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サウザンドアイランド 121

異世界の島の物語


サカマキ・ショウゴ         ・・・28歳   検査員
カネムラ・オクトー         ・・・19歳   研究員
                             能力者
エリック・ジェイントン        ・・・5歳    S級会員
                             能力者
マーマレード・リリア        ・・・20歳   保護委員
                            アンドロイド
ワインバーガー          ・・・60歳  サウザンド・アイランド連邦国
                       科学技術省総裁
メラニー             ・・・33歳   科学者
長老               ・・・??    ???
レゼンダ             ・・・29歳  オーズレーン国
                            カードマスター
                             能力者
イムズ              ・・・47歳   リドル帝国将軍
                             能力者

マドックス             ・・・26歳   リドル帝国空軍兵士 
                             能力者

ナイト               ・・・???  キングの配下のゲームマスター
                            オーディーンのナイト

キング               ・・・40歳   リドル帝国次期総帥
                             仮想無限城の王

クイーン              ・・・???  ゲームマスター
                             予知夢の能力者  
       
ディラルド・ジェイントン博士      ・・・???  超遺伝子科学者 エリックの父



第百二十一話 「  非公式披露会前夜 」


・・・・・・・・・・・ワインバーガーの研究所・・・・・・・・・・・・

メラニーはプラントの中でワインバーガーを迎えると、握手をした。
一段高い場所に、透明な強化プラスチックで出来た運送と本体の充電も兼ねたケースが
並んでいた。
「全部で10体になります。」
「間に合ったな。

キングとの公約も、だが・・・」

その場にいるのはメラニーとワインバーガー、そして秘書の3人だけだった。
メラニーはワインバーガーに報告した。

「新・ロボット3原則、そしてアンドロイド5原則、それらが起動するかどうかも
確認済みです。
ですから、安全に操作できます。」
「そうか・・・それから、起動後のソフト書き換えは出来ない様になっているね?」
「それらも確認済みです。」
「それでは・・・テスト・モードで私も確認しよう。」
「お願い致します。」

1体のアンドロイドが起動する音と共に、開いたケースから歩き出した。
その姿は若い男性、それも20代の最強兵士をモデルとしたタイプだった。
あらかじめ用意された柔軟に動くセパレート型の防御スーツを着ていた。

「兵士の姿は模写していますが、顔も体もオリジナルにしました。
同一人物がでてくることは100パーセントありません。」
「名前は?」
「リフ、です。」

ワインバーガーがリフを呼んだ。

「リフ、ここに来て、挨拶をしてくれないか。」

リフはスムーズに歩いてワインバーガーの前で止まった。

「初めまして、私はアンドロイド・リフと言います。
アンドロイド・グランドクロス計画を遂行する任務についています。」

「リフ、君の能力について説明したまえ。」

リフはうなずくと、話し始めた。

「最強の兵士と同じ身体能力に加え、あらゆる火器銃器、兵器の扱い、
そして全ての乗り物の操縦が出来ます。
加えて、Sクラス能力者のコピー機能もありますので、手にした兵器のコピーも
可能です。
ロボット・アンドロイドの原則に法り、この能力は人間を護ることに使用し
人々の危険回避の為に全力を注ぎます。」

ワインバーガーはうなずいた。
「よろしい。
明日は君達の初披露の日だ。
どの国に行こうとも、君達の活躍に期待している。」

リフは敬礼の姿勢をとると、次の指令を待った。

「では、戻って明日に備えてくれたまえ。」
「はい。」

リフがケースに戻ったのを確認して、メラニーはケースを閉じた。
ワインバーガーはリフの他のアンドロイドも見て回った。
それぞれ、体つきも顔も人種も違う、20代男女のアンドロイドだった。
メラニーが説明した。

「それぞれのアンドロイドには固有の性格がありますが、能力については
全て同じように設定されています。
性差や性格で能力に差があるということはございません。」
「そうか。
最後まで調整は大変だったろうね。
それでは、研究室で今後の活動計画資料を見せていただこうか。」
「はい。」

3人がプラントを出ると、警備室のランプが点滅し、プラント前のカメラが
警備する2人と出てきた3人を映した。
マドックスはその様子をじっと監視していた。

「先輩~~~!この女の人かわいいっすね~~!」
「マドックス、ところがこのメラニー女子は研究所で鬼軍曹と呼ばれている。」
モニターを指差しながら、先輩警備員は言った。
「彼女の眼力は、俺達を石にできるほどだっ!間違っても声はかけるなっ!」
「へ・・・んなあほな!・・・そんじゃあ、こっちの秘書さんは?」
「秘書っていっても、アンドロイドだからなっ!」

マドックスは先輩の鼻息が荒いのを、笑いをこらえながら見ていた。

「あんどろいどっすか!さっすが、世界一の研究所っす!!」
「アンドロイドの秘書なんて、どこを探してもいないぞ!
あっちはIQ 300だからな!
ま、おまえもこの素晴らしい研究所の警備ができるんだ。
誇りに思っていいぞっ!!」
「ですねっ!!」
「それじゃあ、警備交代の時間だからなっ!モニターに異常発見したら
このボタンを押せよ。」

先輩はどうやら自分の部下が出来たことで、大いに発奮していた。
扉の前の警備交代は一人ずつだ。
今数分だけはマドックスは警備室でひとりなので、すぐに多分割モニター画面を
チェックし始めた。

マドックスは他の警備員の内なる声、つまり心の声を聞いて、グランドクロスが
明日要人の前で披露されるということを知っていた。
イムズ将軍には、休憩時間を利用して建物の外からテレパシーで伝えていたのだ。

マドックスはモニターの上部にある半円型のカメラを見上げた。

(まあ、声さえ出さなければ、俺が何を考えているかはわからないからな。
おっ、交代の人が戻ってきた・・・)

マドックスはモニター画面を見つめながら、あくびをすると、戻った警備員に
うなずいてみせた。

「お疲れさまっす。」
「お疲れ。
私は隣の部屋で仮眠する。
2時間したら起こしてくれ。」
「了解っす。」

その男が隣の部屋で寝息をたてて寝ているのを確認して、マドックスは
煙草がないな~と言いながら警備員室を出た。

ささっとプラントの裏口から外に出ると、マドックスはイムズにテレパシーを
送った。

(テレパシーは防御されていますが、超能力者が入ることはできます。
シールドやバリアはありません。
明日、要人が午後集まって来ます。
その時にアンドロイドグランドクロスの披露があります。)
(ずい分早いな!警備状況と監視カメラの位置を教えてくれ)
(はい、今観てきた映像を送ります)

マドックスは記憶にある映像を、そのままダイレクトにテレパシーで送った。

(なるほどな、おおよそ普通の警備だな。)

イムズは脳内シミュレーションで隠れる場所まで確認した。

(でもここ、普通の警備じゃないですよ。指紋・声紋・瞳の虹彩・顔認証
X線透視システムと、何重にもセキュリティーがありますから。
イムズ将軍には関係ないんですけど。)
(カメラについてはそっちで調節できるだろう?頼むぞ。)
(まかせてください。)

・・・・・・・・・・エリックのいる部屋・・・・・・・・・・

エリックの健康診断は異常なしだった。
エリックは喜んでまたゲームをしていた。
「カネムラ~~~!お父さんもゲーム好きかなあ?」
「どうだろうな?聞いてみれば?」
「明日、聞いてみるよ。」

エリックはカードを並べながら笑った。
「カネムラ、その伏せカードってトラップカードだよね?
やっぱり~~~~!カネムラって顔でわかるね!」
「カネムラさん、な!!ふんふん、それはどうかな?攻撃してみれば?」
「あっはっは!!やーだよーだ!!」

リリアはその様子を眺めながら、PCからの情報をまとめていた。

ーーーリリア、明日アンドロイド・グランドクロスの非公式披露会が
午後1時から行われます。
(クラウン博士も呼ばれているのね。私の名前は?)
ーーーいいえ、あなたの名前はありません。
(アンドロイドの性能について何かPCに書き込みはない?)
ーーーありません。書かれているのは計画の推進委員会のトップの2名の名前と
研究室代表科学者メラニー、リドル帝国次期総帥キング、それからクラウン博士
他1名です。
(他1名?誰かわからない?)
ーーーわかりません。
(ワインバーガー氏が作成した名簿?)
ーーーそうです。

リリアはサカマキに相談した。
「明日、ワインバーガー氏はアンドロイド・グランドクロスの非公式披露会を
行うそうです。
サカマキさん、ワインバーガー氏から何か連絡を受けていませんか?」
「いいえ、何も。
おかしいな、そんな重大な発表があるなら、私達にも連絡があると思いますが。」
「キングもグランドクロスのあるプラントに行くらしいんです。」
「もしかして、完成披露宴の前の打ち合わせのようなものでしょうか。
ワインバーガー氏に聞いてみます。」

ワインバーガーはサカマキの電話に出ると、手短に説明した。
「確かに完成したが、キングにそれを一度見てもらう必要があってね。
プレ・イベントのようなものだ。
何にでも調整というものは必要なんだよ。
完成披露会は1週間後だ。
それには君達も参加してもらうよ、スーツの準備だけはしておいてくれ。」
ワインバーガーは忙しいからと電話を切った。

「・・・そう、調整が必要っていうことなのね。」
「グランドクロスというアンドロイドについて、リリアは何か聞いている?」
「いいえ。
一般の情報と同じよ、人類が生存できないような場所、主に宇宙での活動や
危険と隣り合わせの任務に従事することも出来るアンドロイドということと
全ての人々との体験の共有を可能にする、今までにないプロジェクトだという
事は知っているわ。」
「そしてその最大の出資者がリドル帝国なのも・・・」
サカマキの言葉にリリアは考えながら言った。
「それじゃ、キングが私達に近づいたのも何か意味があるということかしら。」

サカマキは頭を振った。
「私は何かがいつも頭の隅に引っかかっていました。
キングがエリックとリリアに近づいたのも、ワインバーガー氏は知っていた。
でも何一つ言ってこなかったんですよ。
今考えると、それはおかしなことです。
リリアが保護者としてついていても、エリックをキングが狙っているのは
あきらかだったでしょう?
私達が護衛のようについていたとはいえ、あれだけのゲームにエリックが
関わっても、最終局面でやっとワインバーガー氏が言ったのは、リリアの
メンテナンスの事だけだった。
・・・まるで、ゲームの中でエリックが自由に能力を発揮できるように
していたとしか、思えない・・・

ワインバーガー氏は、一体何を考えているんでしょうね?」


・・・・・・・・・・・レゼンダの部屋・・・・・・・・・・・・

レゼンダはPCから消えたエリックと、それを待ちながらぶつぶつ言うれぜんだに
文句を言っていた。

「どういうことなのかしら?クイーンが戻られたのは良いことだけれど。
れぜんだは何故消えないのかしら?」
「やはりクイーン様のお気に入りだからではないかと。」
「ゲームは一時中断された筈だわ。」
「れぜんだちゃんはエリックのように自由に生きてもよいということではないかと。」
「執事。
あなたのれぜんだへの過保護っぷりも自由すぎだわ。

れぜんだ!!
恐竜を団子のように積み上げない!!
そんなことしたら恐竜に喰われてしまうわよ!!」

れぜんだはぷうっと頬を膨らませた。

「合体業をつくるんだからっ!!邪魔しないでよっ!!」
「そんなので合体するわけないでしょっ!!」
「わっかんないじゃない~~~~!!もし合体したらあ??」
「合体、しませんっ!!」
「いちいちうっさいな~~~~~!!
ろぼっち、もっと森の奥でやろ~~~!!
恐竜もおいで~~~!!」
「れ ぜ ん だ あ あああ!!」
「さんざんなアイランドですね。」
「し・執事いいいいいい~~~~~~~!!」


・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです。)





by f-as-hearts | 2016-08-12 00:30 | SFサウザンドアイランド

タロット占い師ASのブログです。


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