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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

<   2011年 06月 ( 12 )   > この月の画像一覧

   ・・・・・最終話・・・・・


シェリマは花びらが降り注ぐ空を 飛んでいた。

「思い出した・・・・・・・マスターマレーネが私に 言ったこと・・・」

シェリマは指を広げてミディをみた。



「・・・シェリマの夢には 貴女が住んでいるのよって・・・・・・・」


もしかしたら・・・マレーネ女王はこんな未来が来るって知っていたのかな・・・・・
ミディは、きっとそうだと思った。

「その時は 信じられなかった・・・・・・・」

シェリマは ぐんとスピードを上げた。


「・・・・・・どこへ行きたい?」

ミディは笑った。

「知らないところへ・・・ずっと遠くがいい・・・・・・・・・」

「わかった」

陽は山々にたなびく雲海を光で満たしていた。
竜の鱗が光っていた。ミディはシェリマが なんて綺麗なんだろうと思っていた。





・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア王国 月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ジジッドー卿とルナゲート王、それに剣士ジュードは、ツァーランガの元で話をしていた。

「ルナゲート王が帰還されれば、カーライル王国も元通りですな」
「ジジッドー卿、元老院のことですが・・・」「ええ、ええ。裁判を受けます。我々は国を追放
されるでしょうな♪」「・・・・・おい、何が嬉しいんだ??」ジュードはジジッドーの顔をマジマジ
と見た。「おお、それはですね、私がここに自由に来れるのではないかと・・・」「ご勘弁を」
「賢者殿、まま、そうおっしゃらずに♪」「・・・・・・・本気で言ってるのか?だから魔法使い
ってえのは、わけわかんねえよ!!」

ツァーランガは微笑むと皆にお茶を勧めた。
「ジジッドー卿、我々は貴方に感謝しています。
貴方が魔法書を元老院から護っていた、そう聞いた時には、正直驚きました。
もう、真実を教えてくださいますか?」

ジジッドー卿は少し考えていたが、話し始めた。

「元老院は皆魔法学校の教職員でしたが、その頃からスラー元帥の一派、マレーネ女王に
背く者達が徐々に他国への侵略を計画し始めておりましてね。

・・・ま、私は魔法書に興味がございましたから、その者達がルナゲート王から魔法書を
奪う算段をしていると知り、仲間のふりをした訳です」
ジュードが訊いた。
「悪魔のことは?」「いえ、私は存じませんでしたが」ジジッドー卿は紅茶を美味しそうに
飲んでいた。

「・・・・・・・それじゃ、スラーだけが・・・」ツァーランガは手を握った。

「悪魔は、力を手に入れたい者達を使役するのです。
・・・悪魔は・・・特に、魔法使いを憎んでいました。
それは古い因縁があるらしいと私にもわかりましたが。

・・・オランティア?



!・・・・そうですか。


はい。


ルナゲート王、ジュード殿、オランティアがお二人をお送りすると申しておりますが。
ジジッドー卿、お急ぎで無ければもう少しお付き合いくださいますか」「おお、勿論です!!」

「ありがとうございます」「・・・ふん・・・・自分で帰れるが?」「ははは・・・魔法酔いしないよう
オランティアに伝えておきますよ」

2人は程なく国へ帰っていった。


月の塔に ジジッドー卿が残り、ツァーランガは少し窓を開けた。



「・・・・・・ジジッドー卿・・・・・・・

我々は 何故この3人なのかと・・・

・・・ひとりは半妖半獣、ひとりは竜、そしてもうひとりは人間・・・

そのことについて、何も疑問を持たずに生きてきました。

そして・・・覚醒を引き継ぐことになった時も、ベイリンド殿は

妖精であったのに・・・この人間の私が継承者となりました。

ジジッドー卿に魔法書の存在と、伝承魔法のことを伺う内に

3人がいなければ時間魔法を発動出来ないというのは、特別な

ことなのだと・・・あらためて気づきました。


・・・ジジッドー卿は、ご存知でしたよね?」

ジジッドー卿は何も言わなかった。

風がさやさやと吹き込んできた。


ツァーランガは また話しかけた。



「オランティアが・・・・先程 言っていたのです。

そこにいる、 ジジッドー卿の 心が 読めない と ・・・・」




ジジッドー卿は コホンッ と咳払いをした。

「・・・まま、この世には不思議な事が ありますからな。


賢者殿。・・・時々 考えることはありませぬか?

何故 我々は この世界に 生まれてきたのだろうと。

そうそう ・・・役割、ですかな。


・・・どうやら 長いをし過ぎたようです。



また、お茶をご相伴させてもらいに参りますよ。

では・・・・・・・」


ツァーランガはジジッドー卿が消える瞬間に 鎖の音を聴いたように思った。



「・・・・・・・オランティア・・・へクトール・・・・・

あの方は、時を司る方かもしれない。


我々に 時間魔法を与えた・・・・・・・・・」

いつの間にか オランティアが傍に着ていた。ツァーランガはオランティアの手に
そっと触れた。






・・・・・・・・・・・・・・・・山の店 ミモザーニャ・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カランコロン・・・・・・・「郵便です」


店番をしていたミモザーニャは、慌ててよだれを拭いて、手紙を受け取った。

「あっっ!!!!

ミモザママ~~~~~~~!!!!手紙、手紙!!!!!!」

わらわらわら・・・・・・家族が皆揃ってミモザママが手紙を開封するのを見守っていた。

「わっ!!!!!

花びらがいっぱい!!!!!」手紙からこぼれたのは花びらだった。

「ディオリアの兵士さんからだ!!」「早く読んでよ~~~~お!!!」


「・・・ミモザ、手紙ありがとう。元気そうですね。

私は先日 カーライルの魔法兵士達との戦闘に行ってきました。

そこで信じられない光景を観ました。君達が聞いたら、びっくりするだろうけど

黒い竜が2頭、戦っていました。それに黒い魔法使いも。妖獣も沢山襲ってきました。

やっと戦いが終わって、今は助けた魔法兵士達のそばで手紙を書いているところです。

この花びらは、戦いが終わった時に 空から降ってきたんだよ。

君達に 見せたかったな。

ミモザ、今度そちらに遊びにいくよ。待っていてね。

               ワイズより 」 


「黒い竜だってえ?!!きっとあのおにいちゃんだ!!!」「そだね」うんうん。
「わーーーーいい匂い!!」「あそびにくるって!!!」「えっ!!今日かな?明日かな?」
「花びら、もーらった!!!」「ずっる~~~~いっ!!!それ、みんなでわけるんだい!」
「嫌だよ~~~~~~だ!!!」

カランカラン・・・・・「わっ!!!!ごめんなさい!!!!」「これっ!!お客様にぶつかって!
すみませんねえ!!!」「いえいえ・・・」

「お食事されますか?」「いえ・・・お茶お願いします」

「ねえねえ、お客さん、どっから来たの?」「うーん・・・遠いとこ」「へえ?じゃ、ディオリアかな」
「なにしてる人?」「占いよ」「へえ?!すげえや!!!!」

「あのさ、占い師さん。ぼくね、竜になれるかな?」「ばかじゃないの?なれるわけないよ!」
「気にしないでくださいね~~!!あはは!!」「でもさ、僕、あの竜のおにいちゃんに
また会いたいんだ。・・・じゃあさ、じゃあさ、あのおにいちゃん、またここに来てくれるかな?」
「きてくれるよ、きっと・・・・」「それからさっ!!あのおにいちゃん、大丈夫かな?元気かな?
戦ったんだって。ぼく・・・ぼく・・・おにいちゃんが気になるんだ!!!」うんうん。

「大丈夫だよ。・・・みんな元気だから。

・・・そうだ、おにいちゃんはね、恋人と一緒に世界中を飛んでいるよ」

「うっそ~~~~~?!やっぱかっこいいな~~~!!!」「もっと、教えて!!」
「それからどうなるの?」




・・・物語は尽きる事無く 続いた。


君達にも 私達にも 皆にも ・・・ それぞれの物語が 続くのだ。

・・・きっと そんな世界が 続くのだ。



これからも ずっと・・・・・・・・・・・・・・・・







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・E N D・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

・・・・・・・・・あとがき・・・・・・・・・・・
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by f-as-hearts | 2011-06-28 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  23  話


魔法兵士達を助ける為、地上や空の妖獣達を倒しているネミッサとルナゲート王は
ガラティアの姿が変化し、闇が地上を侵食しているのを見て、言い知れぬ恐怖を
感じた。「オランティア様!!あれは・・・あれが、悪魔の本当の姿なのですか?」

ネミッサの眼に、シェリマが遠くへ飛び立つのも見えた。
「シェリマ??ガラティアを救うのは、あなたしかいないのに!!!」
オランティアがネミッサの傍に飛んできた。そしてつぶやいた。

「・・・いや・・・・・・・私は、どうやら間違っていたようだ。

・・・ガラティア、あなたは・・・・・・・・・・・・」



月の塔のツァーランガがオランティアに話しかけた。

「オランティア・・・・・・あなたに頼みたい事があります。

やはり我々には 役割があったようです。

3賢者が、我々でなければならなかった理由が、やっとわかりました。

 
  神よ ・・・・・・力を 貸してください。


  私達の 言葉を・・・・・・・・・・・」


オランティアはルナゲート王にここで待つように言うと、瞬間移動で消えた。

ツァーランガの呼びかけにヘクトールも動いた。

ガラティアが呼び出した闇は戦場を呑み込もうとしていた。

妖獣はその闇の中激しく咆哮しその姿をより異形のものへと変化させた。

地獄が口を開けたようだった。


その中で、バラグーンだけがガラティアと悪魔に対峙していた。
「おまえの恐怖など俺には通じん。それは知っている筈だな」
「オマエニハ シツボウシタ!!リュウノプライドトヤラハ タダノカザリカ?!
ニンゲンノミカタヲスル リュウナド ホロブガヨイ!!!!」

闇の中極寒の吹雪が吹き荒れた。その風に何万もの氷の刃を乗せて、ガラティアは
バラグーンを攻撃した。竜の鱗から血が噴出した。

「ガラティアハスベテニシツボウシタノダ!!!
シンノクラヤミ シンノセイジャクノミガ ガラティアノココロヲシルノダ!!
ハハハハハハハハハ!!!!!!!」



突然、ガラティアの立っている大地から、巨大な水柱が吹き上がった。
ガラティアは吹雪の中で、氷像のように氷ついた。「・・・ナ、ナニヲ???」

オランティアがそのガラティアの前に現れた。

その背後から人影が動いた。


ルナゲート王と ジジッドー卿、そしてジュードがそこに立っていた。


ジジッドー卿は魔法書を開くと文言を唱えた。


「これよりこの魔法書は真の所有者に還り 魔法書によって

ルナゲート王は 真の力を得る

すなわち この魔法書の 真なる力を 召喚できるようになるのだ」


ルナゲート王が魔法書をジジッドー卿から渡された途端に、魔法書は不思議な光に
包まれた。魔法書はルナゲート王に読むべき言霊を示した。


「・・・・・・・大召喚師により 引き継がれし その子孫にのみ伝承されてきた真実

魔法使いと召喚師その全ての者どもを 護らんが為 大召喚師の子孫にのみ告げる

真の敵を知れ・・・その復讐の悪魔の真実の名 ティシポネ メガイラ

この魔法書はその悪魔を封じる為に 存在する


甦りて 我と共に 戦え 炎の戦士よ 


今こそ 私を 召喚するのだ」



ルナゲート王は 唱えた。

「・・・・・火の鳥よ  あれ!!!」


魔法書から眩く輝く炎が閃光となって上空へ立ち昇った。

一瞬 その姿は 火の鳥となったが、見る間に一人の手の中の剣に吸い込まれていった。
火の鳥はジュードが持つ剣に宿った。



「この時を・・・・ずい分 待ったような気がするな」 


ジュードは炎が閃く剣を構えた。

「ルナゲート王、いくぞ!!!」

ジュードは闇の中凍っているガラティアに切り込んでいった。
火の鳥の光は闇を切り裂いた。

「時の結界よ あれ!!」3賢者が唱えた結界がガラティアを捉えた。
ガラティアから逃げようとする影が揺れた。

それをガラティアが捕まえた。

「ナ ・・・・・二?????」

「ふふ・・・・・・・・私はこの時を ずっと待っていた。
おまえの真の名 それを知れば・・・


ティシポネ と メガイラよ!!!

このガラティアが命ずる。

我と共に 地獄に落ちよ!!!!!!」


ジュードがガラティアとその影を一閃した。

ガラティアは大きな輝く赤い炎に包まれた。
火の鳥が鳴いた。

ルナゲート王は唱えた。



「・・・再生の炎よ

この者の魂を 導く 火の鳥よ

この者の真の姿を映せ

エウメニデス、慈愛の女神よ 今こそ現れよ!!!」


影が・・・・・・・・消滅した。

ガラティアは笑っていた。

「慈愛?・・・・・・・・・ふ・・・・ふ・・・・・・あの あく  ま  が ・・・」



倒れたガラティアはバラグーンの腕の中にいた。

「バラグーン・・・・・・・か・・・・」バラグーンは人間の姿に変化してガラティアを抱いたまま
歩き始めた。

「もう何も言わなくていい」「・・・・・・・・馬鹿な 奴・・・だ・・・・」

「そうだ。 ・・・とうに 知っていると 思っていた」


皆が その2人を黙って見送った。





・・・・何かが 空から 落ちてきた。

皆が それに驚き 空を 見上げた。






「・・・花びらだ・・・・・・・・・・カーライルの・・・・・!!!」

魔法兵士達が 騒ぎ出した。

その花びらは 人々にマレーネ女王を思い出させた。



「・・・・・お兄様、気がついた?この花びら、もしかして??」

「・・・・ああ。 よくわかったな?樹の精霊に頼んだんだ・・・・・」

ユーリ王は真面目な顔でつぶやいた。

「・・・マスターマレーネ・・・俺、魔法使いになれてよかったって、本当に思ってますから」

その花びらは オベリスクのある場所全てにひらひらと降っていた。
全ての魔法兵士達がその花びらを見ていた。



ジュードはフードをとると剣を胸の前で祈る形に捧げもった。
ジュードの心には 花びらが舞う中 微笑む女王の笑顔が浮かんでいた。
朝陽は 空に 静かに昇っていた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-27 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  22  話

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

「シェリマ!!!」ミディはシェリマに抱きついた。
シェリマはぼーっとしていた。しばらくそこにいるのが誰なのか、考えているように
見えた。「・・・・・・誰だ?・・・・・」「ミディよ、シェリマ?わからない?」
「・・・俺は 誰だ?・・・どうして ここに・・・」「シェリマ、鱗よ。あなたの額の鱗を、スラー
元帥達が奪ったのよ!だから、あなたは記憶がないんだと思う」
「・・・うろこ・・・・・・・・俺は・・・・」

急にその時の記憶が戻ってきた。

「あああああ!!!!嫌だ、怖い!!!それを取るな!!!!」
ミディはシェリマをぎゅっと抱きしめた。「もう大丈夫、大丈夫だから!!!」

スラーの手が黒竜の額にある鱗を剥がしとっていた。
それは竜の目と言われる、第3の眼、心を支配しているものだったのだ。
それを取った者の言うことをきかざるを得なくなる・・・スラー達魔法使いは、竜の研究を
していてそれを見つけたのだった。元々眼だったのが、鱗に変化していった。
それをシェリマから奪っていたのである。そして、スラーはいよいよとなった時にシェリマ
を操った。それが悪魔を呼び出すことになるとは知らずに・・・

「・・・・・・ミディ・・・・?・・・・・俺はどうして・・・・」

シェリマは月の塔に自分がミディを連れてきたことも、やっと思い出した。
ミディの眼から涙がこぼれた。

「わかんない・・・・わかんないけど シェリマは私に会いに来てくれたんでしょ」

シェリマは自分の身体が自分を引き寄せようとしているのを感じた。
「・・・・・・・きっと 俺は ・・・さよならを いいに きたんだ・・・」

シェリマが消えた。

ミディは叫んだ。「嫌だよ、シェリマ!!!!!」
ミディは小鳥に変化して飛び立った。


コツ コツ コツ・・・・・・・・・

月の塔を登ってくる音があった。ツァーランガははっと気がついて、ミディを呼んだ。
「お兄さん、私です」「ああ、カイト王でしたか。ミディを見ませんでしたか?」「いいえ?」
「ちょっと気を逸らしていて・・・若いお嬢さんなんです。一体どこへ・・・」

「お兄さん、さっきのあの竜の結界は時間魔法なんですか?」カイトが聞いてきた。
「はい。3賢者が共に唱えるのです」「・・・!それは知りませんでした」
「この月の塔への攻撃が無効になるのとは違うのですが、精神時間領域魔法で・・・」



「ツァーランガ、それ以上は言わない方がいい」

その声は突然扉の傍から聴こえた。「・・・今日はどこに行っても魔法使いに会う日だな」

ツァーランガはさっと手で印を描くと、結界魔法を発動した。


「待った!!!!


おお、なんとすばやい反応。賢者というと年寄りを想像しておったが。いやはや・・・

申し遅れました。
・・・覚醒のツァーランガ殿。

カイト王に変化して騙しましたが、私はカーライル元老院のジジッドーと申します。
ただの魔法研究者ですから。まま、そのまま、そのまま。研究したいことがあると
やもたてもたまらずでして・・・して、そちらにいらっしゃるのは?」

ツァーランガは結界を消した。
「彼は・・・イースの3剣士のひとり、ジュードです」

「ほう!!あの、悪魔と戦ったという伝説の剣士殿ですか!!
それにしても私の変化は完璧だった筈ですが、参考までにどうして見破られたので
しょうな?」「俺の前でカイトに変化する奴は、生かしておかねえ!」「ジュード殿の
剣の弟子でもあり、王にとっては唯一無二の師匠ですから」

ジジッドーは頭をかいた。
「なんとそういう間柄でしたか!ツァーランガ殿を油断させようとしましたが・・・
油断していたのは私の方でした。・・・と、いうことは、役者は揃ったということですな」

「どういう意味だ」

ジジッドー卿は説明を始めた。それは、2人の思いもしない話だった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリアの戦場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「お兄様!!!もうっ起きてってばっ!!!」カトリーヌは兄ユーリを地上に降ろすと
回復魔法をかけつつ呼び掛けた。「大変よ!!!シェリマが暴走してるわ!!!!」

状況は悪化した。もう操られていない筈のシェリマだったが、その人間の心が失われた
かのように暴れ始めていた。ガラティアもバラグーンも、魔法使い達も、誰であろうが
その火炎と爪の餌食でしかなかった。抑えられていたことへの竜の怒りが、爆発していた。
そのせいで人間の意識だったシェリマの心は、身体から弾かれたのだった。

だが魂は身体から長く離れられはしない。もしそれが続けば死ぬことになる・・・
シェリマは戻ったが、それでも身体を自由には動かせずにいた。竜の種族の精神が人の
心を凌駕していたのである。

「それがシェリマの自由!!ならば全て滅べば良い!!!」
ガラティアはシェリマが滅びの道を選んだのだと言った。

「違う、そうではない!!」ルナゲート王もネミッサも、シェリマの心を信じていた。
「シェリマは私の後輩、魔法使いの誇りを思い出すのよ!!」

「ナニヲイマサラ!ニンゲンモ マホウツカイモ リュウノキモチナド ワカルワケガ
ナカロウ!! トモニ コノヨヲホロボスコトデシカ スクイハナイ!!」 

黒竜シェリマとバラグーンは空へ飛び上がると、互いにに容赦なくぶつかった。
大きさも力もほぼ同じ、バラグーンは昔、翡翠竜と戦った時の事を思い出していた。
この目の前にいる竜は血をわけた息子なのだ・・・


「お前の力はそんな程度か!」バラグーンは言った。
「黒い竜は最強の竜。おまえはやはりこの血に負けるのだな」

バラグーンはシェリマを挑発していた。バラグーンは心底怒っていた。
空には雷雲がうごめき稲光が2頭の竜を浮かび上がらせていた。

「我々のプライドは力だ!昔、翡翠竜と戦って俺は負けた。
その時に、もっと強い力を手に入れると俺は誓った。
おまえは竜の力に振り回されているだけか?

そんな奴が、この俺に勝てる訳が無い!」

バラグーンの一撃はシェリマを地上に叩きつけた。バラグーンはそのまま踏み潰した。
シェリマは気を失った。

ガラティアは急いでシェリマの元に駆け寄った。
そこに小鳥が舞い降りた。「しっかりして!シェリマ!!」

「マホウヘイシノ ブンザイデ シェリマ二 サワルナ!!」
「あなたは?! もしかして、ガラティア?!シェリマをもう苦しめないで!!
そっとしておいてあげて!!!」
「シェリマノジユウヲウバウ マホウツカイノコトバノ ドコニスクイガアル?!
シェリマガダレヲニクモウガ コノガラティアヲニクモウガ、コノオンナハ
ソレスラ ウケイレル! オンナ!オマエノカクゴナドフキトブダロウ!!!

ー悪魔よ。待て。

面白いではないか。魔法使い、シェリマを愛しているのか?
ならば私を倒してから言うがよい!!!!」

ガラティアの手には青く凍りついた氷の剣が現れた。
ミディは炎の盾を出現させると、ガラティアの剣に対抗しようとした。
2人の戦いを遮る者はいなかった。

ミディはガラティアの剣の威力に押されていた。ガラティアの剣は炎の盾すら
凍らせ、ミディの心臓を狙った。

その剣を防いだのは、シェリマの炎だった。

「シェリマ!!」ミディは叫んだ。
シェリマはやっとその心を取り戻したのだった。

「かあさん・・・・・・・・・・・

俺は 竜だ。

竜に 生まれたんだ。


俺は、かあさんとは違う。

竜には竜のプライドがある。

誰とも同じでなくていい・・・・やっと俺は ・・・




俺は ここにいてはいけないんだ。

俺は 竜として生きる。

ミディ、それでも 俺と 生きるか?」

ミディは小さく頷くと言った。

「うん。 一緒にいくよ、シェリマ」

黒竜のシェリマはミディを手の平に乗せた。


「ソウハサセナイ!!!ヒトトリュウガ トモニ イキルダト??
ソンナコトガアルハズガナイノダ!!!!!」

ガラティアの髪がブワッと広がった。
その背中には 4枚の羽根が・・・黒と赤の羽根が現れた。

「リュウト マホウツカイハ タタカウウンメイニアルノダ!!!!
アンコクノ ジダイヨ ノロワレシ ジダイヨ フタタビ アラワレヨ!!!」
どす黒い怨念がガラティアの足元から深い闇となって侵食を始めた。

バラグーンがその闇に自ら足を踏み入れながら言った。 

「ガラティア 俺は約束を果たしにきたと 言った筈だ。
おまえが悪魔になるのなら、俺がお前を殺すと。
シェリマ!早く行け!そして、竜として生きろ!!」

シェリマは羽ばたいた。その眼はしっかりと2人の姿を見ていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-26 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  21  話


ツァーランガはオランティアがルナゲート王と共にいるのに、ほっとした。
珍しくヘクトールがそんなツァーランガに話しかけた。
「・・・よかったという顔 だな ・・・たま には 妬く の かと 思えば・・・・」
「・・・・・・・・・・・・・」「・・・・・・オランティア が 笑う だろう が な」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カーライル王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ジジッドー卿はクオール卿にちょっと休むと言うと、魔法書を持ってオベリスクに入った。
行き先はディオリア王国だった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・イース小国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

そうとは知らないネリデ元帥は砂漠のイース小国のオベリスクに来た。
「どきなさい!!!!!」彼女の怒りはいきなり沸点に到達していた。
イースの戦士がオベリスクを占拠していたのである。

「風使い、幻術のネリデを知らぬのか!!!!!!」
ネリデは幻術をかけようと呪文を唱えた。
ところがそれはすぐに止まった。後ろから音もなく迫った男が喉元に剣を突きつけたのだ。



「俺は、魔法ってやつが苦手でね。黙っていりゃあ何もしねえよ!

・・・さてと。

あーー魔法使いども。 おまえらのボスが、帰る用意をしたいそうだ!

そうだな?」

ネリデ元帥は首を回して顔を見ようとしたが、背中にとられた左手首をぐいっと
捻られて、悲鳴をあげた。「貴様は、誰だ!!」

周りの戦士が笑った。
「イースの3剣士を知らないなんざ、お前の方こそおめでたい奴だな!!!」
「・・・!3剣士?!」「俺なら、ジュードさんに逆らおうなんて考えねえが。
魔法使いってのは、みんなあんたみたいな奴らなのかい?」

ジュードは言った。
「どんな奴だろうが、命はひとつしかねえ。
俺の命を救ってくれた魔法使いに誓って言うが、
命の重さを知らねえ奴は、 俺の目が黒いうちに逃げるがいい。
止めねえよ」

ネリデ元帥は鬼神のごとくに敵を倒すイースの3剣士の話を思い出していた。
戦場では悪魔とですら、その剣の冴えは変わらなかった、と・・・

「・・・ディオリア王国に、本物の悪魔が現れたのは知ってる?
本当に強いのは、誰なのかしらね?」ネリデは眼を動かさずに、言った。

剣の先が少し動いた。「悪魔、だと?!」

「黒い竜よ。そいつがディオリア王国を火の海にしているわ」
周りの男達がざわざわ騒いだ。

「本当か?」ジュードの声は低く落ち着いていた。
ネリデはその言葉に、この男の本質をみた。「本当よ」ネリデの声は震えた。


「魔法使い、俺をディオリアに連れて行け。俺は、悪魔に用がある」

「ジュードさん?!」「よせ、ジュード!!!」「敵の罠だ!!!!!」
「こいつ!!!!嘘ついてたらどうなるか、わかってるんだろうな?!」
皆がネリデに掴みかからんばかりに憤っていた。


「・・・おまえら、馬鹿か?

俺は、悪魔とやりあってきたんだって話しただろう!!!
それに、こんな魔法使いでも、俺を連れて行くくらいはできるだろう。
女の嘘には、慣れてる。おめえらと違ってな!」

これには皆が笑った。「ちげえねえや!はっはっは!!!」

「・・・わかったな?女。
ここの魔法使いどもを皆、引き上げさせろ!!

すぐにディオリアに行くぞ」

ネリデ元帥は唇をかんだが、言われるままに軍隊を撤退させ、ジュードと共にオベリスクから
ディオリア王国に向かった。ジュードはネリデの顔をじっと見つめていた。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ジュードはディオリアに着いたところで、ネリデ元帥を放した。
ネリデはとっさにどうして放されたのかわからずに、ジュードを振り返った。

「さっさと行け、誰かを探したいんなら。
俺は 敵意のねえ奴は殺さねえ。

・・・・行け!」

ジュードはそういうと、スタスタと月の塔の方へと歩き出した。
ネリデ元帥は、唖然としてジュードを見送った。何故、それがわかったのだろう?
この私の挑発にも乗らなかった・・・・・・・・・
しかし今はスラー元帥の消息を探さねばならない。

「ジュード・・・イースの3剣士。 覚えておくわ!」


ーーーその頃

オランティアとルナゲート王はガラティアがいる戦場に到着した。
大鷲の背に乗ったネミッサが黒竜バラグーンと共闘し、妖獣とガラティアへ攻撃中だった。

「バラグーン!ルナゲート王が印を取り返したわ!!」オランティアが叫んだ。
ルナゲート王の手の中に、黒く光るものが見えた。
「俺に、乗れ!!ルナゲート!!!」バラグーンが吼えた。
飛竜の姿のルナゲート王は頷くと、その変化を解きバラグーンの背中に飛び移った。


その様子を遠くからネリデは観ていた。「!あれは、黒竜の鱗!!!!そんな・・・
スラー元帥が奪われるはずは・・・・・・?!」ネリデは急いで竜巻を起して飛び上がった。
「スラー元帥!!!どこにおいでですか?」
しかしその風の通信に返事はなく、還らぬ元帥の行方を示しているかのようだった。


オランティアが2人の賢者に呼びかけた。
「ルナゲート王が帰還された。黒竜シェリマの時の結界を解こう」
3賢者が同時に唱え、その時に合わせてバラグーンがシェリマの前に飛びこんだ。
ルナゲート王が黒い鱗を近づけると、それは空中に浮き、すっーとシェリマの額へ吸い込ま
れていった。

シェリマの意識が戻った。黒竜は目を開けた。
その眼が、ガラティアを捉えた。

シェリマはガラティアに炎の攻撃を始めた。「シェリマ?!」ネミッサは驚いて呼び掛けようと
した。オランティアは言った。
「シェリマは自分で動いているが、彼の意識は沈んでいるようです。
表面の・・・」シェリマの炎は360度を焼き払おうとオランティア達をも襲い始めた。
「危ない!!!逃げるんだ、オランティア!!!」ツァーランガは月の塔で叫んだ。
ツァーランガの意識はシェリマとそこにいる人々へと飛んでいた。

ミディは窓から塔の入り口にいる人影を見て、慌てて階段を下りた。
そこにいたのはシェリマだったのだ。

「どうして?あの戦っている黒い竜は、シェリマじゃないの?
シェリマ!!待って!!!」人間の姿のシェリマがぼうっとした眼で塔を見上げていた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-19 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  20  話


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


その戦いは果てしなく続くかに思えた。

「スラー元帥!!!!スラー元帥、応答願います!!!」ネリデ元帥の風術の通信も
途絶えたまま、水鏡にもその姿は映らなかった。クオール卿も首をかしげた。
「・・・おかしい・・・生きていても死んでいても、この鏡に映らぬ者は無い。
スラー元帥が戻らねば、この状況を建て直すことなど、存外無理な話だ」
「・・・困ったね。あの、ガラティアは敵も味方も無いようだね。全くもって伝説は真実だった
訳だね」「魔法兵士達も疲弊しています。一旦引くしかないかと・・・」ネリデは焦っていた。
「いや?ま、攻撃を中止するだけでもよいのではないかな?」「私はスラー元帥を探しに
行きます!」「そうしてくれ」「砂漠の戦いも、膠着しているようですし、そちらも見てきます」
「頼むね」

ガラティアの魔法力は尽きることがないようだった。
それは我が子を想うあまり、復讐を心に刻んだ者の姿だった。
ガラティアは黒竜の傍を片時も離れなかった。その、水晶球に閉じ込められた竜を背に
戦う姿は、壮絶であった。

「我は シェリマを苦しめる魔法使いども、3賢者、竜を忌み嫌う全ての人間に
復讐を誓った!!!この世界は我々の世界ではない!!!!!

僕どもよ、ここにお前達の世界を共に創るのだ!!!!!」

火の魔法使い達は次々現れる妖獣に圧されていた。
「司令!!!このままでは全滅です!!!」
「わかった。ここは、私の独断で皆に退避するよう命ずる!!!
よいか、スラー元帥が戻るまで、皆退避せよ!だが、カーライルには戻るな、いいな!!」

生き残っている者達は、一斉に退避し始めた。
妖獣達の雄叫びが巻き起こった。

月の塔にいるミディは恐ろしさに震えながら、窓から離れられずにいた。ツァーランガの
叫び声で、戦場がどうなっているのか想像することが出来たのだ。
そして水晶球に光るのがシェリマだということも・・・


「・・・あれは・・・!!」ツァーランガが驚いたような声を出した。


炎が上がる荒野を歩いてくる男がいた。
妖獣達はその男の匂いを嗅いで、低く唸りながら後ずさりした。

一足ごとにガラティアの方へ近づいていく。


「・・・ガラティア」

ガラティアは冷たい眼をその男に向けた。

「約束を果たしにきたぞ」



そういうと、男は変化した。

黒い竜に・・・・・

「・・・バラグーン!!!」ツァーランガは唸った。「・・・来てくれたのだな・・・・・!」


「ガラティア、お前は知っているだろう?
シェリマを操っていた奴は、どこだ?!」バラグーンは赤い炎を吐いた。

妖獣が吼えた。

「静かにおし!!・・・・・バラグーン。スラーは、私の代わりに次元の狭間の番人になった。
悪魔と契約したが為に。悪魔はスラーではなく私の方を選んだ・・・」
そう言った後、声が変わった。その声は悪魔だった。

「ワカッタカ、オマエタチニハ モウナニモデキマイ!!!
ガラティアハ ニクシミニカラレテ フクシュウスルダケノ ニンギョウ二ナリサガッタ!!!!
バラグーン オマエニ ナニガデキル、ハハハハハハハハハ!!!!!!」

バラグーンの眼が光った。


その時、上空から急降下で飛んでくる者達がいた。

「悪魔よ!!!私は、カーライル王国魔法師範、ネミッサ!!!
これ以上、おまえの好きにはさせない!!!!!

カーライルの誇りにかけて、今度こそ!!!!!!」

それは大鷲の軍団で、その背中にはネミッサとルナゲート王がいた。

「お母様、お兄様は気がついた?」「まだだけど、そのうち気がつくんじゃない?」
「お兄様を落とさないでよ、お母様!!!」「あらあ大丈夫よ」「また~~!!!!」

ネミッサは呪文を唱えた。するとそこに真なる闇、次元の狭間の入り口が開いた。
「今です、ルナゲート王!!!!」ルナゲート王はその入り口に飛び込んだ。
「-----ハッ!!!」

「バラグーン!悪魔を抑えていて!ルナゲート王はスラーから印を取ってくるから!!」

「言われるまでも無い!!!!」バラグーンは火炎をガラティアに吹き付けた。

「妖獣ども!!!こやつらを噛み殺せ!!!

ネミッサ!!!アイカワラズ イサマシイコトダナ!!!
オンナダテラニ マホウシハントハ ワラワセル!!!マスターキドリカ?」

「マスターマレーネは私を一番弟子だと認めてくれた。
悪魔よ、魔法勝負で私に勝てるつもり?」

ネミッサは上空に手を上げた。「星よ、隕石よ、あれ!!!!」
途端に上空の星がガラティア目掛けて降ってきた。隕石は燃え上がり、炎の塊になって
ガラティアを攻撃した。

「風の結界よ、あれ!!」ガラティアの声が響くとそこに強力な渦巻く風の結界が起こった。
隕石は弾かれ、飛び散った。「ハハハハハハ!!!!」

妖獣達は悪魔の笑い声に力を増し、次々とネミッサ達を襲い始めた。
バラグーンはその火炎と力で、妖獣をなぎ払いながらガラティアを捕まえようとしていた。
天空からは大鷲が攻撃を始めた。「大鷲の爪、嘴よ、石のごとく剣のごとくなれ!!」
ネミッサは大鷲を強化する呪文を唱えた。大鷲達は一声鳴いて、それに応えた。
空飛ぶ妖獣達に勇敢にかかっていった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・時元の狭間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

ルナゲート王はその魔法力を使って自分の心を失わないよう、胸に光を宿した。
それは、この空間に入った瞬間に自分が無になってゆく感覚を覚えて、咄嗟にとった
行動だった。

そこは全く捉えどころの無い世界だった。
あらゆる物が実体もなく浮遊し、収縮し拡散し、何かに見えたと思ったら次の瞬間は
その内側に自分がいるような・・・全くの異次元だった。

「スラー元帥!どこにいる?!ルナゲートだ、わかるか?」

ぼんやりとした黒い煙が形をとろうとしていた。「・・・・・だ れ   だ?・・・・・・・」

「スラー元帥!!!ルナゲートだ」「・・・・・・・ス  ラ ー    げ んす い・・だ・・・・」
大きく呼吸するように動いたその形は、やっと人の顔になった。

「元帥、あなたは私を操り、シェリマを操り・・・一体何を企んでいたんだ?」
「・・・・シェリマ  ? おまえ・・・ ルナゲート王 か  ?
私はあるじを みつけ た・・・ わたし が 仕えるべき あるじ だ・・・・・・

あるじ は おまえを 門 だ と 言った・・・・・・・・

主よ・・・・・・わたしは ここで 待つ・・・も う す ぐ ・・・

わ  た   し   私 は  だ れ だ・・・・・・ これは  な ん だ ・・・」

その手の中に黒い光が 見えた。

「その手を出してくれ。スラー元帥、私はあなたを助けたいのだ」

スラーは手をだした。ルナゲート王はすぐにそれを自分の手に移した。
「スラー元帥、さあ、ここから出よう!!」



「・・・あるじ が いった の か ? 」「いいや、あれは悪魔だ」

「ばかな・・・わたしに 力 を くれる    わたし は 待つ 待つように いわれた・・・

ここは あけておけな い     だれ か が い な け  れ      ば・・・・・・・・」

スラーの意識は 再び 拡散してしまった。「スラー元帥!!!!」 


遥か遠い意識がルナゲート王に呼びかけた。

(ここを 早く 出なければならない・・・・・・おまえは 大切なものを 見つけたのだろう?)

「・・・・・・・お父さん ?!・・・・・・・・」


(ここは この世ではない そして冥界でもないのだ・・・私は おまえの心にいる。

・・・・・・光よ、我が息子を 光溢れる世界へ 戻したまえ!!!!)


目の前に 一筋の光が見えた。すっとその光に心が動いた気がした。
ルナゲート王の手を、誰かが握った。

「よかった・・・・・・・・!!戻られましたね!」
そこには微笑むオランティアがいた。

「父が・・・・・・・・・心に話しかけてくれました。

オランティア様、もう大丈夫です」ルナゲート王はそういうと、巨大な飛竜に変化した。

「一緒に来てくれますか?」






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-18 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  19  話


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ユーリ王はその初めて聴く声に驚いた。
「シェリマ??お前、スラーの呪縛が解けたのか?」

「・・・・・・・・・ジュバク?・・・フフフ・・・ソウダナ・・・スラー モ ヤクニタッタ。
ユーリ・・・ワタシガダレダカ ワカルカ??ハハハハハハハハ!!!!!

ハハオヤトハ ヤハリオロカナモノダナ!!!!ニクシミトフクシュウ二 トラワレレバ
ココロナド カンタンニ クダケチル!!!!!!!!
イイゾ、モットニクメ!!!!!コイツハシェリマヲ コロソウトシタ!!!!
ウンメイハカエラレナイ!!ワタシガシェリマヲ マモッテヤロウ!!!!!!!!
ナニモデキナイ、オマエノカワリニナ!!ハハハハハハハハハハ!!!!」

黒竜の不気味な笑い声が響き渡り、ユーリ王は雷竜の姿のまま、シェリマの変わりように
何かを思い出していた。「こいつは誰だ??くそっっ!どうしてこんなことになったんだ?!」

その異常事態はネリデ元帥と元老院の2人にもすぐに伝わった。 
「スラー元帥からの返答がありません!!黒竜は何者かに奪われたようです!!!」
「ううむ?!あの鱗の術が解けることなどありえないのだが?そんなに強い魔法を、誰が
使ったのだ?」「スラー元帥の魔法を破るなど、ありえない!!そんなことが出来るのは
この世で3賢者のみだろう。3人のうち、誰かが動いたのではないか?ネリデ、すぐに
探索してくれ!」「クオール卿、お言葉を返すようですが3賢者ではないと思います」
「兎に角調べてくれ!」「はい」

「ドウシタ?ユーリ?モウ マホウリョクガ ツキタカ!!
オマエゴトキマホウツカイハ ワタシノアイテデハナイ!!!キエウセロ!!!!!」

黒竜はその口から火炎を吐いた。それは渦を巻いて雷竜にぶつかった。
(お兄様?!)「ふん、このくらい・・・耐えてみせる!!!!」
「ヤセガマンガ イツマデモツカナ?」



・・・・・ユーリは 炎の中で思い出していた。
そうだ・・・シェリマは泣きながら言っていた。
俺がシェリマを殺すという未来に怒っていた母親に、シェリマは・・・

「・・・お母さん、もう、やめようよ。僕は・・・・・友達を、初めての友達を・・・・
殺したくないんだよう!!!」


切れていた糸が繋がる様だった。ガラティアが見た未来は、俺とシェリマが竜に変化
していて、俺が雷を操り戦っていたところだったのだ!!


「冗談じゃない!!!俺は何があっても、シェリマを殺さない!!シェリマは死なない!!

聞いてくれ、ガラティア!!!!!

悪魔に心を乗っ取られるな!!!!!シェリマはスラー達に操られてるんだ!!!!」


しかしその声は届かなかった。
炎の渦の中でユーリ王は変化が解け、人間の姿に戻って落ちていった。

「ハハハハハ!!!!モウ オソイ !!!ナニモカモ オソイノダ!!!!!」



ツァーランガは黒竜がこちらに向かっているのを感じた。
ツァーランガは悪魔に対して激しい怒りが心に沸き起こるのを、冷静に抑えていた。


「へクトール、オランティア・・・我々で、悪魔を抑えます。いいですね?」

地下水脈、深い湖の中で、ヘクトールは返事をした。

「・・・当たり前 だ・・・こんどこそ 次は ・・・ない」

オランティアは遥か上空を飛んでいた。

「その通りね。 ヘクトール、ツァーランガ、我々は 三位一体の存在だから」

「・・・参ります。」ツァーランガの声は力強く塔の中に響いた。



「十重二十重天上地上地下を繋ぐ印の絆よ。表れし悪を封じん現れし魔を封じん隠れし恐怖を封じん。月に日に時に我々はあり我々にある力よ世界を護り給え。発現せよ時の結界よ!!」


月の塔へ飛ぶ黒竜の周りに突如、光の球体が現れた。
最初それは薄い皮膜のように見えたが、すぐに空気の色を変えた。
空中に浮かぶ巨大な水晶のようになったかと思ううちに、次々に光が水晶の中心へと向かい
始めた。黒き竜はその動きを完全に止めた。






「・・・・・・ソレデ オワリカ ?」

動かぬ筈の黒竜は笑った。

「ハハハハハハハ!!!!ワタシハ シナヌ!!!トキノケッカイナド二 トラワレヌ!!
へクトール、オランティア、ツァーランガ!!!!!

シンノ ゼツボウトハナニカ シルガイイ!!!!!!!!!!」


その黒竜の中から影のような者が現れ、巨大な結界から抜けた。影は叫んだ。

「イデヨ!!!ガラティア!!!!!サイキョウノ マジョ ヨ!!!!!」




ツァーランガはあまりのことに息を呑んだ。

「・・・・・・・・・・・・・・・・ガラティア?!・・・そんな、まさか!!!!!」
ツァーランガは見えぬ眼を窓の外に向けた。その唇は震えていた。
「何故??どうやって出てこられたんだ?!あの次元の狭間からーー」



影はあっという間にマントのように翻った。そこに黒衣の魔女が立っていた。
ガラティアの眼には光はなかった。ただ冷たい表情の、破壊者であった頃の魔女が、そこに
いたのだった。


「どうした?坊や達。 この私をお忘れかえ?

シェリマ、待っていなさい。今に、私がお前を自由にしてあげるよ。
この、3賢者を葬ってね」

その抑揚の無い声が響いて、辺りは真っ暗な闇となった。

「闇に統べる者どもよ・・・・我が僕よ。我の呼びかけに応えよ。
地獄よりいでよ、フェンリル、ケルベロス、数多の妖獣どもよ!!!!!
我は ガラティア!!!再びこの世に復讐する者なり!!!!!!
闇の軍勢よ、その姿を現せ!!!!!!!」

夜の闇に数千数万の燃えるような眼が浮かび上がり、ガラティアを囲んで四方にその
咆哮は巻き起こった。

「止めろ、ガラティア!!!!!
我々はシェリマもあなたも助けたいんだ、わかってくれ!!!!!」
ツァーランガは叫び続けた。

ツァーランガの心をオランティアは痛いほど感じていた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-16 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  18  話


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ユーリ王はシェリマが捕まってからの2日間で、カーライル王国の様子と、元老院の
4人について調べていた。ユーリ王がまだ魔法学校に生徒として通っていた頃・・・・・
その学校の1教師であった4人が、何故元老院として魔法王国のトップに登りつめた
のか・・・・・
カーライル王国の女王マレーネと、その夫で大召喚師ブラウンが逝去して、すぐに
元老院であった4人は議会から指名されてルナゲート王の後見となった。
そして魔法書の編纂も4人に任されていた。

「・・・ということは、召喚魔法についても書かれている筈だよな?」
大召喚師が何一つ残さないわけは無い。確かに召喚師という魔法使いはもうこの世に
一人もいない。だがルナゲート王はそれらの魔法書を引き継ぐ権利はある筈だった。
ユーリ王はルナゲート王が4人に操られていた訳を探していたのである。

「一番理由らしい理由は、魔法書だ。魔法使いであの魔法書を欲しくない奴はいない」

・・・もしもルナゲート王を操って、あの魔法書の所有権を放棄させていたら、どうなる?
奴らが最強最悪の魔法を創ろうとしていたら??
ユーリ王はルナゲート王と魔法書、両方が鍵でそれを護らねばならないというところまで
付きとめていた。「うん流石、俺。いいところをついているよな!」
だが、その魔法書は今どこにあって誰が管理しているのかは水鏡を使ってもまるでわから
なかったのである。それはやはり重大な国家秘密という扱いだとわかった。
「ネリデではありませんように!ま、きっとあのスラーだろう。あのでかい態度からしても」

2日が過ぎ、オベリスクのゲートを通って、魔法兵士達が進軍し始めるのを観た。

(お兄様、どこにいるの?)
「来ない方がいいぞ」(わかったカーライル王国にいるのね!)「いないね」(正解でしょ!)
「俺は動く。お前とかあさんはルナゲート王を助けてやってくれないか?オランティア様なら
どこにいるか知っているだろう」(それならもう伺いました。神々の山よ)「!成る程ね・・・
それと、俺はディオリアにいるんだ。覚醒の賢者は動けない。スラーはきっと月の塔を破壊
しにくるだろう。いいか、カトリーヌは絶対ここに来るな!!」

ディオリア王国に黒竜とスラーが到着し、爆破と炎の凄まじい戦闘が始まった。
そして黒竜がスラーの命令でその辺り一帯を焼き払おうとした。

鷲の姿のユーリ王は黒竜の前に飛び出した。「待て!!!何をしようとしてるんだ?!」
スラーはユーリ王に言った。「戦争だよ!!!!」「シェリマを放せ、この!!!!」
ユーリ王は黒竜の首の上にいるスラーにその嘴と爪で攻撃した。
スラーは笑いながら黒煙に変化し、やすやすとその攻撃をかわした。
「どこを攻撃しているんだ?間抜けめ!!はははははは!!!!」

ユーリ王はその鷲の姿をまた変化させた。  

「雷竜変化!!!最強魔法発動!!」

雷竜・・・それは竜族の中で唯一、雷の属性を操る竜だった。神の属性を持つ竜と言われる
火、水、土、そしてこの雷・・・もうこの竜はどこにも存在しなかった。変化でのみ現れる幻の
竜だ。ユーリ王はこの変化が長くはもたないことを知っていたが、本気の黒竜に対抗できる
魔法はこれしかなかったのだ。「違うね!!これが一番かっこいいからだ!!!」
(お兄様?!その魔法は!!)「これが俺の究極変化魔法だ!!」(危険だわ、やめて!!)

「嫌だ。--ーシェリマ!!!悪いが俺は本気でいくぞ!!!

百万の雷よ!!怒りと共に堕ちろ!! 喰らえ スラー!!!天空雷神槍!!!!!」

天が割れるような轟音、それはユーリ王の全魔法力を注いだ、百万の雷が敵に落ちる音
だった。魔法兵士達は、そのほとんどが電撃に気絶した。
スラー元帥にも何本もの雷が襲い掛かった。それらが黒煙に変化したスラーの身体を
貫いた瞬間、黒竜の身体の表面にも雷の電撃が流れた。

スラー元帥は変化が解け、その身体に斜めに剣で切られたかのような裂傷があった。
「ぐあああああ!!!!!!」
黒竜に突然変化が起こった。 「ユーリ・・・・・・・・・・・・!!オマエハ ヤハリ・・・!!!」
スラー元帥の血が、黒竜シェリマの胸へ飛び散っていた。

「ヤハリ・・・・・・オマエハ アノトキ イカシテオクノデハ ナカッタナ!!!!!」

運命の歯車が廻りだした。





その声を聞いて、月の塔のツァーランガは叫んだ。

「!・・・悪魔よ!!!!!やはり、貴様の策略か!!!!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-15 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
薄い雲に 隠された 少し欠けた月が滲む


その姿を観て 物思いにふけるとしても

その気持ちを表す 言葉は 見つからない


ぼんやりとした輪郭は 疲れた唇のような

ガラスに映った自分を見るようで 出来れば

見ずにいたい


現実はいつも残酷で 人は 人を 助けることはできるのか

夢は いつも寄り添って 心は 心を 知ることができるのか



何をそんなに嘆くのだ 

おのれの出来ることをしてゆくだけでいいのに


いつも 出来ることを



出来るのかと いつも 問われ続けて

答えている 応えようとしている

いや

応えられると 思っている


そんな曖昧な 心と 戦っているのだ 



私という 人間は
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by f-as-hearts | 2011-06-14 00:50 | 詩 ・ 散文
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  17  話



・・・・・・・・・・・・・・・妖精国ヴァルヌス・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


オベリスクの周囲をすでに取り巻いていたヴァルヌス兵士は、妖精族特有の結界
魔法を駆使して、敵が現れたところでいきなり辺りを広大な森林に変えてしまった。
カーライルの軍は、その変わりように、地理的なものは把握してきた筈だったが
統率が一挙に乱れてしまった。

「司令!!!オベリスクの出口が??樹で塞がれてしまっています!!!」

「慌てるな、馬鹿者!!我々は、土を操る魔法使いであるぞ!!!
すぐに樹を倒すのだ!!!」「はっ、はいっ!!!!」

だが、森は生きているかのようにすぐに再生した。それは妖精王の力であった。

ヴァルヌスの魔法兵士といえども、大勢で進軍するのでなければ、その力は分散
される。妖精族の兵士達は敵兵を少しずつ倒していった。魔法兵士達は、見えない
ところで仲間が倒されていくことに恐怖を覚えはじめていた。
司令はネリデ元帥に報告を入れざるを得なかった。

「ネリデ元帥閣下!!!森が!妖精族の森が我々の魔法を無効にしています!!
すぐにスラー元帥に援軍を要請して下さい!!!」

ネリデはその報告をすぐにスラーへ送った。「森を焼くしか手がないようです。
どうしますか?確かに妖精族は、森を自在に再生させる特殊魔法を使う」
スラーは答えた。「火の使い手を何人か送ろう。しかし、それ以上はこちらも
余裕ない。自分達で考えろと伝えろ!」「はい、そのように伝えます」


・・・・・・・・・・・・・・・・・イース小国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


砂漠のイースのオベリスクは、砂漠の兵士との戦闘になっていた。
少し離れたところにイースの首都の大オアシスがあるのだが、危険を知らされて
住民は家の中に隠れていた。普段はキャラバンを護る軍だが、砂漠を知る者は
皆ラクダを馬の代わりに使い、大挙して魔法兵士達と戦っていた。

「風よ嵐を起せ!!竜巻となり、敵兵を蹴散らせ!!!」魔法によって竜巻が起こる
と砂漠の兵士は皆その竜巻をよけて、魔法兵士のいる方へ駆け抜けた。
流石に自分達の方へ竜巻を呼ぶ訳にもいかず、竜巻の猛烈な風の中、砂漠の兵士
達と剣を交えるはめになっていた。

「風で砂嵐を巻き起こしておいて、この風の中どうやって呪文を唱えるつもりだ?!
砂漠の兵士をなめるな!!!砂漠を知らぬ貴様らに、魔法でなら勝てるなんて
言わせるかよ!!!」砂漠の剣士達の眼が、フードの下で光った。

「いいか!!カーライルの魔法使いどもに、この砂漠の戦士の力をみせつけろ!!!」

風の魔法使い達は応戦するも、風の結界の中に逃げ込む者が続出した。
「逃げるな!!こちらも空中に飛んで戦え!!!」「司令、剣の業が違いすぎます!!
近づくことすらできません!!弓でも無理です!!!」

司令官の下に戦士の一群がやってきた。
風の結界を取り巻くと、言った。

「オベリスクの見張りは、我々が捕らえたぞ?
お前達はこのままじゃあ、引くことも出来まい?

まあ、それでも我々はお前達の言い分を聞いてやらんでもない。
イースの3剣士からの伝言があるからな。

さあ、言え!!

おまえらの、本当の目的はなんだ?!
おまえらの、本当の首領は一体 誰だ!!!」

「答える道理は無い!!!」
「ならば、その覚悟、試させて貰おうか!!」
戦士の一人が言った。
「我々は侵略者を許さない。それを、骨の髄まで知ることだな!!」


・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラインハルト王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

カトリーヌ王女は両親である前国王と王妃に、これまでのいきさつとユーリからの
連絡を報告していた。

「それでは、ユーリの学友のあのシェリマが、元老院に?」「そうなの、お父様」
「・・・あなた。あなたの考えていることは無理ですからね。いいわね?」
「君はいつも先回りして」「だって次に言いそうなことがわかるのですもの」
「私は2人が心配なだけだよ」「大丈夫よ、ユーリですもの」「ユーリだから、じゃないか」
「お父様、お母様・・・それよりオベリスクの方の護りは大丈夫かって心配なんですけど」
「あらそんなの大丈夫に決まってるわ」「お前は!!なんでも大丈夫って」「カトリーヌの
かけた結界なのよ?」「だが相手は魔法王国の兵士だぞ?!」「それじゃあ、そっちを
あなたが見てあげたら?」「いいのか?」「行きたそうな顔しちゃって!どうして男って
戦いたがるのかしら?」「・・・え」「それじゃ、カトリーヌ、私にユーリの話を詳しく話して」
「!お前~~~~?!お前の考えてることも無理・・」「さあさ、お父様は忙しいんだから
私がユーリの話を聞いてあげるからね!」「お母様・・・」「お前~~~!!!」

カトリーヌは強制的に母親に引っ張られながら、バルコニーへ急いだ。

(おいっ!カトリーヌ!!どうしてかあさんに話がいくんだ??)
「しかたないじゃない~!お兄様がこないからいけないのよっ!!」
「あら、またユーリと話しているのね?ユーリ、シェリマをどうやって助けるつもり?」
(・・・・・・・・ええっと・・・カトリーヌ、また後でな!!)「お兄様っ!!ずるいっ!!」
「はは~~ん・・・逃げたわね?」「そうみたい」
母親であるルナ后はユーリがどうするのか興味が湧いていた。
「さあ、カトリーヌ。ユーリを追いかけましょうか?それとも、どこかでまちぶせする?」
「お母様・・・何故そんなに嬉しそうなんですか?」「あらあ?意外だわ?カトリーヌも
同じだと思ってた!」「お母様もしかして・・・鳥に変身したいなんて思ってませんよね」
「あらあ?」「やっぱり・・・どうしてお兄様があんな風に育ったのかわかったわ!」
「さあ、急がないとねっ!ユーリが危ない目にあったらどうするの!!」
「お兄様っ!!逃げないでね!!!」(嫌だ)「またっ!!嫌だ、じゃないでしょ!!」
「さっ!!カトリーヌ、協力して頂戴!」「はぁ~~~~い」

2人はすぐに大鷲に変化して、空へ飛び立った。

ラインハルト王国のオベリスクにはカトリーヌの強力な結界が張られていた。それは
水の魔法使い達には簡単に突破出来ないものだった。その結界は触れたものを瞬時に
蒸発させるような炎系の最強魔法、炎の壁だったのである。
「炎の壁?!水竜でなければ破壊出来ぬ、あの魔法か??仕方ない、お前達、その
結界にありったけの魔法力を注ぎ込め!!いかに強力でもそんなに何日も持つまい!
よいか!!その結界は水でしか破壊できぬのは間違いないのだ!!!」

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カイト王は騎馬戦士達にその戦略を任せていた。
騎馬民族の長達の連合は、変わらずその自由を約束されていたが、危機的状況における
結束力はどの民族より強く、その連合の長を務めるのが、カイト王の臣下であるボーンで
あった。ひとつの部落の長老であったボーンの父はすでに他界していたが、カイト王の腹心
の臣下となったことで、ディオリア王国の要になっていた。

ディオリア国のオベリスクは、とてつもない火の攻勢が始まっていた。
騎馬戦士達は敵が火を操ると知るや、地面のあちらこちらに導火線と火薬を埋めた。
勿論自分達にわかる印をつけ、戦いながら敵にその火の魔法を使わせたのである。
その様は、壮絶だった。魔法兵士達は騎馬戦士の戦い方を知らなかった。彼らは草原の民
の機動力と長年の戦争によって培った戦略とで、魔法に対抗したのである。

「オベリスクの周囲は1キロ範囲で全て、起爆剤を設置した。よいか、罠にかける者達は
十分にこの位置を頭に叩き込め!!この範囲を境界線と覚えておくのだ!!」
ボーンの指示はすぐに前線の戦士達に伝令された。

この境界線の外からは、容赦ない弓矢、火矢が敵へと放たれた。騎馬戦士達は最強の火の
魔法兵士を相手にしながらも、5分の戦いまでもっていった。
カイト王は前線からはかなり離れたところで状況を把握、指揮していた。
王はボーンにこの戦いの全権を渡しても良かったが、気がかりなことがあった為、情報収集
も常に行なっていたのだった。それは勿論、ルナゲート王のことだった。

カイト王は時々一人になってぶつぶつと誰かと話している、皆がそう囁いていた。
それは、ツァーランガに報告しているのだとは、誰も知らないことだった。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・北の山脈・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

オランティアはツァーランガに教えられた場所へ急いでいた。
その者はオランティアが探していると知ったら、現れないであろうことは十分考えられた。
オランティアはツァーランガから鱗について聞いた。いよいよ大変な事態だということを
どうすれば伝えられるのだろう・・・

考えた末にオランティアは魔法で変化した。その姿を、水竜のヘクトールに変えたのである。
その姿を見て、相手はどこからともなく現れた。

「3賢者として、伝えにきた。・・・シェリマが 危ない」
それだけで、十分だった。

黒竜のシェリマはまるで意識が無いまま、ディオリア国でスラー元帥の命令で地上の爆薬を
炎で焼き払おうとしていた。

「ははは!!!!!どんなに騎馬戦士が策略を練ろうとも、竜の炎に勝てるものは
この世界のどこにもいない!!お前達は成す術も無く、焼き尽くされるだけだ!!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-13 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  16  話



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ラインハルト王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

王国では、カトリーヌ王女がオランティアと話をしていた。
「・・・あの・・・ユーリは忙しいみたいです」「ええ、わかっています」「はあ・・・ですよね・・・」
「それではシェリマは元老院に捕まった訳ですね。・・・ユーリの言う、人心掌握魔術
についてですが。私の知る限りでは、幻術、くぐつの術、呪縛術・・・
幻術使いの元老院はその場では何も出来なかったはずですから、何かの呪縛と
考えられます。カトリーヌ、魔法学校でシェリマに何か変わったことは起きませんでしたか?」
「いいえ?何も・・・わかりません」「?カトリーヌ?もう一度、シェリマのことを思い出してみて」

「・・・!カトリーヌ、あなたの記憶は一部が消えていますよ?
・・・そう・・・それが、シェリマとの記憶だとすると・・・元老院はシェリマに何かしたということ。
竜であるシェリマの心を呪縛しているということですね」

オランティアは遠くを見つめていた。

「ツァーランガ、聴こえる?あなたに、探してもらいたい人がいるわ」
月の塔のツァーランガは頷いた。「わかりました。すぐに・・・」

「それから・・・」オランティアは続けて言った。「ルナゲート王は、まだ戻られませんか?」
「はい・・・彼とネミッサの声はあの神の社から途絶えたままです」「そうですか・・・」
「オランティア、ここに戻って来れませんか?」「?どうかしたのですか?」「・・・はい・・・」

オランティアはカトリーヌにまた来るからと言い、月の塔へ瞬間移動した。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ツァーランガはミディが寝ているそばに椅子を置いて、座っていた。
オランティアがやってきたのを感じて、すっと立ち上がると、そのままオランティアを
抱きしめた。

「・・・あなたしか、私の今の心を理解できる人はいない・・・

・・・私はあなたがいてくれて、やっと生きていてよかったと思えるようになりました。

シェリマの声が・・・私には自分の叫び声に感じられるのです・・・

オランティア・・・この心を どうしたらいい・・・」

オランティアはツァーランガの心にあるシェリマの声を聴いた。

「・・・きっと私でも シェリマの声は辛かったと思います・・・でも

ツァーランガ、あなたの絶望よりは・・・



・・・あなたは 私を心配してくれたのですね・・・

大丈夫です・・・私は・・・私も あなたが理解してくれさえすれば」


2人は微笑んだ。ツァーランガが言った。

「・・・少しでいい。ここで、休んでいってください」「はい・・・」

月は西へ沈もうとしていた。



ディオリア国のカイト王は伝書鳩を飛ばして、草原の民、騎馬戦士達をオベリスクに
集結させていた。そして砂漠のイース小国にも、オベリスクに注意するよう勧告した。
ラインハルト王国は、ユーリ王がカトリーヌ王女に同じようにオベリスクの周りを封鎖
するように伝えていた。妖精国ヴァルヌスでも、オランティアから国王のフェーンに
その危険は伝えられていた。フェーンもすぐに対策を練って動くと約束した。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カーライル王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2日目の早朝、ぞくぞくと兵士達が準備を整えオベリスクの前に集結して来た。
元老院の4人と黒竜に変化したシェリマも、その塔のすぐ近くで時を待っていた。

「皆、この出陣はルナゲート王を連れ去った同盟国に対する宣戦布告である!!
未だその行方は知れぬ。我々は正義を貫く!!同盟国側への報復であるという
ことを、皆心してかかるように!!!」

黒竜に乗ったスラー元帥の号令は下った。「全軍出撃せよ!!!!」

うおおおおお!!!!!!鎧と甲冑、剣を携えた魔法兵士達が次々と部隊ごとに
オベリスクの中からそれぞれの国へ向かった。何千何万の兵士が次々と転送されて
いく様は、次元の門が兵士を吸い込んでゆくように見えた。

黒竜は羽ばたくとスラーを乗せて空高く舞い上がった。
「我々も敵地へ向かう!!ネリデ、よいか、司令官達への司令は欠かすな!!!」
「はっ!」

黒竜は気流に乗るとあっという間に見えなくなった。

「あの半竜は是非研究したいものじゃな!!!魔法力も半端ないようだからのう。

さて、と・・・・・・我々の部隊ももう向かったようじゃな。
・・・・おお、そういえば私もスラー元帥に訊ねたいことがあったのだった、急がねば♪」
「ジジッドー卿!!卿の部隊はヴァルヌスですが?」「・・・いやいや、聞き忘れたことが
あってね~」「月の塔へは絶対に行かせません!」ネリデの眼はすわっていた。
「・・・・・・・・・・・あっそう・・・・・・・・・・・・」「・・・やはり相性の問題のようですね」「まあね」

各部隊を率いる司令官は、それぞれ妖精国ヴァルヌス、ディオリア国、ラインハルト国
イース小国のオベリスクに到着すると、すぐにその魔法結界をオベリスクに張り、敵を
警戒した。そしてネリデ元帥の司令を受けて、魔法による巨大な宣誓文を高く空に掲げた。





             同盟各国に告ぐ


   我々カーライル王国は 同盟各国の策略により 

   ルナゲート国王が拉致監禁されるという

   許しがたき暴挙に対して ここに同盟を破棄し

   国王奪還の為 宣戦布告をする



            カーライル王国 国王代理  

                     元老院 スラー 



その宣誓文は空に浮かび、人々の恐怖を煽った。
カーライルの王が同盟国に拉致監禁された??そんなことが本当に起こったのか??
それぞれの国の王達はオベリスクから現れたカーライルの魔法兵士達を捕らえるよう
指示を出していた。

「宣誓文に書かれていることは偽りである。
しかし我々が カーライル国王を保護したのは真実であり、そのことは
カーライル国王不在の今、説明と明言は避ける。

ルナゲート王はご無事である。
いずれ、国へご自身で戻られようが、今はカーライルを牛耳ろうと画策する
元老院との対決は避けられない。皆が一致団結してカーライル王国の自由と
我々の平和の為に戦ってくれることを、せつに望む」

カイト王の声明は、オベリスクの兵士にも、また敵の兵士達の前でも読み上げられた。
騎馬戦士達が、それぞれの国へ伝令を走らせたのである。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


月の塔ではツァーランガがオランティアに話をしていた。

「スラー元帥と黒竜は、ここ・・・ディオリア国へ攻めて来ているようです。
やはり彼らは我々が事の中心にいると知っているようです。

オランティア・・・あの者は北にいます」

「ありがとう。ツァーランガ・・・感謝します」
「・・・もっと・・・話をしていたかったが・・・」ツァーランガの言葉にオランティアも頷いた。
「・・・・・・・・・私も」オランティアは笑った。「でも言葉にならないけど・・・」

オランティアは消えた。

「・・・・・いつも、さよならは言わないんですね・・・」ツァーランガは手を下ろした。
「それが、とてもあなたらしい・・・・・」


ミディはやっと起き出して来た。ふらふらしているようだったがツァーランガに勧められる
ままに食事を一緒にした。

「賢者様・・・・・・・カーライル王国はこの国と戦争をするつもりなんですか?」
「・・・ルナゲート王が戻られたら、全て片付くと思います」「・・・王は、連れ去られたと
聞きました」「それは元老院の企てなのです。王は操られていました。・・・我々の仲間が
王を助け出し、王を正気に戻しました。今は王は魔法力の向上の為修行を受けておられ
ます」

ミディは元老院の力を知っていた。それを聞いて震える自分に気がついた。
「賢者様、シェリマは?」

ツァーランガの手が止まった。

「シェリマは・・・まさか、元老院と戦うつもりなんですか?!」
ツァーランガは何も言わなかった。

「ダメです!!!元老院には逆らっちゃダメなんです!!!!」

ツァーランガはミディに訊ねた。「何か、知っているんですね?」

ミディはあの光景を思い出していた。
「シェリマは!!!!シェリマは、彼は!!竜の額の鱗を・・・!!!」

ツァーランガは鱗、と聞いて全てを理解した。

「・・・!元老院が、彼を操っています。ミディ、君はここを出てはいけない。
いいですね?彼は元老院の手先になっています。何を見ても何を聞いても
ここを出てはいけません!!」

ツァーランガは元老院が何をしようとしているのか、わかりかけていた。

「ミディ、君はシェリマの大切な人です。
いいね?絶対にここを出たりしないように!!!」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-06-09 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ