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紡ぐ夢 綴る夢

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タロット占い師ASのブログです。

<   2008年 12月 ( 20 )   > この月の画像一覧

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今年 拙ブログにお越しいただきました皆様

ありがとうございましたm(__)m

感謝を込めて
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by f-as-hearts | 2008-12-31 00:15 | 祈り
・・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・

ルシウス・トゥラスト              39歳 
                         ・・・王子(グラハム王の長男)

セシリア・トゥラスト              35歳
                         ・・・ルシウスの妃

マクファーレン・トゥラスト          14歳
                         ・・・ルシウスの息子

グラハム・トゥラスト王            57歳
                         ・・・シャトーグランデ国王

ロザリー                    51歳
                         ・・・セシリア妃の侍従長




第 17 話  「 ルシウスの苦悩 」


レーヴィエ卿は全てを王子には話さなかった。
だがその言葉は、王子に今まで腑に落ちずにいた事、避けてきた事実を、もう一度
疑わせるだけの力があった。

「・・・セシリア、マクファーレン、2人共晩餐会の準備は整ったかな?」
王子はレーヴィエ卿を見送った後、妃の部屋を訪れた。   
「ええ、あなた、マクファーレンはやっぱりまた背が伸びたようなのよ。夏に注文した
上着の袖が、ほら・・・・・・」袖が、手首のところに上がっているのを、残念そうに眺めて
セシリアは溜息混じりに言った。「もう間に合わないわ」
「ははは・・・それは仕方がないよ。私も昔はそうだったから。セシリア、君のドレスは
そこにあるのかな?」

濃い青のサテンで、地模様の織に金糸が混じり、光の加減で全体が金色にも見える
素晴らしいドレスであった。
「これは、母が代々引き継いできた布地ですわ。この織物を織れる者はもうこの世に
いないとか。この技術を引き継ぐ者がいなくなって、曾祖母はその最後の布地を、
総て買い取ったと聞いております」
そのドレスを見つめながら、王子はセシリアに聞いた。
「--君は、私と結婚して幸せだと、思っているのか」
セシリアはドレスに触れた。そして、振り返ると微笑んだ。
「幸せですわ」
マクファーレンは、母の手を握った。「お父様は幸せですか?」
ルシウスは、にっこりと微笑んだ。「勿論だとも」

「マクファーレン様・・・・・・・・あ、失礼致しました。ルシウス様がおいでとは存じませんでした」
マクファーレン付きの養育係が、すぐに退室しようとしたのをとめて、ルシウスは言った。
「・・・いいんだ、用事はないのだから。・・・マクファーレン、誕生日が来れば、私達と一緒に
王族の夜会にも参加出来るね。おやすみ」
マクファーレンは大人びた表情で頷くと、部屋を出て行った。
ルシウスは他の従者達にも下がって休む様に言った。セシリアは、ルシウスが椅子に
腰掛けてドレスをじっと見ている姿に、何かあったのかと思い、声をかけられずにいた。

キャンドルの炎は二人の影を揺らした。
「・・・あなた?何かお話でも?」
「いや・・・・ただ、あまりに忙しかったから、君と話をしていなかったことすら、忘れていたよ」
「--それでは、ワインでも用意させましょうか?」
「今は、いい・・・・・私は、セシリア・・・国が今大変な状況に面していることを、昨日広場での
一部始終を見て、知ったんだ。--いづれおこるだろう事が、いや・・・・必ずそうなってゆく
だろう先が、少し見えた気がした・・・それから・・・」

少し、沈黙があった。「セシリア、私は殺されるかもしれない」
セシリアの表情がゆがんだ。「-なんですって?!」
「---ヴァレンシアは、よほど我が国が目障りなのだろうね。暗殺者は、ジョルジュ・レーヴィエ卿を
狙った。本当に国を思う革新派の要の・・・私も必ず狙われるだろう・・・セシリア・・・」
ルシウスは片手を差し出した。
「セシリア、君はこれからいう事を、必ず守って欲しい」
セシリアはその手を見つめた。
「私が亡くなったら、マクファーレンと2人、他国へ亡命して欲しい」
セシリアは息をのんだ。「---わかったね?」
差し出された手に、手を重ねて、セシリアは震える声で答えた。
「・・・・・わかったわ・・・・・」

その夜、ルシウスはグラハム王にもその話をした。王は、黙って聞いていた。
「--それでよいのか?後悔はしないのだな?」
「はい。私がもし死ねば、それは妃を守れなかったという事。私からの遺言として、
父上、2人をどうか、他国へ・・・・・」

ルシウスは最後まで言えなかった。言葉の代わりに涙が溢れそうになるのを必死で
堪えると、父王の顔を見上げた。「---不甲斐ない息子を、笑ってください」

王は玉座から降りて、息子を抱きしめた。
「ー誰も殺させはしない。勿論、お前もだ、ルシウス」



ブランは部下からその話を聞くと、いつもの冷静さを失っていた。
「---なんと?!妃を亡命させよと・・・・グラハム王に進言したと申すか!
ルシウス・・・!!もしや、何もかもーーーー何もかも知っていると・・・・
急ぎ、その事をヴァレンシア王にお伝えせねば!お前、すぐに伝書鳩でーーーー」
その時、廊下に気配を感じて、ブランは言葉を切った。

「---ロザリーー?!ロザリーはどこ?」「---お妃様、こちらに居ります」
扉から出ると、そこにはセシリア妃が駆け寄ってくる姿があった。
「ああ、ロザリー!!私は一体どうしたらいいの?!」ひどくうろたえて、今にも倒れそうな
セシリアを抱えるようにして、ロザリーは部屋の侍女達に目で合図をした。
「お妃様、どうされました?こんな、離れの寒い部屋までお越しとは。皆、セシリア様を
お部屋までお連れして・・・」「いいえ、ロザリー、あなただけでいいわ。一緒に来て」
「それでは気付け薬をお持ちしましょうね」

セシリア妃は自分の部屋に戻ると、ベッドに横になりながら、一気に話しをした。
「ルシウスは知っていると思う?ロザリー・・・」
「・・・セシリア様、それはご心配なさいませぬよう。私にお任せ下さいませ」
「--ロザリー・・・私は母からずっと・・・ヴァレンシアの為に何があろうとも、我慢するように
教育されてきたわ。私の心は変わらないわ。今も・・・・・・・でも・・・・・・・・・

もし、私の息子が・・・・マクファーレンが、この国の国王になれないとしたら??---私は
一体・・・・・・・・・・・・」セシリアは震えていた。
「国王になられますとも。このあなた様を守るようにお母上と王から託された私が、御傍に
いる限り。王様はあなた様の為に、この国に向かっていらっしゃいます」

セシリアはそれを聞いて、やっと安心したのか、眠りについた。

ロザリーは侍女達が待つ部屋へと戻った。
「ブラン様、伝書鳩は飛ばしました。セシリア妃は大丈夫でしょうか?」
ブランと呼ばれたロザリーは、答えた。「もう大丈夫です。しかし、ルシウス、グラハム王、2人は
晩餐会を最後に、消えていただかねばなりません」
ブランのまるで何の感情も抑揚もない静かな声と表情に、部下である侍女達はシーンとなった。

「晩餐会はもう明後日です。準備をしておくように」







(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2008-12-28 23:08 | ミステリー・ファントム
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詩 時の花


近くても 遠くても

きっと 関係ない 世界



雪が 降るように

風が 吹くように

雨の 音に

朝の 光



朝もやに

夜露に


ゆらゆら


時の花








・・・・・花は難しいです

不思議な花をいつか描いてみたいです。
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by f-as-hearts | 2008-12-26 01:07 | 祈り
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イルミネーション

イメージ

心をゆらす




あなたは

私の心をゆらす





光は 生きているように

感じる



メリークリスマス
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by f-as-hearts | 2008-12-24 22:05 | 祈り
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イメージ

雪 の 女王







最初 マスクを描こうと
思ったのですが

怖~い 絵になりましたので

方向転換



今日は夜になって寒くなりましたね。
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by f-as-hearts | 2008-12-22 23:37 | 祈り
・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・



ベルガー警部                55歳

ジョルジュ・レーヴィエ           40歳
                     ・・・革新派ノーブルノワールリーダー

ヴォーグ・レーヴィエ            67歳
                     ・・・革新派議員 ジョルジュの伯父

ジェラール・レックス             48歳
                     ・・・マジシャン

ルシウス・トゥラスト             39歳
                     ・・・王子(グラハム王の長男)

ブラン                     ???
                     ・・・ヴァレンシアの暗殺者

シャトー・エンタールⅡ世         60歳
                     ・・・ゴードの養父

ゴード・エンタールⅢ世          30歳
(ファントム)             ・・・俳優(現在行方不明)






第 16 話  「 ジェラールとエンタールⅡ世 」

ファントムが現れ、そして暴動は鎮圧されたーーー
広場に集まった人々は、まるで熱に浮かされたようにファントムの事を噂した。
それはすぐに国中に広まった。

ベルガー警部は、その事件現場で直後からブランをしらみつぶしに探したが、それらしき人物も、 ジョルジュに近づいたはずの人物の、その風貌すらつかめなかった。
その最中が、まったくの混乱状態・・・皆が石段の上の二人しか見ていなかったことの、
証明をしているようなものだった。

「ブランめ!!!!どこまでも暗殺に長けている・・・この民衆の中にいて、そこまで計算して
ジョルジュ・レーヴィエ卿に近づくとは!!!」

それはファントムと同じ、気配も、殺意さえも消せる・・・自分を隠す、そんな特殊な訓練を
積んだ者であることは容易に想像がついていたが、それでも、自分の目の前で起こったことだ、という悔しさはベルガーには相当堪えたのである。

ジョルジュは重傷を負っていた。間一髪で助かったのは、偶然であった。
ブランが刺そうとした、その瞬間に、ジョルジュが1歩、前に進んだ為、剣先が深く
入らなかったのだ。ジョルジュをすぐに病院へ運ぶ手配を革新派メンバーに頼み、自らは
馬で暗殺者達を追おうとしたヴォーグ・レーヴィエ卿は、ベルガー警部に押し止められた。
警部の精鋭部隊に追わせたからと聞いて、やっとレーヴィエ卿はルシウス王子と共に
王宮へと戻ることにした。

続けざまに起こる襲撃事件と暴動に、警部は国中の憲兵に伝令を出すよう、上官に
申告した。
ーーーこれは、ヴァレンシアとの戦争である、とーーー
そして、国王にも、今回の舞踏会、晩餐会の延期を、国の危機として進言した方がよい、と
上官に伝えた。
しかし王家は、もう3日後に迫った晩餐会の延期、または中止など、どの国にも伝令できる
時間などないとして、ただ警備の強化の為人員を倍増して対処する、とのおふれを出すに止まった。

広場での出来事に、ルシウス王子はショックを隠しきれずにいた。
レーヴィエ卿は、ベルガー警部に、すぐに王子に城の衛兵以外の、警部の部下を、24時間
護衛にまわす様、伝えた。

城の中で、王子は人払いをしてから、レーヴィエ卿と今回の事件を話し合っていた。

「・・・では、ヴァレンシアの暗殺部隊を、手引きしている者がいる、と?」
「左様でございます。・・・王子、王子にも記憶に新しい事件、あの、医者達を次々と
殺害したブランとその一味・・・・ご子息がお生まれになる頃でした。それは大変な事件
でしたから、覚えていらっしゃいますね」
「---忘れられない、忌まわしい事件だった。もし、妃が狙われたらと思うと、私は
眠る事すら出来なかった」
「・・・・・・もしーーーその時から、そのブランと一味が、ここにいるとしたら・・・?」

レーヴィエ卿は、王子の表情を、じっと見つめていた。
ルシウス王子の顔色は、みるみる真っ青になっていった。

「---ここ、に?・・・・・・それは・・・・・・この国に、という意味ですか?」
レーヴィエ卿は、首を横に、1度だけ振った。
「・・・・・・・・・!ありえない!!いや、ここには!ここには、そんな暗殺者など、入り込める
訳がない!!!」
レーヴィエ卿はゆっくりと言った。
「私は、王子、ありえると思っております。全く皆が、疑わないだけで」



その頃・・・・・・・・・

ジェラールは、エンタールⅡ世に会見を求めていた。
エンタールⅡ世の元にも、広場での事件は伝えられていた。ジェラールは、ベルガー警部の
使いだということで、すんなりとエンタールⅡ世の城に入る事が出来た。

エンタールⅡ世はジェラールが部屋に入ると、深緑色のソファーに腰掛けたまま、ただ黙って
前にある椅子に座るよう、手で促した。

「お会い出来て、光栄に存じます。私は、ジェラール・レックスと申します。
本業は、魔術師です」
「--魔術師?」 エンタールⅡ世は、やっと目の前の男に興味を持ったように、聞き返した。
「はい。・・・実は、先日の広場での事件、暴動を一瞬にして抑えたファントムを、私は、
ベルガー警部と共に見ております」
その言葉に、後ろにいた従者も、一歩前へ乗り出した。

「ーこれ、控えておりなさい。・・・ジェラールとやら、貴殿は、私に何を訊きたいのだね?
先刻より記者達も、大勢来た様だが、ゴードの居場所なら、私は全く知らない」
先を制して、エンタールⅡ世はジェラールを、鋭い眼差しで見つめた。

「はい、私が伺いたいのは、そんなことではございません。ゴード氏が、あなた様の所に
現れた最初の出会いと・・・・・ブランという、暗殺者についてです」

長い沈黙があった。  従者は、後ろに下がったまま、下を向いていた。
エンタールⅡ世は、じっとジェラールを見つめたまま、瞬きもしなかった。

「・・・・・その前に、私は、先の広場の一件について、もう少し貴殿から伺いたい。

ゴードは、どうやって、暴動を止めたのだね?」

ジェラールは覚えている状況を、最初から、そしてその石段の上で何が起こり、
ファントムが何と言ったか、出来るだけ正確に言おうと努めた。

「・・・そして、彼はよく通る声で、言いました。

我は ファントム・・・・・私を 畏れる者よ、私の 剣が・・・・・・・・・・・・」
ジェラールが思い出そうとしていると、急にエンタールⅡ世が続けた。

「---私の剣が  お前達を裁く日が来るであろう・・・・・・
ファントムとなっても、魂までは、汚されはせぬ」

「----ゴード様・・・・・・・・」後ろで従者は泣き出した。
「・・・うむ・・・では本当に、ゴード本人が・・・・・・・・・
ゴードは生きておったのだな。私達のゴードは・・・・・・・・」

従者は涙を拭おうともせずに何度も頷いていた。「本当に!本当にようございました」

ジェラールはエンタールⅡ世の、本当の顔を知ったように思った。
従者は急いで2人のお茶の用意を給仕に言いつけた。
「本当に、ようございました」何度も何度も、従者は言っていた。

それからジェラールはエンタールⅡ世とゴードの出会いと、ブランの話を聞いた。

「・・・ブランという者は、ヴァレンシア王の側近で、白い悪魔と呼ばれ、誰もその正体を
知らぬ。・・・・分かっているのは、王の命令にしか従わない事と、名の示す通り、
暗殺者には見えぬ・・・・そういう噂だけだ」

ジェラールは「こんなに近くにいながらーー何故奴は!全く存在すら感じさせないのだ?!」
とベルガーが歯軋りのようにつぶやいたのを思い出していた。
「--あまりに怖ろしい、死神のような暗殺ゆえ・・・死ぬ直前まで、自分が誰に
殺されたかすら わからないーーー本当に人間の仕業なのかと、皆が恐れる者だ。
・・・・・・・・・ところで、貴殿はベルガー警部の使いとして、その話を訊きに来たのではないであろう?
違うかね?」

ジェラールは自分が嘘をついた事を、正直に話した。
「・・・・実は、ベルガーは 私がブランの事を調べているのを知りません。・・・そして
今伺った事を、私はベルガーに話すつもりもありません。
・・・・・・・エンタールⅡ世様、私を晩餐会に一緒に連れて行って下さいませんか?」

それは、とんでもない賭けだった。何故晩餐会か・・・・それは、ベルガーが今は晩餐会に
全神経を注いでいるのがわかったからだった。・・・そして自分が出来ることは何か、
考えた末の、行動であった。

ジェラールはもう1度ゴードに、いや、ファントムに会えるなら、今度こそ真実に近づきたい
と思っていた。だが、ベルガーは絶対に自分を連れてゆくわけがなかった。

エンタールⅡ世は、ジェラールを特別にゲストとして招待すると約束した。そして、ジェラールは
このままこの城に留まり、幸運なことに一緒に晩餐会へ向かうことになったのであった。




(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2008-12-22 08:35 | ミステリー・ファントム
・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・




ベルガー警部             55歳
                     
ジョルジュ・レーヴィエ        40歳
                   ・・・・貴族院革新派ノーブルノワールリーダー

ヴォーグ・レーヴィエ         67歳
                   ・・・・革新派議員ジョルジュの伯父

ルシウス・トゥラスト          39歳
                   ・・・王子(グラハム王の長男)

ブラン                  ???
                   ・・・ヴァレンシアの暗殺者

ゴード・エンタールⅢ世        30歳
(ファントム)           ・・・俳優(現在行方不明)




第 15 話  「 革命と 暴動と  」



その日の朝、突如としてビラが街中にばら撒かれた。

「議会も議員も、国王がいる限り、我々民の為になど働きはしない!!
我々は一生、国の奴隷になるのは、ごめんだ!!

 貴族に死を!!国王を殺せ!!」

それは、馬に乗った一団によって行われた。朝の、吹雪のようなそのビラには
” 革命 ”の文字が躍っていた。

「国民よ!我々は剣を持とう!革命こそが正義だ!」

・・・そして、ビラには今夜集会を中央広場で行うと書かれていた。


ーーーーその夜、人々はビラを手にして広場に続々と集まってきた。
革命という言葉を、鮮烈に植えつけられて、貴族階級への妬み嫉み、恨みが噴出してきたのだ。

そのビラを見て、貴族院へ出向いたルシウス王子は、そこで何が起こるのかを知り、
また国民を扇動する者達を抑える為に広場に行くと言い出した。
勿論側近や王子の公務に関わる全ての人が、それに反対した。
しかしーーーー

「私は国民を信じる。我々は国民を煽って不安をばら撒く輩とは、断固戦わねばならない!」
ルシウス王子の熱意に、ヴォーグ・レーヴィエ卿が頷いた。

「王子、何かが分かるかもしれませんな。では、出陣致しましょう!」
これには王子も驚いた。
「レーヴィエ卿??まさか、あなたも行くおつもりか?!」
「当然。何の為の顧問ですか。王子、私はこうみえて昔は、剣持ちて戦場を駆けた戦士
ですからな。さあ、何を呆けていらっしゃる。時は待ってはくれませんぞ!!」

ジョルジュも笑いながら言った。
「伯父上、これ以上の死に場所はありませんね。革新派を旗揚げした時からの
口癖、私は忘れていません」
「何ですって?!」王子は聞き返した。
「国民の為に死ぬのなら本望だ」  2人は同時に答えたのだった。


・・・・・・・中央広場・・・・・・・・・・

広場はざわめきと不安が渦巻いていた。そこには数千人もの民衆が集まってきていた。
数段高くなった石段の上に、一人の男が立つと、大きな声で語りだした。

「同志よ!もう我慢することは無い!我々が必死で働いた一生分の金を、一晩で
使い切るような腐敗した貴族どもの下で、一生奴隷になることは無い!!!
我々が守るべきものは、そんな世界ではないはずだ!!
目を開け!我々が革命を起こすのだ!!」
「革命だ!我々が政治を動かすのだ!貴族を倒して、新しい世界を!!」
皆が、驚いていた。初めて革命という言葉に出会った様に、その言葉の魔力に酔っていた。
ざわざわ・・・・・・・
「待て、革命で貴族を倒すといったって、私達は剣も何も無いじゃないか!!」市民から
声が上がった。そうだそうだ、と野次る声もあった。
「素手で、どうやって戦うつもりかね?」
「大丈夫だ、我々は武器も手に入れた!!!」石段の男は剣を3本、頭上にかざした。

そこにジョルジュ達革新派のメンバーとルシウス王子が、ベルガー率いる数十人の
憲兵達と共に、馬に乗って到着した。
「騙されるな!!そいつらは我が国の敵だ!!」ジョルジュは力の限り叫んだ。
憲兵達は広場の出入り口を塞ぐ形で、革命を起こそうとする者共を逃がさないように取り囲んだ。
しかし、それを見て、石段の男は叫んだ。
「貴族の犬め!!!お前達が我々の自由を奪うことなど、できるものか!!」
それを聞いて、民衆は目の色が変わった。
「我々を捕まえるつもりだぞ!!!」

その瞬間に民衆は暴徒へと変わったのだ。
ーーーそう、石段の男は全て計算していた。恐怖が人間をパニックに陥らせるのだ。
広場の群集は、石や棒を使って憲兵達を攻撃し始めた。

ーーーーーその時。

「ま、待て!!」石段の男の声だった。「待ってくれ!」
ガシャーーーーン!!!!数本の剣が石段から転げ落ち、その大きな音に、その場の
全ての人間が石段の上に注目した。

そこには、黒づくめのマントの男が、石段の男の喉元に後ろから剣を突きつけている姿が、
あった。
「お、お前は 誰だ?!」  マントの男は、フードから顔も上げずに答えた。

「我は ファントム・・・・・・・・・
私を 畏れるものよ、 私の剣がお前達を裁く日が来た。
我々は 騙されはせぬ。ファントムとなっても、魂までは、汚されはせぬ。

お前達は、ヴァレンシアの暗殺部隊だな」

人々は、その姿、その声に、一瞬にして我に返った。

「ファントム?!」「ファントムだ!!」「本物なのか?!」「我々はあいつらに騙されたのか??」
剣を突きつけられた男は慌てた。「ち、違う、嘘だ!!!」
「本当だ!!そいつは、ヴァレンシアのーーー」ジョルジュが石段に向かおうとして、突然倒れた。
「ジョルジュ!!!」レーヴィエ卿の叫び声とほとんど同時に、黒馬の一団が、憲兵と民衆で
ごった返す出入り口にいきなり現れ、弓を引くと石段の男とファントムに矢を放った。
石段の男は、胸を貫かれ、絶命した。ファントムは矢を剣で払い落としたが、民衆は、
あまりの急展開に悲鳴をあげて逃げ惑った。

ファントムは石段の上から、飛び降りると、あっという間に姿を消してしまった。
黒馬の一団は他の憲兵達が駆けつける前に、これもちりぢりに逃げてしまった。

ベルガー警部は急いでジョルジュのところに駆け寄った。背中に、真っ赤な鮮血が
流れていた。「-----ブラン??!!!」しかし、そこには剣を持った者など、
すでにどこにもいなかったのだ。

広場の民衆は、黒馬の一団と、ヴァレンシアの暗殺集団に恐怖した。
そして、幻、まさに幽霊のように現れたファントムに、希望を抱いたのだった。






(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2008-12-19 22:46 | ミステリー・ファントム
・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・

ベルガー警部               55歳

ジョルジュ・レーヴィエ          40歳
                      ・・・貴族院革新派ノーブルノワールリーダー

ブラン                    ???
                      ・・・ヴァレンシア王国暗殺者

暗殺者集団              ・・・ブランの部下



第 14 話  「 国境の異変 」

シャトーグランデ王国とヴァレンシア王国の国境には、南北に連なる山脈があり、その山々を
境に、西にシャトーグランデ、東にヴァレンシアが位置している。シャトーグランデの南には、海、
その湾は氷河期に氷河が削り取った地形で、絶壁のようにいきなり深くなっていて、侵入者を
阻んできた。港からの入国者は、一箇所をおいて他は無かったので、特にそこの警備に人員は
割かずにすんでいた。
山脈は、2000m以上の山々が蒼く深い谷や森林地帯を見下ろし、唯一人が切り開いた道が、
両国の国境警備隊によって24時間見張られているのであった。

もう12月ともなれば山々は連日吹雪が吹き荒れ、すっかり道を覆い隠してしまっていた。
警備隊にとって1番厳しい季節の到来であったが、しかし、又1番旅行者の無い時期でもあった。
その日は、夕方までは止んでいて、夜になりまた雪が降り出していた。
その雪の中、ひたひたと近づく集団があった。
「ーー時間だ、交代するぞ・・・・・」山小屋の扉を開けた隊員は、あっという間に中に
隠れていた男に殴られ気絶した。そこには、5人の黒いコートの者達が国境警備隊の隊員を
縛り上げ、逃げ出せないように足の自由も奪って床に転がしていた。

「・・・ここの警備隊は1ヶ月交代だ。そして、1日3交代、4人で一組だ。後の2人は
先の部隊が片付けた。お前達2人はこの山小屋で警備隊員に成りすませ。
今の時期旅行者はいないが、油断するな。また後続の部隊が直に到着する」

その集団は、シャトーグランデに侵入した。

その日から、恐怖は始まった。

ジョルジュ・レーヴィエ卿は議会から馬車で帰る道で、真っ黒い馬に乗った一団が追ってくる
のに気がついた。

「どうした?!」ジョルジュが御者に声をかけた。「盗賊のようです。ちいっ!!ジョルジュ様
馬車を捨て、馬でお逃げください!!早く、前へ!」
ジョルジュはコートを脱ぎ捨てると、素早い身のこなしで、馬車の外に出ると、御者席へ
上がった。黒馬の一団は、その間もどんどん距離を縮めて来る。
御者は、急いで馬と馬車をつなぐ革紐をナイフで切り始めた。従者も外に出たところで
ジョルジュは馬に乗り移ると、振り向きながら叫んだ。「ノーブルノワールに連絡を!!」

ジョルジュは間一髪、その一団を振り切って逃げることができた。
御者と従者は追いつかれそうになりながらも、市街地へ走った。

「---待て!!!お前達、盗賊団か?!」
ベルガー警部率いる警備隊が、その一団を取り囲んだ。御者達は警備隊がいる場所
まで、誘導していたのだった。
黒馬の一団は、すらりと剣を抜くと、警備隊に切りかかってきた。
「ヴァレンシアの手の者か!!皆、ロープでかかれ!!」
その声に、皆は一斉に石を先につけたロープをグルグル頭上で回し、一団に向けて
攻撃を開始した。投げつけられたロープは男達に絡みつくように巻きつき、その動きを封じた。
2人が捕まったのを見て、その中のリーダーとおぼしき男が剣を天に向け、それを自分達の後方へ払った。
他の者達は、その合図に馬を蹴って、一斉に剣の向きへ撤退していった。
警備隊の何人かが追おうとしたのを、ベルガー警部は静止した。
「深追いするな!奴らはどんな罠を仕掛けているか分からん!それより、こいつらをーーー」

ーーしかし、その2人はすでに絶命していた。
「--毒か!!・・・・くっ・・・・・よいか、これが、あのブランの下の暗殺者集団だ。
こちらも、その為の準備はしてきた。これからは、よいか、絶対に単独行動をするな!
お前達は自分達の役割を思い出せ!!よいな!!」「はいっ!!」

ジョルジュは市街地から程近い例の隠れ家に着いていた。
そこで、ヴォーグ卿からの手紙を見つけ、急いで中身を読んだ。
ジョルジュは今回の襲撃も、又これからも自分が狙われるだろう事も、予測がついていた。
しかし、伯父からの手紙には、もっとも恐れている事が、書かれていた。
ジョルジュは、部屋で暖もとらずに、急ぎ伯父の館へ向かうことにした。

そして、ジョルジュと同じく、ベルガー警部もブランの暗殺者集団が、自分や議員、王族を
狙う事を予測し、常に捜査や警備という名目で街中を巡回していた。
その巡回も毎回巡る順を変え、時間を変え、場所を変えるという、徹底ぶりであった。
だが、やはり網の目をくぐるように事件は起こった。

そして、次の日・・・・・・・・
皆がもっとも恐れていたことが起こったのだ。





(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2008-12-19 21:06 | ミステリー・ファントム
・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・

ベルガー警部               55歳

ジェラール・レックス           48歳
                       ・・・マジシャン

貴族院 革新派

ジョルジュ・レーヴィエ          40歳
                      ・・・革新派ノーブルノワール・リーダー

ヴォーグ・レーヴィエ           67歳
                      ・・・革新派ジョルジュの伯父


ロード・クロス・ヴァレンシア王     51歳
                      ・・・ヴァレンシア王国国王



第 13 話  「 戦う者達 」

宿舎放火事件の後、ベルガー警部の様子は一変した。
ジェラールはベルガーが現場でこんなに檄を飛ばすのを見た事がなかった。
仮宿舎へ引越しもそこそこに、憲兵に捜査の報告をさせ、これから調べるべき内容を確認させ、
全憲兵の捜査状況までも全て掌握し、尚且つ、彼は単独でも捜査をしている、それが、気魄とともに皆に伝わっていた。

ジェラールもブランという暗殺者の存在を知って、今ではベルガー警部の影のようについてまわり、
時々は仮宿舎にも出入りするようになっていた。
「ベルガー、そんなに心配するなって!大丈夫だよ、人の目に留まるような、ヘマはしないから。
それに俺は、こうみえて護身術くらいは身につけているし、そこそこ剣術の心得もある」
「・・・・うむむ・・・私は今、放火犯も追わねばならんから・・・ジェラール、君に何かあっても
私は本当に助けに行けるかどうか・・・・・」ベルガーは報告書を作成しながら言った。
「ああ!わかっている。それから、これだけは言っておくがーー」ジェラールが大真面目に続けた。
「お前がこれ以上痩せたら、俺は強制的にお前の家に泊まりこむからな!」
「・・・・勘弁してくれ」



・・・・・・・・貴族院の大会議場・・・・・・・・・

議会は白熱していた。
「ご存知のように、我が国は鉱山で賃金を得る為に、他国から多くの労働者が不法就労しております。
その数は、年々増加しており、それらの民は自国への送金が目的で、我が国にはあくまでも隠れて暮らしております。
税金は勿論払わず、雇い主達は安い賃金で働かせる為に、これも勿論雇っていないような
ふりをし、かくまっています。
ーーですから、そういう者達を、少しでも規制する為に、国民権許可局が必要なのです」
保守派議員の発言に、革新派は皆が質問をしようと、議長に手を上げた。

「ごもっともな意見に聞こえますが、そのご説明では、どのように規制すれば効果的なのか、
はっきりした答えになっておりません。どのような罰則をされるおつもりか、お聞かせ願いたい」

「当然、国民権の無い者の労働を禁じるわけです。それを守らなかった者は、まずは我が国に罰則金を払う、
また罰則金が払えない者に対しては強制労働を、その罰則金の金額の分、年数を計算して
雇い主にも同じく罰則金を課す・・・ということを考えればよろしいでしょう」
ざわざわ・・・・・
「許可局が、他国の者を労働者として、または我が国の国民として権利を与える、その基準は?
もし、その申請が虚偽であれば、どのようにそれを確認します?そして、我が国でその者の身元を
保証するのは、国民権許可局のみ、そういうことでしょうか?」
ジョルジュであった。
「・・・おわかりでしょうか?皆さん、この法案には非常に無理があります。
現在、不法就労している者達は、皆が我が国の国民になりたいわけではなく、又
他国との関係を鑑みるに、そのような罰則を行えば、我が国の独裁との見方を強めるでしょう。
つまりこれが通れば、我が国に入国し、労働をした者を閉じ込める法案、ということになります」

ここにきて、革新派の意見が、完全に保守派の案を覆し、その法案の不備と問題点を
露見させた。

保守派の思惑・・・・・国民権許可局に賄賂を使ってでも国民権を欲しがる人々とのつながりを
正当化することは、これで叶わなくなった。この新法案は、却下されたのである。

そしてこれは、すぐにヴァレンシア王の知るところとなった。

” 石の庭 ” にて、王は特殊工作部隊に伝えた。
「議会に内部分裂を起こさせ、保守派議員を賄賂づけで堕落させる策であったが・・・・
やはりレーヴィエ卿のノーブルノワールに阻まれたか。

・・・お前達は、すぐに次の行動に移れ。我もわが祖国も血の誓いにかけて、シャトーグランデ
を未来永劫認めはせぬ。
グラハム王よ、待っているがよい。今にお前の権威を玉座から引き摺り下ろしてやる、
地の底へ・・・・!」


シャトーグランデ王国の舞踏会、他国を招いての晩餐会は、すでに1週間後に迫っていた。







(このお話はフィクションです)
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by f-as-hearts | 2008-12-15 22:34 | ミステリー・ファントム
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イルミネーション

イメージ
シャトーグランデ


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by f-as-hearts | 2008-12-15 12:27 | 祈り