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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

<   2010年 07月 ( 16 )   > この月の画像一覧

・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  10  話   「 魔獣王 」




「・・・この雨は水の神の匂いがする。おい、近くにいるぞ!!」
ガウルが言うと、ミンクも頷いて言った。「雷神様も感じる・・・凄く怒ってる・・・あ!」

雷の矢が地響きのような雷鳴と共に、離れた森の上に次々と落ち、その振動は地震
が来たかのようだった。「・・・誰かを狙ってる!!!」

ミンクは手にした器の水をこぼさぬように胸のところに抱えた。
「水鏡よ、誰があそこにいるの?」水鏡は波打つと一瞬真っ黒い森の中を映した。
だがまだ何も見えない・・・・「見えないけど、でも・・・何かいるのよ・・・」
ホワンはそれとは別の気配を感じ、木の上に向かって叫んだ。「お前は誰だ?!」


そこに巨大な鳥が姿を現した。
「ミンク、ガウル・・・それにホワン。私は風神。水の神からの伝言だ。
あやつに気をつけるように。その水鏡を忘れるな。それからミンク、私は妖精族に
借りがある。私はお前の力になろう。・・・今 奴はお前の村を出て森の中に消えた。
・・・怪物の正体は、その内わかるだろう。

よいか、ミンク・・・心に迷いがある内は神々を召喚出来ぬ事、努々忘るるべからずだ」

「余計なお世話だ!!風神、ミンクはオレが護ってみせる!!!あんたらに
言いたい放題されてたまるか!!!」「威勢だけはいいな、ガウル!炎の妖獣だけ
ある。勿論お前の力は必要だ。・・・ホワン、お前もだ」

ホワンは頷いた。「私にとっても試練だととらえております」「そのようだな」

風神は現れた時と同じくらい唐突に、姿を消した。
「いいか、ミンク!忘れるな、私を呼ぶのだ!」暗闇に雨を消し去るような風が吹いた。
ミンクはやっと落ち着いた。「ありがとう、風神・・・・・・・」

「もう来るな!!!」「わ~~~!!なんてこというのよ!」「お前はほんと、単純だよな!
あいつは、ぜってえやっつける!!!」「ガ~~~~ウ~~~~ル~~~~!!!」
「あははは、ガウルならやりかねないな!!」「えええええ????」
「ふんっ!!!なんだよ、その反抗的な目は?!誰にでも感謝してんじゃねえ!!」
ホワンは可笑しくて大笑いした。ミンクだけはガウルにくってかかっていたが。




森の奥、古い館に潜んでいた魔法使いは幻影術で自分の分身を操っていた。
その術を解いてひとり笑った。
「おまえらになど、私の真の姿見える筈も無い。神々の力とは、あんなものか!
総て、奪ってやる!!私に出来ぬ事等何も無い!!!!」

館の地下、魔法使いはそこにいる怪物に呼び掛けた。

「クク・スースルーズ!お前の忠誠心を見せてみろ!火炎の妖獣を始末して来い!」
暗闇に光る眼が魔法使いの方を向くと、吼えた。
「オレへの報酬、忘れていないだろうな?アーカディ!!!!」
「妖精族の血だろう、そこにミンクもいる」「そいつはオレが喰らうぞ!」
「いいだろうさ。好きにしろ!・・・・半人前のミンク!!!!
ははは、神々を召喚出来ない召喚師!妖獣さえいなければ何も出来まい!
妖精族の末裔がなんだ!あんなひ弱な種族は滅んで当たり前なんだ!!!」

クク・スースルーズは眼を細めて魔法使いを見ていた。
「オレに言わせりゃ、人間なんてのは全部ひ弱な生き物だがね。
おい、早く檻を開けろ!魔法使い!!」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)

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by f-as-hearts | 2010-07-31 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  9  話   「 村の異変 」



風神は水神ウンディーネの湖に向かって飛んでいた。風神の風が湖の面にさざなみを
起こすと、ウンディーネは人魚の姿で岩の上に腰掛けた。風神は変化して小鳥の姿で
ウンディーネの手の甲にとまると、話しかけた。

「ウンディーネ、ごきげんうるわしゅう」「久しいこと、風神。何かありましたか?」
「ええ、召喚師のミンクのことです」「・・・あの妖精族の娘は元気なようですよ」
「どうやら困った怪物に狙われているようです」「そのようね」「ご存知でしたか?」
「・・・あなたが心配されるのも、わかりますわ。ですから私は、水の加護が必要だと
伝えてあります」「ほう?流石は水の神。それはどのような?」「水鏡です」「成る程」

風神は羽をくちばしで整えながら水の神に微笑んだ。
「それでは、あの怪物は滅することが出来るのでしょうね?」水の神は首を振った。
「・・・わかりません。私の鏡ですら、その行く末は見えないのです」「・・・成る程」
「ミンクには気をつけるよう、伝えて下さいな。風神、あなたには大切なことのようです
ものね」「確かに・・・妖精族とは色々ありましたからね。それでは、ごきげんよう!!」
風神は手から飛び立つや、あっという間に元の巨大な鳥の姿に戻ると、上空へ消えて
行った。ウンディーネはポチャンと水の輪の中に飛び込むと、深く沈んで行った。



ミンクの村では、怪物が鏡の湖に飛んでいったのを観た者達が、大騒ぎをしていた。
皆が召喚師であるがゆえ、その怪物が災いを運ぶものだと気が付いたのだった。
すぐに大召喚師にその怪物の話は報告された。
深夜にもかかわらず、大勢の者がその大きな集会場に集まってきた。
「大召喚師様!!あの怪物は水の神が警告していたものではありませぬか?」
「水鏡を用意しなさいというお告げだったね」「その通りです!!」「他に何かあったの」
「・・・いえ、まだ、何も・・・」「それじゃあ、皆騒がないでいいね。皆早く寝なさい」
「大召喚師様~~~??それじゃあ、我々は気が休まりません!!お願いでございます!
その水鏡に未来をお映し下さい!!」

「はてはて・・・どうしましょうねえ?ウンディーネ様?」大召喚師が、左側を見ると、そこに
いつの間にか水神ウンディーネが立っていた。

「おおお!!!水の神!!!!!」皆がひれ伏した。

「誰がそのようなことをすると申した?私を怒らせるものは誰です?!」
一瞬にして、ウンディーネは巨大な水竜に変化すると、夜空に昇り空に積乱雲を呼んで
滝のような豪雨を降らせた。皆は一瞬にして背筋が冷たくなった。
大召喚師は頭を掻いていた。

「いやはや。・・・ところで、雷神様、
お願いですからこの者達に雷は落とさないでやってくれます?」

後ろの方で白い髭に長いローブを着た老人が、光る杖を持っているのが皆にもわかった。
わかったが、それこそ怖くて、振り向けなくなっていた。「ら・・・雷神・・様・・・・???」
皆の顔色は蒼白になっていた。「申し訳ございません!!お許しください!!!」
「大召喚師がいうなら、仕方がないのう。まあ、悪人はいない・・・む?」

一人の男がすっとその集会場から出て行こうとするのを、雷神は見逃さなかった。
「---待て!そこの男!!!」その男は口元で笑うと、豪雨の中飛んで逃げた。
雷神は急いで追ったが、そのあまりの速さに驚いた。「あやつが魔法使いか!!!」

「光よ闇を裂き、悪鬼となりし魔法使いを討て!千の雷鳴千のいかづちよ、あれ!!」

雷神が呼ぶといかづちは積乱雲から千の矢のように降り注いだ。
その雷は魔法使いが飛ぶ空間目掛けて檻のように落ちてきた。しかし雷は魔法使い
をすり抜けてまるでそこにはいないかのように見えた。

「・・・なんと、幻影術か!!やりよる・・・水神、あれがそうか?」
「そのようです。どうやら、あの村でミンクとホワンを狙うつもりだったのでしょう」
「大召喚師もわかっていたか・・・芝居の好きな奴じゃな!」
「水鏡、あれならあの者の本性を映し出します。ミンク達は大丈夫と思いますが」
「・・・・・ふむ?どうじゃろうな・・・・はたしてミンクに出来るかのう?」


突然の大雨で、ミンク達も慌てて大木の根元に逃げていた。









・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)

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by f-as-hearts | 2010-07-30 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  8  話   「 ミンクの過去 」



ホワン師範はミンクに、自分の村に寄るかと訊ねた。ミンクが答えられずにいると
ガウルがからかって言った。「男連れじゃあな!!」「ガ~~ウ~~ル~~!!!!」
ホワンは笑うと言った。「確かに男と妖獣が一緒じゃ、世界一危ない旅だな!」
「ホワン師範まで~~~~~!!!」「あっはっは!!!全然全く女っ気ねえ!!!」
「ガウル~~~~!!!覚えてなさいよ~~~~!!!!」「チビに言われたくねえ」
「ひっど~~~~~~~い!!!絶対天罰!!!」「ねえな!!はっはっは!!」

妙にガウルの気が高揚しているのがわかった。ホワンはミンクの村に行くのをやめ、
近くの河沿いでその日は野宿することにした。
「今日はここで休もう。明日は朝早くに出発することにしよう」
ミンクはほっとしていた。薪を取りにいったり、食べられる香草や木の実を集めて
食事の用意をした。ガウルは河に集まる鳥を狙っていた。見事に1羽の鴨をしとめると、
意気揚々と戻ってきた。ホワンも河の浅瀬側で網に編んだ竹篭で魚を捕まえたりして、
その夜は皆でお腹が一杯に成る程食べることが出来た。

夜も更けて、薪が燃えるのを眺めながら、ミンクはホワン師範に話しかけた。
「・・・師範、聞いてもいいですか?あのう、お母さんが召喚師だったって・・・どうして・・・
暮らせなかったこと、恨まなかったんですか?」

「世話してくれた人を、ずっと親だと思ってきたから・・・ものごころついて親のことを聞いた
後は、その召喚師の仕事がいけないんだ、母親は悪くないんだと、思おうとした。
・・・もっと大人になってからは、仕事は尊いものだ、母親には会えたら聞くことができると
待つことが大切なんだと、思った。あの館の人々はそれだけ私に愛情を注いでくれたんだ。
・・・一番辛かったのは、母だったろうと思える・・・今は」

パチパチと小枝がはぜるような音が響いた。

「・・・私の・・・母は・・・」ミンクがぽつりと話し始めた。
「妖精族の末裔で・・・小さくて。私は母に似てるんです。母は召喚師の父にどうしても一緒に
暮らしてくれって言われたって言ってました。だから、私は少しだけ妖精族の血をひいてて。

・・・ほんとは、召喚師になんかなれないって言われてました。
父は母が亡くなってから、一人娘の私を召喚師にしました。でも、難しかったんです。
村の人は、母の血、妖精だから半人前だって・・・」

「言わせときゃいいんだよ!!なに、むきになってんだ!!お前の母親はオレの幻獣界
と行き来出来る唯一の妖精族だったんじゃねえか!あんな村、オレに言わせりゃ、お前の
母親がいなけりゃ、護る気にもならねえな!!!妖精族に助けられたってえのが、そんな
に恥なのか??笑わせる!!!」ガウルが唸ると、ミンクは頭を掻いた。


「・・・・・・そうだったのか。召喚師といえども、人間には違いないから。幻獣界にいた
ガウルとの繋がりは、ミンクの母親のおかげだったのか」「・・・・・はい・・・・・」
「ミンク、オレは特別にお前だから護ってやってるんだ、感謝しろよ!!」
「・・・だって、言うこと聞いてくれないのに~~~!!」「お前の言うこと聞いてたら、即
あの世だな!!」「ひっど~~~~~~~~~いい!!」「オレはかまわないけどな!」


ホワンがまた話始めた。
「・・・私は、自分が死ぬ時に、誰のことを思うのかと考えることがある。
私の母は、瀕死の身体で私の元まで帰って来てくれた。・・・ミンクが村へ帰りたいと思える
ようになれたら、いいが」

ミンクはまた涙が滲みそうになって、慌ててそっぽを向いた。「ミンク、あの村嫌いだから~!
ミンクのことなんか、みんな忘れてるもん。ガウルがいればいいもん」
「おーおー、やっとわかったか!!馬鹿チビ!!」ガウルは前足でミンクの頭を叩いた。

ミンクはそのまま後ろを向いて寝てしまった。
ホワンは河の流れる音を聴きながら妖精族のことに興味を持ち始めている自分に、驚いて
いた。聞いていた召喚師の話とは、また違う・・・ミンクにはまだ、乗り越えねばならないもの
があるのだろうか・・・

ホワンもその内眠りに落ちていた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-07-28 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  7  話   「 3人 」



風神はガウルに鏡の湖を教えた後、自分は他の召喚師のいる処へと飛び
廻っていた。それは常に風神が世界中を旅する神なのと、どんな風の乱れも
敏感に察知する眠らない神の日常なのであった。

風神がミンクのところで成り行きを観ていたのも、ガウルの言う通り、風神
だから当たり前のことでもあった。そして、あの怪物がなんなのか、風神に
は心当たりがあった。

風神は、活火山の上空で、火の神に呼びかけた。
「・・・火の神、おまえのところの火炎のガウルだったか?あれが、面白い
怪物と戦っているぞ」

火の神はその透き通った朱色の身体を溶岩の中から起こすと、風神の言葉に
不満を言った。「面白い?ガウルが言ったのか?風神、相変わらず冷めた奴だな。
・・・悪いが、ミンクという召喚師が何とか出来ぬものを、私にたきつけてもダメだ」

「やはり知っていたか。・・・あれを料理できるのはお前くらいだろうと思ったが」
「魔法使いにも、変わった奴がいるからな。・・・風神、私よりも水神ウンディーネに
聞きに行く方がまだ情報が入るだろう?」
「・・・・ほう・・・やはり、そうか?火の神、お前こそ冷めているじゃないか?」

火の神は風神を見据えると言った。
「風神、一つ忠告しておくぞ。お前は人に近づき過ぎる。そんなに人の世界が気
になるか?」「はははは!!!お前もそうだろうが」
「・・・・・・・ふん・・・お前の人好きは、あきれるな」「元々いた世界だからな。
そういうお前も、ミンクのことを気にかけていただろう?」
火の神は黙って溶岩の中に消えていった。


「・・・・さて・・・・私も行くか。ガウル、ミンク、それにホワン・・・あいつらはどうする
かな?」
火山の遥か上空へと羽ばたいた風神は、気流に乗るとあっという間に彼方へ消えて
いった。



ミンクはホワン師範とまさか怪物退治に行くことになろうとは、思ってもいなかったし、
この状況に慌てているのはあきらかだった。
「ガウル~~~~!!一人で荷物も持たないで、ずるい!!!」
「お前は修行中だろ!!」「ガウル、どうだ?異常ないか?」高い木の枝に登っている
ガウルに、ホワンは聞いた。「鳥達は騒いでいないか?」「騒いでいないな。ミンクが
大声出すから、みんなどこかへいっちまった」「ガ~ウ~ル~~~~~!!!」



その頃・・・

鏡の湖の深くに沈んでいる怪物が、目を覚ました。







・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-07-25 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  6  話   「 ホワンの過去 」




その館の西側の林がきれたところに、幾つかの墓が並んでいた。そこを通り過ぎて
ホワンはまっすぐに小さな小屋へと向かった。

「・・・ここは、私が育った家だ。そして・・・」

その家の裏に 小さな木が植えてあり、その手前に墓があった。
ホワンは墓の前で合掌すると、ミンクに話しかけた。

「この墓に母が眠っている。


・・・母は、赤子の私をこの館に預け行方不明になり・・・数ヶ月前
瀕死の重傷を負った身体で帰ってきて、そのまま・・・・・・・

母は召喚師だった。

ミンク、私が召喚師のことを少しは知っていたのは、そういうこと
なのだ。ここで武術の師範になるようにと導いて頂いた師に、
母のこと・・・召喚師のこと・・・色々教えて頂いた。

だから、ミンク・・・そなたは私に、召喚師の辛さを話して欲しい。
私は知らないのだ。
・・・母が何故、私をここに預けねばならなかったのか・・・
・・・ミンク、そなたが何故、ここに修行に来なければならぬのか・・・

それから、ミンクが何を思うのか・・・

・・・私は、知りたいのだ」

ミンクは驚きのあまり、墓の前でうずくまった。そして、涙がこぼれて困った。
ミンクの傍で、ホワンは微笑んだ。
「・・・大丈夫、というのは、簡単ではないな。・・・ミンク・・・」


     
    


ガウルは夜の森を走り回っていた。そして、怪物がどこへ消えたのか探索して
いた。(ほんとは、火の神に聞きにいけりゃ早いんだがな。ん?まてよ?)

「おお~~~い!!風神~~~!!どうせその辺で観てたんだろ?
あんたのことだ・・・」

木々が突風で揺れた。そして、その木の頂上に現れたのは、巨大な風の鳥、風神
の姿だった。
「ふうん、低級の火炎妖魔の割に頭が働くな。私に何の用だ?」
「低級だけ余計だ!!!それより、さっきの怪物、どこへ行った?」
「ははあ、おまえあいつにやられたんで、やり返したいわけだな?・・・ああ、あの
ミンクの村の先にある、鏡の湖の辺りだ」「ありがとよ!!!」

風神は「はははは!!!」と笑いながら飛び立った。「面白い妖魔だ!!!
また会おう!」ガウルは空に吼えた。「今度はどっちが強いか、教えてやるよ!!!」
風神の大きな翼が、くるくると竜巻のように回ると、風と共に消えてしまった。




ガウルはすぐにミンクのところまで走って来た。
「おい!!オレに感謝しな!!!怪物の居場所がわかったぞ、鏡の湖だ!!!」
「そうか、感謝する!それではすぐに出発の準備を。明日の朝発つことにしよう。
師も、その頃到着されるだろう」「ガウル、ありがとう。じゃあ、もう戻って!」
「じゃあってなんだよ??じゃあってのはよ?!きにくわねえな!!オレはもう少し
自由にさせてもらうぞ!!」「・・・・・・もうっ!!!嫌だ~~~~~!!!」
ホワンは何も言わずに笑っていた。



ホワンは一人館の部屋に戻って、準備をしながら怪物のことを思い出していた。
どうすれば、あの怪物を倒せるのだろう?あの怪物はどこまで強くなるのか?
なぜか、母の姿が脳裏をよぎった。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-07-23 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  5  話   「 ホワンの決意 」



その夜は 館の皆がホワン師範とミンクを囲んで、あの怪物の一件を話し合う
ことになった。皆はあんな憑依する怪物を見たことも聞いたこともないと、それは
大騒ぎだったが、ホワン師範は皆が騒いでいても、静まるのを待っている風だった。
やっと、ホワン師範が口を開いた。

「まずは・・・怪物は2度、ここに来たという事実と、ミンクは実は召喚師だという事を
話しておかねばならない。
確かに、皆の不安はわからぬではない。だが、怪物を防ぐには強い結界を作らねば
ならぬようだし、皆には不便をかけるが、夜は出歩かぬように。今すぐ出来ることは
その2つだ。結界は我らの師に頼むことにする。そうすれば明日には出来る。

・・・ミンクの話だが・・・
私は召喚師という仕事を知らなかったが、皆も見ての通り、神々の使いを召喚する
ことが出来るのだ。ミンクの召喚獣が先程の怪物を退けてくれたのは、皆が見ていた
通りである。ただ・・・私もミンクも皆に伝えなかったが、召喚師は皆に自分の生業を
いわぬのだ。それは、ミンクが奇異の目で見られることも心配だが、なにより・・・・
昨夜の怪物のような者達が相手では、我々では足手まといにもなるからだ」

その言葉に、皆が頷いた。「ミンクは召喚師としてここに来たのではない、それは
我々もわかりましたが・・・ホワン師範が心配されるような怪物が、またここへ来る
のでしょうか?何故、こんな小さな武道館を狙うのですか?」

それには、ホワン師範も答えに窮した。

ずっと下を向いていたミンクが、そのままの姿勢で答えた。
「・・・ミンクがここに来たから・・・です。・・・・・ごめんなさい、ミンクが召喚師だから
怪物は・・・・・・・・」「ミンク!」ホワン師範は止めた。

「ミンクは嘘を言わなくていい。・・・怪物は、強い人間を探してきたと言っていた。
私を、狙っていたんだ。

・・・私はあの怪物を、追っていくことにする。皆、しばらく私がここを離れることを
許して欲しい」ミンクが何か言おうとした時、ミンクの影からゆらりとガウルが
現れた。「・・・・!ガウル?!」「・・・ミンク、お前今すげえ混乱してるな。お陰で
オレも出てこられる。
ホワン、お前だけじゃ無理だね!!あの怪物はどんどん強くなってる。
ミンク、オレらもついていくぞ!!!お前も、修行が終わってねえだろう!」
ガウルがその赤い目で睨むと、皆がすくみあがった。

「ごめんなさい~ガウルは本当はいい妖獣なんです!ガウル、早く戻って!」
「いい妖獣??そんな奴いるかよ!!オレもたまには外の世界を歩きてえからな!!」
「・・・ミンクの修行、か。・・・私と一緒では危険だが、それはここにいても同じだとも言える。
ミンクの判断に任せよう。・・・・皆には、申し訳ないが、すぐに私の師が来てくれると
思うので、後は頼む」

皆が部屋へ戻っていった。

ミンクはガウルに不満たらたらの視線を投げていた。ガウルは一向に気にしない様子で
外へと走っていった。「あいつがこないとも限らないからな!!」


ホワン師範はミンクを見つめていた。
「ミンク・・・どうするんだ?」「はい・・・・・・・ええっと・・・ミンクは・・・ミンクは・・・」

ホワンは、ミンクの言葉をじっと待っていた。ミンクはわかっていた。ホワンには嘘は通じない。
「ほんとは・・・怖いから行きたくないんです。でも・・・弱いままだと、村に帰れない・・・んです。」
「ミンクは自分が弱いと思っているのか。・・・仕方ないか、ミンクは自分の、いや召喚師の事を
知らなすぎるようだ」ホワンは憂いを秘めた瞳をミンクに向けた。
「?ホワン師範・・・?」ホワンは、ミンクの肩に手を置くと、言った。

「・・・ついておいで」

ホワンは外へと歩いていった。
ミンクは急いでついていった。










・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-07-22 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  4  話   「 怪物  」



ミンクはホワン師範の圧倒的な強さに、驚いていた。
その姿や顔立ちは端正で、どちらかというと武術師範というより舞踏家のように
さえ思えたが、昨夜の怪物と闘っていたホワンは、ミンクが今まで会った武術家
の誰よりも、静かな気迫に溢れているように見えた。

朝、ミンクは師範から逃げ回っていた。弟子の一人が、ミンクに声をかけた。
「ホワン師匠に怒られましたか?どうしたんですか?」「あ・・・・っ・・ええっとね・・・
うん、朝の練習出なかったから、怒られそうだしね~!」「一緒に行ってあげます」
「はい??」「だから、一緒に行って、謝りましょう」「・・・・・いいよいいよ、自分で
行くから~~!あっはっは!!」(う~この子ったら、5歳なのになんでこんなに
しっかりちゃんなのかな~~!!まて、落ち着こう、ミンク!!私は20歳、20歳!!
・・・よし、大丈夫!!!!)「ありがとう。今から謝りに行って来るね」


師範は、木陰で皆の修練を見守っていた。そこに、ギクシャクしながらミンクは近づいて
いった。「おはようございます、ホワン師範」

ホワンは挨拶を返した。「ミンク、昨夜はありがとう。そなたが傍にいて召喚獣を呼んで
くれたお陰で、怪物は早々に引き上げてくれた」
「・・・いえ・・・ホワン師範は、私が余計なことをしたと思ったでしょ?」
「まさか!そなたがあんな立派な召喚獣を呼べるのだと、驚きはしたが、感謝している」

ミンクはくすぐったい気持ちになった。「あはは・・・あの召喚獣は、ね・・・」


突然、過去の記憶が戻ってきた。
(・・・まったくダメ召喚師だな!!あんな怪物に、まったく歯が立たないじゃないか!!)
(ほんと、私達魔法使いがいなかったら、どうするつもりだったのかしら?)

「・・・・・・・・・・ううん・・・なんでもない・・・です。あの・・・また練習してきます」
「そうか、ミンク、辛いかもしれないが、ここでの修練はそなたの為だ。よいな?」
「はい・・・えっと・・・はい」「?まだ、何かあるのか?」「あははは!・・・大丈夫です」
ホワンが見ているのを感じながら、ミンクは走って皆の練習に加わった。


ミンクはそれから、数日は厳しい鍛錬にもついていこうとした。そして、夜にはまた外に
怪物が来たりしないだろうかと、窓からじっと外を眺めるのが、日課になった。



そして怪物はやってきた。
あの日から1週間・・・怪物は前の時より、一回りは大きく、まるで成長したかのように
見えた。ミンクはその姿に寒気を覚えた。・・・なんだろう??あの姿は・・・何故あんなに
大きくなったの???

庭にはすでにホワンがやってきていた。
「また現れたか。どうだ、強い人間には会えたのか?」
「モチロンダ。ダカラオレハ ツヨクナッタ。オマエハ マエト カワラナイヨウダナ」
「どうして私のところへ来るのだ?」
「アタリマエダ・・・オマエハ シッテイル。コノアタリデイチバンツヨイノハ オマエダ」
「・・・それでは、何故強くなりたいのか、話してもらおうか?」
ホワンは、構えた。「どうした?また闘いたいのだろう?」

怪物は身体を震わすと、全身の毛を逆立てた。「タタカウ?ソウジャナイ、オマエハ
シヌノダ!!!」

その大声は、建物中に響き渡り、人々を起こした。「わ~~~!!やばいって!!!」
ミンクは大慌てでホワンの下へ走って来た。「師範、みんながおきちゃいます!!!!」
「・・・そうだな、ミンク手伝ってくれるか?」「はい!!」

「私は召喚する、火炎妖魔ガウル、すぐに来て!!!」
ガウルは待ちかねたかのように、空中に躍り出た。「来てやったぞ!」ガウルは
そう吼えると跳びかかった。「感謝しろ!馬鹿チビ!!!」

庭を望む窓には、館の弟子達やそこの従者達が集まり始めていた。
皆が、見たこともない怪物と炎の番犬と2人の人影に、驚いて騒いでいた。
「ホワン師匠と、あれは!ミンクではないか?!あの怪物と闘っているのは・・・」
「まさか、怪物同士が戦っている??」「よく見えない、庭にいこう!!」


ホワンはガウルが怪物を引きつけてその四肢の高い跳躍力で、5メートルはジャンプ
できることに驚いた。「ガウル、怪物の羽を折れるか?」「いいだろう!!!」
「サセルカ!」怪物は羽ばたくともっと上空へ飛ぼうとした。「おせえんだよ!!!」
ガウルは近くにあった木の上までジャンプし、そこからまた枝の反動を使ってジャンプを
した。怪物の風切羽根に噛み付くと、その身体の重みで怪物を地上へ落とした。

ガウルが片羽を噛み砕く音が響いた。その時、ミンクは、また妙な違和感に襲われた。
「ホワン、こいつはオレが殺すからな!!!」「待って!!」ミンクは大声で止めた。
「オマエノカイヌシハ バカダナ!!!」怪物が何かを飛ばした。「きゃあっ!!」
ミンクの左腕に激痛が走った。腕に怪物の羽が刺さっていた。
「てめえ!!!!」ガウルは怪物の息の根を止めた。


ミンクは腕の痛みに必死に耐えながら、ガウルの方へ行こうとした。
しかし、そのミンクをホワンが支えるように止めると、言った。
「待て、様子がおかしい?!」「ガウル?!」

ガウルは怪物の上から離れようとして、突然動かなくなった。「ぐぐぐううう・・・・・!!!」

ガ・ガ・ガ・ガガガ・・・・・・!!!!「こ・・・の・・・ばけも・・の!!」

ガウルの姿が変化し始めた。背中から赤と黒の羽が生えると、それはさっき死んだ筈の
怪物の姿だった。
「ガウル!!!!」さっきまでガウルだった妖魔は、口から火炎の息を吐き出すと、笑った。

「ハハハハ!!バカナヨウマダ!!スッカリノボセタヨウダッタナ!
・・・ホワン、ミンク、ツギハ オマエラノバンダ!!」

「ガウルを、どうしたんだ、怪物!!」「・・・ノットッタンダヨ、コノオレガ!!」
「・・・・・・・!!憑依?!まさかお前は、憑依する怪物だったの?!」
「キガツイタトコロデナニモデキマイ!!!」

ホワンは、一気に自分の闘気を開放した。
「・・・そうか。お前はそれが目的だったのか。では、今度こそ、本気でいかせてもらうぞ!」


その次の瞬間、かまいたちの風のようにホワンは怪物に一撃をぶつけた。
それはあまりに圧倒的な拳だった。怪物の心臓は止まった。そして憑依しようとホワンを
狙った。

ホワンはその怪物の妖術を撥ね返した。「ナンダト??ヒョウイデキナイ??」
「私に憑依できると思ったのか?戻れ、怪物!!!」
その言葉で、怪物の身体が、ドクンと波打った。
「・・・・くっそう!!!この・・・ガウル様を 乗っ取るだと??させるかよ!!」
ガウルが吼えると、怪物はその身体からも追い出された。「クソ!!ナニヲ・・・」
「てめええ!!おまえこそさっさと飼い主のところへ戻りやがれ!!!!」

怪物は、姿を見せずにそのまま消えた。

ミンクはホワンに支えられて、ガウルとともに立ちつくしていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-07-18 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???       妖魔

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  3  話   「 召喚獣ガウル 」


ミンクは窓からひょこっと頭だけ出して、その怪物の姿を見た。
(うっわ~~~~~~~!!!!ホワン、怪物に襲われてるのおお???
どーしよー?!)ミンクは怖いもの見たさと、ホワンがどうなるのか??で、
その場で凍りついたように動けなくなっていた。(怖い~!けど見たい~!!)



ホワンは、その怪物がとても知能が高い事に気がついていた。
「・・・どうした?人間を襲って喰らう怪物、何を考えている?」

「・・・・・・・・・・・・・オマエハ コワガッテイナイナ?ナゼダ?」
「そういうお前も、私が見た限りでは、ただの怪物ではなさそうだ。何故ここに来た?」
「ツヨイニンゲンヲ サガシテイル・・・オマエハ ツヨイカ?」その怪物は一声啼いた。
「コノ オレヨリ ツヨイカ!!!」


怪物はそう言うが早いか、前足の爪で襲い掛かってきた。
瞬きするヒマも無い程の速さで、ホワンはその足を片手で払い、するりと体をかわすと
その首筋を押さえ込んで、地面に叩き付けた。その顔面は地面すれすれで止まると、
片目がホワンを睨んだ。その羽でホワンを切ろうとする怪物。ホワンは垂直に飛び上がると
その羽をかわし、背面跳びで間をとった。怪物は畳み掛けるように飛び込んできた。
それをまたホワンは目線も動かさずに瞬時にその怪物の身体の下に潜り、怪物の腹を
突き上げるように拳を突いた。怪物はたまらずに、よろけると、その場に座り込んだ。

「・・・ホンキデハ ナイナ・・・オマエ ナゼオレヲ コロサナイ?」
「お前が何故強い人間に会いたいのか、知りたいからだ。
・・・強い人間に、何の用があるのだ?」

「・・・オマエニハカンケイナイ・・・オレハツヨクナリタイ、オマエコロス!!!」
怪物は再び体勢を整えると、今度はさっきよりも怒り、激しい攻撃を繰り出してきた。



「・・・・私は召喚する、火の神の眷属火炎の妖魔ガウル!!あの怪物追い払って!!」
妖魔が唸り声をあげて、ミンクの背後から飛び出して怪物に体当たりした。
「おい怪物!!さっきから聞いてりゃ、ごちゃごちゃうるせえんだよ!!!」
ガウルはその真っ赤に燃えるような眼で、睨んだ。「つええ奴ってんなら、オレが最強だ!!」
「フン・・・カエンノバンケン ガウルカ。ジャマガハイッタ・・・」怪物はそれだけ言うと、
空を見あげ、彼方へ飛んでいった。

ミンクは隠れていたが、ホワンはガウルを見ながら言った。
「ミンク、この妖魔は君の召喚ですか。ありがとう、流石は召喚師。ミンク、ここにきて
召喚獣の説明を・・・」「奴ならいないな」ガウルが代わりに答えた。

「すげえ恥ずかしがりやだからな!ま、オレを呼んだだけでも上等ってやつか。おいミンク、
あいつが来たらまた呼べよ、いいな!!」その言葉と共に、ガウルは霧のように消えた。


ミンクはそっと部屋へ戻っていた。廊下をホワンが通るのがわかったが、その影がミンクの
ベッドの傍を静かにすべるように消えると、いつしかミンクも眠りに落ちていた。









・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-07-17 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???       妖魔

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  2  話   「 ホワンの受難 」


ミンクは何がなにやらわからぬまま、ホワン師範の下、武術を1から習うことになった。
ホワンの弟子達は、この若い娘が弟子入りした理由は聞かなかったが、どこから来たのか
いままでどんな暮らしだったのか、そんなことを質問してきた。ミンクは曖昧な言葉でかわして
いた。それは、召喚師の掟だったからだ。

稽古の胴着をつけて並んでいても、その格好が締りが無い、姿勢が悪い、そう注意されて
ミンクは5歳の子どもに笑われた。「お姉さん、帯の結び目変だよ」

「ミンクは我々とは違う修行をしてきた者だ。しかしここでは序列は一番下だということを
自覚し、こども達にも教わるように。そして、よいか、皆は他の事ではミンクに教わる事も
多々あろうから、生活の場では、常に敬う心を忘れぬように」
「はいっ!!」

一糸乱れぬその武術の訓練に、ミンクは圧倒された。
門下生はその年齢、習熟度は違うので、全員が揃っての練習はまだ見てはいなかったが
ホワンの下にいる、そのまだ若い少年、青年のグループによる演舞は、美しいの一言だった。
ミンクは、修行の厳しさを一時忘れる程、その演舞に見惚れていた。

「ミンク、そなたも訓練を続ければ、あの中に入れるようになる。
・・・ミンク、まだ逃げることを考えているのか?」
「いいえ~~!!全然そんなことないですよ~!!」「・・・・・・まだあきらめてないのだな?」
「いえいえ~~~!!!」「ミンク、そなた・・・顔が赤いぞ。それに、動悸があきらかに
早くなっている。そういうのは、うそをつく時に常に見破られるから無駄というものだ。
だが、私はそなたを見直したこともある。・・・それはそなたが、自分の生業を皆に話さない
ことと・・・修行についてこれることだ。やはり、聞き及んでいたそなた達の修行は、厳しい
ものだったのだな」

ミンクは苦笑いをした。「あ、あはははは!!!ミンク、忘れちゃったあ~~!!!
どんなことしたっけ・・・えへへへ!!!」「・・・そうか。ミンクは、まだこれから覚えるべき
ことが沢山あろうから。・・・・・・・・皆、演舞を終え、いつものように試合をするように」

ミンクはホワン師範から、今は自分の身体の動かし方、守勢、防御の方法を教わっていた。
筋肉や関節、力の入れ方、流れるようなしなやかな動きは、ミンクが今まで見たどんな武術
とも違い、身体のエネルギーを十分に引き出し、増大させるようにみえた。
しかし、ミンクがいい加減に動くことや、すぐに姿勢が崩れることに、ホワンは厳しく指導し
ミンクはその、あまりにも隙のない目に、まさかこの人魔法使い??とまで思うのだった。
何しろ、後ろを向いて(もう帰る~~~!!!いやだ~~~~!!!)と思っただけで
「そうか、まだ足りないのか。ではもう一度、同じ動きを繰り返すのだ」というのだ。
・・・ミンクは、参った!!と思った。これじゃ、召喚師の試練の時の、二の舞だ・・・
「はあ~~~い」(ほんと、なんでわかるの???この人、絶対おかしいよ~~~!!)
身体中が痛くなり、神経が張り詰める。1日の大半を修行に費やして、ミンクは3日目に
根をあげていた。



ミンクは真夜中、むくっと起き出した。
今夜こそ、ここを抜け出そう!!!!

木の床はぎしぎしと音を立てる。ミンクは息をつめて足音を極力消して、歩いた。
どの部屋からも寝息と寝言、歯軋りの音しか聞こえない。
そう、前日は昼間、庭掃除をするふりをしながらそのまま出て行こうとして、ホワン師範に
呼び止められた。あれはやはりまずかったな~~~~!!

今度は、昼間逃げる経路を考えておいた。庭の植え込みの木が1つだけ低くなっているところが
あり、そこからなら、ミンクでも乗り越えられそうだった。
(・・・暗いけど、これなら私の姿も見えづらいよね~~~!!うんうん、誰の気配もない~!!)

三日月がその細い目をこちらに向けているような夜、影から影へとミンクは移動しながら外へ
出ようとした。
その時、ミンクは首筋にちりちりと焼け付くような痛みを覚えた。
「・・・つっ!!・・・なに?火の神???」火の神は何も応えなかった。「??」

庭の方で物音がした。

その窓から見えたのは、ホワン師範の背中と・・・巨大な黒と赤に彩られた羽を広げた
怪物の姿だった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

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by f-as-hearts | 2010-07-16 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ
・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???       妖魔

クク・スースルーズ        ・・・???       魔獣王



第  1  話   「 ミンクのトンデモ話 」


「召喚師・・・それは、幾多の試練、修行と神々との契約を結ぶ旅を経て後
その神々をこの世に召喚することを許されし者なり・・・ミンク、そなたの事は
我が師である、ガーネイ老より頼まれた。であるから、そなたはこのホワンの
弟子になる訳である。・・・ではあるのだが、ミンク、私は合点がゆかぬ」

ミンクはホワンの前で、その口をいっぱいに開けて、あくびしたところであった。
「・・・ふあい?ホワン師匠、何わかんないの?」

ホワンは、その手紙をミンクに渡しながら、言った。

「全てが、わからぬのだ。この手紙には、まず、何故そなたをここによこしたのか
書かれておらぬ。ミンクは召喚師ではないか?!なのに、何故私のこの武道場へ
弟子入りすることになったのだ??そんなでたらめな話、聞いたことも無い!」
「うんうん!!ミンクもそう思う!!じゃあ、ホワン師匠、すぐに破門にしてください」
「そうはいかぬのだ。これは正式に、我が師匠がそなたを門下に置くという証明書なのだ」
「・・・それ、やぶっちゃえば?」「馬鹿を申すな!!そんなことをすれば、私が真っ先に
破門される!!・・・ミンク、こうなれば何が何でも、この武術を修練し、会得するのだ」
「・・・・・・はあい、よろしくお願いいたします~~!」



・・・ミンクは、ホワン師匠の顔を見ながら、自分のいた村で起こった事を、思い起こして
いた。ミンクは肩をすくめた。

ミンクのいた村、召喚師の村ジーニラス。

「ミンクはどうも・・・先祖がえりなのか、妖精族の血が濃すぎるようだ。どうも神々と
うまく絆が結べていないようだ。すぐに混線する」
そういって心配したのは、父親のカロンであった。「いづれは落ち着くだろうが・・・どうしたら
よいのか・・・」「ミンクは大丈夫だよ~?お父さんは心配しすぎだもん」「もう20歳だという
のに、この娘は!」「だってだって、お母さんに似たんだもん!!!」

父は、とうとう大声で叱った。

「だってだって、ではない!!!それが、召喚師の言う言葉か!!!お前は、まるで
妖精のこども、そのものだ!!そんなでは、神々も呆れ果てるであろう。
・・・お前のことは、大召喚師様にご相談してある。これから行って、お前を修行の旅に
行かせることを承諾していただこう。・・・・本当に、こんな時、妻が生きていてくれたなら
良かったのだが。・・・よいか、大召喚師様に、けっして口答えしてはならんぞ!!!」


大召喚師様の お告げ。

「ミンク、お前、わしの旧知の友 ガーネイ老の武道に弟子入りして修行ね。
精神修行にもってこいだからね。隣村だからね。この手紙もっていってね」

ミンクは反論もさせてもらえなかった。父親は娘ミンクを武道へと言われて、驚いては
いたが、すぐに納得した。「ありがたきご指導でございます。では早速向かわせることに
致します」「・・・・・・ええええ???うっそ~~~~~???」
「うそつきは直そうね。それから、遊び癖も怠け癖もね」「まことに、その通りにございます」

父親も大召喚師様も、どうかしてるっ!!と、ミンクは思った。
私って、普通じゃない~~~~!!!
その顔を見て、父はミンクに言った。
「これで、まともな召喚師になってくれるだろう」




・・・・ひっど~~~~い~~~~~!!
どこの世界で、召喚師が武術を修行するのよ~~~~!!!


ホワンはミンクに言った。
「私は武術師範であるので、指導は厳しいがよいな?」
「よくな~~~~~~~い!!!」「返事は、はい、のみだ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい・・・・・・・・」

・・・ミンクはどうやってここを抜け出そうか、そればかり考えていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-07-15 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ