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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

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異世界の島の物語


サカマキ・ショウゴ         ・・・28歳   検査員
カネムラ・オクトー         ・・・19歳   研究員
                             能力者
エリック・ジェイントン        ・・・5歳    S級会員
                             能力者
マーマレード・リリア        ・・・20歳   保護委員
                            アンドロイド
ワインバーガー          ・・・60歳  サウザンド・アイランド連邦国
                       科学技術省総裁
メラニー             ・・・33歳   科学者
長老               ・・・??    ???
レゼンダ             ・・・29歳  オーズレーン国
                            カードマスター
                             能力者
イムズ              ・・・47歳   リドル帝国将軍
                             能力者

マドックス             ・・・26歳   リドル帝国空軍兵士 
                             能力者

ナイト               ・・・???  キングの配下のゲームマスター
                            オーディーンのナイト

キング               ・・・40歳   リドル帝国次期総帥
                             仮想無限城の王

クイーン              ・・・???  ゲームマスター
                             予知夢の能力者  
       
ディラルド・ジェイントン博士      ・・・???  超遺伝子科学者 エリックの父



第百二十二話 「  深夜の緊急事態 」


深夜、ワインバーガーは警報の鳴り響くプラントへ急いで向かっていた。
彼は近くのホテルでその時間も明日のプレゼンの準備をしていたのだった。
プラントや研究所の異常は、ワインバーガーの携帯に直接警戒音で知らせる
ようになっていた。
プラントの前で車から降りると警備員が大急ぎで駆け寄り、ワインバーガーに
現状報告をした。

「不審な侵入者が、研究員を人質にしてアンドロイドをー」
「なんだって??何故侵入されたんだ??」
ワインバーガーは走りながら、警備員の話を聞いた。
「わかりません、どこも鍵は壊されていないんです!」
「アンドロイドを開放したというのか?!」
「はい、アンドロイドを盗むつもりでしょうか?」
「それは出来ないだろう。
だが、何をするつもりだ??
その侵入者は」

警備員はイヤホンで状況を逐一確認していた。
「それが、侵入者は未だにプラントから出てこないんです。
現在の様子は警備室から監視モニターで見ることができます!
こちらです!」
ワインバーガーと警備の数名が、地下通路を靴音を響かせて通り抜けて行った。
ワインバーガーはアンドロイドのことを考えていた。

(アンドロイドには新ロボット3原則の他に、アンドロイド5原則がある。
間違っても契約者に対して反抗・反乱を起こすことは出来ない。
ただ・・・人質の問題は・・・)

プラント内の様子を見張っている警備員が、ワインバーガーに席を譲った。
「中の電源は?いきているか?照明は非常時の電源でも点く筈だ。
ここのスイッチを入れてくれ。
よし、点いた。」

アンドロイドのケースに照明が当たると、確かに一体のアンドロイドがいなかった。
ワインバーガーが警備員に訊いた。
「中には誰もいないぞ?
それと、人質にされた研究員は誰だった?」
「さっき、いえ、10分前には侵入者と研究員がいたんです!
私は確認しました。
ビデオも撮ってあります!それに、出口から出て行った者はいません!」
「人質は?」
「メラニー研究員です。」

ワインバーガーはバンッと机を叩いた。
それは一番怖れていた事態だった。

「メラニーは研究所に泊まっていたのか!」
「今、こちらのモニター画面で録画を再生してみます。」

ワインバーガーは頭の中で素早く状況を分析していた。
(中で何があったか、も、問題だが、もし侵入した者が能力者だったらー
人質を殺されるか、またはプラント内を破壊するかもしれない。
それか、他のアンドロイドも連れ出されてしまうかもしれない。
侵入者はアンドロイドと一緒にどこかに隠れているのだろう。
だが、そもそもここにどうやって入ったのだ?)

再生されたモニターにはいきなり現れた黒い服の男がメラニーに命令して
アンドロイドのケースを開けているところだけが映っていた。
そして黒い影がカメラの前から消えて、その後はどのカメラにも映っていなかった。

「軍の出動を要請する。
君達は、ゲートと出入り口をかためてくれ。
軍が到着したら、中に踏み込む。」

警備員はモニターの監視員を残して、すぐに出入り口へ向かった。
ワインバーガーは軍に出動要請をしてから、通路に出、サカマキに電話した。

「アンドロイド・グランドクロスが1体盗まれた。
カネムラに電話を代わってくれないか。」

カネムラはワインバーガーの話を聞いて、驚いた。
「まさか、侵入者は能力者なんですか?」
「君の意見を聞きたい。
君は異次元移動能力があるが、同じような能力者がいたな?
リドル帝国に。」

「は・・・はい、まさかイムズ将軍が??」
「だが彼が動く理由がわからない。

あのアンドロイドはリドル帝国にいくのだというのに。
どうして盗む必要があるのか・・・」
「ワインバーガーさんにもわからないんですか?」
「明確な意図が見えないんだ。

もしもキングの命令だとしたら・・・」

カネムラは言った。
「間違いなくキングの命令です。
イムズという将軍はキングに忠誠を誓っていますから。」

外が急に騒がしくなった。
警備員らが軍を統率する司令官にワインバーガーからの指示を伝えていた。
「では、ゲートを開けます。」
「前列突入!」

ザザザッ!
プラントの中は明るかった。
一瞬、前列の兵士達はその照明の明るさに目を細めたが、次の瞬間
長い槍のような物で横に払われ、頑丈な盾ごとなぎ倒された。
ブーーーーン!!グオッ!!

ワインバーガーはモニターに映るその姿に叫んだ。
「リフ!!」

リフの後ろには、黒い防護服の男が、顔を隠すマスクをつけて立っていた。
男はメラニーの手をねじるように掴んでいた。
メラニーは無事だったが、あきらかに侵入者に捕まってしまっていた。

「リフ!!やめて!!」
メラニーの言葉を否定するように、男が言った。
「メラニー、貴女がリフの人工頭脳のリセットを行うと約束するなら、
貴女は解放しますよ。」
「それは無理だとさっきから言ってるじゃないですか!」
「リフ、聞いた通りだ。
君は私がその気になれば、メラニー共々消えることができるのは
わかっているな。

メラニーを見捨てるか、目の前の兵士達をなぎ倒してここから
私達を出すか。
二つに一つだ。」

ワインバーガーはその言葉に確信し、電話口のカネムラに言った。
「キングは、このグランドクロスの秘密を知っている!
カネムラ、君は今すぐ、リリアと一緒にここに来てくれ!
君の能力で!」

カネムラはすぐにリリアとワインバーガーのいる研究所に向かうと言って
電話を切った。

リフは侵入者を睨んだが、メラニーを人質にとられて言いなりになるしかなかった。
「リフッ!!私のことはいいから、この男を攻撃して!!」
「いいえ、それはできません。」
「その通りだ。
さてそれじゃ、軍隊にはお帰りいただこうか。
リフ、あの軍隊の銃をコピーして、威嚇射撃しろ。」

リフはその手に銃を出現させると、倒れた兵士の足元すれすれに弾を撃った。
前列の兵士達は、じりじりと後退するしかなかった。
司令官は兵士に下がるな、前に出ろと言ったが、リフは数歩ずつ前に進みながら
銃撃を続けた。

「司令官、そこをどけ。」

カネムラとリリアは、異次元瞬間移動能力を使ってワインバーガーの元に着くと
すぐに、そこからプラントの中へと移動した。

カネムラが男の背後から叫んだ。

「イムズ将軍!!」

カネムラの声が響いたのと同時に、カネムラと共に壁から現れたリリアが
隙をついてメラニーの手を掴んで男から引き離そうとした。
だが、その手はしっかりと掴まれたままだった。
「リリア、そして、カネムラ。
その手も想定内だ。」

リリアは男の顔をしっかりと見た。
「イムズ将軍!どうしてこんなことを?」
それには答えず、イムズはリフに言った。
「リフ、人質が増えたぞ。
いいか、お前もこちらに来るんだ。」

イムズは2人を掴んだまま、リフの袖口を引っ張った。

「逃がすかっ!!」
カネムラは壁に消えようとするリフの銃口を掴んで、一緒に異次元へと
引きずり込まれて行った。

兵士らは壁に消えた5人を気味悪そうな顔で追い掛けようとして、壁に
激突して倒れた。
そこへ、ワインバーガーが息せき切ってやってきた。
司令官はワインバーガーにどういう事が起こったのか説明してくれと言った。

「男はたった今人質と共に壁に消えました!
やつらは一体なんなんですか??
ワインバーガー科学技術省総裁殿!!」
「超能力者とただのアンドロイドだ。
無事でいてくれ、メラニー・・・」

司令官は引き続き軍隊を建物周辺に配備し、また先程の侵入者を追跡する方法を
ワインバーガーと共に協議することにした。

その一部始終を観ていたマドックスが、外からキングにテレパシーを送った。

(キング、グランドクロスとメラニーをイムズ将軍が連れ出すことは成功したんですが。
あのう・・・リリアとカネムラとかいう男もくっついて行っちゃいました。)
(そうか、ご苦労だった。引き続き、怪しまれないように状況を報告してくれ)
(了解っす!じゃない、かしこまりました!)


異次元の空間で、イムズはメラニーを掴んで放さなかったが、リリアもまたメラニーを
掴んでいた。

リフはイムズが未だに人質を放さないことと、そのイムズに隙がないことが見て取れた為
次の行動に移った。

「イムズ将軍、人質を解放する条件を言って下さい。」
「それはさっきも言った。
メラニーがリフの人工知能をリセットすることと、私達が安全にこの場所から逃れることだ。」
「それ以外の交換条件はないんですか?」
リフが食い下がった。
どうやら人命救助という使命による交渉術をプログラミングされている。

「ないな。」

メラニーに向けて銃を構えるイムズ。

リリアが言った。
「メラニーは研究員ですが、人工知能プログラミングのプロではありません。
ですから、それが出来る博士のところに、私が連れて行きます。
それではどうですか?」

イムズはじっとリリアを見た。
「アンドロイドは嘘をつかない・・・か!

その博士の名前は?」
「クラウン博士です。」
「その名前は知っている。
では、行き先は決まったな。
リフ、リリアの腕を捕まえろ。
いいか、おかしな真似をしたら、この全員を異次元に置き去りにする。
お前もだ、カネムラ。

・・・そういえば、エリックは元気か?」
「・・・・・・・・」
「沈黙、か。

カネムラ、メラニーを連れて還れ。
ほら、さっさと行け!!」

メラニーをドンッとカネムラに押し付けると、イムズはリリアの腕を片方掴んだ。
イムズが銃を向けると、カネムラはメラニーと共に異次元を脱出した。

「博士の居場所はどこだ。
案内するよな、リリア。」
にっと笑うイムズを睨みながらリリアは言った。
「その前にリフをどうするつもりか、話して。」

メラニーとカネムラは、プラントの壁から唐突に出てきた。
兵士がすぐに2人を保護すると、ワインバーガー達の会議室に連れて行った。

「メラニー!!無事だったか!!」
「すみません、私が油断したばっかりに・・・」
「リフは?」
「イムズ将軍が連れて行きました。」
「どこに??」

メラニーは、すっと目の前にある地図を指差した。

「クラウン博士のところです!」


・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです。)



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by f-as-hearts | 2016-08-31 12:16 | SFサウザンドアイランド
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8月の別名


あきかぜづき(秋風月)、かりきづき(雁来月)、かんげつ(観月)、けんゆうげつ(建酉月)、こぞめつき(木染月)、そうげつ(壮月)、ちくしゅん(竹春)、ちゅうしゅう(仲秋)、つきみつき(月見月)、つばめさりづき(燕去月)、はづき(葉月)、べにそめづき(紅染月)
(ウィキペディアより引用)

台風が過ぎて風が強く、雲が流れて月を覆い隠していました。
明日も天候は安定していないようです・・・


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by f-as-hearts | 2016-08-20 02:01 | 写真
スタットカフェ  夏休みワークショップイベント開催!

2016.8.21(日)10:00~16:00(入場無料)

残暑お見舞い申し上げます!

スタットカフェは夏休み企画としまして、

☆その日のうちに作品を作れる みつみみうさぎ先生の
チョークアート体験教室 14:00~16:00 
定員6名 参加費 2500円(ドリンク&酒粕スイーツつき)     
要予約


☆アロマオイルスプレー作りなど アロマテラピストSoraさんによる 
ハンド・頭皮トリートメント 10:00~15:00
トリートメント各 500円 (アロマオイルスプレーは選ぶオイルで料金が変わります)
(イベント特価)

☆ワンデーシェフ たに農園 による 
夏野菜いっぱいのランチ&スイーツ
(無くなり次第終了です)

タロット占い 10:00~16:00
30分 1000円 (イベント特価)
*当日の予約は 13:30~15:30の間で承ります。


他にも創作作家さんによる作品の販売もあります。

*こちらは参考作品で
当日の作品ではございません*
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みつみみうさぎさんの作品
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こちらは松の葉さんの作品です
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詳しくはこちらをクリックして→高千穂ネットワークホームページをご覧ください。

問い合わせ・お申し込み (株)高千穂ネットワーク 043ー486ー1101(月~金10:00~16:00)

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by f-as-hearts | 2016-08-18 16:28 | お知らせ | Comments(0)
異世界の島の物語


サカマキ・ショウゴ         ・・・28歳   検査員
カネムラ・オクトー         ・・・19歳   研究員
                             能力者
エリック・ジェイントン        ・・・5歳    S級会員
                             能力者
マーマレード・リリア        ・・・20歳   保護委員
                            アンドロイド
ワインバーガー          ・・・60歳  サウザンド・アイランド連邦国
                       科学技術省総裁
メラニー             ・・・33歳   科学者
長老               ・・・??    ???
レゼンダ             ・・・29歳  オーズレーン国
                            カードマスター
                             能力者
イムズ              ・・・47歳   リドル帝国将軍
                             能力者

マドックス             ・・・26歳   リドル帝国空軍兵士 
                             能力者

ナイト               ・・・???  キングの配下のゲームマスター
                            オーディーンのナイト

キング               ・・・40歳   リドル帝国次期総帥
                             仮想無限城の王

クイーン              ・・・???  ゲームマスター
                             予知夢の能力者  
       
ディラルド・ジェイントン博士      ・・・???  超遺伝子科学者 エリックの父



第百二十一話 「  非公式披露会前夜 」


・・・・・・・・・・・ワインバーガーの研究所・・・・・・・・・・・・

メラニーはプラントの中でワインバーガーを迎えると、握手をした。
一段高い場所に、透明な強化プラスチックで出来た運送と本体の充電も兼ねたケースが
並んでいた。
「全部で10体になります。」
「間に合ったな。

キングとの公約も、だが・・・」

その場にいるのはメラニーとワインバーガー、そして秘書の3人だけだった。
メラニーはワインバーガーに報告した。

「新・ロボット3原則、そしてアンドロイド5原則、それらが起動するかどうかも
確認済みです。
ですから、安全に操作できます。」
「そうか・・・それから、起動後のソフト書き換えは出来ない様になっているね?」
「それらも確認済みです。」
「それでは・・・テスト・モードで私も確認しよう。」
「お願い致します。」

1体のアンドロイドが起動する音と共に、開いたケースから歩き出した。
その姿は若い男性、それも20代の最強兵士をモデルとしたタイプだった。
あらかじめ用意された柔軟に動くセパレート型の防御スーツを着ていた。

「兵士の姿は模写していますが、顔も体もオリジナルにしました。
同一人物がでてくることは100パーセントありません。」
「名前は?」
「リフ、です。」

ワインバーガーがリフを呼んだ。

「リフ、ここに来て、挨拶をしてくれないか。」

リフはスムーズに歩いてワインバーガーの前で止まった。

「初めまして、私はアンドロイド・リフと言います。
アンドロイド・グランドクロス計画を遂行する任務についています。」

「リフ、君の能力について説明したまえ。」

リフはうなずくと、話し始めた。

「最強の兵士と同じ身体能力に加え、あらゆる火器銃器、兵器の扱い、
そして全ての乗り物の操縦が出来ます。
加えて、Sクラス能力者のコピー機能もありますので、手にした兵器のコピーも
可能です。
ロボット・アンドロイドの原則に法り、この能力は人間を護ることに使用し
人々の危険回避の為に全力を注ぎます。」

ワインバーガーはうなずいた。
「よろしい。
明日は君達の初披露の日だ。
どの国に行こうとも、君達の活躍に期待している。」

リフは敬礼の姿勢をとると、次の指令を待った。

「では、戻って明日に備えてくれたまえ。」
「はい。」

リフがケースに戻ったのを確認して、メラニーはケースを閉じた。
ワインバーガーはリフの他のアンドロイドも見て回った。
それぞれ、体つきも顔も人種も違う、20代男女のアンドロイドだった。
メラニーが説明した。

「それぞれのアンドロイドには固有の性格がありますが、能力については
全て同じように設定されています。
性差や性格で能力に差があるということはございません。」
「そうか。
最後まで調整は大変だったろうね。
それでは、研究室で今後の活動計画資料を見せていただこうか。」
「はい。」

3人がプラントを出ると、警備室のランプが点滅し、プラント前のカメラが
警備する2人と出てきた3人を映した。
マドックスはその様子をじっと監視していた。

「先輩~~~!この女の人かわいいっすね~~!」
「マドックス、ところがこのメラニー女子は研究所で鬼軍曹と呼ばれている。」
モニターを指差しながら、先輩警備員は言った。
「彼女の眼力は、俺達を石にできるほどだっ!間違っても声はかけるなっ!」
「へ・・・んなあほな!・・・そんじゃあ、こっちの秘書さんは?」
「秘書っていっても、アンドロイドだからなっ!」

マドックスは先輩の鼻息が荒いのを、笑いをこらえながら見ていた。

「あんどろいどっすか!さっすが、世界一の研究所っす!!」
「アンドロイドの秘書なんて、どこを探してもいないぞ!
あっちはIQ 300だからな!
ま、おまえもこの素晴らしい研究所の警備ができるんだ。
誇りに思っていいぞっ!!」
「ですねっ!!」
「それじゃあ、警備交代の時間だからなっ!モニターに異常発見したら
このボタンを押せよ。」

先輩はどうやら自分の部下が出来たことで、大いに発奮していた。
扉の前の警備交代は一人ずつだ。
今数分だけはマドックスは警備室でひとりなので、すぐに多分割モニター画面を
チェックし始めた。

マドックスは他の警備員の内なる声、つまり心の声を聞いて、グランドクロスが
明日要人の前で披露されるということを知っていた。
イムズ将軍には、休憩時間を利用して建物の外からテレパシーで伝えていたのだ。

マドックスはモニターの上部にある半円型のカメラを見上げた。

(まあ、声さえ出さなければ、俺が何を考えているかはわからないからな。
おっ、交代の人が戻ってきた・・・)

マドックスはモニター画面を見つめながら、あくびをすると、戻った警備員に
うなずいてみせた。

「お疲れさまっす。」
「お疲れ。
私は隣の部屋で仮眠する。
2時間したら起こしてくれ。」
「了解っす。」

その男が隣の部屋で寝息をたてて寝ているのを確認して、マドックスは
煙草がないな~と言いながら警備員室を出た。

ささっとプラントの裏口から外に出ると、マドックスはイムズにテレパシーを
送った。

(テレパシーは防御されていますが、超能力者が入ることはできます。
シールドやバリアはありません。
明日、要人が午後集まって来ます。
その時にアンドロイドグランドクロスの披露があります。)
(ずい分早いな!警備状況と監視カメラの位置を教えてくれ)
(はい、今観てきた映像を送ります)

マドックスは記憶にある映像を、そのままダイレクトにテレパシーで送った。

(なるほどな、おおよそ普通の警備だな。)

イムズは脳内シミュレーションで隠れる場所まで確認した。

(でもここ、普通の警備じゃないですよ。指紋・声紋・瞳の虹彩・顔認証
X線透視システムと、何重にもセキュリティーがありますから。
イムズ将軍には関係ないんですけど。)
(カメラについてはそっちで調節できるだろう?頼むぞ。)
(まかせてください。)

・・・・・・・・・・エリックのいる部屋・・・・・・・・・・

エリックの健康診断は異常なしだった。
エリックは喜んでまたゲームをしていた。
「カネムラ~~~!お父さんもゲーム好きかなあ?」
「どうだろうな?聞いてみれば?」
「明日、聞いてみるよ。」

エリックはカードを並べながら笑った。
「カネムラ、その伏せカードってトラップカードだよね?
やっぱり~~~~!カネムラって顔でわかるね!」
「カネムラさん、な!!ふんふん、それはどうかな?攻撃してみれば?」
「あっはっは!!やーだよーだ!!」

リリアはその様子を眺めながら、PCからの情報をまとめていた。

ーーーリリア、明日アンドロイド・グランドクロスの非公式披露会が
午後1時から行われます。
(クラウン博士も呼ばれているのね。私の名前は?)
ーーーいいえ、あなたの名前はありません。
(アンドロイドの性能について何かPCに書き込みはない?)
ーーーありません。書かれているのは計画の推進委員会のトップの2名の名前と
研究室代表科学者メラニー、リドル帝国次期総帥キング、それからクラウン博士
他1名です。
(他1名?誰かわからない?)
ーーーわかりません。
(ワインバーガー氏が作成した名簿?)
ーーーそうです。

リリアはサカマキに相談した。
「明日、ワインバーガー氏はアンドロイド・グランドクロスの非公式披露会を
行うそうです。
サカマキさん、ワインバーガー氏から何か連絡を受けていませんか?」
「いいえ、何も。
おかしいな、そんな重大な発表があるなら、私達にも連絡があると思いますが。」
「キングもグランドクロスのあるプラントに行くらしいんです。」
「もしかして、完成披露宴の前の打ち合わせのようなものでしょうか。
ワインバーガー氏に聞いてみます。」

ワインバーガーはサカマキの電話に出ると、手短に説明した。
「確かに完成したが、キングにそれを一度見てもらう必要があってね。
プレ・イベントのようなものだ。
何にでも調整というものは必要なんだよ。
完成披露会は1週間後だ。
それには君達も参加してもらうよ、スーツの準備だけはしておいてくれ。」
ワインバーガーは忙しいからと電話を切った。

「・・・そう、調整が必要っていうことなのね。」
「グランドクロスというアンドロイドについて、リリアは何か聞いている?」
「いいえ。
一般の情報と同じよ、人類が生存できないような場所、主に宇宙での活動や
危険と隣り合わせの任務に従事することも出来るアンドロイドということと
全ての人々との体験の共有を可能にする、今までにないプロジェクトだという
事は知っているわ。」
「そしてその最大の出資者がリドル帝国なのも・・・」
サカマキの言葉にリリアは考えながら言った。
「それじゃ、キングが私達に近づいたのも何か意味があるということかしら。」

サカマキは頭を振った。
「私は何かがいつも頭の隅に引っかかっていました。
キングがエリックとリリアに近づいたのも、ワインバーガー氏は知っていた。
でも何一つ言ってこなかったんですよ。
今考えると、それはおかしなことです。
リリアが保護者としてついていても、エリックをキングが狙っているのは
あきらかだったでしょう?
私達が護衛のようについていたとはいえ、あれだけのゲームにエリックが
関わっても、最終局面でやっとワインバーガー氏が言ったのは、リリアの
メンテナンスの事だけだった。
・・・まるで、ゲームの中でエリックが自由に能力を発揮できるように
していたとしか、思えない・・・

ワインバーガー氏は、一体何を考えているんでしょうね?」


・・・・・・・・・・・レゼンダの部屋・・・・・・・・・・・・

レゼンダはPCから消えたエリックと、それを待ちながらぶつぶつ言うれぜんだに
文句を言っていた。

「どういうことなのかしら?クイーンが戻られたのは良いことだけれど。
れぜんだは何故消えないのかしら?」
「やはりクイーン様のお気に入りだからではないかと。」
「ゲームは一時中断された筈だわ。」
「れぜんだちゃんはエリックのように自由に生きてもよいということではないかと。」
「執事。
あなたのれぜんだへの過保護っぷりも自由すぎだわ。

れぜんだ!!
恐竜を団子のように積み上げない!!
そんなことしたら恐竜に喰われてしまうわよ!!」

れぜんだはぷうっと頬を膨らませた。

「合体業をつくるんだからっ!!邪魔しないでよっ!!」
「そんなので合体するわけないでしょっ!!」
「わっかんないじゃない~~~~!!もし合体したらあ??」
「合体、しませんっ!!」
「いちいちうっさいな~~~~~!!
ろぼっち、もっと森の奥でやろ~~~!!
恐竜もおいで~~~!!」
「れ ぜ ん だ あ あああ!!」
「さんざんなアイランドですね。」
「し・執事いいいいいい~~~~~~~!!」


・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです。)





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by f-as-hearts | 2016-08-12 00:30 | SFサウザンドアイランド
異世界の島の物語


サカマキ・ショウゴ         ・・・28歳   検査員
カネムラ・オクトー         ・・・19歳   研究員
                             能力者
エリック・ジェイントン        ・・・5歳    S級会員
                             能力者
マーマレード・リリア        ・・・20歳   保護委員
                            アンドロイド
ワインバーガー          ・・・60歳  サウザンド・アイランド連邦国
                       科学技術省総裁
メラニー             ・・・33歳   科学者
長老               ・・・??    ???
レゼンダ             ・・・29歳  オーズレーン国
                            カードマスター
                             能力者
イムズ              ・・・47歳   リドル帝国将軍
                             能力者

マドックス             ・・・26歳   リドル帝国空軍兵士 
                             能力者

ナイト               ・・・???  キングの配下のゲームマスター
                            オーディーンのナイト

キング               ・・・40歳   リドル帝国次期総帥
                             仮想無限城の王

クイーン              ・・・???  ゲームマスター
                             予知夢の能力者  
       
ディラルド・ジェイントン博士      ・・・???  超遺伝子科学者 エリックの父



第百二十話 「  研究所がいっぱい 」


・・・・・・・・・・・・・・・・・エリックのいる部屋・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

リリアが戻ると、エリックはカネムラとサカマキから質問ぜめに合ったと言った。

「リリア、僕が夢の中でキングやクイーンとゲームしたって本当?
僕、何にも覚えていないんだ。」

リリアはサカマキを見たが、サカマキは首を振った。

「記憶喪失とは違うようです。
あのキングとのゲームから先を、全て忘れているんです。」
「目覚めたら夢は忘れるものね。」

リリアの言葉にカネムラが唸った。
「そんなのは、夜寝ている時の夢のことでしょう??
理解できないです!!」
「カードを見ても、何も思い出さないの?」
「そうなんですよ!」
「最初のようにカードを使えない?」
「使えません。
確かめました。」

リリアはエリックを見た。

「それじゃ、エリックがゲーム中に発動したサウザンドアイランドの風景も
覚えていないの?」
「う~~~~ん・・・そんな島、僕行った事ないよ、リリア。
リリアも行った事ないよね。
どうしてみんな、そんな島のことを僕に思い出せっていうの?

それよりさ、お父さんはどこにいるの?
お父さんってどんな人?
リリアと一緒に帰ってきたんじゃないの?」

屈託の無い笑顔でエリックは笑っている。

「お父さんとは、PCで話せるわ。
でも今は大変な研究の最中だから・・・エリックのお父様は超遺伝子研究の博士で
サウザンドアイランドで昔、研究を続けていらした方よ。」

エリックはリリアに嬉しそうにうなずいた。

「お父さんに会いにいきたいな!ダメ?

そっか・・・じゃあ、PCでもいいや。
もうお父さんと話してもいい?」

エリックがPCに話しかけると、PCが答えた。

ーーーエリック、今繋ぎますね。

リリアがサカマキとカネムラに言った。

「・・・それにしても、エリックがクイーンの夢に入り込んだからなのかしら。
クイーンは今は、意識を体へ戻しているところだけど。」

ーーーエリック、お父さんが出てくれるそうです。

「あ、お父さん?

僕のこと覚えてる?僕、今ねリリアと一緒に暮らしてるんだ。
カネムラもサカマキさんも、僕の友達なんだ~~!」

「エリック、俺を探してくれたのは、エリックの仲間達だったんだよ。」

「え??仲間?カネムラが探してくれたんだね!!」
「違うんだ。

エリックがゲームに参加していた時に、エリックには仲間ができたんだよ。
今は、クイーンの夢のせいで、忘れているみたいだがね。

・・・エリック、ひとつやってみて欲しいことがあるんだが。
今はまだ、疲れているはずだから、明日だな。」

「えーーーー!?

僕もう疲れてなんかいないよ!!

お父さん、僕超能力使えるんだ。
だから、すぐにー」

「実は、明日にならないとダメなんだよ。
今は忙しいけど、明日の朝にもう一度話をしような。」

リリアがPCに合図して、ラインを閉じた。

カネムラがエリックに言った。
「エリック、久しぶりにゲームしようか?」
「うん!!やったあ!!」

リリアは博士が言った言葉に安堵していた。
博士には何か、解決策があるようだ。

「カネムラさん、エリックは健康診断をしなければならないの。
30分くらいで終わらせてね。」

「はい、わかりました。」
「ええええ~~~??」
「エリックのお父さんから頼まれているのよ。」
「・・・・・・・は~~~い。」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・新・研究所・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

キングはディラルド博士からエリックの話を聞いて、驚いていた。

「・・・夢、だから忘れた、ということですか?」
「まだ、断定はできませんけどね。
人間は、どんなに長い夢でも、覚えていないことがよくあります。」
「・・・そうですか・・・」

今度は博士がキングに質問した。

「キング、あなたのその仮想空間創造という能力ですが・・・
どうしてゲームという世界にこだわったんですか?」
「おっしゃる意味がわかりませんが。」

「失礼しました。

・・・私が言いたいのは、その空間を創る能力で、様々な人々を魅了する
ことができるだろう、と言う意味です。
ゲームじゃなければいけなかったんですか?
ゲームは、いつの時代も遊びの空間で一過性のものでは?」

「・・・確かに、仮想世界は曖昧であやふやなものに満ちています。

・・・きっと私のいる世界と比較すると、一番遠い世界だからでしょう。
だから、私に必要だったのです。

博士にも理解できないということは、正解のない問題なのだと思ってください。」

博士はうなずくと、言った。
「キング、もうエリックには接触しないでしょうね?」
キングは眼を閉じた。
「それも私にはわかりません。」

キングの電話が鳴った。
博士に会釈して電話に出たキングは、電話の相手にうなずいていた。
その間、キングが声を出すことはなかった。

カチャ・・・
電話をポケットにしまうと、キングは博士に少しの間研究所を離れると言った。

「クイーンの容態が変わるようでしたら、いつでもいいですので連絡ください。
それでは・・・」

キングは研究所を出ると、駐車場に停まっている専用車に、もうしばらく
待っているように伝えた。

振り向くと、研究所の入り口の脇に見慣れた人物が立っていた。

「キング、こんなところにクイーンを連れてきていたんですか。」
「イムズ、君には感謝している。
あの島から大鷲を運んできてくれて。
・・・おかげで、意識が戻りそうだよ。」

イムズは帽子を外すと頭を掻いた。

「まあ・・・エリックが能力を発動したっていうのは、知ってますんで
それでも、大鷲にクイーンが乗移っていたのは本当でした。」

「それについては、他言無用だ。
引き続き軍での機密事項としておいてくれ。
それで、先程のテレパシーでの連絡だが、事実のようか?」

イムズは帽子をかぶり直した。
「はい。

そちらはマドックスに調べさせていますが、対テレパス用の設備がある模様で。
苦戦を強いられています。」
「そうだろうな。
私にも全容はつかめていない。」
「マドックスに別からのアプローチをさせましょうか?」
「無理に動くのは危険だ。
相手に警戒させぬようにしてくれ。」

イムズは会釈をすると壁に消えた。
キングは車に向かいながら考えていた。

クイーンの存在は隠しておけることではなかったが。
最良の1手であったかどうか・・・

キングはバタンと後部座席に乗り込んで、運転手に行き先を告げた。
車は静かに森の方へ動き出した。


・・・・・・・・・・・・・・・ワインバーガーの研究所・・・・・・・・・・・・・・・・

メラニーがワインバーガーに連絡をしていた。

「グランドクロスが完成いたしました。
はい、お待ちしています。」

メラニーは研究員に言った。
「これで皆、長期休暇がとれるわね。」

研究員達からは声もない。

「ごめんなさい、寝ていていいわ。」

モニターに映る研究所と隣り合う巨大なプラント内には、
完成したグランドクロスが搬送されて並んでいた。

「これで・・・ワインバーガー博士の夢が叶う。」

ワインバーガーは自家用ヘリでビルの屋上から飛び立っていた。
そのヘリの中で、エリックのことを考えていた。
それからリリアの生みの親であるクラウン博士に、電話で報告をした。

「そうですか、とうとう・・・おめでとうございます。」
「ありがとうございます、クラウン博士。
完成披露は内々にする予定ですので、是非明日研究所にいらしてください。」
「エリックはキングから離れましたか?」
「それが・・・」

ワインバーガーはエリックの状況を簡潔に説明した。
「そんなことになりましたか!」
「こちらとしては、良い結果ではありますがね。
キングとしても、クイーンが彼らの元に戻ったので、不満は無い筈です。」

クラウン博士は言った。
「今でもリリアの情報は送られているのですが、眠っているエリックの状態と
キング、クイーンとの状況まではわかりませんでした。
・・・明日、ですね、喜んで伺います。」

ヘリコプターの操縦士が言った。
「もうすぐ研究所です。」
「わかった。」

研究開発にかかってもう10数年・・・か。
エリックという超能力者が現れて、開発に拍車がかかったこの半年。
ワインバーガーは研究所に到着すると、地下通路へと向かった。
隣のプラントへの近道だったのだ。

警備人が挨拶をしてワインバーガーを通した。
警備人の一人がワインバーガーの後姿を見送りながら言った。

「あの人は、誰っすか?」
2人がひそひそと話し始めた。
「馬鹿、あの方はここの最高責任者のワインバーガー博士だ。
お前、入ったばかりだから知らないだろうが、俺らはあの人に雇われているんだ。」
「わかりやした。」
「いいか、マドックス、おまえなるべくしゃべるな。
新人はほんとは入れるなっていわれてるんだからな!」
「へーい。」

マドックスはかなり慎重に警備の仕事に紛れ込んでいた。

「おまえ特別らしいな。」
「いやいや、俺のめいっこのはとこが、ここの研究員のひとりでして。」
「そうか、親戚くらいだもんな、コネがきくなんてのは。
よかったな、ここは高待遇だぞ。」

マドックスはテレパシーが通じない内側に入ることに成功していた。
「はー腹減ったなー。
もう飯の時間じゃないっすか?先輩。」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです。)
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by f-as-hearts | 2016-08-07 11:06 | SFサウザンドアイランド