのは木だけ」
「仕方ない、マドックス、しなりがよさそうな木を探すぞ!!」
二人は巨人からなるべく離れた場所の低木を2本探すと、その2,3メートル上の方にロープをかけて2本をつなぐようにした。
また、沢山の木の枝と葉を別のロープでぐるぐる巻きにして、何個も大きな球を作った。
マドックスが巨人の前に飛び出すと、巨人は追いかけてきた。
イムズはじっとタイミングを計っていた。
ビュン!!!!!
巨人に火の玉がぶつかった。
「ぎゃああ!!!!」
2人は巨大なパチンコ銃のようなものを作っていたのだ。
次々とぶつかる火の玉に、さすがの巨人も目を焼かれ、たじろいで逃げて行った。
はああああ~~~~~~!!
2人は火が燃え広がり始めたことに気がつくと、慌てて足で消していった。
「こんなことが続いたら、俺らは生きて帰れないっすね!!」
「あるものを使ってなんとかするんだ。おまえはサバイバルを生き延びた経験があるだろう。」
「いや、そりゃあ現実の世界でして。
イムズ将軍、ゲームって、誰の??」
「キングのゲームだろう。
いくぞ、建物の方角は?」
・・・・・・再び キングとエリックの戦場・・・・・・・
キングは総司令官として、もう一人の大幹部を召喚した。
それは黒い瞳で黒髪、魔法使いのようなマントで身を包んだ紳士だった。
「この場はおまえが指揮をせよ。」
男は丁寧に胸の前に手を添えて、うなずいた。
「はい、かしこまりました、キング。」
気のせいか、天使の間に緊張が走ったように見えた。
リリアや安全な場所で見ているサカマキは、この、一見静かな男に妙な感覚を覚えた。
・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・
(このお話はフィクションです)
]]>
サウザンドアイランド 159
http://fashearts.exblog.jp/32581199/
2022-05-08T22:00:00+09:00
2022-05-08T22:00:04+09:00
2022-05-08T22:00:04+09:00
f-as-hearts
SFサウザンドアイランド
サカマキ・ショウゴ ・・・28歳 検査員
カネムラ・オクトー ・・・19歳 研究員
能力者
エリック・ジェイントン ・・・5歳 S級会員
能力者
マーマレード・リリア ・・・20歳 保護委員
アンドロイド
ワインバーガー ・・・60歳 サウザンド・アイランド連邦国
科学技術省総裁
メラニー ・・・33歳 科学者
長老 ・・・?? ???
レゼンダ ・・・29歳 オーズレーン国
カードマスター
能力者
イムズ ・・・47歳 リドル帝国将軍
能力者
マドックス ・・・26歳 リドル帝国空軍兵士
能力者
ナイト ・・・??? キングの配下のゲームマスター
オーディーンのナイト
キング ・・・40歳 リドル帝国次期総帥
仮想無限城の王
クイーン ・・・??? ゲームマスター
予知夢の能力者
ディラルド・ジェイントン博士 ・・・??? 超遺伝子科学者 エリックの父
第百五十九話 「 天使の軍 」
悪魔ベリアルが魔女モリガンの言うなりになって、次々と味方を殺してゆくのを、リリアは観ていた。
リリアはクーフーリンに、聞いてみた。
「クーフーリン、モリガンはあなたを裏切らないのね?」
「そうだと思いますが。
なにせ、私の亡骸をずっと守って誰にも触れさせなかったという話を聞きました。」
「・・・そういうことなの・・・」
「このゲームは面白いですよ、リリア。
あの悪魔が何故、敵なのに私達を守るのか、私には理解できませんが。」
クーフーリンはモリガンを一瞬だけ振り返り、剣を抜いて敵陣へ駆けていった。
ピカッ!!!!
ががん・・・ごごん!!
どおおおおおおん!!!
大きな段ボールのロボットが、どうみても大きさが間違っているサイズで飛び降りてきた。
リリアが段ボールロボットに飛び乗ると、声をかけた。
「エリック!これはろぼっちじゃない。
これを作っていたの?」
「そうだよ!!すごいでしょ!!」
「サイズがおかしいわ。」
後ろから声がとんできた。
「だ~~~~~~か~~~~~~ら~~~~~~~!!
そーいうあたりまえのことばっか、いってると、ダメダメじゃん!!!
えりっく、もうたたかっていいでしょ!!!」
「まって、れぜんだちゃん!!!」
リリアの声はろぼっちの爆音にかき消された。
どっかんどっかん!!!!
「いっくぞ~~~~~~~!!うりゃああああああああ!!!!」
敵がバラバラとれぜんだを取り囲むと、炎で攻撃してきた。
「あっはっは!!!!やるとおもったケド??」
炎は段ボールの表面を滑るばかりだった。
「わたしが、そんなことも考えないと思う~~~~???
あっはっは!!!!チビども~~~~!!叩き潰してやるうううううう!!!」
段ボールは強化されていた。
いや、すでに段ボールのようにみせているだけの、最強クラスの鉄壁防御ロボットだった。
レゼンダは画面にくぎ付けになっていた。
「なにあれ」
「段ボール型ロボット、でしょうか。」
「ただのろぼっちでしょう!!!」
「時間、かけたんですね。」
「そういう問題????」
「ただの冗談ですよ、笑ってください。」
そういう執事の顔は笑っていないじゃないかとレゼンダは思った。
悪魔ベリアルは、ロボットを叩きながら言った。
「おお、巨人族のマシーナよ!!
我々とともに勝利を掴もうぞ!!!!
ゆけ!!!!ブラックマジシャン!!!!
このマシーナの道をつくるのだ!!」
敵陣の一番奥、その空から大きな火球が落ちてきた。
「エリック、やっと現れたな。
それではこちらも反撃を開始する。」
火球からキングが、そして足元には多くの天使が出現した。
「大天使メルキセデクよ。
混乱した敵と味方を、あるべき姿に。」
メルキセデクは先陣をきってブラックマジシャンの攻撃を止め、呪文を唱えた。
「 目覚めよ、そして あるじの命を心して聞け。
そなたらの成すべきことを思い出すのだ。」
悪魔ベリアルはいきなり、正気に戻った。
「は? エレシュキガル様???どこにゆかれたのだ??
あ、あれは・・・主のキング様!」
ベリアルはメルキセデクを横目で睨むと、キングの足元でひざまづいた。
「キング様、本陣にお越しとは誠にありがたく存じます!!」
「ベリアル、天使とは相容れぬ悪魔のそなたらは、しばらく休むとよい。」
「はっ!!」
ベリアルはその場から消えた。
その途端、天使達は一斉に光の矢を放った。
エリックの陣営のブラックマジシャン、そして魔女モリガンらの魔法使いに、光の矢が刺さった。
「光の矢よ。この者どもを封印せよ!」
リリアはこれは3ターンの間、魔法使いを動けなくする矢だとエリックに伝えた。
「やはりキングはあなどれないわ!!エリック、れぜんだちゃんに気をつけるように言って!」
「キング~~~~~~~!!
魔法使いが怖いんでしょ~~~~!!
へっへ~~~~んだ!わたしにはわかるんだからねっ!!!!」
えいえいえい!!!天使を焼き鳥にしちゃる!!!」
天空から火球がバンバン降ってきた。
「わっはっは!!!わたしがみいんなたおしてやるううううう!!!!」
レゼンダが椅子から勢いよく立ち上がった。
「あんたなんかに!!!!あんたなんかにっ!!!!
キングが倒せるわけないじゃないのっ!!!!!
今すぐやめなさい!!!!!消えて!!!!!」
キングが画面をみるレゼンダに話しかけた。
「消えないんだよ、このれぜんだはエリックが創ったのだからね。」
「え?・・・そんな、まさか・・・」
天使メルキセデクが巨大なミラーのような結界を張った。
キングはまた話しかけてきた。
「ここにいれば全ての魔法や物理攻撃は防げる。
レゼンダ、君にはやって欲しいことがある。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・
「あのロボットは、意外な高性能ですね。」
「どこが????」
「段ボールにみせかけて、我々を油断させています。」
「だって段ボールだものっ!!!」
「常識が時には邪魔になるそうですよ。
今日の星占いで言ってました。」
「ほ、星占い?????」
「ええ、今日のラッキーアイテム、お教えしましょうか。」
「・・・・・・・・・・・」
(このお話はフィクションです)
]]>
https://www.excite.co.jp/
https://www.exblog.jp/
https://ssl2.excite.co.jp/