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サウザンド アイランド  83

異世界の島の物語。


サカマキ・ショウゴ         ・・・28歳   検査員
カネムラ・オクトー         ・・・19歳   研究員
                             能力者
エリック・ジェイントン        ・・・5歳    S級会員
                             能力者
マーマレード・リリア        ・・・20歳   保護委員
                            アンドロイド
ワインバーガー           ・・・60歳   ???
メラニー               ・・・33歳   科学者
長老                 ・・・??    ???
レゼンダ               ・・・29歳  オーズレーン国
                            カードマスター
                             能力者
イムズ                ・・・47歳   リドル帝国将軍
                             能力者

マドックス              ・・・26歳   リドル帝国空軍兵士 
                             能力者

ナイト                ・・・???  キングの配下のゲームマスター
                            オーディーンのナイト

キング                ・・・40歳   リドル帝国次期総帥
                             仮想無限城の王

クイーン               ・・・???  ゲームマスター
                             予知夢の能力者         


第八十三話 「  せめぎ合い  」


「オーディーン召喚ですって?!」
リリアの声が響いた。

「まさか~~~~!!師匠、あれ!!」
「ここで、オーディーンですか!!ナイトが参戦とは?!」

竜巻をシールドで防ぎながら、マジックが言った。

エリックは大鷲に、もっと上昇してと頼んだ。

「オーディーンのナイト!!やっぱりキングは凄いや!!」


キングの前に、オーディーンが現れ、その愛馬に乗った姿でキングに一礼をした。

「キング、再び私をこの場へと召喚していただけるとは。
無上の喜びにございます!!

このオーディーンが来たからには、今度こそエリックめを叩き潰してご覧にいれましょう!!」

斬鉄剣が閃くと、剣に電撃に似た炎が纏わりついた。
6本足の神馬スレイプニルが、くるりとエリックへと首を回し、そのまま天空を
駆け上ってくる。

飛空要塞から何発もの弾が発射されたが、オーディーンの剣の一閃で、すべて弾かれて
しまった。
太陽神もオーディーンの進攻を止めようと、光の矢の攻撃をしたが、それも弾かれてしまった。

「斬鉄剣!!」

キーーーーーーーーーーン!!!

エリックの前で、何かが光った。
大鷲が鳴き、地面が揺れ動いた。

ズオオオオオオオオオオーーーーーー!!!

一瞬でオーディーンの姿が隠れた。
エリックは一体何が起こったのか、理解できなくて、目をこすった。

目の前が真っ白になったのは、砂埃のせいだった。



「  エリック。

  大鷲を呼んだのだから、わかっていたのでしょう?

 声に出して呼んでいいのよ。

 オーディーン、お久しぶりですね。

 貴方と戦えるなんて、光栄だわ。

 おてやわらかに。」


砂埃の上に立ってオーディーンを見つめているのは
クイーンその人だった。

クイーンが、さっき消えていったそのままの姿で、ウロボロスに乗って現れたのだ。
大地から。

オーディーンの驚きようは、尋常ではなかった。

「クイーン?!何故貴女が、エリックの側にいるのですか?!」

「エリックに負けたからです。」

「何の冗談ですか??」

「いいえ。  ナイトよ。

私が冗談を言うように見えますか?」

オーディーンの剣は、ウロボロスの鱗にがっちりと喰いこんでしまっていた。

「いいえ、クイーン・・・つまり・・・信じられない、という意味です。


キング!!!どういうことですか?目の前のクイーンは、本物なんですか??」

キングはにこりともせずに、言った。

「その通りだ。

クイーンは正々堂々と戦って、負けを認めたんだ。

だからそこに、いる。」

オーディーンはわなわなと震えて、剣を引き抜いた。

「キング、では・・・・・・・・・・・・

私は、クイーンと戦っても良いと?!」

キングはうなずいた。

オーディーンはウロボロスを見上げた。
その姿は、大地、そのままだった。巨大な蛇はナイトにぎょろりと眼を向けた。



―――その頃。

ワインバーガーはリリアの情報を解析しながら、キング(リドル帝国次期総帥)が
何の為にエリックに近づいているのかを、思案していた。

科学者のメラニーは孤島の膨大な量のデータと格闘中だった。

「ワインバーガー代表、ここのデータは衛星からのものではありません。
衛星はこの場所を特定できないよう、全ての情報をブロックするようなガードシステムを
衛星全てに施されていますし、それが上手く作動しているからこそ、今までこの環境が
護られてきた訳です。

PCに映りこまれている映像が、特殊なことは言うまでもありませんが、リリアのリンク
機能がなければ、これも本来解析不能だったかもしれません。」

「と、いうと?どういうことだ?」
「リリアの眼に映っているものを、ここにあるPCにリンクさせているんです。」
「PCにもカメラがついている筈だが。」
「非常にわかりづらい事が起こっています。

ダンジョンでの最初の、エリックの話では、エリックのみが手に入れた自分のカードで
エリックだけにしか見えない世界で、戦えたというのです。

次に入った世界、この孤島では、エリックの(見たものをそっくり再現できる)能力を
使って、部屋に遺跡のある島を出現させました。勿論、映像ですが。」

「衛星からの映像ではないものを再現しているとしたら、それはその孤島にいる誰かが
直に撮っている映像をエリックに送っているということになるが。」

「その通りです。そしてそれは、今現れた、クイーンという人物が行っているということに
なります。」
「クイーンとキングの関係については、何かわかったのか?」
「確定していることは、このキング、クイーン、ナイト、それからレゼンダという魔女の存在が
この別世界を創り上げた人物達ということのようです。」

「エリックがフールと呼ばれている理由については何かつかんだかね?」
「それらのカードの意味するところは、トランプの元になっているタロットカードと同じ
ではないかと推測されます。」

「ではキングは、フールという手札を手に入れる為に、このゲームを続けているということに
なるな。」
「エリックの能力は、もしも外に出たとしたら、とんでもないことになるでしょう。」

「リリアに、このゲームから皆を脱出させるように言ってくれ。」
「危険という信号は、すでに受け取っている筈なんですが。」
「?!無視されていると?」
「いいえ。ここからの脱出は、ゲームに関わっているエリックの勝敗が決しなければ、出来ない
ようになっているそうです。」

ワインバーガーはPCの情報が次々と更新されてゆくのを、驚愕の眼差しで見つめていた。
つい最近になって、リリアからの情報に、キングの存在が現れたことで、あの会議でのキングの
不思議な自信に満ちた表情の意味がわかったと思った。

―キングはこのゲームの中の世界を、現実の世界に移そうとしているのか?!

「そんなことになったら、どうなる?!」
「恐竜もモンスター達も、街に溢れるのではないかと思います。」
「エリックが負けたら?」
「はい。」


ワインバーガーが考えた世界と、キングが考えた世界・・・
まだ不明瞭で不確定な、その世界の存在する目的が、このまま観戦していて
見えてくるのだろうか。

「リドル帝国のキングの能力が、未だにわからない。ゲームを創る能力だろうとしか・・・」
「そうですね、それからー」

メラニーの眼は画像の細かな解析を追いながら、もう一方のPCを叩いていた。

「リリアに、これがどういうゲームなのか、理解できるかどうかも重要な問題点です。」

ワインバーガーは驚いた。
「!そういえば確かに・・・人工知能の記憶回路の処理能力を、とっくに上回っている。
今は通常の回路に負荷はなさそうだが・・・これ以上の問題を処理するのはー」

メラニーは椅子を回してワインバーガーを見た。
「はい。本来ならとっくにフリーズしているレベルなのです。」
「・・・まずいな・・・リリアだけでもこの戦闘から脱出すべきではないか?」
「いいえ。それはエリックが許可しないのではないかと思います。」

「・・・リリアに緊急の連絡を。

これから、3分後に彼女の人工知能を強制的に止める。その間は退避行動を
とることと、またすぐに許容量を限界まで大きくして復旧させるからと伝えてくれ。」
「わかりました。」



その連絡はリリア本人にPCから連絡が入った。

「!今すぐ、ですか?!この、一番切迫した状況下で?」
「リリア、何かあったの?」
「サカマキさん、実は私に、緊急メンテナンスの連絡がーーー」
「?!あ、アンドロイドだから?!何故今なんですか?!」
「勿論、今は断るわ。

(―――ワインバーガー、この状況はエリックだけでは判断できないところ
まできています。
このゲームが終わるまで、メンテナンスはしないでください。)


「リリアから、拒否の返事が返ってきました。」
「・・・だが確実に停止するか壊れるのがわかっていて、拒否の選択はないと
もう一度伝えてくれ。」


「・・・・・・・回線を切られました。」
「?!PCはなにをしている?!」
「そのPCが、リリアを擁護しているようです。」
「そんな馬鹿な!!」

ワインバーガーは消えた画像を虚しく見つめていた。



クイーンがウロボロスの頭上で細い銀色の剣を抜いた。

「リリア。

お話は終わりましたか。

敵は一度陣地へ戻るようです。

貴女とその飛行要塞はまだ戦えますか?」

要塞の中で、リリアがクイーンに応えて言った。

「戦えます。

クイーン、キングの本当の目的を、教えてください。」


ふふふ・・・

クイーンは笑った。


「皆、エリックと戦いたいのです。

リリア、貴女は今も昔も、エリックの守護者でしょう?

本当の目的は、勝てばわかります。」

エリックは、大鷲の背中に乗ったまま上空から見ていた。

「マジック、マジックガール!竜巻はウロボロスに防いでもらうから

二人は、太陽神に魔法力を回復してもらって!」

「わかりました!」

二人はすぐに太陽神のところへ戻った。

「しばらく動けぬぞ、いいな?」

太陽神はマントを翻すと、それは巨大なテントのように変化し、マジック達を
包みこんだ。


バハムートとべヒーモス、そしてリバイアサン。

オーディーンはそれらを率いて、眼前に立っていた。


ウロボロスが息を吹きかけると、竜巻はすべて掻き消えた。

クイーンは剣で空中に円を描いた。

「エリック。

さあ、私に命令を。」

エリックは、にっと笑った。

「うん!!

それじゃあ、恐竜軍団を呼んで、クイーン!!」


ギャアアアアアアーーーーーーーー!!

ウロボロスの前に、巨大恐竜軍団がその牙を剥いて立ち上がった。

クイーンの剣が、前を指し示した。

「さあゆけ!!恐竜よ!!」




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです。)
by f-as-hearts | 2015-02-14 00:00 | SFサウザンドアイランド

タロット占い師ASのブログです。


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