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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

<   2011年 04月 ( 17 )   > この月の画像一覧

・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 
クオール卿     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

スラー元帥     ・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ネリデ元帥     ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い

ジジッドー卿    ・・・・・・・・・・???     元老院 カーライルの魔法使い




第  6  話 




・・・・・・・・・・・・・・・・・・カーライル王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


元老院のスラーはルナゲート王にかけた幻影魔法が、ああも容易く解かれたことに
怒りをあらわにしていた。

「なんという失態だ!我ら元老院の秘術を破られるとは!!これではあの3賢者に
この国の政治をあやうくされてしまう」
「もっとも、政治に干渉してくるかどうかは未知数じゃなくて?」ネリデは元老院の
ただ一人の女性魔法使いだ。「あの王に期待した私達が馬鹿だったのよ」
「王政は揺るがぬ」ジジッドーは魔法書のページを書き込みながら言った。
「あの結界を瞬時に返したのは、圧倒的であったな。特筆すべきものだ」
「オランティア!!あの化け物は何故この国に反発する?!元々ディオリア国に
特殊な結界を張っていたのは、あの3賢者達じゃなかったか?!
我々のしていることと、どこが違うと言うのだ!!」

ジジッドーはそれに答えて言った。「魔法の書によれば、あれは精神時間領域魔法という
最強にして最高の魔法と言うぞ。3賢者が発現と覚醒と深闇の力を持って初めて行なえる
ものらしい。なんという奇跡」「感心するのは後にするべきね」「その魔法の効果は?」
「・・・これか、ほほう!その結界の中では呪いを受けたものはその呪いからは逃げられぬ」
「!!それ・・・は・・・?」「特定の条件で発動する魔法、そういうものだと書かれておる」

スラーはぞっとするような笑いを浮かべた。
「そういう、未知の魔法を我々は会得すべきだと思わないか?
我々にはその力がある、そうだろう?」

突然、そこに消えていたクオールが戻ってきた。「クオール卿!戻られましたか」
「ジジッドー卿、その魔法の書にもうひとつ記載すべきことがある。
・・・3賢者には手をだすな! 彼らは我々の理解を超えているのだ」
「何を臆病風に吹かれている?たかが魔法返しくらいで・・・」
「そういうレベルではないのだ!彼らは・・・次元の狭間を知っている!!」

皆が押し黙った。
「馬鹿な??生きとし生ける者が知ることなどできぬ次元であるぞ?」

スラーはふんっと鼻を鳴らした。
「それがどうした!我々には数万の魔法兵士がいる。私の傘下の軍を、今彼らのいる
月の塔へ向けた。・・・強力な結界ですぐに捕まえてみせる!!王も、オランティアも!!」



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「来ましたか」ツァーランガはカップをテーブルに置いた。
「ええ」オランティアは落ち着き払っていた。

私はカイト王とルナゲート王が顔を見合わせて、悩んでいるのを見ていた。
「お二人は、何故慌てないのだ?」「それはきっと・・・」カイト王が答えた。
「ここは大丈夫だということなんですよ」

カーライルの魔法兵士達は幾重にもこの塔を取り巻いて、魔法で作り出した火球と雷
の槍を塔にぶつけてきた。

ズダダダダダダ!!!!!!轟音が響き渡った。
しかしその攻撃は月の塔に届くことはなかった。

「何が起こっている??」その軍の総司令官が塔に攻撃が当たらない事にいらいらし
ながらその場で怒鳴った。「お前達、最大魔法で攻撃しているんだろうな?!」
兵士が叫んだ。
「強力な結界です!!!総司令!!!」「そんなのはわかっている!!!
お前達何人分の魔法力だ??1千人分の魔法力で破壊できぬ結界など、この世に
ある訳が無いだろう!!だから、最大魔法力を投入しているのか?と聞いてるんだ!!」


月の塔の中ではルナゲート王が光と爆音が窓から飛び込んでくるのに驚き、カイト王に
また訊ねた。「どういう魔法なのだ??こんな強力な結界を、私は見た事が無い!」
「精神時間領域魔法です」オランティアが答えた。
「この塔やこの領域にいる者達への攻撃は、全て無効になります」
「カーライルの魔法の書には、そんな魔法は載っていなかったように思う」

「これは我々3賢者のみが唱えられる魔法ですから。

・・・その昔、ディオリア国はオランティアの住む国に戦争を仕掛けたのです。
それが長引くことはどちらの為にもならないと判断し、オランティアの国に入ろうとする
者で戦争を仕掛けようとする者達に、呪いがかかるように魔法をかけました。
同じようにこの月の塔にも、破壊や攻撃をしようとしても、それらが無効になる結界を
かけたのです」

「・・・無効になる??それは・・・魔法が消えるということか?」
「そうです」オランティアの返事にルナゲート王は唸った。
「それは、魔法使いの力を無くすこともできる・・・反魔法というものではないか?」

ツァーランガが驚いて訊ねた。
「どこでそれを?・・・・・・・・大召喚師ブラウン閣下ですか?」

ルナゲート王は頷くと言った。
「父はいつも魔法を研究していた。最後の召喚師としての務めであると言っていた。
・・・3賢者の魔法は、その父の魔法術をもってしても理解できなかったようだ。
時間が鍵だと・・・言っていた。 時間魔法は、それを継承することは出来ぬと」

「流石、大召喚師殿。ルナゲート王は父上とよくお話をされていたのですね」
「そうなのだ・・・私は3賢者殿にお会いできる時には、是非その魔法について
伺おうと思っていた」そこまで話しているうちに、ルナゲート王は父が魔法書に記して
いたことも思い出していた。「・・・もしかしたら、父は何か書き出していたかも知れぬ」

「そうでしたか。・・・ルナゲート王、しかし今はそのことを詳しく話している場合では
ないようです。なぜならカーライルはこのままではどんどんエスカレートするだろう
からです」

外の爆音と光は止まず、確かに賢者の心配は的を得ているようだった。
「アズ、占ってみてくれぬか?あの魔法使い達は諦めぬか、どうか」

私はすぐに占ってみた。「・・・・ダメですね・・・現在が皇帝の逆位置で、未来は
力の逆・・・・・・・敵はあきらめる気は無いようです。
気になるのは、この皇帝のカードですが、確か元老院は4人でしたね?カードでは
この皇帝はその4人ではない、別の人物を指しているようなんです」

「皇帝は、王ということでは?」「いえ、これはあちら側の人物です。つまり・・・
もう1人、彼らの上に立つ者がいるという意味になり、そしてその人物は独裁者です」
「・・・その人物に心当たりはないのか?」オランティアがルナゲート王に尋ねた。
「わからぬ・・・占いにはなんと?」「・・・魔術師・・・やはり魔法使いですが・・・
星のカード・・・大きな力をもつのかというと、イエスで星のカード??どういう意味?」

「アズ、そなたにもまだわからないのですか。ならばそれは、まだあきらかにならぬもの
ということなのでしょう。・・・ツァーランガ?どうかしましたか?」



ツァーランガはじっと北の方角を見つめていた。

「オランティア・・・君はこの方々を安全な場所に避難させてください。
シェリマが、この月の塔に向かっています」

オランティアは黙って頷くと3人に手につかまるように言った。
瞬時に私達はオランティアの屋敷に移動していた。



シェリマはへクトールと話ができなかったことに苛立っていた。
その怒りは彼に消化できるものではなかった。そのまま、ツァーランガにぶつけたくなった
のだ。荒れ狂う風に乗ってシェリマはディオリア国の月の塔へ向かっていた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-04-28 09:33 | ファンタジー小説Ⅶ
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祈り

菜の花の
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by f-as-hearts | 2011-04-28 01:11 | 祈り
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王

へクトール     ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 深闇のへクトール
 



第  5  話  


シェリマは、カーライル王国で魔法を習っていた頃に、マレーネ女王が人知れず
ため息をついていたので、その訳を聞いたことがあったのを思い出していた。

「魔法使い達は、自分達の力を過信することがあります。
・・・・・・出来ることと、してよいことの違いを、時々説く必要があるのですが・・・

シェリマ、あなたは、魔法使いになってよかったと思いますか?」

「よかったと思います」「そう・・・・・・」そう言って微笑む女王の顔は優しかった。
「ずっと・・・・・・そう思えるような国であるように、私達は頑張りますね」

シェリマはその時、女王に話したいことがあった。
だが、時は光の速さで過ぎ去って・・・女王はもういない。
黒竜のバラグーンは、シェリマが魔法学校を卒業した日に出かけたまま帰ってこなかった。
きっと、母との約束を果たしたと思ったんだろう。

走馬灯のような記憶が通り過ぎていった。
シェリマは首を激しく振ると、スピードをあげて大空を飛んでいた。
彼はとある場所を目指していた。

その山の麓には城がひっそりとあり、その暗い森と城の様から( 影喰いの森 )という
あまりありがたくない名がついていた。
その城は誰もいない・・・無人の城で、その為に訪れる人とてない、寂れた雰囲気が漂って
いた。

その、玉座は部屋の真ん中に鎮座していた。

コツコツコツ・・・・・・人の姿に戻ったシェリマは、その玉座に近づくと言った。

「・・・水竜のへクトール、半獣の黒竜シェリマだ。

訊きたい事ができたんだ。・・・・・・・教えてくれ」


すうっと音も無く影が現れた。その姿は黒いフードで黒い肌を隠して、閉じられた目は
玉座に座った姿勢でどこにも向けられてはいないようだった。水竜にして魔法使いの
へクトールはシェリマの問いかけに耳を傾けている、そんな様子だった。

「へクトール、賢者オランティアと占い師が俺のところに来た。
あんたは3賢者の仲間だろ?オランティアは今更どうして俺に、カーライルや・・・
母のことを言ってきたんだ?何か知っているなら、教えてくれ」

へクトールはゆっくりと話し始めた。

「シェリマ・・・・・か・・・ああ  オランティア・・・・・・・・おまえたちの・・・・国に
・・・ふん・・・・・・気持ちの悪い・・・ものが建っている・・・な

おまえが・・・どっちに つく・・・か・・・・・それだけだ・・・」


シェリマは頭を振った。

「俺は・・・バラグーンから、母はツァーランガを救う為に闇に落ちたと聞いた。
ツァーランガは覚醒の賢者になった。

バラグーンが、その後俺をここに連れてきたのも、いつか・・・その闇のことを
訊きにくることになるだろうって・・・

へクトール・・・

俺は母の罪は聞いた。

・・・俺は母を許す気になれない」


へクトールは表情もなく言った。

「・・・どちらにつく・・・か・・・それがおまえ・・・だ・・・誰も こたえ・・・を もたない」
へクトールの姿は消え、玉座は白く光っていた。

「へクトール!」





・・・・・・・・・・・・・・・・ディオリア国 月の塔・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


ツァーランガはヘクトールの声を聴いていた。

「・・・・・・・シェリマは悩んでいるようですね。ヘクトールは答えを出すのは自分だ
と伝えたようです」

オランティアは頷いた。「彼には時間が必要です」
「あなたの言葉は揺ぎ無いから好きです。しかし、彼の心は固まることは無いかもしれません」
「そうであっても、気づかねば何も変わらないのだ・・・ツァーランガ、あなたのようには」
ツァーランガはくすっと笑った。「心を覗きましたか?いけない人だ」
オランティアも笑っていた。

ルナゲート王は2人の会話がまるでわからなかった。カイト王は説明した。
「3賢者はどんなに離れていても、その行動も心も通じているそうです。
特に、覚醒のツァーランガは声も聞けるそうです。シェリマはヘクトールに会っていた
んですね?兄さん」

「覚醒という役割の持つ力の1つなのです。王には魔法と言った方がわかりやすい
でしょうね。覚醒、発現、深闇・・・

オランティアは”発現の力”。
昼の太陽、明らかになるもの、外へのエネルギー、光、絶えず進行する・・・・
ヘクトールは”深闇の力”。
夜の闇、隠されるもの、内なるエネルギー、暗闇、停止し沈黙する・・
そして、私は”覚醒の力”。
朝と夕の霞、目覚めとまどろみ、拡散し消えるエネルギー、薄暮、動き出す前と止まる前・・・

これらの力は、誰かがその力を失うと、継ぐ者が現れるのです。
私は、妖精族のベイリンドから引き継ぎましたが、私を知っている者で私をその継承者だ
と思う者はいませんでした。

ただ1人・・・オランティアを除いては・・・」

「私は、ツァーランガが自分の力に覚醒するまで、見守るしかなかったのです。
それが私の、役割だと知ったから」

カイト王はやっと謎が解けたと言った。
「私は、ツァーランガ兄さんと戦っていた時、何故オランティア様は共に戦わないのか、
不思議でしたが・・・そうか!
水竜へクトールを止めようとした時、どうしてあんなに辛そうだったのか、今やっと
わかりました。・・・ツァーランガとヘクトールが戦うなんて、オランティア様には辛い
ことですよね」「・・・・・・・・」「あの時は、そうすることでしか悪魔を抑える事は出来なかった。
オランティアの苦しみは私に、今を耐える力をくれる。真理はどこにあるのか教えてくれる。
3賢者はその役割が違うからこそ、存在するのです」

ルナゲート王は不安を隠せずにいた。カイト王はどうしたのかと尋ねた。
「だんだん・・・思い出してきたのだが・・・今のカーライルは魔法使い達に牛耳られている。
魔法使い達は・・・強力な権威を持つ元老院が4人、そしてその組織は魔法使いのレベルに
応じて3段階に分かれているのだ」


ズダダダダーーーーーーーン!!!!

「なんだ??」カイト王はすぐに窓から外を見た。

「カーライルの魔法使い?!」

月の塔を取り囲むように黒いフードの魔法使い達が空に浮かんでいた。








・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-04-26 23:59 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫

カイト王       ・・・・・・・・・38歳      ディオリア国 国王





第  4  話  



オランティアは静かに息を吸った。

「・・・アズ、よいか?

・・・王に何が必要かを 思い描くのだ。もうすでに理解している筈。
この世には常に時代の中で特異点となる人物は存在する。

覚醒のツァーランガ然り。ルナゲート王然り。
私やお前は、その人物達のそばにあって支える立場にあるのだ。

この魔法使い達には我々の言葉は届かない。
・・・ならば、戦うしかなかろう」

じりじりと魔法使い達が周りを取り囲もうと動いているのがわかった。
オランティアの横顔を見て、私は言った。

「私にはなんの力も無いので、どう戦えば?」

「おまえは予言者だ。その目に何が映る?
・・・・・ここに我々だけしかいないと思うか?」





・・・・・・・そうだった・・・・・・・・


「ルナゲート王よ!!

そなたを護るは 大召喚師と 大魔法使い!!!

2人の最後の言葉を 思い出すのだ!!」


「何をふざけたことを・・・・?!」元老院の男達が私とオランティアに呪をかけようと
呪文を唱え始めた。「そんな生半な言葉で、我々にーーーー」

ルナゲート王はゆっくりと玉座から降りた。




「・・・愛する息子よ この声も この言葉も そなたを守り育ててきた。

その輝きを護る為 記憶に宿ろう・・・永遠に・・・・・・・・」


王は 目を上げると、はっきりとした声で言った。

「・・・2人の言葉を思い出させてくれた者よ、そなたらは誰だ?

私は何故、ここにいる?・・・・・・・・魔法使い達よ、私は何をしてきたのだ?」


元老院の魔法使い達は慌てふためいた。
「そ・・・・・そんな、まさか??

王よ、我々はいつも御側で王に仕えて参りました!それをお忘れですか?」
「・・・・何も・・・わからぬ。・・・・・・・両親が亡くなって・・・・
お前達は私に、何をしたのだ?!」

オランティアははっきりと告げた。

「王よ!!彼らは貴方に仕えてきたのではない!!
真実を知りたいのならば、我々と来るのだ!!!!」

魔法使い達はそうはさせじと結界を掛けようとした。オランティアは瞬間移動の魔法を
発動し、私と王の手を握った。

瞬きの間に、私達は月の塔の真下に到着していた。

王は驚きのあまり目を瞬いていた。「ここはどこだ??」
「あ・・・・・・月の塔・・・ですか?」くらくらする頭に手を当てて、私は訊いた。
「そうだ。・・・・ディオリア国の3賢者の一人、覚醒のツァーランガが幽閉されし塔だ。
彼はルナゲート王を待っている」


3人は塔のツァーランガの待つ部屋へと歩いた。
塔の門に立派な鞍を外した馬が2頭、並んで繋がれていた。オランティアはすっと門を
開け、石段を上がっていった。

月の塔は螺旋階段で塔の中を壁に沿って上がるようになっていた。ひんやりした風が
開いた窓から通り抜けていて、少しもかび臭くはなかった。頂上の扉を開けると、そこに
ツァーランガがいた。そして、もう一人・・・・・・


「国王、こちらにおいででしたか」オランティアの言葉に、その人物は振り向いた。
「オランティア様、お久しぶりです。・・・兄さん、皆がルナゲート王を連れてきてくれたよ」

開かれた鉄格子の椅子にツァーランガとカイト王が座って、にこやかにこちらを見ていた。
「この方は、カイト王、そして、彼が覚醒のツァーランガ、3賢者のひとりです」

「カイト王?!・・・そうか、ここはディオリアだったのか・・・

初めまして。カーライル王国のルナゲートと申します。
お二人にお会い出来て、光栄至極にございます」

オランティアが椅子を出して皆が座った。

「何が起こったかも、おわかりではないと思うが・・・
順々にお話をさせて頂こう。・・・・・その前に、皆様お茶でもいかがですか?」

気がつくとオランティアの言葉が優しくなっていた。その心を覗いたのだろう、オランティア
は私を見て言った。
「あのカーライルでは、気が張り詰めていたからなのですよ。
ここは心地よい風が吹く。アズ、そなたも上着を脱ぐと良いですね」

久しぶりに見たカイト王は、騎馬戦士らしい精悍で野性的な眼差しをしていて、どこか
カイトの師匠であった男を思い出させた。

「ルナゲート王はカーライルが今どうなっているのか知らぬらしいのだ」
皆が、おお・・・と驚きの声をあげた。
カイト王が説明した。

「カーライル王国は、お二人の・・・あなたのご両親が亡くなられると、すぐに議会決定
として、ルナゲート王の専制君主制になったという旨を、同盟各国に伝えてきました。
・・・しかし、待てど暮らせど、ルナゲート王の戴冠式も王の声明も知らされず・・・
その内に、カーライル魔法王国から大勢の魔法大使なる人物が各国に派遣されました。

王国は国王の御名において、同盟各国に対して、宣誓しました。
我々の魔法によって、全ての国々は護られる。・・・その為にオベリスクを建てよ、と」

ルナゲート王は、驚きのあまりカップを落とした。
「・・・勿論、ツァーランガ兄さんは、それがルナゲート王の考えではないとご存知でした。

カーライル王国は女王の時代から、議会が常に自国の優位を説いていました。
魔法があれば、何でも出来る。それを止めていたのが、女王と大召喚師殿でした」

カイト王の言葉に、やっとルナゲート王は今のカーライルがどうなっているのかを知った。

ツァーランガが続けた。

「私には、それが・・・見張りの塔なのだとすぐにわかりました。
見えぬ目のお陰で、それの邪気は感じられたのです。

ルナゲート王よ、女王と大召喚師殿、お二人は今もあなたと共にいらっしゃいます。
魔法使い達の目を覚まさせるには、まず第一に、王のお力が必要なのです」


 





・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-04-23 13:29 | ファンタジー小説Ⅶ
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by f-as-hearts | 2011-04-23 00:25 | 祈り
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by f-as-hearts | 2011-04-22 22:25 | 祈り
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風の中で
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by f-as-hearts | 2011-04-20 02:36 | 祈り
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫




第  3  話  



シェリマは黒竜に変化したまま遥か上空を気流に乗って飛んでいた。
オランティアも占い師も、何故かこのカーライル王国と母の心配をしていたが
彼はそんな言葉は必要なかった。自分を必要とするなんて、冗談でも許せなかった。

山に差し掛かった時、小さな店が目にとまった。シェリマはこんなところに何があったか
と気になって、そばに降り立つと、人の姿に戻ってその店を訪れた。

その店の看板には 「 ミモザーニャ 」と書いてあった。

カララン・・・・・・・

ドアベルが鳴った。カウンターの中には猫耳の娘が居眠りしていた。
はっと気がついたのか、半開きの目でこちらを見ている。
「ああああ?!!!お客様~~~~??いらっしゃいませ~~~~!!!
ミモザーニャのお店にようこそですう~~~!!!」

「・・・・ここは何のお店?」「はい~~~♪何でも屋ですよ~~~!!
雑貨でもなんでも、お菓子もパンもあります!!!お腹がすいてたら、ランチも
できますよ~~~~!!!」「・・・・・ランチ?」「おかーーーさーーーーん!!
お客様よ~~~~!!!!」

奥から出てきたのはやはり猫耳の太ったおかみさんだった。
「あら~~~~♪今日は美味しい羊のスープとパンですよ、いかがです?
ミモザーニャ、テーブルの用意をして」「はーい」

奥からひょこひょこと猫耳が動いて出てきた。
「あらあら、あなたたちもごはん??」でてくるでてくる、ひいふうみい・・・・・・・
「あ、ミモザママは子沢山で~~~~!私が長女のミモザーニャです、よろしく~~」

・・・全部で8人姉妹がぞろぞろでてきた。「最初の子達は4姉妹でね、次が2兄弟、また
次が2姉妹・・・」「いらっしゃいませ~~~~~!!!」皆が一斉に声をあげた。

シェリマはランチを前に、あっけにとられてしばらく、その子ども達を眺めていた。
そのうち、なんだかおかしくなって笑い出した。

「やっぱり、こんなに似てるとおかしいよねっ!!!」「そっくりでしょ?」
「だってママに似たんだもん」「パパかわいそ!」「そお??あんたはパパそっくりよ?」
「ぼくは似てない!!!!」「たしかに」皆がうんうんと頷いている。

「・・・・・悪い、みんな同じに見えるが」シェリマが一言いったらまた全員が騒ぎ出した。
「えええ~~~~~????よく見てよ!!!!ほらっ!!!このブチが違うでしょ?」
「ほんと、レディに失礼よねっっ!!」「どこにレディがいるって??」
「私はもうボーイフレンドくらいいるもん!!」「えっっ??誰のことよ?」「このこはまだ
はなぺちゃでしょ~~~!!」「・・・いやちょっと、まってなにそれ~~?!」

「これっ!!!!子にゃんこ達っっ!!!!あっちで遊んできなさいっっ!!!!」
「・・・は~~~~いいい」「お客様、騒がしくってごめんなさいね~~!・・・あら?」

おかみのミモザはシェリマの腕の腕輪を指差した。「その腕輪、もしかして魔法学校の?」
シェリマは腕輪を隠した。「違う」「そうなの?・・・魔法使いの女王様がご存命中は、この
国もよかったんだけどね・・・・ふぅ・・・あら、ごめんなさい。もしお客様が魔法使いだったら
って思ったものだから」

シェリマはスープを飲み終えると、席を立った。そして銀貨を置いた。
「魔法使いが皆いい奴とは限らない。・・・気をつけるんだな」
「ありがとうございましたあ!!」ミモザーニャはぴょんと耳を立てると、母親に手を振って
みせた。「ママはお話好きなの!ごめんなさい!また来てね!!」

シェリマは外に出ると、周りに人がいないか確かめて、また竜に変化し飛び立った。
だが、それを見ていた者がいた。
大慌てで店に駆け込んで、叫んだ。

「ママ!!!!!あのお兄ちゃん、竜だったよ!!!!すげえかっこいい!!!!!」
「え?!」ミモザママはすぐに外へ飛び出した。

遥か遠くに確かに竜が飛んでいた。「まさか?!伝説の・・・・・・」ミモザママはずっとその
姿を目で追っていた。「まさか、本当に生きていたの??黒い竜は」


ミモザママはカイト達がディオリア国を建て直した頃の話を思い出していた。

このカーライル王国に店を持てる様になり、ディオリア国で起こった戦争で魔法使い達が
どんな活躍をしたか、そしてカーライルの女王と大召喚師のその信じられないような話も
また、旅人や友人達がこぞって教えてくれたのだった。

「カーライルからひとりの魔法使いが黒い竜の背に乗っていった、その魔法使いは
ディオリアのツァーランガの代わりに悪魔と共に闇に落ちて、あの国を救ったんだって!」
その頃の手紙を引っ張り出してきて、ミモザーニャが兄弟達に読んで聞かせた。

「その、黒い竜が、あのお兄ちゃん??すげえ!!!!」「そうかな~?だってそれ、何十年
も前の話よね?」「またあのお兄ちゃんこねえかな~!!」「そだね」うんうんと皆が頷いて
いた。「かっこよかったな~~~~!!!!俺も竜になりてえ!!」「無理だね」うんうん。

「この手紙はね・・・」ミモザママが話し出した。
「ディオリア国のカイト王が、ディオリア兵達が兵役を終えた時に、話してくれたことらしいよ。
・・・お母さんね、兵隊の人達と昔・・・お話したことがあったのよ。

兵隊のひとりがカイト王の話をみんなに伝えたかったって・・・お母さんにも手紙をくれたの。
黒い竜に乗った魔法使い・・・・どうしているんだろうね」
「きっと、カイト王もこの国を心配してくれているよ!!」
うんうん・・・・ミモザママはこども達の頭を撫でた。「そうだ・・・・手紙を書こう、あの兵士さんに。
・・・今日黒い竜の青年にあったよって・・・・・・・」





・・・・・・・・・・・・・・カーライル王国 謁見の間・・・・・・・・・・・・・・・・・


その銀の大きな鋲の打たれた扉は、オランティアの開いた羽根くらい大きく、また
重厚だった。その奥から現国王が沢山の魔法使いを引き連れて現れた時、静かに
開く様は、魔法使い達の呼吸ででも開いたのかと思われた。

元老院と思しき男が 王が玉座に着くと、すっと2人の前に進み出た。
「賢者オランティア殿、占術師アズ殿、ルナゲート国王の側近、元老院のスラーと
申します。国王にいかな進言をされるおつもりか存ぜぬが、くれぐれも無謀な企ては
されませぬよう、ご忠告申し上げます」

スラーはそういうと、王の左横に立った。右側には同じく元老院の衣装を着けた
男が立っていた。

ルナゲート王はまだ青年であった。しかしその目に覇気はなかった。
目は落ち着かない心を映し出し、2人の顔をちらっと見るも、すぐに逸らしてしまった。
オランティアは黙っていた。私は、この魔法使い達全てが、王を押さえ込んでいると
すぐに気がついたが、気づかぬふりをして口上を述べ、そして本題に入った。

「ルナゲート王様、前女王様の統治されし頃、私は大召喚師様にお会いしております。
もうこの世界には召喚師はひとりも存在致しませんが、王はお二人の優れた血を
受け継がれた方なれば・・・
この国の未来を変えるのは貴方様をおいて他はおられません。

しかしそれには、より強く輝く力が必要となりましょう。
いずれその者も 動き出すことでしょう」


スラーは口元を歪めると意に介さないというように口を挟んだ。
「占術師、そのような意味の無いことを告げにきたのか。
この国は魔法使いの国。王の意志は我々にすぐに伝わり、何人たりともその意志を
変えることなど出来はしない。王が思われることは、すべて現実となる。

王の御為に我々は存在するのだ。
そなたの進言は無用。

ご苦労であった」



オランティアの目が正面を見て、静かに怒っているのがわかった。
しかし私には、どうすることもできなかった。






・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話はフィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-04-15 13:40 | ファンタジー小説Ⅶ
・・・・・・・・登場人物・・・・・・・・・


オランティア     ・・・・・・・・???     3賢者の1人 発現のオランティア

シェリマ       ・・・・・・・・・29歳      魔法使い  ガラティアと黒竜の息子

ルナゲート王    ・・・・・・・・18歳      魔法王国カーライル国王

ユーリ王      ・・・・・・・・・29歳      ラインハルト国王

ツァーランガ    ・・・・・・・・・???     3賢者の1人 覚醒のツァーランガ

アズ         ・・・・・・・・・???     占い師     アズハートの子孫




第  2  話     



シェリマはオランティアが言った言葉に、言い返した。

「ユーリ王が何を言っていようが、俺には関係ない。俺には俺の流儀があるだけだ。
それで? 占い師、さっさと用を言え!!!」

シェリマの目が銀色に光って、私を威圧してきた。

「シェリマ・・・ガラティアを・・・・・・そして・・・この、カーライルを
・・・この国を、ユーリ王達と共に助けるといってくれないだろうか?」
オランティアの目はシェリマの目を見つめているように感じた。シェリマは驚きのあまり
椅子をけって立ち上がった。

「カーライルを助けるだと????

ガラティアも、こんな国もどうなろうと俺は知らない!!!!
あんたたちが勝手に助ければいいだろう!!!」

私は言葉を探した・・・・何と言えばいい?

「シェリマ、あなたにしか出来ないことがある。だから私はーーー」
「都合いいことを言うな!!!」「ガラティアはあなたの言葉で救われるのだ!!」

「いい加減にしろ!!!ツァーランガを救う為に次元の狭間に落ちた奴じゃないか?!
俺が救いになる??馬鹿馬鹿しい!!あんな奴が母親だと?!」

シェリマはその身体を竜へと変化させた。
「・・・・・・さあ!!!!そのぬるい頭を割られたくなかったら、さっさと出て行け!!!」


オランティアは私の手を引くと、言った。

「シェリマ、そなたにはそなたの使命というものがある。我々は伝えた。

アズ、ゆくぞ」「いえ・・・・・・・・・・・・」

私は、床に座り込んで、頭を下げた。

「シェリマ、私は・・・・今までガラティアがこの世界に何故、戻ってこられない
のかずっと・・・・考えていた。シェリマ、お願いだ、ガラティアとこの国を・・・・・」

「使命だとかなんだとか、そんなもの、おまえらに決められたくない!!!!
私は半獣の魔法使いだ!!!!!

そんなにいらない命なら、今ここで捨てろ!!!!」


「知る者の・・・未来を知った者の使命なのだ。

シェリマ、私は・・・それを知った時から逃げることをやめた。
あなたの未来と交差する光に、闇を払う力があるのだ。
どうか、このことを考えて欲しい。
大召喚師ブラウンもカーライルのマレーネ女王も・・・今はいない。

あの2人なら、きっと同じ事をあなたに言いに来たと思うのだ」


シェリマはその竜の口を閉じると、一瞬黙った。




「!・・・マレーネ女王の話をするな!!!

俺は・・・・・・・・!!!!」

シェリマは外へ飛び出すと、そのままどこかへ飛び去った。


オランティアはじっとその飛んでゆく彼方を見つめていた。

「・・・・・・・時間が必要のようだ」「・・・・・・・・はい・・・・・・」
「国王への謁見は叶うだろう。・・・行くぞ」

私は黙って頷いた。




カーライル城は幾重にも警固の兵士達が取り巻いていた。
オランティアはフードを取ると、大きな声で門番に聴こえるように叫んだ。

「我は3賢者がひとり、発現のオランティア。
城の元老院たる魔法使い達よ、我々は、現国王に接見を申し込みに来た」

オランティアの背の羽根は大きく広がり、その姿は柔らかな光を放った。
兵士達は慌てて門番に駆け寄った。

「オランティアだって???あの、ディオリアを救った奇跡の天使か?!
お前達、何をしている?!早く、元老院へ伝令を」

「必要無い。もう、ここに来ている。警備隊長、ご苦労であるな」

門の前に、突然黒いコートに身を包んだ男が現れた。「皆下がってよい」

オランティアの前にその男は歩いてきた。
「そなたが元老院のひとりか。ゆえあって我々は現国王に接見を希望する。
私には前女王との約束がある。案内を頼む」
「誠に残念ですが、現国王はあなたとの謁見は断るよう、申されました。
お引取り願いたい」

「まさか、それを我々が信じると思われるか?」「信じるも信じぬも私は国王の信任者
として参りました」「・・・元老院の方。私は占い師です。現ルナゲート国王に告げねば
ならない予言がございます。どうぞもう一度お伝えくださいますよう」

男は私を見ていたが、その目は何の感情も映し出してはいなかった。
「占い師とやら。我々の中にも預言者はおります。

・・・・・・・・・と、言っても、帰らぬか。



・・・やれやれ。

こういう輩には言葉が通じぬから困る。
手荒なことはしたくなかったが、仕方が無い」

男はオランティアと私を結界の中に閉じ込めた。突然私達は真っ暗な暗闇に包まれた。
「やはり、元老院、おぬしらが元凶か!」オランティアは冷静に私の手を握った。

「・・・反転する。その主は元老院」

オランティアが言った瞬間、私達は解放され、暗闇は消えた。
「クオール元老院様?!」皆がざわざわと騒いだ。「なんと??どこへ消えたんだ??」

「・・・・じきに戻られるであろう。警備隊長、我々を謁見の間へ通してくれ」
オランティアはそういうと、すっと歩き始めた。
もう誰もオランティアを止める者はいなかった。







・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-04-12 20:06 | ファンタジー小説Ⅶ


どこかで扉の開く音がした。


半獣半妖のオランティアが、至極当然のように中央に置かれたその椅子に座り
こちらを見ていた。
そうか・・・私はこちらへやってきたんだな・・・・

「・・・・アズ、久しいな。どうやら身の置き場が無いらしいということを、ツァーランガ
から聞いた。相変わらず占いをしているのか?何故私達のそばに来ぬのだ?」

「はい・・・・」「・・・・・・・・まあ、そんなに緊張せずともよい。私がそなたを呼んだのだ」
「・・・・・・・!そうでしたか?」「意外そうな顔だな?私にも用事があるのだ。
だから、まずはその話を書いて欲しいのだ」

オランティア様が書いて欲しいこと??
「一体どんな・・・・・・・」
「それをこれからそなたに見せようぞ。時間は気にするではない」
発現のオランティアは、3賢者の一人、白き羽を持ち人の心を読む魔法使い・・・・
誰より私が、怖いとも思う、賢者である。

「これを観て、そしてこれからの話を書いて欲しい」

オランティアが作った空中に浮かぶ水鏡には、オランティアの世界が映し出されて
いた。そこには巨大な建造物が・・・そびえ立つオベリスクが見えた。

「ここは・・・・・・・・?!」

「魔法王国カーライルだ。
カーライルは、大召喚師と女王が統治していた頃とは、全く別の国となってしまった。
この巨大な塔は、世界を見張る塔だという・・・・・・・

そなた達の世界で、何かが・・・何か大変な事が起こったのであろうと、我々はすぐに
気づいた。その対の国、我々の世界はその影響を受ける。また、その逆もあるのだと、
そなたは知っておろう?」

オランティア様は全て知っていると思った。
私の今考えている事も、そして私の世界の重大な事件も・・・・・・・・
「・・・・カーライルは・・・女王は、もうお亡くなりに?」「そうだ。2人は・・・ほとんど
同時に亡くなったそうだ」

「・・・・・・ほとんど同時に・・・おふたりらしい・・・・そうか・・・」

あの2人に、もう会えないのか・・・

「・・・わかりました。カーライルへ参ります」
「私が連れてゆこう。手を・・・」
私は静かに目を閉じた。








・・・・・・・・・・・・・・・魔法王国カーライル・・・・・・・・・・・・・・・・・・


オランティアは目立たないように灰色のフードをかぶり、その羽も見えないように
していた。私はカーライル王国の、マレーネ女王と大召喚師ブラウンの廟に行きたい
とオランティアに話した。「確かに、ここは・・・雰囲気が変わったように思えます」
黙って頷いて、オランティアは城から南西に向かう小道を指し示した。「こちらだ」

その墓はとてもこじんまりとして、王族の墓という仰々しさは無く、石碑が並んで
あった。カーライルのバラと言われたピンク色のバラがその墓の周りに植えられて
その周りを、妹の白いバラが垣根のように取り巻いていた。

「2人には、王子が生まれていた筈でしたね?」「そうだ。その王は・・・・両親を
亡くしてから他の大臣や魔法使いを抑えられずにいる・・・
カイト王やまたユーリ王ら連合国の王が、いかに助言しようも・・・また、ツァーランガも
そなたのように先を憂いて、自分に会いに来るようにと現王に伝えているのだが」

「現王の名は?」「ルナゲート王という」「!月の・・・門?!」「大召喚師ブラウンが命名
したと聞く。ツァーランガのいる月の塔、そしてラインハルト国のマレーネの妹である女王
ルナ・・・どうやら浅からぬ月からの恩恵を感じたのであろう」「成る程・・・・・・」

献花をして、それからカーライル国の街中に戻った。
今はバラの季節にもかかわらず、まだ肌寒く、私はコートの衿を立てた。
「オランティア様、この国の王にお会いする前に気になる者がいます・・・」
「・・・・ガラティアの息子、か・・・・わかった」

オランティアはガラティアの息子、シェリマの気を探した。「こっちだ」

シェリマ・・・・・魔法使いガラティアと黒竜バラグーンの息子で、魔法使いになるべく
マレーネの魔法学校を出た筈。ガラティアが次元の狭間に落ちた後、バラグーンの
庇護の下、暮らしていた。現ラインハルト国のユーリ王の学友であり、親友・・・・・・


その家はバラグーンが隠れ家として使っていた大きな山小屋であった。
黒い髪の、その男は外で薪を割っていた。もくもくと積み上げてた薪を縄で縛ろうと
顔を上げて、そこに見慣れぬ2人が立っているのを見て、手を止めた。
私はバラグーンが人に化身しているのかと思ったが、オランティアがすぐにその男に
声をかけた。

「シェリマだな?黒竜とガラティアの息子よ」

シェリマと呼ばれた男は、オランティアと私を睨んだ。「ここは俺の家だ。よそものは
出て行け!」
「我々はおまえのことを生まれる前から知っている。3賢者の話は聞いたことはないか」
そういうと、オランティアはそのフードを脱いで、その背中の羽を広げた。

「私は半獣半妖、発現のオランティアだ。こちらは占い師アズ、アズハートの子孫だ」
「3賢者?・・・・・・・なんの用だ?!バラグーンならもうここにはいない」
「シェリマ、この占い師がそなたに用があるそうだ」

薪を担ぐと、シェリマは黙って家に入った。扉は開いたまま、私達はその山小屋に
入っていった。

シェリマは壁際にある椅子にどっかりと座ると、2人をじっと見ていた。
「占い師が何の用だ?」

「最初に言っておくと、私はこちらの世界の人間ではないのだ。

オランティア様と私が心配しているのは、多分同じことなのだが、この国の国王と
カーライルの・・・魔法王国が、この先どうなってしまうかということだ」
「・・・俺には関係ない」「いや・・・・・ラインハルト王との繋がりがある。私が気がかり
なのは、ユーリとあなたのことでもある」

シェリマはふんっと鼻で笑った。「ユーリ?あの、生意気な王は、元気なのか?」
「元気だ」オランティアは言った。「双子の妹が、そなたを探している」
「やめてくれ。あいつらとはかかわる気はない」「それは・・・・・・・・・予言のことか?」



「占い師、お前は母が言った言葉を知っているのか?

・・・・今更、何を聞かせに来た?!俺がユーリに殺される未来か??
母は、その為に全ての運命を変えようとしたそうだ。

・・・・・・愚かで、盲目的な愛だ。
バラグーンに聞かされても、到底理解できなかったよ。

母はあのツァーランガを救い、次元の狭間で永遠に苦しんでいる。

・・・・お前は、今度はどんな未来を見せるつもりだ?占い師?」

オランティアは首を振った。
「そなたの運命は一度、そなた自身で変えている。ユーリは何があろうとそなたの
信用を裏切ることは無い。言葉で私に嘘はつけぬぞ、シェリマ」

シェリマは、オランティアの目を見た。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2011-04-10 14:51 | ファンタジー小説Ⅶ