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召喚師 ミンクの冒険 43

・・・昔々、召喚師が大勢いた頃のお話。


ミンク・デリーシュア       ・・・20歳        召喚師

アーカディ・カッシ         ・・・19歳        魔法使い

ホワン・イーリイ          ・・・28歳        武術師範

ガウル               ・・・???        召喚獣 火炎妖魔 

カロン・デリーシュア      ・・・51歳         ミンクの父 召喚師

セト伯爵              ???        時間城の謎の人物

エル・シェラタイン        ・・・???      森のドライアドの妖精王




第  43  話   「 光の水晶結界 」



ミンクはガウルが怪物に乗っ取られたことに衝撃を受けていた。しかしホワンが駆けつけて
くれたことで、師範なら怪物をなんとかしてくれる、そう思っていた。

必死で走った先に、その炎は見えた。

ミンクはその炎の場所へ上がることを、一瞬ためらった。
ミンクは召喚師の試練で、数々の神々の社や祠を見てきたので、その炎の場所が
とても神聖な場所だとわかった。

・・・再生の宮殿・・・ユニコーンが言っていた言葉が思い出された。
激しく宮殿が揺れた。・・・地面が波打つような感覚を、その床からも感じた。
急がねばならない。迷っている暇は無い・・・その場に上がると、ミンクは炎に召喚師の
一族に伝わる祈りを捧げた。それから、魔法陣の詠唱に入ろうとした。

「我は妖精族にして召喚師、そして武術見習いのミンク、神よ、この幻獣界を護る為
人の世界を護る為ーーー」
その詠唱を遮るように、火の矢がミンク目掛けて放たれた。
ミンクはそれを、手刀で払うと、その矢が飛んできた方を睨んだ。
「ーー私に力を!!発現せよ聖なる魔ーー」




ガウルの姿のアーカディがその炎の側に現れた瞬間、上空から金色の光の帯が
落ちてきた。


ガウルの眼が、その上空の光を捉え、すぐに顔を戻すと ミンクを見た。

ミンクは、その眼を見た瞬間・・・叫んでいた。


「ーーー時よ、止まれ!!!!」


光は ガウルまで届かずに止まった。
ガウルは完全に止まった時の中にいた。ミンクだけが、動いてガウルの側に近づいた。
火の鳥の神聖な炎も、まるで透明な光で出来た彫刻のように、動かなかった。
静か過ぎるその場所で、ミンクはガウルの眼を見つめた。

その、眼は・・・いままで見たことがないくらい、優しかった。



「・・・ガウル? 怪物に、乗っ取られたんじゃないの?
どうして、そんなに 優しい眼をして私をみるの?
わかんないよ、ガウル??この光はなに?」



ガウルの動かない口から、怪物の声が聴こえてきた。

「・・・・ミンク、ナカナカ キテンガキクジャナイカ!

ハッ!マッタク、コイツノアタマハ ドウカシテル!!!
オシエテヤロウカ、コイツハ・・・・

コノヒカリハ スイショウケッカイダ。
コノヒカリニ フレタモノハ スイショウノナカニ エイキュウニ トジコメラレル。

コイツハ オレトイッショニ エイエンニトジコメラレヨウトシタノサ!!!

ココマデ バカダトハ オモワナカッタ!!!オレハ コイツカラニゲルコトニ
スル」


ガウルの影から、ゆらりとその怪物の影は動き出すと、止まっている筈の時間の中を
影のままアーカディの姿になって飛んだ。

「逃がさない!!!火の眷属ガウルの炎よ!魔法陣に宿りてあの怪物を閉じ込めよ!!
発現せよ、炎の聖なる魔法陣よ!!!!」

ミンクは怒りで我を忘れて叫んでいた。

「ーーーガウルと私の怒りを思い知れ!!!!!」燃え上がる炎の魔法陣がアーカディ
目掛けて飛んだ。

アーカディはその魔法陣に対して同じく魔法で対抗した。
「炎を跳ね返せ!!!風神結界!!!!」
アーカディの影は竜巻の中に隠れ、魔法陣を跳ね返すと、そのまま風の力で
上空へと飛んでいった。

その、影を追って・・・緋色の巨大な羽が羽ばたいて遠ざかっていった。

「---火の鳥!!!!」ミンクはその姿を目で追っていたが、はっと気がついて
ガウルの方へ駆け寄った。


時間は止まったまま・・・アーカディと火の鳥は、何故動けるのか?そんな疑問も
今はどうでもよかった。ただガウルが気がかりだった。


ガウルは弓を持った姿でそこに立っていた。


「・・・・・・・ガウル?・・・・・・・

・・・・・・なんで、この光から、逃げようとしないの?

本当に、この結界に・・・



・・・・・・永遠に 閉じ込められるつもりだったの?!




・・・・・・・なんで、そんなに優しい目で、みてるの・・・・・・・・・」



ミンクは止まった時間の中で、ガウルに抱きついた。

そして何度もガウルの顔を見上げた。そのうちに・・・自分がガウルに言えなかったことを
思い出した。




「・・・ガウル、いつも護ってくれて、ありがとう・・・」


ミンクはなぜだか、心が落ち着いてくるのを感じていた。




「・・・・・・・時よ、動け・・・・・・・・・」


2人の上から光の帯が降りてきた。






・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
by f-as-hearts | 2010-11-19 23:59 | ファンタジー小説Ⅵ

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