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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

<   2010年 04月 ( 31 )   > この月の画像一覧

 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  

サードニクス王             22歳   サードリア王国国王

グランバードス王            52歳   フォアクロス諸島国国王

隼のイグニス              ???  フォアクロスの魔法使い

黒い大熊                ???   森の守り神

ガーシュイン・シュッツトガルド    40歳   ラムズの父



第  19  話   「 向かう先にあるもの 」



山は切り立った岩肌がところどころで斜めに亀裂が入って、この辺りが大規模
な地震で地層がぶつかり合って隆起して出来た山だとわかった。
中腹にその館はあった。

イグニスは開いた窓から部屋に飛び込むと大声でその山の館の主を呼んだ。
「ハーケン伯爵、ハーケン魔法伯爵はおられますか?!」

部屋にはどこにも気配が無かった。

「弟子のイグニスにございます、ハーケン伯爵!!」

館の庭から静かな横笛の音色が聴こえてきた。イグニスは隼の姿のまま中庭
へと飛んだ。そしてその姿を伯爵の前で解いた。
中庭は今 ライラックがその薄紫の花を咲かせて、白い大理石の庭園を華やか
に彩っていた。伯爵は長い銀色の縁取りのローブを羽織り、横笛を吹く女性の
正面で椅子に腰掛けていた。1曲終わるのを待って、イグニスは伯爵にお辞儀
をし、突然の来訪の非礼を詫びた。

「・・・何があったね?」伯爵は女性に待つように手で合図して、イグニスに訊ねた。
「蒼の城の・・・伝承者が現れました。私は森で亡霊に襲われ、九死に一生を得ま
した。ハーケン伯爵、この不肖の弟子イグニスに、どうかお知恵をお授けください」

伯爵は少し考えているようだった。
「蒼の城の魔法使いの魔法について、か・・・400年もそこで何かを護っている。
・・・我々はそれを、彼の魔法の源だと思っているが、いまひとつ根拠に欠けるのだ」

ハーケン伯爵は女性に再び演奏を頼んだ。
「第一、400年も経てば魔法力も尽きる筈だ。眠っているという伝承の通りなら、ね」
「やはり!・・・私も大魔法使いは森のどこかにいる筈だと思っていますが・・・どこにも
見えないのです!幻影透視術を使いましたが」「・・・・・・・・ふむ・・・・・・・・」

ライラックの花とまだ雲が覆っている空の、遥か彼方を見るような目で、伯爵は考え
ていた。「・・・その魔法使いのことだが、手がかりが欲しいのだろう?
・・・イグニス、この世で最大にして最高の魔法とはなんだと思うかね?」
「・・・・わかりません・・・・」「聞くところによると、精神魔法というものが存在するらしい」
「それは、どんなものなのですか?」

「私の師であった大魔法使いが、一度だけその魔法の不思議な話を聞かせてくれたが
・・・どんなに遠くであろうと、その魔法が届く範囲の球状、つまり空間にも及ぶが、その
範囲に入った者に、精神攻撃が出来るというのだ・・・イグニス、亡霊は精神攻撃では
なかったのか?」

イグニスは、まざまざと昨夜の亡霊を思い出していた。「・・・まさか?!」

「・・・その、まさか、だ・・・遥か昔、3人の魔法使いである賢者がその力を使い、戦争を
好む国の人間達に・・・その聖なる地に入ると、未知なる呪いがかかり不幸が訪れる、
・・・そういう、潜在意識操作をしたという話を聞いたのだ。精神を縛る高等魔法だ。
後の言い伝えでは、それが精神時間領域魔法というものらしい」

イグニスは、怖ろしさに鳥肌が立った。「伯爵・・・・・・では、蒼の城の魔法使いは!?」

「その魔法を伝授された、唯一の魔法使いだろうと思う。私の知る限りでは、その魔法
をこの世で伝授された者は他にいない・・・・思うに・・・我々がいつも伝え聞く、あの、
真の夜 蒼の城を探す者は呪われる・・・というのは、その潜在意識下の操作であろうな」

イグニスは伯爵のその話を聞いて、もう一つ気がついた。
「・・・伯爵、その魔法は3人の賢者によって行なわれたんでしたよね?でも、この
蒼の城の魔法使いは・・・」「そう、たった1人だ。・・・で、あるから、私も信じられないのだ」

イグニスは伯爵の屋敷を後にした。
王に報告せねば・・・・・・・・しかし、この魔法使いにどうやって太刀打ちしたらよいのか
いよいよイグニスはわからなくなっていた。蒼の城の大魔法使いが今も自分を見ている
そんな感覚が、彼の心に暗く影を落としていた。







・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-04-30 23:59 | ファンタジー小説Ⅴ
 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  

サードニクス王             22歳   サードリア王国国王

グランバードス王            52歳   フォアクロス諸島国国王

隼のイグニス              ???  フォアクロスの魔法使い

黒い大熊                ???   森の守り神

ガーシュイン・シュッツトガルド    40歳   ラムズの父



第  18  話   「 共に 」



炎がちらちらと焚き木を舐めるように燃え、静かになった森は遠くで狩りを
する狼の遠吠えが時折聴こえるくらいだった。フクロウが時々ヒュイーと
ネズミを枝から滑空して音もなく捕らえたり、狸の親子が遠くからじっと見て
いたりした。火を絶やさぬように父と交代で枝をくべながら、ラムズはずっと
こうして暮らしてきたような錯覚をしそうだった。ひとり、首を振ってその考え
を自分で否定した。父は燻製にした乾肉をラムズに渡すと、食べるように
言った。


「・・・・父さんははぐれ熊との暮らしは?大変だよね・・・」
「・・・いや・・・慣れると彼は 面白い奴なんだ。性格が違うんだ。みんな、ね」
その、みんなというのが動物達だと言うことは、訊かなくてもわかった。
「・・・・ここに、いたら・・・」ラムズはゆっくり考えながら話していた。
「ずっとここに居たくなる様な気がする。・・・・でも狼がまた僕を狙ってくる。
・・・・やっぱり、僕は旅に出るのがいいと思う」

父は、伝承のことをもう言わなかった。僕が白い鹿のことで悩んでいるのを
聞いて、がっかりしただろうか?やっぱり無理だと思ったよな・・・・・・・・・・・・・・・
ラムズは突然、さっき父が言った期待というものの大きさがわかったのだった。



「・・・今夜は疲れたろう?先に寝なさい。私は昼寝してるから大丈夫だ」
そう言われてラムズは許されたような気がしてすぐに寝てしまった。ラムズが
寝息をたてて寝ているのを見て、父は今までの事を思い出していた。
長い長い、夢のように・・・・・・・・・・





「ガーシュイン!!あなた!どこにいるの?」妻のイライザが森の中を探して
いる・・・・私は時々ウサギと話すのに夢中になって罠を仕掛けるのを忘れて
しまう癖があった。「いいか、この罠はイタチやテンなんかの罠なんだ、絶対
入るなよ!」そのウサギは茶色い毛で耳が短い奴で、子ウサギの頃から遊ん
でやっていたせいか、ある程度人間の罠や危険さは教えてきた。
そしてその耳の良さが時々私を窮地から救ってもくれた。
「・・・・なんだ?何かくるのか?」夕方、狼が走り回っているのをすぐに教えて
くれた。自分の耳よりウサギの耳を信じる方が、危険は回避出来た。
妻が知らずに大声でこっちへ来る!ウサギに頼んで妻の前を走ってもらう事も
あった。妻はこのウサギの後をついてくる。私に慣れているのを知っているから。
妻はウサギが案内してくれると思ってついてきた。


小動物の知恵は敵を回避する事に尽きると言ってよかった。だがそれはこの
森の中では人間も同じだった。自分がこの灰色のはぐれ熊といる理由、それも
自分1人ではこの森の中で生きてゆけない、それが第一の理由だった。
そして、もうひとつの理由は・・・・・・・

ガーシュインは首を振った。それこそ馬鹿げている・・・誰もそれは理解出来ない
だろう。火は 少しずつ小さくなり、やがておき火となり消えていった。




チチチチッ・・・・・ピィーーーチイチイチイ・・・・・・

朝、ラムズは鳥達の声で目覚めた。
「それじゃ、お父さん。・・・・・・僕はもう行くね」「ああ、元気でな」

大熊はのそりと歩き出しながら言った。「おまえの父は面白い奴だが、おまえも
火をつくれるのか?」「ああ・・・どうして?」「もう一度、火を見られるか?」「え?」
「・・・・じゃあ面白そうだから、おまえについてゆくことにしよう」「!・・・・・・・・・・・」

「若いの、おまえも物好きだな」「はぐれ、おまえほどじゃないがな。別にわしは
どこででも暮らせる」「・・・ここら一帯はたしかに、他の奴はおらんようになった
から好きにせい」「・・・まあおまえの縄張りは荒さんよ」父と僕は顔を見合わせて
笑った。「・・・よかったな、ラムズ。大熊は新しい縄張りもできそうじゃないか」
「なんだ、そういうことだったのか。それじゃあ、お父さん、早くお母さんの
ところに帰ってよね!」「ああ、わかった。じゃあな」父はまるでいつもそうだった
かのように、笑ってラムズを送り出した。


ラムズは日が昇って少しずつ小鳥が騒がしくなっている方へ歩いてゆくことに
した。

大熊は何故か僕についてくる。この、おかしな道中はなんだろう?
僕は仲間だと思った大鹿をこの熊に殺されて、でも付け狙う狼の群れからは
この大熊に助けられた・・・僕はこの大熊をどう思えばいいんだろう?

「・・・・水の匂いがする。この先に大きな水がある。のどが渇いていたから
ちょうどいい」「・・・そういえば、鳥が騒いでいたのはこっちだ」「そのようだ」

人間と大熊が並んで走っているのを枝にいるリスが大きな目で驚いたように
眺めていた。ラムズは少し自分が大熊を面白がっているのに気がついた。
僕と一緒に旅をしているらしいこの大熊を・・・・・・・・ウサギや狐はどこかに
潜んで陰から見ているに違いなかった。大熊はいつもこうして恐れられてい
るのか・・・そんなラムズの気持ちなどはまるでわからない大熊は、兎に角
のどが渇いたとぶつぶつ言って走っていた。



イグニスは夜通し飛んで、そろそろ目的の地が眼前だった。
フォアクロス諸島の隼のイグニスは、南の魔法使いやザザーランディアとは
違い、魔法使い達との同盟を善しとしなかった。その理由は王族との繋がり
にあった。彼が仕えるグランバードス王は、サードニクス王とは敵対関係であり
ザザーランディアはサードニクス王に仕える魔法使いではないが、南の魔法
使いを事あるごとに潰すように言いくるめていた。だから今回、不本意ながら
南に助けられた事は、グランバードス王には赦し難いことであろうと察しがつ
いた。だが、あの森は一人では手が出せない・・・・・

その山はいつにもまして厚い雲に覆われていた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-04-29 23:59 | ファンタジー小説Ⅴ
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最後の 桜





先日 親戚の叔母が他界いたしました。

暫く ブログをお休みさせて頂きます。

いつもご来訪いただきまして
ありがとうございます。
また再開いたしましたら
どうぞよろしくお願いいたします。
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by f-as-hearts | 2010-04-22 07:55 | 祈り
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最後の 桜





Image

You may dream
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by f-as-hearts | 2010-04-21 00:13 | 祈り
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白い花が 咲いていた
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by f-as-hearts | 2010-04-21 00:00 | 祈り
 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  

サードニクス王             22歳   サードリア王国国王

グランバードス王            52歳   フォアクロス諸島国国王

隼のイグニス              ???  フォアクロスの魔法使い

黒い大熊                ???   森の守り神

ガーシュイン・シュッツトガルド    40歳   ラムズの父



第  17  話   「 折られた翼 」


父が・・・・・僕を待っていた?
でも、伝承は・・・・・・「お父さん・・・・僕は、伝承の青年じゃない。
もう村にいられないと思って、それで思わず森に逃げてきてしまったんだ。
村で・・・村でこの前 掟の試練があった。僕が森でエサをやって安心させて
しまった白い鹿を、アンディが殺したんだ。それに、その白い鹿は神聖な獣
だからって、だれも食べなかったんだ。・・・・僕は自分も人も許せなかった」

大熊はそれを聞いて唸った。「・・・なんだと?殺した獣を食べなかっただと?」
「でも元々は僕が・・・」「エサをもらった鹿はおまえを仲間だと思っただけだ。
人間はそんなこともわからないのか?食べるものをやるのは気に入って欲し
いからだ。もらうのは気に入ったからだ。人間、おまえは何がわからないんだ?」

パチパチと木がはぜた。

父は大熊の話をじっと聞いていた。少しも口を挟まなかった。
「・・・・そうなんだ・・・そうか・・・僕が怒っているのは・・・・・・」

木々が急にざわざわと突風にさらされ、月が闇のカーテンに隠された。
「・・・・また、森に入った者がいるな・・・・」父の言葉に、ラムズは森の様子が
急変した訳を訊いた。「誰が入ったんですか?まさか・・・ディーオじゃ」
父の顔色は悪かった。「蒼の城を探す者だ。真の夜に・・・」
大熊は吼えた。「また懲りもせず、亡霊どもを起こすのか、人間ども!!」
「・・・・吼えるでない。亡霊はわしらには悪さはせん。わかるだろうが」
はぐれ熊は眠そうな目を片方開けて言った。「人の、災いだからな」

父はラムズに頷いた。「ああ、私が教えたんだ。ラムズ、おまえはそろそろ
わかってきたんじゃないか?」「え?」

ラムズにはどうして自分達には災いが降りかからないのか、わからなかった。


森に来たのは魔法使いイグニスだった。
イグニスは考えて、隼のまま森の上空を飛び、蒼の城を探そうとした。
それは森の中に大魔法使いがいる、そう思ったからであった。ならば、空の
遥か上空から蒼の城を探せば良い。

イグニスは森をくまなく探し始めた。ところがそれは突然の突風によって遮ら
れた。
「何っ?!こんな上空で???」見る間に風は凶暴な竜巻になりイグニスの羽
を折った。そして森の中に突き落とされた。イグニスは急いで元の姿に戻った。
そこでザザーランディアや南の魔法使いが怖れたものが次々と現れるのを見た。


「爆火炎上!!森よ全て灰になれ!!!」イグニスは最大火炎魔法を唱えた。
しかし亡霊達は一斉にその氷の息吹で魔法を無効にした。「ならば!!!」
イグニスは今度は巨大な剣を持って、亡霊に切りかかった。
イグニスは何度か隙を見て隼に戻って飛ぼうとしたが、亡霊はまるで統率がと
れた軍のように波状攻撃で剣をもって襲ってくる。
「くそっ!!!まるで隙が無いだと?!」その時、気がついた。その亡霊の着ている
鎧についている紋章、それはフォアクロス王国のものもあったのだ。

「!!亡霊となってもその軍の旗を掲げるというのか!なんたる愚弄!!!」
イグニスは怒りが湧いてきた。「蒼の城の魔法使い!!おまえは亡霊の王か!!
姿を現せ!!幻影透視!!!!」

・・・イグニスは360度回転してその森を見通した。しかしそこに魔法使いの姿は
なかったのである。「馬鹿な?!そんな筈は・・・・・・」

イグニスはどんどん追い詰められていくのがわかった。亡霊は鎧や盾をガチャガチャ
させながら輪を狭めてきた。

「ケルベロス!!道をつくれ!!!」南の魔法使いの声が遠くから響いた。
巨大な地獄の番犬が亡霊をなぎ倒しながら現れると、イグニスはすぐに隼に変身
してその場を逃れた。ケルベロスはイグニスを追って霧のように消えた。
亡霊はそれと共に地中に消えていった。


森の外でザザーランディアがぶつぶつ言った。
「なんであんな生意気な奴助けるのよっ!!あいつに恩売ってどうする気??」
南の魔法使いが言った。「一人では無理だと知ってもらえれば良い」
「だけどさあ!きっとまた懲りずにやってくるよ、一人で」「それならそれで・・・・
我々にも得るものがあるだろう。彼を見ていれば」「ずっっる~~~~~い!!」
「君にそう言って頂けるとは誠に光栄で恐れ入る」「恐れいっちゃって頂戴!!」

イグニスは飛びながら自国の王に報告せねばならないと思っていた。
蒼の城の魔法使い、その手がかりを探す為に・・・・・





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-04-20 23:59 | ファンタジー小説Ⅴ
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一面の菜の花




という詩を昔 読んだ覚えがある

一面の菜の花

そして遠くに林

青く・・・・

ほんのひとときの 風景

一面の菜の花

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by f-as-hearts | 2010-04-20 00:00 | 祈り
 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  

サードニクス王             22歳   サードリア王国国王

グランバードス王            52歳   フォアクロス諸島国国王

隼のイグニス              ???  フォアクロスの魔法使い

黒い大熊                ???   森の守り神

ガーシュイン・シュッツトガルド    40歳   ラムズの父



第  16  話   「 父の告白 」



森は闇の中、狼の低い唸り声で恐怖と狂気の熱が渦巻き始めていた。
狼の中にひと際大きく牙をむいて大熊を睨んでいるのが、群れのボス
らしかった。ラムズが見る限り、ここら辺では一番大きな狼だと見えた。
父のガーシュインは、成り行きをじっと見つめていた。
2頭の熊は、何故かわからないが、2人の人間を守ろうとしていた。
ラムズは大鹿といい、この大熊といい、何故人間である自分達を守ろう
とするのか、理由がわからず混乱していた。
その顔を横目で見た父親は、ぼそりとつぶやいた。

「ラムズ、私達は弱い。彼らからみたらもろい生き物なんだ。
彼らは自分と同じ匂いがするものを、守らねばならないと思うらしい」
「・・・あ、そうか・・・獣の匂いがわかるって・・・」「私達は言葉というがね」
「・・・ラムズ、オオカミの声がわかるか?」

ラムズは穴から少し身体を乗り出した。
「・・・大きなボスが指図してる・・・少しずつ左右に広がってゆく・・・

はぐれ熊、右の若い狼が先に襲ってくる!次は片耳がちぎれた奴だ!」

はぐれ熊はラムズの声に反応した。「わかっている!ひっこんでろ!若造」
大熊も吼えた。
「わしはボスを狙う!!こいつらはボスの手足だからな!!
はぐれ!!おまえは巣穴の前で陣取っていろ!!」

大熊はボスの狼に突進した。その大きな身体に似合わぬ敏捷さで、ボス
が避けようとした先の大岩に駆け上ると、辺りに響き渡る大声で吼えた。
その姿は、この森の守り神と呼ばれるに相応しい堂々とした体躯で、月が昇り
その背中に光が落ちると黒々としたその毛が光を放ち、威厳すら感じられた。
その大岩は狼を威嚇するに十分で、またそこに狼が駆け上がるも、立ち上がっ
た大熊にその大爪を振るわれ、数メートル先まで吹っ飛ばされた。

ボスは次々と若い狼を向かわせるも、相手が悪いと悟ったのだろう、一声吼え
ると撤退していった。



数頭の狼がそこに横たわって息絶えていた。熊達は若い狼の肉を食うと、後は
そのままにしていた。「年老いた狼の肉はまずいと言っていた」父の言葉が
まるで熊が言うのと同じに思えてラムズは苦笑いした。

2頭の熊は静かに洞穴の方へ向かってきた。父は洞穴を出ると、2頭と静かに
向き合った。ラムズはその後ろから父のすることを見ていた。父はあぐらを
かくとその場に座り込んだ。熊達もゆっくりとその腰を落として周りを見た。

「狼はまた狙ってくるだろう」大熊はラムズの顔を見ていた。「おまえをな」
「今夜は火を熾そう。そうすれば狼は襲ってこない」父の言葉にラムズは驚いて
いた。「火??熊達がいるのに?」

はぐれ熊はなんでもないというように言った。
「人間はいいことを知っている。しかし焼いた肉は、食う気にならんな」

父は乾いた枝を集めて山のようにしたところへ歩いてゆくと、硬い石と木の棒
を使って摩擦で火を熾した。火を乾燥した草で大きくし、洞穴から離れた場所で
焚き火をした。大熊は驚いたように吼えた。「熱い火をつくれるのか、人間!?」
はぐれ熊は大熊に言った。「そうだ。わしはガーシュインが何度も火をつくるのを
見ているが、面白い」「こわくないのか?」「近寄らなければな」

すぐパチパチッと枝が燃え、大熊ははぐれ熊が火の側にいても近寄ろうとはしな
かった。熊達は狼との戦いに疲れたのか無口になり、その内目を閉じていた。

父はラムズに少しずつ話し始めた。



「イライザは・・・私のことをなんと言っていた?」父の横顔は少し寂しげだった。
赤々と照らされて、ラムズもその暖かさに家で待っているであろう母の事を
思い出していた。「・・・・・・・・・・・何も・・・ただ、僕がお父さんのように旅に出る
だろうって・・・お父さんに似ているってよく言われてました」

ガーシュインはその言葉に、決心したように話した。
「・・・ラムズは動物の言葉・・・いや考えが、いつからわかるようになった?」
「お父さんが旅に出て・・・すぐに」ラムズは寂しかったことを思い出しながら
言った。「窓にとまった鳥が、雨が降るって騒いでいるのがわかって・・・」



「ラムズ・・・・私は、ずっと旅してきた。お母さんとあの村で出会って、そして
この森が伝承の森だと気付いて、本当に嬉しかった。
ラムズは自分が他の人間と違うと思って、悲しかっただろう・・・
今まで言わなかったが・・・私は魔法使いだ。しかし、わかるように、ただ
私は動物の考えがわかるという、そういう魔法しか持たない。

・・・いうなれば、魔法使いでも下級の者なのだよ。だから、伝承の森に行って
もしも城を見つけられたら・・・そこに眠るという大魔法使いにいつか教えを乞う
ことが出来はしないか、そう思っていた。だが・・・・」

父の横顔が明るい笑顔になった。「イライザに会って、考えが変わった。
もう、魔法も城も必要ないとあきらめようとした。こどもが生まれ、それからは
家族とそして小鳥や可愛い動物と過ごせたら・・・・何もいらないと思った。
私は 幸せだった。


その頃・・・・世捨て魔女に会った。
おまえがもしかしたら伝承の青年なのかもしれない。私はおまえにその
道を託した。・・・そう、そこにゆけるのは、青年なのだ。私は歳をとり過ぎた。
そして、私は再び蒼の城をあきらめた。

だが、ある日気がついた。
おまえが大きくなったら、どうなる・・・・・・・


・・・おまえやイライザのそばにいたら、きっと私は森を目指せと言ってしまう
だろう・・・私は悩んだ末、おまえが自分で、ここまで来るのを待つことにした。
この森で・・・」

父親のその言葉にラムズは驚いて声も出なかった。父は僕が来るのを
ずっと待っていたというのだ。伝承の青年としてやってくるのを・・・・・・


細い木の枝の炎は、だんだん大きな木の枝を焙り、燃え広がっていた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-04-19 23:59 | ファンタジー小説Ⅴ
 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  

サードニクス王             22歳   サードリア王国国王

グランバードス王            52歳   フォアクロス諸島国国王

隼のイグニス              ???  フォアクロスの魔法使い

黒い大熊                ???   森の守り神

ガーシュイン・シュッツトガルド    40歳   ラムズの父



第  15  話   「 3人の魔法使い 」


ラムズ達が狼の群れに襲われ、はぐれ熊や黒い大熊に守られている頃・・・

魔法使い達は、南の魔法使いの屋敷で、蒼の城、そしてあの森の謎の
事を話し合っていた。イグニスは伝承の青年さえ探せれば、解決するだろう
と思っていたが、それが逆に難しいのだと言われ、腕組みをした。

「・・・伝承の巻物の内容を知らない?何故?」イグニスの問いに南の
魔法使いは答えた。「今まで、それの存在を隠してきたのが、イシュスで
伝承の巻物の前半部分はある村に封印されていたらしい。
・・イシュスはその半分を村の長老と駆け引きして手に入れたが、ゴホン!
つまりは、長老や自分が危険な目に遭わぬ様に、伝承の青年が現れた時
初めて2つが1つになるように、魔法をかけたんだろう」
「何故、それとわかる?」

「イシュスは言った。・・・あの血統は、ずっと城を探して来た、だからあの
家族に関わってきた、と。世捨て魔女になったのが、そういうことなら、納得
がゆく。時が来て青年が本物なら、2つを1つに・・・・それがわかったのは
・・・・・魔法返しされたイシュスに会ったからだ。ただの青年に巻物を渡した
そう言ったんだ」

ザザーランディアはふてくされたように言った。
「なにがただの青年よ!どうして魔法返しされたのかもわっかんない!
でもでもラムズっていう青年だってゆうのはすぐにわかったんだ!
それで今は森の中で行方不明!!!イシュスも行方不明!!!
もうっ!私達も誰かに記憶消されちゃうし!!!」

イグニスはそれを聞いて鼻で笑った。
「ふふん、成る程・・・そういうことか。森の、魔法?それはただ単に
森の中に魔法使いがいると言うことじゃないか!!難しいことなど、
何も無いだろう!私の力の方が、上だ!!」

南の魔法使いは、じっとイグニスの目を見つめた。
「・・・もし、そうなら・・・何故400年もの間、蒼の城は探せなかったんだ?
私やイグニス、あなたほどの魔法使いは、当時にもいた筈なんだが」

「おまえが言っているのは、伝承の1部のことか?たしか・・・真の夜
蒼の城を探す者は呪われる・・・・」「そうだ。それは今も活きていると思う」
「だからさあ!!じゃあなんでラムズは呪われないで、森にいるのさ!」

ザザーランディアのその言葉で、いきなり2人は記憶を取り戻した。

「・・・・・・待て・・・・おまえはその言葉を、森の中で言った・・・・そう・・か!
・・・・・魔法をかけたのは、魔女イシュスだ!!!」



2人は、あの亡霊達をまざまざと思い出して、黙った。
「ザザーランディア、今はイグニスが森に入ればどうなるか、わかるな?」
「無理無理無理!!!!!嫌だ!!あんな奴らを消す魔法なんかありゃ
しないからっ!!!!」

イグニスは2人の変化に驚いた。「何があったか思い出した訳か。何が
どう無理だって?」
「呪われた亡霊が無限に出てくるんだ!だから無理なんだって馬鹿!」

今度はイグニスが話し出した。
「400年前に10の国10の大魔法使いが蒼の城を目指すも、大戦争には
なったが全てが徒労に終わった・・・その、亡霊が今も?」

「そういうことだ。・・・・伝承の青年を探そうと思ったが、森はやはり我々の
思惑など見抜くのだ。我々が襲われたのは、その為だ。
・・・だが・・・青年はどうやって蒼の城に辿り着くのだ?」

イグニスは笑った。
「蒼の城の大魔法使い、か?・・・・・・400年前のじじいに何が出来る!!
いいだろう、あなた達が動かぬなら私が動く。指をくわえて観ていればいい」

そういうが早いか、イグニスは隼に変身して飛び立った。





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-04-18 23:59 | ファンタジー小説Ⅴ
 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  

サードニクス王             22歳   サードリア王国国王

グランバードス王            52歳   フォアクロス諸島国国王

隼のイグニス              ???  フォアクロスの魔法使い

黒い大熊                ???   森の守り神

ガーシュイン・シュッツトガルド    40歳   ラムズの父



第  14  話   「 はぐれ熊 」



黒い大熊とラムズは巨木が倒れて苔むした滑りやすい所や上澄みは
とても澄んでいるのに、底が無いような沼を横目に獣の足跡も無いよう
な場所へと休まず歩き続けた。
大熊は一度、大きな樹の洞に寄った。そこには大熊の奥さんがいた。
その熊は身ごもっていて、気が荒くなっていた。
そこに大鹿の肉を運びたかったのだろう。その熊はがつがつと食べ始めた。
ラムズは今度は吐き気がした。その洞の周りには、沢山の死骸が散乱して
いたのだ。大熊はすぐにそこから離れると再び歩き出した。

「・・・こどもが産まれる・・・沢山食わせろというんだ」
大熊はちらっとラムズを見た。「今なら人間も食いかねない」
ラムズが驚いているので大熊が続けて言った。
「人間はまずいらしい。草だけ食っていりゃあうまいんだろうが。
人間は肉も食うからな」
ラムズはそれが冗談なのか本当の話なのかわからなかったので
答えなかった。

夕闇が迫ってきていた。ラムズは流石にお腹が空いて、木の実を
見つけては掴んでかじっていた。大熊はまだ大丈夫らしい。
「人間・・・おまえは腹が減らないのか?空腹の猿のような顔をして
いるが?」「・・・猿よりは我慢出来る」「そうか猿よりは、な」
大熊はなにか面白そうだったが、ラムズにはよくわからなかった。

とうとう暗闇が辺りを包み、大熊も遠くで騒ぐ狼の声に耳を向けていた。
「・・・何を心配している?わしはまだ腹も減らん」「・・・・なんでもない」
「狼、か。大鹿の足の旨いところを食いやがった奴が、おまえを追いかけ
て来ているようだ。匂いをたどってな」「・・・・!何故わかるんだ?」
「騒ぎ声が聞こえんのか?大鹿の匂いがしみ込んだ人間はこっちだ、
と騒いでいる」「しつこいんだな」「どうやら大勢の人間が森にいて、狩りが
やりづらいらしい」

ディーオ達だ・・・・とラムズは気がついた。僕を探してくれているんだ・・・
ラムズはまた悲しくなっていた。そして会いたい帰りたい気持ちと、もう戻れ
ないという気持ちの狭間で揺れていた。「・・・はぐれ熊はまだ先なのか?」
ラムズは無理に考えまいとした。袋の中のディーオのナイフがお守りのように
思えた。今、身を守れるものは、これだけだ・・・

とうとう大熊が立ち止まった。「・・・ここが・・・昔あいつの根城だったところだ。
まだ匂いがある。やつはここにいる」

そこは真っ暗な洞が樹の根で複雑に隠されていた。
大熊が吼えた。するとそれに応える様に、細い声が返ってきた。
洞の中から、2つの目がぎらりと光り、のそりと年老いた灰色熊が現れた。

「はぐれ、おまえまだ生きていたか。気のせいか?人間の匂いもする」
「・・・・若いの。おまえは確かもっと南にいたんじゃなかったか?
おかしなこともあるもんだ・・・鹿の匂いがする人間と一緒、だ・・・と?」

灰色の熊はその姿を現した。「・・・・・・・何者だ?人間・・・・」
熊は鼻でくんくんと嗅いだ。「・・・・・・・・・・・!!おまえ・・・
ガー・・・シュインの匂いが するぞ・・・?子か?」
「!!何故父の名前を?」「おまえの父は私の家族だ・・・今も戻るのを
待っている」「父が、ここに??」「はぐれ、おまえまだ人間と暮らしていたのか」

そこに、ひたひたと足音が近づいてきた。
「ガーシュイン、おまえの子が きたぞ」はぐれ熊がそう、一声吼えた。
「・・・なんだって??」

ラムズは振り向いた。そこには髭が伸び頬がこけてはいたが、懐かしい目が
あった。「お父さん?!」「・・・・・・・・ラムズか?!」ラムズは父の方へ走り出した。
父は自分と同じぐらいの背だったのか・・・ラムズは小さい頃の自分とは違うことを
急に思い出して恥かしくなった。父親はそんな気持ちは感じないのか、両の腕で
固くラムズを抱きしめた。「・・・元気だったか?イライザは?」「元気です」

父は毛皮のごわごわした上着で顔を拭いたが、あまり綺麗にはならないとあきらめて
ラムズに笑いかけた。「ごめんな、臭うだろう?なにせ洞窟暮らしだからな」
ラムズも笑った。「父さんらしいや・・・どうして熊と一緒に暮らしていたんですか?」


その時熊が吼えた。「オオカミどもが来るぞ!!人間、早く洞穴に隠れろ!!」
「ラムズ、急げ!!この中だ!」父親は闇の中だと言うのにまるで全て見えているか
のように、ラムズの手を引っ張って洞穴に押し込めた。

「おまえも入れ、人間!邪魔だ!わしがいるからそこにじっとしていろ!」
大熊はそういうと灰色熊とともに狼の群れに吼えた。

狼の群れは暗闇の中で目を光らせて、その数は昨夜の比ではなかった。
しかしこの黒い大熊を見ると、流石に無謀に突っ込んでくる狼はいなかった。

黒い大熊は狼を恐れはしなかったが、狼のしつこさは知っていた。
灰色熊も同様だった。そして、灰色熊は狼達は自分を襲うだろうということも
わかっていた。しかし、その洞の入り口から離れつつも、けして逃げようとしな
かった。ラムズの父はその姿をじっと見つめていた。





・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2010-04-17 23:59 | ファンタジー小説Ⅴ