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水色の光 2

カシュク            ・・・ 21歳    美術品修復師・美術教会特別顧問 
                            アラバイン国出身 
                            予言者のリング所持者

ザワールガス教皇     ・・・ 70歳    ルクール帝国 ルクール教皇

エシュリー教官       ・・・ 24歳    ルクール帝国特殊警部補 女護衛官

オリランドー教官      ・・・ 53歳    ルクール帝国特殊警部  特別護衛官


第 2 話


カシュクは教皇から絵にまつわる奇跡と伝承、そしてその教皇の後継者選びについて
説明を聞いた。

「ルクール教の始祖は、1500年以上前にとある洞窟で御神託を受けました。
この国が興った当時のことですが、その詳しい歴史は文献が消失してしまったが故に
諸説入り乱れております。ご神託を受けたのは聖女ファクターリア。この絵では天空で
手を広げております。聖女は、これよりそなたが生み育てる子が神の御子となるという
印の絵を洞窟で見つけ、その御子は事実多くの奇跡を行ないました。
御子の御名は 聖ジファス。・・・カシュク殿も聞いたことはおありでしょう。
聖ジファスはその洞窟を神聖な場所と定めましたが、奇跡のひとつに神の絵を描く少年
との逸話があります。

少年は聖ジファスとは知らずに、洞窟の壁面に描いた絵を見せたそうです。
どんな絵だったかはどこにもその記述はありませんが・・・」

ザワールガス教皇は隠し扉の紐を引くと、神の絵の横に現れた階段を降りていった。
カシュクは続いて降りていった。

壁には松明が並んでいた。緩やかなカーブの階段は地下数メートルは続いた。 
教皇は歩きながら話を続けた。

「・・・洞窟が他宗教との戦いで破壊される憂き目にあった時、それを悲しんだ聖ジファスは
ここに、その洞窟の壁画の一部を移しました。そして、この地下の隠れ処のひとつであった
洞窟の真上に、このエドラ・カテドラルを建立したということです。

その少年は沢山の予言の絵を描きました。聖ジファスは彼を聖者として教会に迎え・・・
その時に彼はここにこもって、後の世に「審判」と名づけられたあの、カテドラルの最高傑作
を描きました。


・・・それからです。

あの絵には、神秘の力がありました。
次期教皇は、あの絵に選ばれる・・・それがわかったのです」

再び扉が現れた。その扉を鍵で開けると、その中に2人は入っていった。
洞窟の中には2人の教官が待っていた。

「ザワールガス教皇、お待ちしておりました。
ルクール帝国特殊警部  特別護衛官 オリランドーと申します。
こちらはルクール帝国特殊警部補 エシュリー護衛官です」 

直立不動で敬礼する2人に、教皇は軽く会釈するとカシュクを紹介した。

「この方は、美術品修復師であり美術教会特別顧問 の、カシュク殿です。
あの、「審判」の絵の修復をお願い致しました。
お二人には、これから2ヶ月の間・・・カシュク殿の護衛をお願い致します」

カシュクは2人の護衛官の眼がとてもではないが好意的とは思えなかった。
しかし、それがあの絵や宗教に対する真摯な姿勢の表れだということは、見てとれた。

「美術品の修復について、私の年齢に不満でもありますか?」
その直接的な質問に、2人は戸惑った。しかし2人の答えには何の疑問を挟む余地も
なかった。
「ありません。我々の任務は、あなたの護衛です」

その言葉に教皇は頷いた。
「オリランドー特別護衛官、あなたが栄誉ある勲章を国王より賜ったことは存じております。
ですから、私はあなたに護衛をお願いしたのです。・・・それでは、お二人とカシュク殿で
これからのことを色々と取り決めていただきたい。大変な任務ですから」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
by f-as-hearts | 2011-08-02 00:42 | ファンタジー・水色の光

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