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物語の世界観

・・・ファンタジー・ストーリーの世界観についての考察。

「メリー・ポピンズ」

一番児童文学の中でも、ファンタジー色が強いと思っている。
この物語はメリー・ポピンズという子守(向こうではベビー・シッターもあるが)兼 家政婦
が、傘を開いて傘で飛んでやってくる。

この中での世界観は、妖精がベースだと気がつく。
それは、赤ん坊の時代に赤ん坊はなんでも知っていて、それは赤ん坊が風や太陽の
光とも話をしている。・・・妖精や精霊ではないかと思われる世界にいる、それが純粋な
心である・・・そういう、赤ん坊の無限の可能性が普通の子どもになった瞬間に失われて
いる、そういうものをどれほど作者は大切だと思っているかが、そこに現れている。
そして、その不思議な世界観は、全編通して貫かれている。いくつものストーリーに分かれ
ているのだが、中でも、プレイヤデス星団であろうと思われる星の乙女がポピンズの元に
現れて起す事件は、全く常識的ではない。だから、知らない人も多いのではないだろうか。
今ならさしずめ倫理問題になりそうだ。興味のある方は読んでみると面白いと思う。

ところで・・・

この物語を取り上げたのには訳がある。
子守の女性を頼む夫婦には、最初に家族というものに対する考え方がはっきりとした
答としてある。
つまり子どもをもつかもたないか・・・その選択が、未来像として2つあるのだ。
子どもがいなければそれなりに裕福な生活がおくれるだろう。
子どもがいればとても賑やかで楽しいがつつましい生活になるだろう。
この夫婦は後者を選んだ。

・・・このお話が書かれたのは私が生まれる前だったろうと思う。
こういうお話には珍しく、社会が垣間見える。今の日本と変わらない家族の形がここに
あるのかもしれない。


「赤毛のアン」


比較対照として、このお話。
全く逆という訳ではないが、徹底して時代背景が描かれていて、児童文学としては
珍しくは無いが、最初から不幸な生い立ちが、これでもかというほど書かれている。
これでもか、という内容は、最初にアンが孤児院から間違って養子に出されたこと
から始まる。間違っている、頼んだのは男の子で、こんなやせっぽちで子どもとは
いえこんな歳になった女の子が欲しかったんじゃないと、里親である方が言うのだ。

ここで暗い話に嫌気がさす人は多いのではないか。最初に、まるで望まれていない
子としてアンがやってくる。そんな話が、いつの間にかアンがみんなを変えてゆく話
になってゆく。

かたや、妖精のような大人の女性が、不思議な力で子ども達の世界を広げる話。
またこちらは、まるで冴えない大人びた少女が、現実の大人達に、驚きと変化を
与える話である。

世界観はまるで違うが、共通するのはいつの時代も、別の世界や違う考え方をもつ者が
現れて初めて、世界は輝きだすのだろうということ。

興味や好奇心・・・そういうものがどんな世界を見せてくれるのか。
私達から見たら、主人公はいつも不思議な世界にいるのかもしれない。
by f-as-hearts | 2011-12-22 15:07 | 物語の世界観

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