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サウザンドアイランド 127

異世界の島の物語


サカマキ・ショウゴ         ・・・28歳   検査員
カネムラ・オクトー         ・・・19歳   研究員
                             能力者
エリック・ジェイントン        ・・・5歳    S級会員
                             能力者
マーマレード・リリア        ・・・20歳   保護委員
                            アンドロイド
ワインバーガー          ・・・60歳  サウザンド・アイランド連邦国
                       科学技術省総裁
メラニー             ・・・33歳   科学者
長老               ・・・??    ???
レゼンダ             ・・・29歳  オーズレーン国
                            カードマスター
                             能力者
イムズ              ・・・47歳   リドル帝国将軍
                             能力者

マドックス             ・・・26歳   リドル帝国空軍兵士 
                             能力者

ナイト               ・・・???  キングの配下のゲームマスター
                            オーディーンのナイト

キング               ・・・40歳   リドル帝国次期総帥
                             仮想無限城の王

クイーン              ・・・???  ゲームマスター
                             予知夢の能力者  
       
ディラルド・ジェイントン博士      ・・・???  超遺伝子科学者 エリックの父



第百二十七話 「 5原則の謎  」


リリアとリフがワインバーガーの研究所に着くと、キングが消えた状況について
アンドロイド達がその場の皆に説明していた。
ワインバーガーとクラウン博士は、説明に理解を示していたが、司令官は
納得できずに繰り返し質問をした。

「全員が、キングから目を離した、というのか?」
「はい。」
「それをどう説明するんだ?」
「アンドロイドグランドクロス全体に、0.1秒間爆発音に対する情報共有があり
音を聴いてすぐ意識がキングから逸れました。」
「全員、か?」
「全員です。」
「おかしいじゃないか?普通ならー」

クラウン博士が、そこに割って入った。
「情報共有は、このアンドロイド特有のシステムです。
半径500m圏内であれば、互いの得た情報の共有が電波によって可能なのです。」
司令官は首を振って言った。
「私は、キングが逃げたことの責任は、このアンドロイド達にあると言ってるんだ!」

それを聞いて、リリアが司令官の前に進み出た。
「キングが能力者の手引きで瞬間移動したということは、まぎれもない事実です。
それは、同じ能力者でなければ、捕まえられないのですから、彼らにも打つ手が
なかったと思います。」

司令官が苦々しげにリリアとリフを睨んだ。
「君らには、事の重大さがわかっていない!
もとよりアンドロイドの意見など、求めてはいないがな!

ワインバーガー、キングが強硬手段に出ないことを祈るんだな!
私はこの事を最高指令に報告する。」

軍隊はほどなく引き上げていった。
軍の兵士達は研究所の傍に降り立ったろぼっちを、珍しげに観ながら
トラックの中で話していた。
「ありゃあ、一体なんなんだ?」
「飛んでたのを観なかったのか?」
「うそだろ?動画撮らなかったのかよ?」
「あほか!!作戦行動中だっての!!」
「アンドロイドも凄かったが、キングも凄かったぞ!」
「ちきしょーーー!!俺も研究所に入りたかったぜ!!」

メラニーは破壊されたプラントを、数名のアンドロイドと共に確認にいった。
会議室にはワインバーガーとクラウン博士、そしてリリア、リフ、エリック、そして
頭を抱えたカネムラがいた。

クラウン博士がワインバーガーに代わって、アンドロイドの性能と今回の反省を
述べた。
その上で、カネムラに意見を求めた。
「キングを逃がしたのは能力者だったのだね?」
「はい、イムズ将軍に間違いありません。」
「君も同じ能力を持っているそうだが、どうすればイムズ将軍に勝てるかな?」
「・・・・・・・」
「将軍に勝てなければ、今後の見通しは大変暗いものになるだろう。」
カネムラはなんとも言い難い顔でワインバーガーに助けを求めた。
「そうなんですけど、それが出来れば苦労がないというか」
エリックがそこに割って入ってきた。
「ぼく、イムズ将軍と異次元で戦ったよ!
ぼく、カネムラと一緒なら将軍に勝てると思う!」
リリアがエリックの手を握った。
「イムズ将軍は、エリックを警戒してると思うから、それは難しいわね。」

カネムラはリリアの話にうなずいて、ワインバーガーに質問した。
「キングは、どうしてアンドロイド・グランドクロスを否定したんですか?」
今度はワインバーガーが難しい顔で答える番だった。
「アンドロイド5原則だよ。
我々が考えた5原則は、キングにとって邪魔でしかなかったのだろうね。」

カネムラはわからないと首を捻った。
「どういう事ですか?ひとつも矛盾はないと思いますが?」
クラウン博士が、私が説明しようと言った。
「キングはグランドクロスを、大量生産しようと考えていただろう。
だが、それで彼らが他国に圧力をかけることは出来ないんだ。」
「と、言うのはどういう意味ですか?」
「キングがしようとすることが、戦争だったら、それがキングに不利益を
もたらすとグランドクロスは思考する。
戦争を否定することが許されているのが、5原則なんだよ。」
「戦争が、不利益になるって・・・確かにそう考える人間ばかりじゃない・・・」

ワインバーガーが結論を述べた。
「戦争は表向きは反対されるが、利益を生むと考えている人間がほとんどだ。
だが実際は、対敵国への対応や兵士として優秀な人材が大量に戦地へ集められ
その間、政治的にも教育的にも著しく発展が遅れる事態に陥る。
それを指揮するものを、アンドロイドにすればよいと、考えたとしても
もしそれがどの国のアンドロイドにも適用されたら・・・
兵士がアンドロイドなら戦争は長期化し、より国力は疲弊する。

我々が戦争を国の最大の不利益とし、グランドクロスの5原則に契約者の
不利益を行わないとしたのは、彼にとっては想定外だったのだ。」

リリアがそうでしょうか?とワインバーガーに訊いた。
「キングが、私達と戦争になると考えていたとは思えません。」
ワインバーガーが答えた。
「リリア、君がグランドクロスの原型なんだ。
君がエリックと自由に接することを許していたのは、アンドロイドの可能性を
広げる為だった。
エリックにとっても、君が制御する立場だったからね。

キングのことは、早急に対策を立てる。
君達はグランドクロスに護衛してもらって、ここでしばらく過ごした方が
いいだろう。」

リフがクラウン博士に話しかけた。
「私はリリアの傍にいたいのですが、許可願います。」
「いいですよ。」

リリアとリフ、カネムラ、エリックは会議室から客室へと移動した。
そこには寝室が2つ用意されていた。
4人はそれぞれソファに腰掛けて、各自飲み物を飲みながらくつろいだ。

「ねえねえ、リフってかっこいいね!リフ、強いの?」
「強いわよ。」
「イムズ将軍とはハンデなしであれば腕力では勝てると思います。」
「・・・ハンデって、異次元だよな・・・
あそこじゃあ、将軍には誰も勝てない。」
「リリア、異次元でどんなことがあったの?」
「もう寝なさい。」
「やだ~~~~~~~!!もっと話して!!」

だが大人達はさすがに今日は疲れたと言って、それぞれのベッドへ
倒れこんですぐに寝てしまった。
「なんでさあ~~~~??
アンドロイドなんだから疲れたりしないでしょ!」
「・・・馬鹿ね、人工頭脳も使い過ぎると・・・オーバーヒート
・・・してしまうのよ。」


・・・・・・・・・・・・キングの部屋・・・・・・・・・・・・・

キングはイムズを塔の部屋に呼んでいた。
「アンドロイド5原則、ですか。」
「そうだよ。」
そう言って、先程のメモをイムズに見せた。
「へえ・・・考えましたね。
かなり、深読みできる。」
「そう・・・彼らはこれを、原則だと言うが、アンドロイドの発展の
為に我々は利用されているのだろう。」

イムズは驚きながら言った。
「つまり・・・アンドロイドが我々に服従しないってことですか?」
「難しい結論だ。
契約者の利益の為・・・ということだが。」

塔の外は眩しい日差しが雲を突き抜けて地上を照らしていた。

「・・・やはり、リリアが鍵のようだ。」
イムズはキングの声を聞いたように思った。
だがそれはテレパシーであったかもしれなかった。


・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです。)



by f-as-hearts | 2017-01-05 23:24 | SFサウザンドアイランド

タロット占い師ASのブログです。


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