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森の蒼い城  ブルーキャッスル  6

 登場人物


ラムズ・シュッツトガルド        16歳

イライザ・シュッツトガルド       34歳   ラムズの母

ディーオ                  16歳   ラムズの友人

魔女 イシュス             ???  世捨て魔女

魔女ザザーランディア        ???  北の魔女

南の魔法使い             ???  




第  6  話   「 血統 」



村ではディーオがラムズを心配して、西の方の道を何度も見に行っては
帰りを待っていた。そして、時々ラムズの家にいる母親の顔を見ては何か
いいたそうに、いたずらに綱を編むのを手伝ったりしていた。

「ディーオ・・・・おまえ、今日は狩りに行かないのかい?」乾いた草を
片方をしっかり留めておいて手で綱を寄り合わせながら、イライザは訊いた。
「いいんだ、今日は兄貴がもう山鳥を3羽捕まえてきたから。それ以上はダメだ」
「村の掟だね・・・ディーオは全部言えるかい?」ディーオは急に自信あり
げに答えた。「ああ、俺は4番目だから。兄貴達がいつも言うのを聞いてた
から」「そうだね・・・」イライザは、ディーオをじっと見た。「ラムズもだよ」

ディーオは手を止めずに訊いた。
「おばさん・・・どうしてラムズは獲物を捕まえて殺せないんだろう?」

「・・・私は、主人に訊いた事がある・・・主人が旅に出ると言った時にね。
主人は、動物の目を見ると、何を考えているのかわかるんだ、と言った。
私は信じられなかったよ。・・・考えてご覧よ、そんなことがわかっても、辛い
だけだ。主人を疑う訳じゃない・・・だけど、もし、そんなことを考えていたら・・・
動物達にだって、子がいる、親もいる・・・私達が生きてゆく為にその命をもらう
んだ。主人はわかっていたけれどね。この村で生きてゆくことは、そういうことだ
って。ちゃんと獲物を捕まえてくれたよ。そして、いつも食べることに感謝して
いた。・・・・ただね・・・息子はもしかしたら、自分と似ていて、そういうところが
引き継がれるかもしれないって言ってたんだよ・・・・・」

ディーオは驚いていつの間にか手が止まっていた。
「・・・動物の考えていることが、わかる??それって、魔法使いじゃ・・・・」
「ーーいいかい、ディーオ、あんたはラムズの親友だと思うから、話したけど
この話は秘密にしておくれ。特に、村長達には、ね」

「・・・・・わかっ・・・・・た・・・・・・おばさん・・・・・おばさん、それじゃあおじさんは
魔法使いだったのか?」

イライザは首を振った。「・・・・・・知らない。私は、ここの村で生まれ育ったから。
主人はどこから来たのか、昔のことを話したりしなかったからね。」

ディーオはその話を誰にも言わないとイライザに誓うと、森の、あの泉のある場所
へと走っていった。ディーオはそんなことを考えたことも無かった。だから、今まで
ラムズが何を悩んでいたのか、本当はわかっていなかった。
ディーオは鳥や鹿が何か考えてるなんて、思いもしなかった。

「・・・ラムズ・・・・俺・・・・ただ、獲物の血を見るのが嫌なのかって思ってたんだ。
それじゃ・・・・辛いよな・・・・・」ディーオはラムズがいつも何か考えているような気が
していたのは、これだったのかと気がついたが、それ以上、どうしたらいいのか
わからないまま、途方に暮れて白い岩の上に座り込んでいた。

ラムズと魔女イシュスのことは、魔女ザザーランディアが方々で吹聴したが為に
それまで蒼の城を気にも留めていなかった者達までが、動き出していた。
ラムズは、村に到着すると、すぐに長老と村長に伝承の巻物を見せた。
長老は、その古文書を黙読したが、ラムズだけに話があると言って、村長を部屋
から追い出した。


「・・・これを口伝せねばならないが・・・・おまえは、この秘密を守れるか?
守れぬならば、わしはこの伝承を葬ろうと思うが・・・どうだね・・・・?」

ラムズは今まで秘密など聞いたこともなかった・・・・どうしたらいいのか、悩んで
黙った。長老は、ただ静かに 青年の答えを 待っていた。





・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・

(このお話は フィクションです)
by f-as-hearts | 2010-04-05 00:00 | ファンタジー小説Ⅴ

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