人気ブログランキング | 話題のタグを見る

森の蒼い城  ブルーキャッスル 22

 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  

サードニクス王             22歳   サードリア王国国王

グランバードス王            52歳   フォアクロス諸島国国王

隼のイグニス              ???  フォアクロスの魔法使い

黒い大熊                ???   森の守り神

ガーシュイン・シュッツトガルド    40歳   ラムズの父



第  22  話   「 探して 」



魔法使いイグニスがグランバードス王にフォアクロス王国の魔法使い達と共に
蒼の城の魔法使いを倒すように厳命され動き始めた時、南の魔法使いは、森の
中でラムズの友人ディーオを鳥に変身させていた。その鳥はひばりで、昼の内
にラムズを探させて、居場所がわかったらその真上の空高く昇り、さえずれば
南の魔法使いがそこまで行ってディーオをまた元に戻す、そういう約束をした。

「それじゃあ、やっとラムズは村へ帰れるんだな!」ディーオの言葉に、南の魔法
使いは首を振った。「・・・帰るというかな?それはラムズの問題だ」ザザーランディア
が大真面目に言った。「ガキんちょはやっぱりガキんちょねっ!!この大大大~~
~~~~~~~~~魔法使いのザザーランディア様があんたなんかになんで、
なんで、な~~~~~~~~んで頼まなきゃならなかったかわっかんないで
しょっ!!!」「力説して頂いたところで誠に申し訳ないがもう彼は飛んで行った」
そういうと、南の魔法使いも鷹に変身してひばりを追いかけていった。
「全く!」ザザーランディアも同じく鷹に変身して飛んで行った。森の中に陽はそろそろ
斜めに傾き、午後の虫達がぶんぶんと盛んに蜜や花粉を集めている羽音が聴こえて
いた。

ひばりになったディーオは飛べるということがこんなに気持ちがいいことと、初めて
知って、しばらくは本当に楽しくて笑いながら飛んでいた。しかし、そんな良いことばかり
ある訳が無い。お気楽なひばりは大型の猛禽類、つまりオオタカの目に留まった。
ひばりが少し木々がまばらになった広い場所を飛んでいるところで、オオタカが上空から
直滑降してひばりを捕まえようと狙いを定めてきた。「危ない!!」南の魔法使いはやはり
それを察知してそのオオタカに空中戦を仕掛けた。オオタカの爪を防ぐ形で南が戦いを
挑むと、エサを横取りされたと怒ったオオタカがその爪でがっちり南の羽をちぎろうとした。
「馬鹿ガキんちょ!早く逃げるんだよ!!!」ザザーランディアの鷹がひばりを追い払う
ようにその間に立ち塞がり、南に加勢した。オオタカは2羽の攻撃を受けて、分が悪いと
わかったのか逃げていった。「全く全く全く!!!激しく嘆かわしいわ!!!」「まあね」
「これでラムズを探せなかったらあんたの顔を爪で引っ掻いてやるから」「お手柔らかに」

ひばりのディーオは、やっと現実がわかった。自分がただのひばりで、人間でいる時と
なんら変わらずに弱い存在だということを。それで今度は真面目にラムズを探そうと、
鷹や鷲の狙いづらい木々の間をくぐり抜けながら飛んで行った。それでも、翼ある者は
速く、すぐにはぐれ熊のいる大きな洞の所まで来た。ラムズの父ガーシュインは、その
ひばりの声が、ラムズを呼んでいる事にすぐに気がついた。

「ひばり、ひばり、何故ラムズを探している?」ガーシュインの声に、ひばりのディーオが
びっくりして空中で止まった。「誰??なんでラムズの名前を知ってるんだ?」
「私はラムズの父のガーシュインだ」ひばりは慌ててガーシュインの目の前にある樹の
枝にとまると、話しかけた。「俺、ディーオです!おじさん、俺、魔法使いにひばりにして
もらったんです!ラムズ探す為に」「・・・・・なんていう無茶を!」「無茶はラムズです!
おじさん、ラムズが村に帰ってこないんです。ラムズ、このままじゃ死んじゃうんじゃ
ないかって・・・・・俺、俺・・・・」ディーオは泣いていた。「森には狼も大きな熊もいる」

そこへはぐれ熊がやってきた。「ああ、大丈夫だよ、ディーオ。この熊はラムズを知ってる
し、私の仲間だ」「・・・・このひばりがラムズを探しとるのか。ラムズなら大熊がついとる
からな、大方大丈夫だろうがな」「はぐれ、今説明してるんだが・・・どうやら魔法使いが
この子をひばりに変えてラムズを探しているらしい」「・・・・なんとまあ、どうなっとるんだ
一体・・・・」「・・・・・・・そうか、ディーオ、ラムズはここから北の方へ向かっている筈だ。
黒い大熊と一緒に旅をしている」「・・・・・!わかった、おじさん!ありがとう・・・おじさんは
やっぱり凄いや。動物の言葉がわかるんだね!!」「・・・・気をつけるんだ。それから・・・
ラムズにあったら話を聞いてやってくれないか」「わかった!!」ひばりはまた急いで
飛び立った。そろそろ夕方・・・・ひばりは目が見えなくなってきたのを感じていた。

「そろそろ森の外へでるぞ、ザザーランディア」「もう夜??やっとラムズ父がいたって
ゆうのに~~~~!!」「焦っても仕方が無い」「仕方なく無くない!!」「それはない」

ディーオは森の奥でちらちら赤いものが光っているのに気がついた。それはラムズの
燃やしている焚き木の火であった。





・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
by f-as-hearts | 2010-05-05 23:59 | ファンタジー小説Ⅴ

タロット占い師ASのブログです。


by f-as-hearts
カレンダー
S M T W T F S
1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
31