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夢に追いつく夢 13

・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  13  話 



・・・・・・・・・・・・カーライル元老院の間・・・・・・・・・・・・・・・・


スラー元帥はツァーランガのいる月の塔を陥落出来なかったこと、ネリデ元帥が
元老院の決定として撤退命令を下したことの報告を、いち早く受けていた。

「なんと!おお!ネリデ元帥は失敗されたのですな♪」
「ジジッドー卿、語尾が踊っておりますが?」「まま、どうぞお気にめさるな♪」「・・・・・・・」

スラー元帥が重い口を開いた。

「由々しき問題の原因であるルナゲート王の消息は、これも魔法の痕跡から探知
しようとしたが、オランティアの山で途絶えてしまった。
今はどこに隠れているやらわからぬ。

・・・・・どうも我々は、あやつらを見くびっていたらしい。
私がネリデを救出に向かうことにしよう。・・・兵士どもでは心もとない!」

「スラー元帥、今からでも遅くは無い。我々から停戦を申し込んではどうか?」
「何をふざけたことを!!!!」

その怒声は部屋の壁掛けを落とし、振動は鼓膜を破るかと思われた。

「クオール卿!!あなたには元老院としてのご自覚はおありか?!
王をここまで操ってきた理由を、よもやお忘れか?!!!

・・・我々がこれまで以上に強大な魔法力を手に入れる、それがこの国を
護ることにつながるのだと、あの誓い、破る気ではないでしょうな?!」

「まさか!!そんな気は・・・」「ならば、不用意なことを言うのは止めて頂きたい!」

スラー元帥はフードをばさっと翻すと、巨大な黒いカラスに変化して窓から飛んでいった。
ジジッドー卿とクオール卿は顔を見合わせた。

「私には火の気持ちは到底理解できぬ。なにせ土属性であるゆえ」ジジッドーが言えば
「・・・正反対である私も、まるで遠い彼方の者のように感じますが」とクオールも返した。
「風が捕まって、火を煽る者がいないからのう。研究者としては風は動向を読む者で
あれに右往左往させられては、たまったものではない」「・・・なかなかに、奥の深い・・・」
「クオール卿、そんなことよりあの、結界魔法を見てきた司令官は、今どこに?」
「ここに呼びましょう」「うむ。またこれで魔法書に新たなページが開かれよう♪」
「・・・・・・・・・・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オランティアの館・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


オランティアはツァーランガからの念波を受けて、月の塔への攻撃が止んだことを知った。

「そうですか・・・シェリマとユーリ王が元老院の者を捕らえて・・・それで2人は?
・・・・・・・・・・!カーライルの元老院の元へ?!

2人だけで解決できるものでしょうか?」

ーかえって突破しやすいのかもしれませんね。

「・・・それでも戦闘は避けられないでしょう?」

ー占い師はなんといっていますか?

「アズ、シェリマとユーリ王が元老院へ行くそうだ。何が起こりそうですか?」

「はい・・・どうも2人は元老院達と戦うはめになりそうです。
ルナゲート王を護る為には、こちらも徹底抗戦を余儀なくされそうです」

カイト王が言った。

「私達も、ディオリア国を民に取り戻す為に、国を2つに分けて戦いました。
その時に、カーライル国ラインハルト国の両国には言い尽くせぬ程、助けて戴きました。
元老院の押し進めている事が、かつてのディオリアと同じであれば、それはその国だけ
での問題ではないでしょう。

オランティア様はあのオベリスクが、戦略の一部だと思われますか?
カーライルからの友好と永遠の平和のシンボルであると言われ、魔法によって我々を
護るという、その建築物の美しさは類をみませんが」

オランティアは沈黙した。
それがかえって、皆の心に大きな不安を呼んだ。

カイト王は立ち上がると、オランティアに頼んだ。

「何も言えないということですね。・・・それは、とても怖ろしいことです。
ツァーランガ兄さんも、先程あれは見張りの塔だといっていました。まさか・・・と思って
信じられなかったが・・・ただの見張りの塔ではないということなんですね?

同盟国でありながら、カーライルはそのような訳のわからぬことをしたということ。
カーライル王国は、変わってしまった・・・元老院が戦争を仕掛ける前に、動きます。
オランティア様、どうか私をディオリアに帰して戴きたいのですが」

「わかりました。では・・・アズ、そなたは私が戻るまでここに居て下さい」「はい」

すぐにカイト王とオランティアは消え、辺りにはペチカの火がはぜる音だけが響いた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ミディはツァーランガのそばにいるという、この状況に、緊張していた。
ツァーランガは先程から、誰かと話をしているようだった。
夜風が開いた窓から吹き込んで、ミディはくしゃみをした。

「・・・忘れていました、窓を閉めましょうね」
ツァーランガが声をかけてきた。その声は大召喚師の声に似ていた。
「私が、閉めます・・・」ミディはベッドから降りて、すぐに窓を閉めた。

「・・・賢者様・・・・・・・・

あの・・・・・・・」

「はい」

「賢者様は・・・・・・・シェリマのことを、どう思いますか?」

ツァーランガは顔をミディの方に向けると、微笑んだ。

「優しい人だと思いますよ」

ミディはまた泣きそうになった。

「あんなに乱暴なことを言っても?」「はい」「何も話してくれなくても?」「はい」

「・・・私に、もう会わないと言っても?」「・・・・・・はい」

ミディはツァーランガに、そう言ってもらいたかったんだと思った。
誰かに、彼は優しいと・・・・・・・・・

「・・・・・・・どうしても、どうしても、どうしても、そばにいられないんでしょうか?」

ツァーランガはミディの手を握った。

「・・・未来を見る力は、私にはありません。

・・・でも、絶望することはありません。


私は、絶望がなんなのか知っています。

だから、貴方達が立ち直れるのは、わかります」

ミディは涙が消えるのを感じた。そうなんだ・・・賢者様の言う、絶望というものが
私は怖かったんだと気がついた。

「・・・ありがとうございます。
私、本当は泣かないって決めていたのに・・・

きっと、また 会えるって、信じることにします。
どんな運命でも、まだ自分に出来ることが、あるんですよね?」

ツァーランガは頷いた。

「・・・彼に 通じるといいですね」

ミディにやっと笑顔が戻った。

塔の外はさっきまでの攻撃を避けていた動物達が戻ってきていた。

ふくろうがホーホーと、木の枝で鳴いていた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
by f-as-hearts | 2011-05-25 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ

タロット占い師ASのブログです。


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