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砂の国 異聞 ~「君の夢で世界が溢れるまで」外伝


登場人物 

  カーライル王国 
  砂漠の国 イース

ジュード・ラーク    ・・・・28歳  ”イースの三剣士”
ブラウン・ローゼズ  ・・・・21歳  召喚師
ティック・ミルス    ・・・・17歳   魔法使い
ヒル・ダルトン     ・・・・15歳   魔法使い
カッシリーナ・ザレッカ・・・・16歳   魔法使い
男            ・・・???  箱をジュードに渡した男
女盗賊         ・・・???   
バゼル         ・・・36歳   紅い刺青の盗賊

第 5 話 「 嵐 」

<カーライル王国の街外れで・・・>

ブラウン達はカーライル王国で似顔絵を売っていた男を見つけ出した。そしてその男が似顔絵を売った相手の名前を聞き出そうとした。「勘弁してくださいよ~~~!お若い方、ワシはただの小遣い稼ぎでさあ・・・・」「・・・そうかい?おかしいな?教団の人間をどうして描いたのかな?犯罪者の指名手配じゃあるまいし・・・」「勘弁してくださいよ~~~~!!そんなのはいのち・・・・あ、うう・・・お願いですから~~~」

やたら哀れっぽい声で、絵筆の入った筆箱を胸に抱えて、その男は雨の中逃げようとした。「ああ、そうか!頼まれたんだな!」ヒルが突拍子もない声をあげた。「いのちがないぞ、とかって脅かされたんだ!」

ブラウンはその男が結構よいみなりなのに気が付いた。「・・・・・・お前、もしかして教団内部の人間か?!」その男はいきなり掴む手を振り切って、走り出した。「・・・・・雷神招来!」

ピカッ!!!!男の走りぬけようとした露地裏の道の出口に、雷が落ちた。・・・それだけだったが、男は腰が抜けた。そして、鼻水涙でぐしょぐしょになった顔で、本当のことを話しだした。

「・・・・なんだって?!それはどういう意味だ?もしそれが本当なら・・・封印した魔法使いというのは・・・」その場の魔法使い達の間に、緊張が走った。雨足が早くなり遠くから大きな黒雲が押し寄せてきていた。


<砂漠のイース・キャラバン月の道>

その日は、いきなり風がピタッと止まった。砂漠で、そういう日は不吉とされている。天上の太陽は砂漠の生物を全て焼き殺す程の熱で、輝きだした。

「・・・・・これは、来るぞ!皆、四方を見張りながら、進め!」ゴルベールの一声で、何が起ころうとしているのか、皆はすぐにわかった。「見ろ!!砂嵐だ!!!でかいぞ!!!!」

その行く手には、竜巻とそこに巻き起こる砂嵐が、ぼうっと周り中を砂煙にして明らかにこちら目指してやって来ていた。「皆、ラクダに掴まれ!!隊列は近づいて組むんだ!!」

砂嵐がひとたび起これば、人などなす術もなかった。兎に角、竜巻が少しでも外れてくれることを祈るのみだった。人のスピードなど、それも砂漠では、逃れようと走った所で、たかが知れていたのだ。皆は重心を低くしてラクダに必死の思いで掴まって耐えた。

そして、無事やり過ごせたと思ったのもつかの間、今度は盗賊が、キャラバン目掛けて駆けてきたのだ。キャラバンの男達は、長めのナイフや剣を構えた。しかし、砂嵐で体力を使い果たした者達にとって、この盗賊の強さは、半端ではなかった。仲間は次々と倒されていった。

そんな中、ジュードは、鬼神のごとく盗賊とやりあった。キャラバンの女達の周りを守りつつ、ジュードはこの盗賊の狙いが、自分にあるということに、気づいたのだ。

「・・・お前ら、ただの盗賊じゃねえな!言え!何が狙いだ!」
「おまえ、剣士か?おまえ、箱出せばいい!」紅い刺青のバゼルが大刀を振り回して、ジュードを追ってきた。「箱?ここには積荷は売るほどあるぜ!」

ジュードの剣が風を切ってバゼルの大刀を横から弾いた。「ねぼけたこと、言ってんじゃねえ!」

バゼルは顏をまっ赤に怒りをあらわにすると、「やっぱりおまえ殺す、殺して箱盗る!!!」大刀を握り直すと、両手で刀をつき出してきた。ジュードは風で受け流したがごとく、その大刀の側面すれすれに剣先を流して、相手の腕の腱をすっぱりと切った。「ぎゃああああ!!!!」

バゼルの叫び声と共に、他の盗賊共からも声が上がった。「な、なんだ?!怪物か?よ、よるな!!ばけものめ!!!!!」そこには、砂の巨人が立ち上がって、盗賊どもを捕まえ、押しつぶそうとしていた。「????一体こりゃあ・・・・????」

砂の巨人はそこに残った盗賊共をその大きな手でことごとく捕まえると、崩れ落ちた。後には、綱で縛られ、身動きできぬようになった盗賊達がいた。そして・・・砂煙が落ち着くと、4人の人影が現れた。

ジュードは、剣を盗賊に向けると、その人影はゆっくりと歩いてきた。「キャラバンの長はどなたですか?私は召喚師ブラウン。そして、この者達は魔法使いです。あなた達の護衛に参上いたしました」






 (*・・・・・・これは[君の夢で世界が溢れるまで]の年より19年前の物語です)
by f-as-hearts | 2007-05-29 12:38 | ファンタジー小説Ⅳ

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