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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

<   2009年 03月 ( 10 )   > この月の画像一覧

・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・



ラザルフ将軍                ・・・42歳
                        王の義弟(ヴァレンシア王妃の弟)


・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・



 ゴード・エンタールⅢ(ゴード) 30歳 
                         ・・・俳優

 シャトー・エンタールⅡ世    60歳
                         ・・・ゴードの養父


 ローレンス・イクシアン      52歳
                         ・・・劇作家


 





第   6   話  「 闇の副官 」


・・・・・・・・・ヴァレンシア王国会議室・・・・・・・・・・

ラザルフ将軍は、8人の将軍達と戦略会議を開いていた。
1人、北方地域の守りについている将軍だけは、そこで起こった少数民族の暴動の鎮圧に動いており
戻っていなかった。
地図を前に将軍達は軍の増強や兵の基地をどこに定め、設営するか等、より具体的な問題を
詰めていた。

それぞれが不備がないか、もう一度自軍に戻って確認するとして、とりあえず落ち着いたところで
ラザルフ将軍に、紅一点の女将軍が話しかけてきた。

「ラザルフ将軍、あなたの参謀は今回、この会議に出席しないのですか?」
「-副官には、すでに勅令が下っている」「王様からの指令ですか?」
他の将軍も興味を示してきた。

「おお、闇の副官殿が動いていると??それは・・・それにしても、そんな重大な事を、何故
私達にすぐに教えてくれんのかね?」

ラザルフ将軍は地図をナイフでなぞりながら答えた。
「-伝えたところで、彼の行動は誰も読めないからだ。我々の考えの及ばないところが
副官の戦場だからな」
女将軍はまた質問した。
「私は噂でしか聞いた事がないのだが、彼はどんな仕事をするのですか?」
それに、この中では一番年老いた、長い髭がまだらに白くなっている将軍が答えた。
「・・・私が侵略した小国で、先に潜入した副官殿は見事にその国の根幹を、ずたずたにしていた。
文字通り、ズタズタにな・・・・・・」

ラザルフ将軍は地図にナイフを突き立てた。
「我々とは戦い方が違うのだ。理解出来ぬ事も、世の中にはある」
そういうと、副官からの手紙をそのテーブルに置いた。
女将軍は、それを読み始めた。


     ラザルフ将軍

我が国の密偵であったグラス・ダンカン卿と、シャトーグランデ王国議会保守派議員、
そしてファントムの動きを封じる手立ては完了しました。
保守派はやはり無策、保身と受け取れる最悪の策で、国内の批判を避けようとし、
これによって、より、自国民及び、自国の軍との溝を深めるでしょう。
こちらの行動は又随時報告致します。

        副官より



「-これを読んで、彼が一体何をしたか判る者がいたら・・・」ラザルフ将軍はナイフを抜きながら
言った。「私は喜んで、この将軍の座を譲る。私は、副官を信頼しているが、それは結果を出せる
という1点に尽きる。・・・・・・・こちらは、ただ放たれた猟犬を待つ猟師のようにー」
ナイフを壁にかかっている大鹿に向けて投げつけた。
「-獲物が追い込まれるのを、待っていれば良いのだ」





・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・・・

ローレンス卿は新作の劇を書き終わると、約束通りエンタールⅡ世の城に台本を届けさせた。
エンタールⅡ世は早速ゴードに台本が出来たと知らせ、しかし、自分は届けられた台本を開かず
封をしたままゴードに手渡すと、言った。

「この芝居が、戦争によって開演出来なかったとしたら・・・

もしかしたら、私は戦争になったことより、その事の方を悲しむやも知れぬ。
私はこの台本を見ずにおこうと思う。・・・・・知らずにおれば、そこまで辛くはないのでね」

ゴードは頷くと、部屋に戻り台本を開いた。
そして・・・・・・・・言葉を失った。
ゴードは急いでローレンス卿に手紙を書いた。





        ローレンス・イクシアン殿


  台本を拝読致しました
 
  今回私は 初めて物語に  人物に  驚きました

  本当に これは 私に出来るのでしょうか?

  この役を・・・・・・・・・・・


    

  しかし 又 これが戦争にならずに この国で上演出来る事を 

  私は切に 願ってもいます

    



          ゴード・エンタールⅢ世






(この お話は フィクションです)

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by f-as-hearts | 2009-03-28 10:34 | ミステリー・ファントム 2
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ファンレター




Image 赤い花

最近かなり考えることが多くなりました。





今日は 久しぶりに遠い親戚と話しました。

色々と報告があって それだけ話しもしていなかったからですが。


明日もまだ寒いようです。
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by f-as-hearts | 2009-03-28 00:52 | 祈り
・・・・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・

ヴォーグ・レーヴィエ            67歳
                     ・・・革新派議員 ジョルジュの伯父

ベルガー警部                 55歳


グラス・ダンカン卿               53歳
                         ・・・貴族院保守派議員


ルシウス・トゥラスト             39歳
                     ・・・王子(グラハム王の長男)

セシリア・トゥラスト              35歳
                     ・・・ルシウスの妃







第  5   話    「 罪の重さ   」


ベルガー警部はその部下の報告に、激怒した。
「グラス・ダンカン卿が、保釈された???無実であるという証拠が、出てきただと???
何を馬鹿な?!ダンカン卿は、あれだけはっきりと断言したのだぞ?!」
「それが、我々も未だに信じられないのですが・・・すでに、王家から書簡にて、裁判の
取止めと、ダンカン卿の先の自白は強要されたものなので、無効であるとーー」

ベルガー警部は机をおもいっきり叩くと、コートをひっつかんで部屋を飛び出した。
ベルガーは馬に乗ると、驚く警ら隊の者達には何も言わず、走っていった。

「レーヴィエ卿!!おられますか?!ベルガーです!!」
ドンドンとその邸宅の扉を叩いた。従者が現れて、彼を招き入れた。

「・・・お怒りは、ごもっともです。私も、先程その事実を確認致しました。・・・ベルガー警部
これは、私からのお願いなのですが、よろしいでしょうかな?」
ベルガーは、椅子に座ってこちらを見ているレーヴィエ卿に頷いた。
「とりあえず、その、血の滲んだ手の甲の手当てを。従者が驚いておりますので」

ベルガー警部は包帯を巻いた手を、握り締めてレーヴィエ卿を見ていた。
「理解出来ん!!!全く、許す事が出来ん!!!あの自白が、強要????我々が、強制
したと、どこの誰が思うというのか???ダンカン卿が、あの保守派の議員達の保身の為に
自分の主義を曲げたと?!裁判が出来ないとしたら、我々の仲間が黒馬の軍団に殺害された、
あの軍団をかくまっていたダンカン卿の、責任は一体どうなる!!!」

怒りに震えるベルガーに、レーヴィエ卿はゆっくりと話し出した。
「・・・保身の為ばかりではないと考えております。議員との戦いは、我々ノーブルノワールに
任せては頂けないでしょうかな?議会というところは、なかなか戦場としては凝った戦略を必要とする
場所でしてね。・・・私が恐れているのは、実はもっと別の事でして」

レーヴィエ卿はレモンハーブの香りの紅茶をベルガー警部にも勧めた。「いかがですかな?」
「・・・どうも・・・それは、どんな・・・恐れている、とは?」「まあ、噂ですが」「ああファントムの?」
「・・・実は、以前から気になる事がございましてな。・・・情報の漏洩というのでしょうか・・・

警部、ダンカン卿については、これ以上の追求、いや、訴追は難しいでしょう。ですが、まずは
あなたの亡くなられた部下達の為に国として償う方向で、私は進言致します」

「・・・レーヴィエ卿、以前から気になっていた事とは?」ベルガー警部の質問に、レーヴィエ卿は
答えた。「まあ、ちょっとした気がかりでしたが・・・」

「どうやら、ヴァレンシアは標準を定めてきたようです」



・・・・・・・・セシリア妃の部屋・・・・・・・・・・・・・


セシリア妃は、表の公務や公式行事を今後一切出席しない意志を表明した。
妃のその決意を、ルシウスは王や議会に伝え、それは受理された。
セシリア妃はヴァレンシアの貴族出身であり、またその身内同然にしていた侍従長ロザリーが
暗殺者ブランであったという重大な事実に、いかに王子の妃だとしてもセシリア妃を罰せざるをえず、
しかし、ルシウスはブランの犯罪を未然に防げなかったことは、王子自身も同等の罪であると主張し、
議会は妃への罰則を軽減、セシリア妃を更迭せず、ルシウス王子の監視下に置く、という決定が
下された。


ルシウスが来たので、セシリア妃は侍女に部屋から出るように告げた。
「・・・もうそんなに侍女を気にしなくても良いが・・・」
笑顔を向けるルシウスにセシリアは首を振った。
「ロザリーは・・・」
視線を落として、セシリアはぽつりと話し出した。
「ロザリーは・・・   暗殺者だったなんて・・・そんな・・・
今も 信じられません。そんな素振りは全く・・・何度もブランの事件の話も話題に出ていましたのに。
とても優秀で、本当に私の為に  よく働いてくれて・・・・・・
ヴァレンシアとの密偵のような事をしているのは、知っていました。
でも・・・私と、息子の護衛をしてくれていると、ずっと思っていました」
淡々と話すセシリアにルシウスは言った。

「・・・話してくれるようになって、嬉しいよ」「楽しい話ではないですのに」「それでも・・・」

ルシウスはちょっとむせた。
「それでも、君が何も話せない辛さを、私は知っていた。

そして・・・・・その君に、何も言えない 自分の、 情けない顔が・・・」
ルシウスの笑顔が崩れた。
「・・・ 夜の 闇に 浮かぶんだ   ・・・」

セシリアはルシウスとのこの14年間を走馬灯のように思い出していた。
「・・・・・・・・・私は あなたの笑顔しか、知らなかったのね・・・・・」
セシリアは、やっと顔を上げた。
「それが私の 務めだと 思っていたんだ・・・

これからは 本当の君を知りたいんだ、   もっと」






(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2009-03-24 23:59 | ミステリー・ファントム 2
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今日の佐倉城址公園


桜の蕾だけなので、まだ見頃は先になりますね~!


今日は風が強いです。
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by f-as-hearts | 2009-03-23 09:15 | 祈り
・・・・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・

ヴォーグ・レーヴィエ            67歳
                     ・・・革新派議員 ジョルジュの伯父



ルシウス・トゥラスト             39歳
                     ・・・王子(グラハム王の長男)




アイーダ・ローゼンハイム          24歳
                          ・・・女優


ゴード・エンタールⅢ世            30歳
                          ・・・俳優(ファントム)

ミシェル・グルックス              55歳
                          ・・・新聞社所長(アイーダの叔父)



第  4  話  「  見えない手  」


   親愛なる 叔父様

私の唯一の保護者で敬愛してやまない叔父様

どうか 悩みを、聞いて下さいませ。
短い時間でも構いません、お願いです、叔父様。

        
          アイーダ・ローゼンハイム




   アイーダへ

このところ、新聞社に泊り込んでの仕事が続き、私も外に出かけたいのはやまやまだが。
ところで何をそんなに悩んでいるのだね?
また舞台の事ならば、私はいつでも観に行くよ。それとも、ゴード氏の事なのかな?
明日は昼休みが取れそうだから、その時に会おう。


          ミシェル・グルックス


「叔父様、ゴード様は・・・今、新聞社にいらっしゃるのですか?」
アイーダは勧められた食事にも手をつけずに真剣な眼差しで叔父に詰め寄った。
「-ゴード・・・ああ、ジャンは時々来ているようだが。記者の仕事も本業のように上手いね」
叔父はスープを飲みながら答えた。
「叔父様・・・最近ゴード様におかしな様子はないですか?」
「-おかしな?とは?」「・・・何も変わらないということなのです」
「?もう少し、分かる様に話してくれないかね?」
「あんな噂が流れたのに、何も気にしていないなんて、おかしいとは思いません?
叔父様・・・」
叔父は、パンをちぎってスープと一緒に食べだした。
「あんな噂とは?巷には、どんな噂が流れているのかな?」
「ファントムがヴァレンシアに関わった大臣を制裁しているという、噂なんです」
「-それは、穏やかではないね!・・・いや、だが、ゴードは気にすることはないと
思ったんじゃないかね?」
「-本当に、ゴード様は何ともありませんか?」

叔父は、ちょっと黙った。
「・・・そういえば・・・今日は朝からゴードを見ていない・・・な。時々どこかへ
行くようだが。わかったよ、アイーダ。これからはお前に、ゴードの様子をなるべく・・・



・・・!!ああ!泣かないでくれ!!

わかったから!ゴードのことは、ずっと見ているようにするからね!」
「お願いよ、叔父様!」アイーダは叔父に慰められてやっと安心したのか、泣き止んだ。
「私には、叔父様だけが頼りなの」


アイーダが帰った後、また一心に印刷機を回しながら、所長は独り言を言った。
「本当に悩んでいるようだな」

そこへ、ゴードが戻ってきた。所長は大声で話しかけた。
「-あの大臣の一件は、何か判ったか?」
「-いえ・・・漁師達の目撃証言の他は、特に目新しい話もないですが」
「そうか・・・ゴード、噂の件でお前が動きづらいなら、私が取材に行くが?」
「-ああ、その一件ですか・・・」
ゴードはちょっと眉をしかめてみせたが、頷いた。
「お願いした方が良いようですね。では、私は今日の内容をまとめたいので
これで失礼します」「わかった。頼むよ」




・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国会議場・・・・・・・・・・・・・

保守派議員、大臣達は、緊急の会議を開いていた。
保守派の大臣が殺害されたと思しき事件について、まず保守派の中で情報を把握しようと
していた。
「議長、今回の事件ですが、グラス・ダンカン卿が勾留され、取調べ中という時期と、そのダンカン卿
と一番親交のあった大臣の殺害という事で、我々保守派の中にも、何事が起ころうとしているのか、
不安が広がっております。まずは検察の内容を皆に開示して頂きたいと思います」

議員の一人が立ち上がると、資料を皆に配り始めた。
「一応検察に資料を借りましたので・・・これをご覧下さい」
ざわざわ・・・・・・・・皆が大騒ぎを始めた。

「これは・・・!大変な内容ではないか!!ダンカン卿の供述とそして・・・この大臣が、ダンカン卿
と共に、ヴァレンシアに加担していた、とある!!これを、裁判にかけると言うのか?!」
「これでは、我々保守派がまるで彼らの動向を知っていて、それを黙認していたように受け取れる」
「国民がそれを聞いて、また騒ぎ出すやも知れぬな!」
「冗談じゃない!!それじゃなくてもファントムとやらが、不穏な大臣を制裁しようとしているという、
噂まで出始めているのだぞ?!火に油を注ぐようなものではないか!」

「まあ、待て!兎に角ダンカン卿には今後の事を考えて頂く事にしたいが、どうかね?
我々もダンカン卿の為になれれば良いのではないかと思うが?」
その問答の後、皆が考え込んだ。
「それはまた・・・しかし、ダンカン卿はそんなに簡単にヴァレンシアとの関係を、断ち切るでしょうか?」
「方法は、ある」
・・・・ざわざわ・・・・
「つまり我々保守派議員全員の署名をもって、ダンカン卿の無罪を王へ直訴する。
理由は、王制を維持する為には保守派内での揉め事をこれ以上、世の中に知らせぬ必要性と
わが国と王についての重要機密の漏洩を防ぐ為、ダンカン卿を我々保守が完全に拘束する、
それをもってダンカン卿には今後の事をよく考えて、供述して頂く。
ダンカン卿は命を救われ、我々は保守派の面目を保てると言う訳だ」




・・・・・・・・・・・・ルシウス王子の遊技場にて・・・・・・・・・・・・・・・・

ルシウスはレーヴィエ卿と事の成り行きを話し合っていた。
「レーヴィエ卿、私は議会というものが一体何を決める所なのか、実際わからなくなりました」
ルシウスはチェスの手が読めないのか、諦めた様に言った。
「-ダンカン卿の事ですかな?」レーヴィエ卿はビショップを動かしながら答えた。
「予測はしておりましたが」

「何故ヴァレンシア王に忠誠を誓っていた者を、保守の議員達は・・・」
「・・・国民を恐れ始めているのでしょうな」「隠したところでもうどうにもならぬのに」
「流れというものでしょうか。王子にはどのような未来が、この国には必要とお思いですか?」
その言葉で、ルシウスは、キングを動かさず、ナイトを一歩前へと進めた。
「私が動くしかないのでしょう」
「・・・なかなか良い一手です。王子、私の負けです」レーヴィエ卿は微笑んだ。






(この お話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2009-03-19 23:59 | ミステリー・ファントム 2
10:47

お元気でしょうか
頑張ってくださいね。

言えない言葉

聞こえない声

それも









時々 私は電話に出る事が出来ません。
移動中であったりお客様の前だったりします。

本当に申し訳ないと思っております。

また電話いただければ嬉しいです。
今日は風が強いですね。
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by f-as-hearts | 2009-03-17 11:59 | 祈り
3月のイベントのお知らせです。

広尾プラザの展示会で占いをさせて頂きます。

3月29日日曜日 11時から18時迄
3月31日火曜日同上

オノダインターナショナル展示会(25日から31日迄)にて
日比谷線広尾駅下車徒歩3分
広尾プラザ内ギャラリー広尾

皆様のご来店を心よりお待ち致します。
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by f-as-hearts | 2009-03-15 23:57 | お知らせ
・・・・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・


ジェラール・レックス              48歳
                          ・・・マジシャン
                         
ベルガー警部                 55歳


ゴード・エンタールⅢ世            30歳
                          ・・・俳優(ファントム)

グラス・ダンカン卿               53歳
                         ・・・貴族院保守派議員




第  3  話      「  怪事件  」


ベルガー警部はダンカン卿の取調べを行っていた。
長引く検察の取調べと拘束に根を上げ、また、一生牢獄でよいのか、と問われて
やっとダンカン卿は自分がヴァレンシアの密偵の役割を果していた事を、告白した。

「黒馬の特殊工作部隊は、ヴァレンシアの軍隊の上位にいた。
その者達は常に王の警護と騎馬軍隊への指揮の伝達なども行っていたらしい。
・・・詳しくは知らん。
私を含め、ヴァレンシアの為に このシャトーグランデ王国でそれらの行動を補佐したり
情報を流す者達は、この国で普通に暮らしている。
私はそういう人間がどれだけここにいるかは知らない。
ブランの集団については、伝令で知っていたが・・・・・・

・・・・・・・・・私と ヴァレンシアの関係かね?

私の家系は、古くはヴァレンシア王家の血筋だからだよ。
200年前の、シャトーグランデ・・・いや、トゥラスト家の独立戦争の時に、
まったく信じられない事だが、トゥラスト家の側で戦争に使用する武器を売っていた
祖先のおかげで、我々はヴァレンシアに造反した者という烙印を捺されてしまった。

・・・・・なんとも、馬鹿馬鹿しい話ではないか!
それを、私の代に至るまでずっと払拭出来なかった。私がやっと、この国の大臣に
登りつめ、ヴァレンシアに今も忠誠を誓っている事を訴え続けて・・・
私は、やっと、王に許された。

・・・どのみち、ヴァレンシア王がこの国をこのままにする訳がなかろう。
私が牢獄で果てようが、外で戦火に焼かれようが、大差ないということだ」

「---では、ヴァレンシアが勝つとお思いか?」

「勝つ、もなにも・・・・・元々この国は、ヴァレンシアの領土だ。
ここが元通りになるだけの話だ」

ベルガー警部は、ダンカン卿の顔を睨みつけた。

「断じて、そんな事を 納得する訳にはいかんですな!我々の独立は当然と
あのヴァレンシアの国を知る私は、信じております!」

ダンカン卿の裁判は、長引くブランの裁判の為になかなか始められなかった。
保守派の議員達は、その成り行きに冷ややかな目を向けるばかりで、ほとんどが
問題を避けているように見えた。

そのダンカン卿の取調べの最中、怪事件が起こった。

ダンカン卿と常に行動を共にしていた保守派の大臣が、変死したのである。

その大臣は 海釣りの最中、船から落ちて死亡したと新聞では報道されたが、実は
発見された時、その大臣は議会に出席するような正装だったと、引き上げた海岸の
漁師達は証言しているのだ。
その内容はベルガー警部が取り調べで一日中かかりっきりであったので、担当となった
警ら隊の隊長からの報告を聞いただけであり、今後、他殺か自殺か、という線でも
洗い直さねばならなかった。

そしてその怪事件の後、とんでもない噂が広まった。



「ファントムが、ヴァレンシア王国に関わっている大臣達を、制裁しようとしているらしい」


「!!なんだって?!ファントムが・・・ゴードが、大臣を殺害しただと?!
何を馬鹿な!!」
ベルガーは、その噂をジェラールから聞くなり、一笑にふした。

「ゴードは笑っていなかった」 ジェラールは真面目に続けた。
「・・・どんな噂にでも、隠された真実がある・・・と、言っていた。
ーー勿論、俺だって ゴードを疑っちゃあいない。 あいつが殺人鬼になる訳がない」

いつもの酒場は常連客だけで、ベルガーはいつものスコッチをぐっと空けた。
「-捜査の鉄則だな。うむむ・・・・ジェラール、又何か噂でも情報でも何でもいい、
何かあったら教えてくれ」「ああ」

「・・・そういや、お前 今日は酒は呑まんのか?」
「呑んで良かったか?」「・・・考えさせてくれ」「じゃあ、俺はこれで消えるよ」
「・・・悪かったな。またな」

ジェラールはベルガー警部の肩を叩くと、外へと出た。
春はすぐそこだと暦は言うが、冬の星座が天空に冷たく輝き、ジェラールはコートの
襟を立て、足早に人通りのない街を通り過ぎていった。




(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2009-03-10 23:26 | ミステリー・ファントム 2
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混沌を

好むと好まざるにかかわらず

宇宙はいつも

混沌の子宮より 生まれいづるものらしい






写真はかなり前のものです。
2006年 7月 13日作成
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by f-as-hearts | 2009-03-05 23:34 | 祈り

・・・・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・



シャトー・エンタールⅡ世           60歳
                          ・・・ゴードの養父

ジェラール・レックス              48歳
                          ・・・マジシャン


アイーダ・ローゼンハイム          24歳
                          ・・・女優

ベルガー警部                 55歳


ゴード・エンタールⅢ世            30歳
                          ・・・俳優(ファントム)



第 2 話  「 ジェラールの嫉妬 」


ジェラール・レックスはゴードとアイーダの関係が、本当のところどうなのか、気になって仕方が無かった。
アイーダは流石舞台で主演女優になる程の美女で、またベルガー警部や自分を煙に巻く事が
出来る程頭の回転が速く、どこか憎めない・・・・・・
酒の席でつい絡んでしまったのも、自分がアイーダの事を好きになり始めたからだと、認めるしかなかった。
ゴードは笑って取り合わなかったが、アイーダがゴードに気があるのは、誰が見ても明らかだった。

「また、やっかいな娘を好きになったもんだな!!ジェラール、悪い事は言わない、諦めが肝心だ」
ベルガー警部は相変わらず調書の山に埋もれながら、ジェラールに話しかけた。

「・・・やっかいじゃない娘がいるなら、教えて欲しいね」「・・・確かに。上手いことを言う」
「お前からみて、ゴードはあの娘に本気だと思うか?」「そういうことを、俺に訊くな!」
「お前しか、2人を知っている奴がいないんだから、仕方ないだろ?」
「お前がこの山のような調書を魔術で消し去ってくれるなら、答えてもいい」「・・・上手いことを言うね」
「ヒマなら手伝え」「嫌だ」
「じゃあお前が消えてくれ」「・・・・・・仕方ない。じゃあな」

宿舎を出た所で、ジェラールは驚いて立ちつくした。そこに、アイーダがいたのである。

「アイーダ!!!」駆け寄ったジェラールに驚いたようにアイーダは手を口元に持っていった。
「ジェラール?!」

「何故ここに?!」二人が同じ言葉を口にして、笑った。
「・・・君からどうぞ?」「ええ、私はベルガー警部に会いに来たのよ」「俺は、今彼に会って来た
ところだ」

「何の用事で?」またしても、同じ言葉が出て、2人は大笑いした。

「ゴード様から警部へ手紙を預かって参りました。それで・・・」
「ゴード様、ね・・・いいよ、俺が渡しておくよ・・・あ、いいや、やっぱりちょっと一緒に来てくれないかな?」

「ベルガー、さっきは悪かったよ。それから、お前に客人だぞ」
山に埋もれてベルガーは顔を上げずに、返事をした。

「・・・まあ、お前の気持ちもわからんでもないが。あれだけ綺麗な女優は、どこを探したって
いないーーー」顔を上げてベルガーは絶句した。
「ジェラール!!!?お前どんな魔術を使ったんだ ???」
アイーダとジェラールがベルガーの驚く顔に満足して言った。
「どこを探したって?誰のこと?」「あっはっは!!!」

3人はゴードからの手紙を開けて読んだ。

内容はゴードがベルガー警部に感謝している旨とシャトー・エンタールⅡ世がお礼を
したいということで、直筆で城への招待状がしたためられていた。
すでにベルガー警部の上官からは許可が下りている事と、ジェラールとアイーダ
にも同席してもらいたいということであった。

「これはまた、随分と正式な・・・!私は城へなど上がった事もないというのに」
「・・・おい、最後まで読んでみろよ!」


追記

こちらの急な申し出でございますので、どうかそのまま城へお越し下さいます様
お願い申し上げます。馬車を用意致しましたので、どうかご利用下さいませ。

 
  
                   シャトー・エンタールⅡ世


3人は、そのままエンタールⅡ世の城へと向かった。
城に着くとすぐに3人は晩餐の用意がされている広間へと通された。

「ようこそ、エンタールⅡ世の城へ。皆様とお会い出来る事を、養父は心待ちに
しておりました。今宵はゆっくりと愉しんでいって下さい」
ゴードが夜会服に身をつつんで現れると、ヴァイオリンの四重奏が静かに始まった。
皆が大きなテーブルに着くとエンタールⅡ世が奥の扉から現れ、皆に順にお礼を
述べた。

「こうして、ゴードが無事に私達の元へ戻れましたのも、皆様のご尽力のお蔭です。
どうかこれからは、気兼ねなく私共のところへお立ち寄り頂けます様に」

ベルガー警部は驚いていた。貴族の、それもシャトー家は王族・・・
まさかこんな風に招待される事など、ありえないと思っていたのだ。
ジェラールの落ち着き払った顔を横目で見てから、エンタールⅡ世に思い切って
尋ねてみた。

「ゴード殿はもう、危険な目には遭わずに済むのでしょうか?私は、やはり
治安を守る立場ですので、どうしても楽観的な見方が出来ませんが」
「・・・そう願っております」
言葉少なく頷くと、エンタールⅡ世は赤いワインをじっと見つめた。

皆がかなりワインの杯を重ねた頃、アイーダがゴードの席の隣へ移ってきた。
「・・・どうかしましたか?アイーダ?」アイーダは少し上気した頬に冷えたグラスを
押し付けながらゴードに言った。「・・・おかしいですわ、ゴード様」
「何が、ですか?」「・・・魔術師さんとは何でもお話されているのでしょう?」
「いいえ?」そこにジェラールが割って入ってきた。

「いいや、なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんにも!!
なーーーーーーーーーんにも、話してはいないね!!!」
「おや、かなり上機嫌のご様子ですね?」
「ゴード!!!!!いいかあ?!アイーダの質問に・・・・・・・答えてやれよ!?」
「ベルガー警部、彼は、ワインを何杯召し上がられましたか?」
「2杯・・・いや、3杯か」「成る程、2杯までが限界ですね」「そのようだが・・・おい、ジェラール!
エンタールⅡ世殿がもうお休みになられるそうだ。我々も帰るとしよう」
「・・・それはそれは!ミス・アイーダ、名残惜し・・・・」・・・・・・・・・バッタリ・・・・・・・・・・・・

「おやおや、彼は城の客間で休まれていく方がよいでしょうね。ベルガー警部も
お泊りになってください」「・・・・私は?ゴード様・・・」
「勿論、貴女を一人で帰すわけにはまいりません。すぐに用意させますから、もう少し
ワインでもどうぞ・・・」

ベルガー達が部屋から出てゆくと、急に静けさが戻ってきた。
アイーダはゆっくりとワインを飲んでゴードが何か話してくれるのを待っていた。

「・・・アイーダ・・・君は、俺の傍にいたい?」
「勿論!いつも一緒にいたいと思っています」
「・・・俺は・・・君と いられないかもしれない ・・・それでも?」
「どうして?どうしてそう思うのですか?また、何かが始まるのですか?!」

ゴードは少し微笑んだ。
「いいや?・・・ただ、そう思っただけだよ」





(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2009-03-01 10:23 | ミステリー・ファントム 2