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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

<   2011年 05月 ( 16 )   > この月の画像一覧

・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  14  話


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア国 王の間・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カイト王は城に戻ると、すぐに大臣達に会議を開く旨を伝令した。緊急と聞いて
大臣達は慌てて集まってきた。
「皆、揃いました。カイト王」古参大臣が起立して王を迎えた。
皆が、王の後ろから現れたオランティアに驚いた。

「話というのは、我々の同盟国カーライルと、ルナゲート王、そしてあのオベリスクの
ことです。

・・・皆は月の塔をカーライルの魔法兵士が攻撃したことは、聞いていますか?
3賢者のオランティア様にお越し戴いたのは、その状況を私と一緒に観てこられた
からです。何が起こったのかを説明して頂く様オランティア様にお願いしました。
皆、これからの話は、他言無用です。3賢者のツァーランガも同じ意見だと思いますが
これはカーライルの元老院の陰謀ということです。
・・・ですから今ルナゲート王は、我々の仲間がかくまっています。そして、もう一つ。
ディオリア国にあるあのオベリスクは、元老院の造った物です。なんらかの作意があると
みて間違いないでしょう」

オランティアはカイト王の話を受け、説明した。会議の後皆がすぐに動いた。
草原の自由の民、騎馬民族の血の結束は今再び、自由の為に走り出した。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・カーライル王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


空を飛ぶ黒竜と大鷲は、カーライル王国の上空で激しい攻撃にあっていた。
「スラー元帥!!あなたが直々に前線ですか!!!」ユーリ王が叫んだ。

火炎の渦と黒煙とに巻かれ黒竜は目潰しを喰らった。
「くそっ!!こんな煙・・・・・・」

「こんな煙とは、随分な挨拶だな?半竜のシェリマ!!
お前達には到底創り出せぬものだ!!黒煙の雲の中で肺を焼かれて果てろ!!!!」

不気味な声だけがその増大する雲の中で響いた。ネリデ元帥はその声にぞくっとしていた。
スラー元帥が本気で怒りをぶつけている・・・・・・!!

竜は黒煙を振り払う為に急降下した。しかし渦を巻く雲に行く手を阻まれた。

「逃げ場など無いぞ!!!」姿を見せずに声が告げた。

「はは、どうですかね?!

・・・ネリデ元帥も、巻き添えになりますよ?」

「ネリデ?ああ、あの役立たずの女か?これくらいで死ぬようでは、我々の仲間ですらない」



「へえ?


・・・ひとつ、思い出したんですが。



スラー元帥って、嘘つきでしたよね?」


大鷲のユーリ王は、シェリマに急降下で近づくと、黒煙の中でその爪を開いた。

「あんたはここだ!!!!」

鷲の爪に捕まれて、黒煙が急に手の形になった。「ほらね!」

黒い煙に変化したスラー元帥はシェリマの手からネリデを奪還しようとしていたのだった。

「そうだな・・・ついでだから私のことをもうひとつ、教えてやろう」

スラー元帥の目だけがぎらりと光った。
「誰よりも用意周到な男だということを、な!!!」

スラー元帥の身体から炎が上がった。
「ふふふ・・・そら、手を離さねば焼け死ぬぞ!!!!!」「あっちちち!!!!」

黒竜はユーリ王を思いっきり腕で振り払った。ユーリ王は手を焼かれで元の姿に戻り
地上へ浮遊術を使って落ちていった。シェリマはぎっとスラー元帥を睨んだ。

炎の色に彩られたスラー元帥は黒竜を見据えた。

「シェリマ、何を見てきた?

あのツァーランガと、何を話してきた?

お前はカーライルの女王への忠誠をどこへ捨てた?

半竜であるお前を庇って魔法を教えた、我々への恩を、仇で返す訳か?」

シェリマは炎を吹いた。その眼は真っ赤だった。


「それなら、教えてくれ!!!

マスターマレーネの教えと、あんた達の教え、どちらが正しい?!

魔法兵士を、ゴミくずのように使い捨てる、あんた達のやり方か?!

俺は、兵士ミディの言葉しか、今は信じない!!!

もしあんた達が、正しいとしても、だ!!!!」


スラー元帥は両手を広げた。その姿を昔見た覚えがあった。

「お前達竜族は、結局、力で従わせるしかないんだな?!

力の差を、今度こそ思い知るが良い!!!!!!」


その手の中に、黒く光るものが見えた。(あれはなんだ??)

次の瞬間、全ての力が封じられた。シェリマは気を失う前に叫んでいた。

「ミディ!逃げろ!!!!!」



ツァーランガは異変に気がついた。彼の声を聴いたのである。

それはすぐにオランティア達にも伝えられた。

月が その全てを見ていた。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-05-31 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
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祈り

雨に濡れる薔薇
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by f-as-hearts | 2011-05-30 21:34 | 祈り
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  13  話 



・・・・・・・・・・・・カーライル元老院の間・・・・・・・・・・・・・・・・


スラー元帥はツァーランガのいる月の塔を陥落出来なかったこと、ネリデ元帥が
元老院の決定として撤退命令を下したことの報告を、いち早く受けていた。

「なんと!おお!ネリデ元帥は失敗されたのですな♪」
「ジジッドー卿、語尾が踊っておりますが?」「まま、どうぞお気にめさるな♪」「・・・・・・・」

スラー元帥が重い口を開いた。

「由々しき問題の原因であるルナゲート王の消息は、これも魔法の痕跡から探知
しようとしたが、オランティアの山で途絶えてしまった。
今はどこに隠れているやらわからぬ。

・・・・・どうも我々は、あやつらを見くびっていたらしい。
私がネリデを救出に向かうことにしよう。・・・兵士どもでは心もとない!」

「スラー元帥、今からでも遅くは無い。我々から停戦を申し込んではどうか?」
「何をふざけたことを!!!!」

その怒声は部屋の壁掛けを落とし、振動は鼓膜を破るかと思われた。

「クオール卿!!あなたには元老院としてのご自覚はおありか?!
王をここまで操ってきた理由を、よもやお忘れか?!!!

・・・我々がこれまで以上に強大な魔法力を手に入れる、それがこの国を
護ることにつながるのだと、あの誓い、破る気ではないでしょうな?!」

「まさか!!そんな気は・・・」「ならば、不用意なことを言うのは止めて頂きたい!」

スラー元帥はフードをばさっと翻すと、巨大な黒いカラスに変化して窓から飛んでいった。
ジジッドー卿とクオール卿は顔を見合わせた。

「私には火の気持ちは到底理解できぬ。なにせ土属性であるゆえ」ジジッドーが言えば
「・・・正反対である私も、まるで遠い彼方の者のように感じますが」とクオールも返した。
「風が捕まって、火を煽る者がいないからのう。研究者としては風は動向を読む者で
あれに右往左往させられては、たまったものではない」「・・・なかなかに、奥の深い・・・」
「クオール卿、そんなことよりあの、結界魔法を見てきた司令官は、今どこに?」
「ここに呼びましょう」「うむ。またこれで魔法書に新たなページが開かれよう♪」
「・・・・・・・・・・・・」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・オランティアの館・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


オランティアはツァーランガからの念波を受けて、月の塔への攻撃が止んだことを知った。

「そうですか・・・シェリマとユーリ王が元老院の者を捕らえて・・・それで2人は?
・・・・・・・・・・!カーライルの元老院の元へ?!

2人だけで解決できるものでしょうか?」

ーかえって突破しやすいのかもしれませんね。

「・・・それでも戦闘は避けられないでしょう?」

ー占い師はなんといっていますか?

「アズ、シェリマとユーリ王が元老院へ行くそうだ。何が起こりそうですか?」

「はい・・・どうも2人は元老院達と戦うはめになりそうです。
ルナゲート王を護る為には、こちらも徹底抗戦を余儀なくされそうです」

カイト王が言った。

「私達も、ディオリア国を民に取り戻す為に、国を2つに分けて戦いました。
その時に、カーライル国ラインハルト国の両国には言い尽くせぬ程、助けて戴きました。
元老院の押し進めている事が、かつてのディオリアと同じであれば、それはその国だけ
での問題ではないでしょう。

オランティア様はあのオベリスクが、戦略の一部だと思われますか?
カーライルからの友好と永遠の平和のシンボルであると言われ、魔法によって我々を
護るという、その建築物の美しさは類をみませんが」

オランティアは沈黙した。
それがかえって、皆の心に大きな不安を呼んだ。

カイト王は立ち上がると、オランティアに頼んだ。

「何も言えないということですね。・・・それは、とても怖ろしいことです。
ツァーランガ兄さんも、先程あれは見張りの塔だといっていました。まさか・・・と思って
信じられなかったが・・・ただの見張りの塔ではないということなんですね?

同盟国でありながら、カーライルはそのような訳のわからぬことをしたということ。
カーライル王国は、変わってしまった・・・元老院が戦争を仕掛ける前に、動きます。
オランティア様、どうか私をディオリアに帰して戴きたいのですが」

「わかりました。では・・・アズ、そなたは私が戻るまでここに居て下さい」「はい」

すぐにカイト王とオランティアは消え、辺りにはペチカの火がはぜる音だけが響いた。




・・・・・・・・・・・・・・・・・・・月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



ミディはツァーランガのそばにいるという、この状況に、緊張していた。
ツァーランガは先程から、誰かと話をしているようだった。
夜風が開いた窓から吹き込んで、ミディはくしゃみをした。

「・・・忘れていました、窓を閉めましょうね」
ツァーランガが声をかけてきた。その声は大召喚師の声に似ていた。
「私が、閉めます・・・」ミディはベッドから降りて、すぐに窓を閉めた。

「・・・賢者様・・・・・・・・

あの・・・・・・・」

「はい」

「賢者様は・・・・・・・シェリマのことを、どう思いますか?」

ツァーランガは顔をミディの方に向けると、微笑んだ。

「優しい人だと思いますよ」

ミディはまた泣きそうになった。

「あんなに乱暴なことを言っても?」「はい」「何も話してくれなくても?」「はい」

「・・・私に、もう会わないと言っても?」「・・・・・・はい」

ミディはツァーランガに、そう言ってもらいたかったんだと思った。
誰かに、彼は優しいと・・・・・・・・・

「・・・・・・・どうしても、どうしても、どうしても、そばにいられないんでしょうか?」

ツァーランガはミディの手を握った。

「・・・未来を見る力は、私にはありません。

・・・でも、絶望することはありません。


私は、絶望がなんなのか知っています。

だから、貴方達が立ち直れるのは、わかります」

ミディは涙が消えるのを感じた。そうなんだ・・・賢者様の言う、絶望というものが
私は怖かったんだと気がついた。

「・・・ありがとうございます。
私、本当は泣かないって決めていたのに・・・

きっと、また 会えるって、信じることにします。
どんな運命でも、まだ自分に出来ることが、あるんですよね?」

ツァーランガは頷いた。

「・・・彼に 通じるといいですね」

ミディにやっと笑顔が戻った。

塔の外はさっきまでの攻撃を避けていた動物達が戻ってきていた。

ふくろうがホーホーと、木の枝で鳴いていた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-05-25 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  12  話 



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・神々の山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ルナゲート王は祠の中から、暗闇の洞窟へと進んでいた。
その試練のことは、父であり大召喚師のブラウンが一度だけ話してくれた。
だがそれは召喚師の試練であった為、詳しく話すことはできないと父は言った
のだった。

「我々召喚師の最高神である冥界の神は、生きとし生ける者の生死を司る。
我々はその姿を観る事はおろか、普通は声すら聞く事もできない」

父が怖れ敬った冥界の神の社は、人の眼には見えぬ暗闇の世界だった。
人の眼というものが、光がなければ何も捉えられないのだと、思い知らされた。
そして・・・恐怖した。



魔法使いなのだから、魔法で火を灯せばいいーーー

そしてその先の道を見つければいいーーー

危ないところを避けてゆく方が賢い筈だーーー



・・・・・・・ルナゲート王は、そんな考えが浮かぶ度に、首を横に振った。
・・・違うんだ・・・私が求めているのは そんな答えじゃないんだ・・・



だがこれは召喚師になる為の試練なのだから、私が受けるいわれはないーーー

恐怖に負けて立ち直れなくなったらどうするんだーーー

自分は王だというのに 帰れなくなったりしたらーーー



・・・違うんだ、違うんだ!そんなことの答えが欲しいんじゃないんだ・・・
どうして私は逃げることばかり考えてしまうんだろう・・・



そんなのは当たり前だ、受けなくてもいい試練じゃないかーーー

魔法力を鍛えるとかいっているが、そんなことが可能だと誰が知っているんだーーー



・・・知っていた・・・のは・・・父だ




ああ・・・・・・そうか・・・もしかしたら 私は・・・




足が 動き出した。



・・・やっと本当に自分が知りたいことに辿り着いた。
神ならば 私の問いに答えてくれるだろう・・・





周りの闇から恐怖が消えていった。


「神よ・・・・・・・

私は知りたいことがあって ここに参りました。

父は・・・ 大召喚師ブラウンは・・・

ここで何を想っていたのでしょうか?

父は どんな会話を・・・・・・・・・・・・・」






・・・・・・・暗闇に 誰かの気配がした。

・・・!父上?!


突然、その場が・・・父のいた時の姿が 眼に浮かんだ。
それが本当に見えているものなのか、は、自信がなかったが。 

だが、今・・・その少年は自分のすぐ前に立って言葉を発した。

「・・・神よ、冥界の神よ。私は召喚師になりたいのです。自分の中の死への恐怖を
乗り越えて神々の力をお借りしたいのです。この試練の意味が分かりました。
私はここで果てる運命なのですか?どうぞ、私の未来への道をお示し下さい。」

いきなり目の前に父が生まれた瞬間が見え、まるで神の手が本のページを
めくる様に凄い勢いで父の人生を見せてくれたのだ。

父である少年は言った。「・・・・神よ!!感謝します!!!」



暗闇が戻った。

ルナゲート王は力が抜けて、座り込んでいた。

父は・・・あんな小さい頃に、死を覚悟したというのか?
そして、あの・・・・今 観たのは、本当のことなのだろうか?





「大切なことは 目に見えぬのだ」

・・・父の言葉の意味を、私は本当には わかっていなかったのだ。

魔法使いはなんと驕った考えを持っているのだろう。

自分も・・・



父が 笑っている・・・

お前にも 大切なことが できただろう?





・・・はい、 父上・・・


・・・でも 今は 少しだけ 泣かせてください。

父上に廻り会えたこと・・・ここに 来れたことが

嬉しいんです・・・・・・・・・・・・・・



「神よ・・・・・・感謝します!」





しばらくして自分が社の扉の前にいることに気がついた。

扉から漏れる光が、外の変わらぬ世界の存在を示していた。
ぎいいいっと扉を押して、光の真ん中へ歩んだ。

「ただいま帰りました」

「おかえりなさい!」ネミッサの声はかすれていた。

外の世界が少し変わっているように感じて、ネミッサに訊いた。
「時間が・・・過ぎているんです。外と内では、時間の流れが違うのかもしれません」

草が伸び、辺りは確かに空気も暖かくなっていた。「そんな?!」
「そうなんです。1週間が過ぎました」

ルナゲート王は自分のあごの髭を触ってみた。さっきまでは無かった筈の髭が
つんつんと生えてきた。ネミッサの姿も疲れているようにみえた。

「ネミッサさん・・・私は、私の父に会いにいきました。
・・・でも、あの場所で見た筈の出来事を、思い出せないんです。

冥界神の御前で起こったことは、語ってはいけないことなんでしょう。
・・・私は、今は言葉にならないことでも、それが本当に起こったことなんだと
気づいたことが嬉しいんです。・・・私は、もっと素直に・・・
王である前に、父の息子であったことを喜べる気がします」


石碑の前に立って、その言葉を再び見上げた。

と、その足元から、植物が伸びていった。
みるみる内に、石碑の前にその枝は茂って、花を咲かせた。

「!・・・・・・・・・・カーライルの ピンクのバラが!!」ネミッサは驚いて声をあげた。
「母の、バラだ・・・・・・・・・・!」ルナゲート王はひざまづいて、その奇跡を見ていた。

バラは石碑に寄り添うように咲いていた。

「母も、私がここにきたことを喜んでくれているんですね・・・」

「きっと、これは・・・・・あなたが起した奇跡なんです。
ルナゲート王。私は、あなたがもう大丈夫なのだと確信いたしました。

・・・オランティア様のところへ戻りましょう。そして、カーライルへ!」

「はい!

・・・・・・・・父上、母上・・・これからも、私とカーライル国を見守っていてください」


二人は再び鳥に変化すると、神の山をぐるりと廻り、オランティアの山へと飛び立った。
それはまるで2羽の鳥が、山へ別れの挨拶をしているようだった。

風が2羽を運ぶように吹いていた。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-05-25 23:05 | ファンタジー小説Ⅶ
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祈り




若い頃の ミモザさんの肖像画
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by f-as-hearts | 2011-05-24 15:30 | 祈り
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い

ミディ・ジック    ・・・・・・・・・27歳      カーライル魔法兵士




第  11  話 





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



外では崩れぬ結界にその魔法力をぶつけ続けて、魔法兵士達が次々と脱落していた。
その中にミディもいた。ミディはシェリマのことを想っていた。

魔法を習う二人は、よく自分達の未来のことを考えていた。

「私は卒業しても、カーライル王国の兵士として残るつもりよ」
そのことになると、シェリマは頑として首を縦に振らなかった。「俺は、ここを出る」
「出て、どうするの?どこかで魔法を教える?」「・・・・・・・・・・・・・・・・・いや・・・・・」

シェリマはいつもそこで黙ってしまった。ミディは自分と一緒にいて欲しいと、言えなかった。
だが、シェリマはその話をする時以外はミディにだけは優しかったのだ。



薄れてゆく意識の中で、ミディはぼんやりと考えていた。

ミディの魔法力は尽きた。浮遊術も消えてひとり、落ちていった。




ドサッ・・・・・・・・・・・



それは硬い布団に落ちたような感触だった。ヒュウウウウウウ・・・・・・・と風の音が
細い隙間から起こって、ミディを包んでいた。
「その子か?」「ああ」「間に合ってよかったな。じゃ、ちょっと挨拶してくるか!!」




バサッと その巨大な鷲の羽根を広げると、司令官らしい男の前に急降下しながら
ユーリは叫んだ。


「カーライルの司令官に告ぐ!元老院のネリデ元帥が直々に話したいそうだ!
今すぐ攻撃を止めろ!!!」

塔への攻撃が急に止んだ。司令は鷲の前に姿を現した。
竜の姿でシェリマはユーリの隣に並んだ。

黒い竜が片手を開くと、そこにネリデ元帥が捕まっていた。司令官は驚いたが、ネリデの
顔を見て操られていないとわかり、竜の方を睨んだ。
ネリデは手を縛られていたが、毅然とした態度で言った。


「司令官、私はネリデ元帥だ。


私は、私の意志で話している。

これは元老院の一致した見解なのだが・・・
あの結界は崩れぬ。

あの魔法は特殊なのだ。
詳しくは知らぬが、どうやら時間魔法らしい。
その結界では魔法は無効になる。



・・・この状況を鑑み、元老院は軍の撤退を命ずる。

よいか、これは決定だ」

司令官は頭をひとつ下げると、すぐに全軍撤退を皆に通達した。

兵士達はすぐに動けなくなった者達を連れて、次々と飛んでいった。
司令官はネリデ元帥には目を向ける事無く、大鷲に変化して飛んでいった。

「・・・・・これで、気が済みましたか?」
「ありがとうございます。・・・先生、でもまだお仕事していただかねばなりません。
約束ですよ?あの結界魔法の謎を教えたんですから、元老院に我々を通して下さい」

「わかっています」ネリデ元帥の口はまた布で塞がれた。その眼は激しい怒りをあらわに
していた。

「シェリマ、女の子を安全な場所に連れて行こう」
「・・・俺が連れて行く。ここで待っていてくれ」


シェリマは気を失ったままのミディを抱いて、月の塔をのぼっていった。
扉の向こうのツァーランガは、黙ってミディをベッドに寝せるように手で指し示した。

「・・・彼女は、悪くないんだ。・・・兵士はただ命令通りに動くだけなんだ」
「そうですね・・・」「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
「分かり合うことが出来るのは、幸せです」

「・・・・・・・今は、何もわからないんだ。何故俺は、ここにミディを
連れてきたのか・・・・

ただ、ここはミディには安全なところだと思った。

・・・勝手なことを頼んでいるのはわかっているんだ」

「いいえ・・・それは間違ってはいないですよ」

ツァーランガは全く笑っていなかった。ただ真剣に言葉を選んでいる、シェリマは
そう感じた。

「いいや、俺は勝手なことを言っている。情けないが、俺には力が無い。
ミディには、もう会わない。起きたら、そう伝えて欲しい。

・・・俺を忘れて、生きてくれって・・・」

シェリマは扉から出て行こうとした。

ツァーランガはシェリマに声をかけた。

「大切な人を忘れて生きてゆく道を 選ぶのですか?」

シェリマは一瞬、立ち止まった。

「俺にはそれしかない」







「待って・・・・」


シェリマは声を振り切るように階段を下りようとした。

「待って、シェリマ・・・」

ミディが、ベッドから身体を起して呼んでいた。


「シェリマ、助けてくれて、ありがとう。

シェリマがいてくれたから、私はがんばれたのよ。

どこにもいかないで、ここにいて、お願い!」

ミディは泣きながらベッドから降りようとした。


シェリマは階段を駆け下り、そして竜の姿になって羽ばたくと、弱い自分の心を
嫌悪して大声で叫んだ。ツァーランガはその声を聴いていた。

空に星が瞬き始めていた。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-05-22 01:27 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い





第  10  話 



シェリマの後を密かにつけていた魔法兵士達が、ネリデ元帥達の馬車の到着を
待っていた。
「ネリデ元帥、あの山小屋に竜の男が住んでいるようです」
「ご苦労様。・・・あとは私達がやるから、あなた達は帰ってスラー元帥に報告して」
馬車の中のネリデは、手袋をはめ直すと馬車にいる部下の男に言った。
「竜とやりあったことは?」「ありません」「そう。まあいいわ。見ているだけでも」

ネリデ元帥は呪文を唱えるとその山小屋に結界を張り、部下にその結界の外で待つ
ように言った。ネリデが山小屋に向かうのをじっと部下達は見ていた。
「ネリデ元帥の幻術は怖ろしい。・・・私はつくづく元帥の下で働けてよかったと思ったよ」
「?どういうことだ?」「あの方に幻術をかけられずにすむからだ」「・・・・・・・・・・・・・・・・」



ネリデが山小屋に到着した時、シェリマは術中にはまっていた。
シェリマは山小屋に入ってきた女に声をかけた。

「!!ミディ?!なぜここへ・・・」「あなたを追いかけてきたの」「馬鹿な?!そんな
ことをしたら」「危険は覚悟の上よ」

さっき自分を止めに入ったミディ・・・彼女は魔法学校を卒業した時言っていた。
・・・私はカーライルの兵士として残るわ。でもシェリマは行くのね?・・・

ミディはシェリマに抱きついた。
「兵士としての任務はどうしたんだ」「私はクビですって」「!!!なんだって?!」
「シェリマ・・・・・・・私を追い出す?私にはもう戻る場所はないの」
「やめてくれ!!ずっと前に、俺は君とは違うって言ってある筈だ!!早く出て行け!」

ミディの眼から涙が流れ落ちた。
「半竜だから?」「そうだ」「同じ魔法使いなのに?」「同じじゃない!俺は・・・
俺は、あのガラティアの・・・息子だ・・・」
ミディは首を振った。「そんなことは関係ないわ・・・」




コンコン・・・・

扉を叩く音がした。

「関係あるね!!」

ミディが驚いて振り向いた。「誰?!」

「そっちこそ、どなたさまで?俺の友人にずいぶん無礼だよな?」

そこにはにやにや笑いながら立っている男がいた。

「ユーリ??」
「ふん、シェリマ、おまえ誰と話してんの?そいつ、誰だよ?」
「誰って・・・」シェリマは、はっとした。「ミディ・・・・・・・???」

女の顔から薄い仮面が剥がれるように、別の顔が見えてきた。


「・・・・・そっちは、ユーリか・・・・・邪魔な子だこと!!!!
いたずら小僧のあんたが王様とは笑わせるわ!!!
・・・幻術を台無しにしてくれたからには、覚悟はできているんでしょうね?!」

「おーーー!!ネリデ先生でしたか!!!相変わらず趣味の悪い魔法を
究めていらっしゃいましたか!!!

ふん、あんたこそ、覚悟はいいんだろうな?!
俺は相変わらず反抗期なもんでね!!」

突然山小屋の上空が真っ暗になった。激しい雷がドガドガと降り始めた。
「ここで、あんたとやりあえるんだったら、今日は本当にいい日だ!!!!」

ユーリの水色の眼が光ると、ネリデに向かって隅にあった綱が巻き付くように跳んできた。
ネリデはそれを、一瞬で猛毒のコブラに変えて、ユーリに向かわせた。
シェリマはそのコブラの尻尾を踏みつけ、元の綱に戻すと、それに火をつけて両手で掴んだ。
ネリデはその炎の綱を見ると、笑った。
「火はあなたのお得意だったわね。でもこんな狭い家で火遊びはいけないわね!!」
ネリデの全身から吹雪が噴出して2人はその爆風に吹き飛ばされそうになった。
閉じた眼を開けると、そこにはもうネリデの姿はなかった。

「カトリーヌ!ネリデはどこいった?」
(風に乗って1匹の蜂が飛んでいったわ。あれ、ネリデかな?)
「それだろう。どこに向かってる?」(外で待ってる馬車の方よ)「わかった!探すよ」

「シェリマ!話は後だ、ネリデを捕まえるぞ!!!」
「・・・・くそっ!!ユーリ、お前は関わるな!!!!」そう言うとシェリマは再び竜に変化した。
「うるせー!!!俺もあいつをやっつけたいんだ!こんな絶好の機会はないからなっ!!」
「勝手にしろ!!!」「おおっ勿論そうさせてもらうぜ!!!!」
ユーリは鷲に変化して飛び立った。

・・・ユーリはカトリーヌとテレパシーで話していたらしいとシェリマはわかっていた。
ユーリとカトリーヌは双子で、昔から魔法を使わなくても話をすることができる・・・
ユーリは迷わず結界の外の馬車へと飛んでいった。シェリマは上空からその場所を探して
飛んだ。

ネリデはユーリが追いついてきたことに驚きながらも、部下に合図すると、部下はすぐに
巨大な牙を持つ怪物に変身して襲い掛かってきた。

「はっはっ!甘いなっ!!!俺、そういうの相手にしないから!!!」
ユーリは言うがはやいか、自分で巨大な鉄の鎚に変化すると怪物の両足を思いっきり
叩いた。怪物は悲鳴をあげて、元の魔法使いに戻ってしまった。

「痛いよな~~~!!俺って悪い奴~~~!!!」ユーリはすぐに元の姿に戻ったが今度は
剣を持っていた。「でさ~~~?俺って剣術の方が得意って知ってた?」
部下はユーリの姿に驚いた。
「ま、まさか??ラインハルトの剣王???」「そうともいう」「げえええええ?!!!!!」

部下は真っ青になって魔法でネズミに変化して逃げ出した。「あらら??もう撤退??うそっ」
隠れていた蜂のネリデは、今度は巨人族に変化すると、氷結魔法を唱えて辺りを凍らせた。
「ネリデ先生こいつは幻術でしょ?」「永遠に凍ってて頂戴」「まったまた~~~~~!!!
確かに冷凍保存は長持ちだけどさ」ユーリは剣を振った。「俺って短気がウリなんだな~!!」
剣に炎を纏わせて、ユーリは自分の周りの氷を溶かした。

上空から急降下して、黒竜は激しい炎を巨人にぶつけた。

「シェリマ、遅いぜ!!!!!」「ぬかせ!!!!」

ネリデは思わぬ方向からの攻撃に倒れ、元の姿に戻った。
「さて、これでやっと話ができるってことですね、ネリデ先生?」
ネリデは呪文をしゃべれないように布で口を塞がれていた。
「冗談は後だ。ユーリ、俺は元老院のところへ行く」
「あんまりいい考えじゃないが、俺も行く」「好きにしろ」「おおっ!!!」







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-05-18 03:04 | ファンタジー小説Ⅶ
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祈り


水晶の山々
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by f-as-hearts | 2011-05-13 00:13 | 祈り
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネミッサ       ・・・・・・・・・43歳      妖精国ヴァルヌス王妃 魔法使い





第  9  話 



「ネミッサ!本当に行くのか?」
フェーンは妻を抱き寄せると、その瞳を覗き込むようにつぶやいた。
「私も行けたらよいが・・・」「フェーン・・・その気持ちだけで嬉しいわ」
フェーンの腕に力が入って、ネミッサは驚いてその顔を背けようとした。
「君はどうして私に助けて欲しいと言わない?」
「王に頼むのは・・・」「わかっているよ。でも君は離れることの辛さが
わかっていない」

そういうとフェーンは部屋の鍵をかけた。
「・・・笑ってもいいよ。君は魔法使いだ。こんな鍵は意味がない」
「いいえ・・・そんなこと・・・



・・・・・・・愛しているわ、あなた・・・」

フェーンは本当に心配してくれているんだ・・・
ネミッサはその優しいまなざしを心に刻んだ。



そして、ネミッサはここに来たのだった。

オランティアの隣で少し憔悴した顔の王は、召喚師ブラウンが若かりし頃よりは美男子
かもしれない。でも良く似ている・・・ネミッサはそう思った。

「ネミッサ・・・さん、私は記憶を失っていたのだ。それが元老院達のはかりごとと聞いて
・・・まだ信じられぬが、今はどう戦うべきか考えねばならない。
私の魔法力を上げるには、どうしたらいいのか、一緒に考えてくれぬか?」
「はい、精一杯努めさせていただきます。オランティア様、以前ブラウン様から教えを
受けたことがありますが、あの神々の山は受け入れてくれるでしょうか?」

「!召喚師の試練、神の社か?!・・・それは我々でもわかりかねますが・・・
ブラウンの息子であれば、確かに行なえるかもしれないですね。
だが・・・召喚師ならぬ身で、それを最後まで行ったものはいない筈です・・・

ルナゲート王、あなたは父と同じ試練を受けてみる勇気はおありですか?」

ルナゲート王は頷いた。
「父は・・・まだ10歳にもならないうちに、その試練を受けたと聞いた。
もしも、それが可能なら、私も試練を受けてみたい」

ネミッサは頷いた。
「神が受け入れぬなら、山は私達を一歩も登らせないでしょう。
きっと何かがわかると思います」

ルナゲート王とネミッサは魔法で鳥に変身すると、神々の山へ飛んでいった。
オランティアは私をみると、一言言った。
「アズ、何故止めなかった?なんだか嬉しそうにさえみえるが?」
「はい・・・きっとやり遂げられるだろうと思いましたから」「そうでしたか」

「そうだ、カイト王。ユーリ王とカトリーヌ王女にも連絡をしておきましょうか?」
「そうですね・・・」
「ふふ・・・カイト王は相変わらずユーリ王は苦手ですか?」オランティアは笑った。
「いえ、そういうことはないですよ!」「どうかしたのですか?」私は興味があると
すぐに訊きたくなってしまう性格だ。カイト王はあっさりと言った。

「彼は、いたずらが好きでしてね。だがまあ、慣れましたが」



・・・・・・・・・・・・・・・・・神々の山・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


2人は会ったのが初めてとは思えないほど、その魔法は似ていた。
ネミッサが隼に変化したのと同時に、ルナゲート王は鷹に変化していた。
スピードも大きさもほぼ同じ2羽は、素晴らしい飛翔力で神々の山へと向かっていた。
山が間近に迫ってきたところで、ネミッサはその麓へ降りた。王もすぐにそれに従った。

そこからは黙々と2人は山を登っていった。
口をきく事もいけないとは言われていなかったが、ブラウンの言葉を王は覚えていた。
「その山はすべてを観ている・・・」
ネミッサはそれは知らなかったが、山の神聖な気に、だんだんと声を出してはいけないと
思うようになっていた。

険しく細い道を岩につかまりながら登って、中腹に来た途端、真っ白な霧が布団の綿の
ように落ちてきた。すぐ近くに2人はいるのに、まるでその姿も声も5感の全てが働かなく
なって見えなくなっていた。「これは・・・??」

2人にはまったく違うことが起こった。

ルナゲート王の前には、王国の伝令だというものが、カーライル王の不在で国の元老院
が偽者を王に仕立てて、国を乗っ取った、と告げに来た。早く戻ってくださいという、その
伝令は王の親友とも呼べる人物だった。

ネミッサの前には、フェーンが現れた。さっき別れた時の姿のまま、まるで霊体のように
そこに立っていて、ネミッサに会いたくてこうして来たが、ネミッサに自分の所まですぐに
戻って欲しいと、心配で心が張り裂けそうだと訴えた。

2人はここで、それぞれがもつ一番の不安と問題に答えを出すしかない、と気がついた。
2人は異口同音に、答えた。

「今は、前に進むしかない・・・その為にここにきたのだから」

霧は晴れた。2人は苦しさにあえいでいたが、互いがどれだけ辛かったかを思い、何も
言わずに先へと足を進めた。

頂上に・・・その社はあった。
そしてその祠のそばに、風化しぼろぼろになりながらも、召喚師の名が刻まれている
石碑が建っていた。

ルナゲート王はその石碑を見て、あっと声をあげた。




            まだ 見ぬ 我が子へ

    
     この 石碑に おまえの名を 刻む日が 

     来ないことを 願う 私は  

     最後の召喚師として ここに 記す


     我が子よ 

     父は おまえを 誇りに思う

     全ての生命に 同じ道は ないのだ

     自分を信じて 進め



             ブラウン ローゼズ 




2人はこの石碑を見たのは初めてだった。そこには沢山の召喚師の名が刻まれていた。
そしてそれらにはいつ亡くなったのかも記されていた。
2人は雷に打たれたように立ちつくし、その石碑を見つめていた。
全ての召喚師の村、何千人もの召喚師が・・・全て・・・
ブラウン召喚師の名が最後で・・・そしてその石に刻まれた言葉がルナゲート王を待って
いた。

ゆっくりと・・・そこにあるノミを手に取ると、王はブラウンの名の下に亡くなった日を刻んだ。


「父上・・・ここに 私は着ました。
私は、何故召喚師になれと 父上が言わぬのか、悩んだこともありました。

王として、私は試練を受けます。

それでいいんですね・・・」


ネミッサは泣いていた。石碑のその言葉と、ブラウンの強い想いが胸に響いていた。
ルナゲート王は祠の扉が開いていることに気がついた。

「・・・いってきます」

ネミッサは王の背中に祈った。 ずっとその姿勢のままそこに立ちつくしていた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-05-07 00:42 | ファンタジー小説Ⅶ
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祈り


壁の絵
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by f-as-hearts | 2011-05-06 22:38 | 祈り