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惑星物語   5

・・・この地球とは時も場所も次元すら異なる惑星の物語・・・



スーラ・ダ・カシム       146歳     主人公 術士 

シャーシャンデ・ラオ     166歳     戦鬼 

エルギーヨ・ガラド       155歳    軍師

二ーナ・パニーニ        145歳    スーラの恋人

マリシテオラ・ダイオン    167歳    惑星カハク皇帝

オルガ              ???    術士   

ジリー              ???    術士

ワッカ               ???   術士

アイリン              ???   術士

ラナ                ???   術士   オルガの彼女


惑星トーラスサイド

ラーミス将軍          ???    トーラス艦隊将軍

ラドウェル最高司令官     ???   トーラス軍最高司令官




第  5  話    「 カハクの術士達 」



惑星同盟アリオンの艦隊は、この多重層銀河団(銀河同士がぶつかっている)の最強戦艦として、その存在は他の銀河にも知れ渡っていた。その艦隊が、トーラス船団を見失った。

「ホルン提督、トーラス艦隊はワープ航法で多次元へ逃げてゆきました!」わっという歓声があがったが、ホルン提督は大きな声で皆を制止した。「なんだって?どこへ行ったか探索は可能か?」
「いいえ、我々の艦隊の攻撃範囲をはるかに超えた宇宙域だったので、その多次元の穴の場所すら・・・」
「・・・では、逃げたのではない可能性が高い。緊急配備だ、どこに向かっているにしても、完全に我々の銀河の中だろう。同盟内の惑星全てに、緊急事態発令だ!!いいな!!」「はっ!!」
ホルン提督は青ざめた。「・・・2度のワープだと??ありえない!!あの艦隊は一体どこへ・・・」


・・・戦艦トーラスの中・・・・

トーラス艦隊のラーミス将軍は、ワープに入ってから いらいらとその辺を歩き回っていた。
「仕事が無いと、おまえはまるで餓えた動物のようだな・・・こっちで一緒に酒でもどうだ?」ラドウェル最高司令官はグラスに綺麗な発泡酒を注いでいた。「出来れば動かないでいてくれる方がいい」

ラーミス将軍はどかっと椅子に座ると、ラドウェルを睨んだ。「ラドウェル、アリオンとは戦闘に入らないと、知っていたな?」グラスをラーミスに渡しながら、ラドウェルは話した。「ああ、戦略とは、そういうものだ」

「皇帝の、あの前線で戦えというのは・・・」「勿論決定だ。だが・・・・ここでではない。我々が本来取り戻すべき場所、惑星カハクで、だ」にこりと笑って、ラドウェルはラーミスの手を握ろうとした。「それまで、私はおまえとの時間を取り戻せる」手を引っ込めるとラーミスはグラスをぐいと飲み干した。

「私達の関係は変わっただろう。あなたが進言し私が将軍職に就いた時から、私情は一切無い」
「・・・・・私は・・・この惑星カハクへの攻略は、五分だと思っている。・・・失敗すれば、私に未来はない」

空になったグラスをテーブルに置くと、ラーミス将軍は目を上げた。
「・・・失いたくないものは、全て、惑星トーラスに置いてきた。ラドウェル最高司令官、あなたも軍人なら五分の戦いだろうと、死ぬまで勝利を信じるのみではないか」

「ならば・・・信じさせてくれ」いつになく、ラドウェルは真剣に話していた。
「ラーミス・・・勝利を信じることよりも、おまえを信じることの方が、今の私に必要だ」

「・・・・今は、すぐに過去になる。ラドウェル、何度も言わせないでくれ。勝利の先で、また会えると信じるのだ」


ラドウェルは笑い出した。
「ふ、ふふふ・・ははは。・・・そうだ、それが、おまえだったな。氷の中の、消える事の無い炎のような・・・
・・・・一つだけ、約束してくれないか?」宇宙のように暗い瞳の奥で、一瞬何かが光った。




「勝ち続けてくれ・・・何があっても。この先、何があっても・・・それが、最高司令官たる、私の存在意義だった。思い出したよ」





・・・・惑星カハク・・・・


スーラは術士達とカハクの戦艦に乗り込もうとしていた。スーラの恋人ニーナは、軍師が止めるのも聞かず戦艦にスタッフとして参加していた。スーラももう何も言わなかった。それは彼女の強い意志を知ったからだった。

エルギーヨ軍師は初めて会う術士達の姿に、驚きを隠さなかった。

オルガ・・・彼は牙のある大きな4つ足の黒い豹のような種族だった。ラナも同様だが、その体表の毛皮はオルガとは違って長く、まだら模様があった。
ジリーは人のような外見だったが、昆虫のような甲殻が全身を包み、その表皮はとても硬かった。
ワッカはハリネズミが大きくなったような姿で、アイリンは人のようであったが、その爪は異常に長く、硬かった。そして、アイリンには透明な羽が背中に生えていた。

スーラが皆を軍師に紹介した。「オルガとラナは惑星アリオンの一種族で、アリオンでは少数民族です。ジリーは惑星イヴレスの主民族のエリート、ワッカは惑星イヴレスの少数民族、アイリンはご覧の通り、惑星カハクの少数民族の出です」

皆は軍師が何を考えているかわかったので、極力小さな声で、軍師に挨拶をした。
「皆さん、私は、術士の皆さんの姿に驚いていますが、それが私が何の知識もなかったからと、ご理解頂けることと思う」

「だが、軍師、ワッカには謝って貰いたい。彼はとげがあるが、それは敵を寄せ付けない為であって、種族として劣っているからではない」オルガの話に、軍師は頭を下げた。「すまない・・・私の認識不足だ」
「しかたねえべ。おらっちの姿見て、腰ぬかさねえだけすげえって。それより、早くおっぱじめねえと間にあわねえ」ワッカは音も立てずにすすすっとメインルームの司令室へと歩いていった。皆がその後についていった。

ワッカはコンピューターを呼び出した。
「メインコンピューターさんよ、おめえさん名前は?」「クイックです」「へえ、しゃれてるだな!したらよ、俺はワッカだ。よろしくな。おめえさんの戦闘プログラム、みせてくんねえか」「はい」

「ははあ、やっぱりだべ。こりゃあ随分古くせえプログラムだなや!おい、おめえさんもそうおもうだべ?クイック?」「はい。かれこれこのプログラムは10年以上改定されてません」「急ぐべ、惑星イヴレスの主力コンピューターに俺っちの最新版があっからよ!クイックでやっぺ!」「はい、ダウンロード開始します」

軍師はあっけにとられていた。術士達は、にやにや笑ってその様子を見ていた。
「スーラも人が悪い。少しは軍師に説明しているかと思ったが」「無理よネ♪彼は特別だもン」
「まあ、説明は見てもらう方が早いから。それより、ニーナ、君も口が開きっぱなしになってるぞ。ワッカ、ニーナだ。君の助手になるプログラマーだ。よろしく」「ニーナさんだな、えれえべっぴんさんじゃ」「・・・・あ、ありがとうございます。ワッカさん・・・?あのう、これ見てもらっていいでしょうか?」


「ここはワッカに任せよう。軍師、カハク軍の戦略を教えてください」「・・・・あ、ああ、わかった」
その夜は、いつまでもそのメインルームから明かりが消えなかった。
カハク紀元節はもう、十数時間後に迫っていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
by f-as-hearts | 2010-06-07 23:59 | SF小説

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