SF小説 ジェームズ・ビンセント博士の憂鬱 7
2010年 02月 14日
登場人物
ジェームズ・ビンセント博士 38歳 科学者 アンドロイド製作・研究 の第一人者
執事 80歳 ジェームズ博士の執事
T・W ?? ザ・フー 博士の助手
リョウ・ロバートソン 38歳 日系アメリカ人 探偵
トンボ 12歳 本名 アレックス・K・ロートレックス 天才少年
リョウの相棒
リンダ ?? 元国際警察・犯罪捜査官
アオイ ?? ジェームズ博士のアンドロイド
第 7 話 「 敵との攻防 」
シルバーグレーの車はぐんぐんスピードを上げてスピードウェイを北上していった。追跡中の車がボスに連絡をした。「こちら、T-1。北上中の車の女性の特徴はアンドロイドと酷似しています。運転しているのがその女性で、他に乗っている人影はありません」「車の中の生体反応は?」「その女性のみです」「わかった、引き続き追跡しろ。必要なら増援するが?」「現在必要ありません」「わかった」
「ボス、こちらE-1。こちらは西へ逃走中の車を追っていますが、市街地を走っている為、追跡はかなり困難です。しばらく通信を切ります」「わかった」
「ボス、突入します」「ああ。ジェームズ博士は傷つけるなよ!!いいか、これは絶対命令だ」「了解」
ゲートは外され、車3台が次々に駐車場へとなだれ込んだ。「ここのどこかに博士の隠れ家がある筈だ」バラバラと皆がその駐車場の中をしらみつぶしに探していた。しかし、それより地下へ行くエレベーターはそこにスイッチらしきものが何も無い上、床は巧妙にアスファルトで平らになっていて、どこにもそれらしき形跡が探せずにいた。「科学班、急いでどこかに隠し扉がないか、探すんだ!」
リンダはリョウの車に連絡してきた。
「リョウ、そちらは追跡されてないでしょうね?」「大丈夫だ。でもそっちは大変だろう?」「まあね。でもハイウェイを限界スピードまで飛ばすのは久しぶりで、気分がいいわ」「何台?」「2台よ。・・・何台で追って来ても大丈夫なんだけど」「怪しかったら、すぐに連絡してくれ」「OK」「それから・・・リンダ、博士のことだが・・・・敵は軍事関係か?」「どうかしら?」「あれだけ博士が警戒して言わないのも、それなら納得がいくんだ。どうせアンドロイドを殺戮マシーンにでもしたいってことだろ?」「リョウ、今ちょっと取り込んできたから、またね!」車のマイクをオフにして、リンダはバックミラーとナビ画面を確認した。
リンダの車はだんだん混み合ってきた3車線の道路を、カースタント真っ青なテクニックで右に左に曲がっていた。「なんだか、いけない雰囲気じゃない?そろそろ出口なんだけど・・・」後ろにはまだしつこく車がリンダを狙っていた。「う~んんん ちょっと本気になんないでね~~!!」
リンダは敵がプロのエージェントだとすぐにわかった。それは一般車を巻き込まず、車の動きは揃っていて、無駄な動きはなかったからだった。タイヤの磨耗を極力最小限にして、長期戦でもいける、そういう余裕をみせつけていた。「・・・ていうことは、早く片付けなけりゃね。冗談抜きで。・・・・ジャストタイミング!間に合ったみたいね。いいかしら、ダニー!リンダよ、聴こえる?私の声」トラックの無線はすぐに繋がった。
「ああ、よーーーっく聴こえるよ、リンダ!!追って来いって言うからずっとナビで追跡してた」「あなたのトラックの無線覚えててよかったわ。手伝ってくれたら、あなたのツケ、帳消しにしてもいいわよ?」「本当かよ?!そりゃすげえ!なにすりゃ良いんだ?」「後ろの真っ黒い2台の車、ちょ~っと足止めしてくれないかしら?あの出口のところで」
リンダの車が出口の方の車線へ曲がると、その隣のトレーラーが大曲りで出口を塞ぐように大きな音を立てて止まった。2台の車は慌ててそのトレーラーにクラクションと威嚇の銃を発射したが、トレーラーの持ち主ダニーは、その威嚇に驚いたのか車から外に出てしまい、どうにも困った追跡者がトレーラーを運転しようとしたが、それは運転者を認識して動く車だった為、2人はその運転者を探す羽目になった。その間に、リンダは悠々と追跡を逃れ、リョウ達の車に連絡をした。「簡単だったわ。そっちに今行くわね」
もう一台の車は市街をくるくると逃げ回っていた。その内、とある大きな建物の駐車場に入ったのを見届けて、2台の車はすぐにその中へ入った。「・・・・・・おい??ここって病院じゃないか!?」
すぐにその男達は混雑している病院内を探した。しかし、そこには体格的にあの運転していた男性と同一人物はフロアーにはいなかった。出口で監視しつつ、男達は病棟まで探ったが、いない・・・・・
そこに、事務長が慌ててその男達を追い出しにかかったが、男の1人が事務長に耳打ちした。
「指名手配犯がここに逃げ込んだと言う通報があった。我々はそちらの仕事の邪魔はしないが、ご協力を」返事を聞かずに、そのまま診療室を探し始め、患者達は皆驚いて立ち止まった。
「何してるんですか?」「捜査です、ご協力願います」そのフロアでは手術が行われていた。
「止めてください!!その部屋は今手術の真っ最中です!!何の権限であろうが、そこに立ち入りは禁止されています!!!」だが、そこも無理やり押し通った。「何をしている・・・・・・出て行きなさい!」手術を執刀している医者が静かにその血の付いたメスを持ったまま振り向いた。マスクしたその目は鋭く侵入者を睨んだ。
男達は何も言わず、その場にいる数人の顔を見て、出て行った。
車がその病院を後にしたのは、それから数十分後であった。
「先生、あいつらなんだったんですか?」手術をしながら執刀医に助手が質問した。
「人探しらしいが・・・どう見てもあいつらの方が、人さらいだろう・・・ふ・・・」マスクを外した顔は、ザ・フーその人だった。「まさか、本物の医者が仲間だとは思わなかったようだな?そうだ、あれは付けてくれたかい?」
「発信機ですね、はい、あの車の下に」「ありがとう、後は頼むよ」フーは手術室を後にした。
「・・・こっちもOKだ。リンダ、君の指示を仰ぐよ。どうすればいい?」
博士のいる地下駐車場では、やっと科学班が地下へのエレベーターを動かしていた。
「このタイプは車の加重と、またセンサーが複雑でして・・・」「ああ、わかった。解釈はもういい。早く地下へ」
車が降りた先は、埃の上に車のタイヤの後がついていた。そしてその先には明かりが洩れていた。
「急げ!すでに中では警戒している筈だ。トラップに注意を払え!突入!」ガスマスクをし、ドアを開けるやそこに催涙ガスを投げ込んで、5人の男が銃を構えて突入した。「・・・・・・どこだ?探せ!!」
奥に進んだ2人が手で合図した。「おい、こっちだ!」そのドアの先には睡眠カプセルのようなものが並んでいた。「これは??ボス、来てください!」
ガスマスクをしたまま、そのカプセルを覗くと、間違いなくジェームズ博士だった。そしてそのカプセルにはいかにも爆弾とわかる代物がコードによってカプセルの上蓋に繋がれていた。部下の一人が蓋をあけようとしたのをボスはすぐに手で止め、触るな!と忠告した。「よく見ろ!博士の首のところ!!」
それは、首に巻かれた小型爆弾だった。
「これが解除出来なかったら上蓋が爆破して、連動しているこの小型爆弾もボン!!だ。博士は、自分の命で俺達を脅している。聞き及んだ通りのマッド・サイエンティストぶりだな!!科学班!!早くこれを解除だ!」
「これは・・・ええっとコールド・スリーパーですね。冷凍睡眠機械です。ああ、完璧に氷温睡眠の温度になってる。・・・爆弾は、ええっとこれ、凄いですね、破裂するのは液体で・・・爆弾じゃなくてここの全員が死亡するだけの化学物質です。建物は無事ですが、人間だけ死にます」「それで解除出来るのか?」
その時、ドアが自動で閉じ、部屋の中に声が響いてきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(この お話は フィクションです)
ジェームズ・ビンセント博士 38歳 科学者 アンドロイド製作・研究 の第一人者
執事 80歳 ジェームズ博士の執事
T・W ?? ザ・フー 博士の助手
リョウ・ロバートソン 38歳 日系アメリカ人 探偵
トンボ 12歳 本名 アレックス・K・ロートレックス 天才少年
リョウの相棒
リンダ ?? 元国際警察・犯罪捜査官
アオイ ?? ジェームズ博士のアンドロイド
第 7 話 「 敵との攻防 」
シルバーグレーの車はぐんぐんスピードを上げてスピードウェイを北上していった。追跡中の車がボスに連絡をした。「こちら、T-1。北上中の車の女性の特徴はアンドロイドと酷似しています。運転しているのがその女性で、他に乗っている人影はありません」「車の中の生体反応は?」「その女性のみです」「わかった、引き続き追跡しろ。必要なら増援するが?」「現在必要ありません」「わかった」
「ボス、こちらE-1。こちらは西へ逃走中の車を追っていますが、市街地を走っている為、追跡はかなり困難です。しばらく通信を切ります」「わかった」
「ボス、突入します」「ああ。ジェームズ博士は傷つけるなよ!!いいか、これは絶対命令だ」「了解」
ゲートは外され、車3台が次々に駐車場へとなだれ込んだ。「ここのどこかに博士の隠れ家がある筈だ」バラバラと皆がその駐車場の中をしらみつぶしに探していた。しかし、それより地下へ行くエレベーターはそこにスイッチらしきものが何も無い上、床は巧妙にアスファルトで平らになっていて、どこにもそれらしき形跡が探せずにいた。「科学班、急いでどこかに隠し扉がないか、探すんだ!」
リンダはリョウの車に連絡してきた。
「リョウ、そちらは追跡されてないでしょうね?」「大丈夫だ。でもそっちは大変だろう?」「まあね。でもハイウェイを限界スピードまで飛ばすのは久しぶりで、気分がいいわ」「何台?」「2台よ。・・・何台で追って来ても大丈夫なんだけど」「怪しかったら、すぐに連絡してくれ」「OK」「それから・・・リンダ、博士のことだが・・・・敵は軍事関係か?」「どうかしら?」「あれだけ博士が警戒して言わないのも、それなら納得がいくんだ。どうせアンドロイドを殺戮マシーンにでもしたいってことだろ?」「リョウ、今ちょっと取り込んできたから、またね!」車のマイクをオフにして、リンダはバックミラーとナビ画面を確認した。
リンダの車はだんだん混み合ってきた3車線の道路を、カースタント真っ青なテクニックで右に左に曲がっていた。「なんだか、いけない雰囲気じゃない?そろそろ出口なんだけど・・・」後ろにはまだしつこく車がリンダを狙っていた。「う~んんん ちょっと本気になんないでね~~!!」
リンダは敵がプロのエージェントだとすぐにわかった。それは一般車を巻き込まず、車の動きは揃っていて、無駄な動きはなかったからだった。タイヤの磨耗を極力最小限にして、長期戦でもいける、そういう余裕をみせつけていた。「・・・ていうことは、早く片付けなけりゃね。冗談抜きで。・・・・ジャストタイミング!間に合ったみたいね。いいかしら、ダニー!リンダよ、聴こえる?私の声」トラックの無線はすぐに繋がった。
「ああ、よーーーっく聴こえるよ、リンダ!!追って来いって言うからずっとナビで追跡してた」「あなたのトラックの無線覚えててよかったわ。手伝ってくれたら、あなたのツケ、帳消しにしてもいいわよ?」「本当かよ?!そりゃすげえ!なにすりゃ良いんだ?」「後ろの真っ黒い2台の車、ちょ~っと足止めしてくれないかしら?あの出口のところで」
リンダの車が出口の方の車線へ曲がると、その隣のトレーラーが大曲りで出口を塞ぐように大きな音を立てて止まった。2台の車は慌ててそのトレーラーにクラクションと威嚇の銃を発射したが、トレーラーの持ち主ダニーは、その威嚇に驚いたのか車から外に出てしまい、どうにも困った追跡者がトレーラーを運転しようとしたが、それは運転者を認識して動く車だった為、2人はその運転者を探す羽目になった。その間に、リンダは悠々と追跡を逃れ、リョウ達の車に連絡をした。「簡単だったわ。そっちに今行くわね」
もう一台の車は市街をくるくると逃げ回っていた。その内、とある大きな建物の駐車場に入ったのを見届けて、2台の車はすぐにその中へ入った。「・・・・・・おい??ここって病院じゃないか!?」
すぐにその男達は混雑している病院内を探した。しかし、そこには体格的にあの運転していた男性と同一人物はフロアーにはいなかった。出口で監視しつつ、男達は病棟まで探ったが、いない・・・・・
そこに、事務長が慌ててその男達を追い出しにかかったが、男の1人が事務長に耳打ちした。
「指名手配犯がここに逃げ込んだと言う通報があった。我々はそちらの仕事の邪魔はしないが、ご協力を」返事を聞かずに、そのまま診療室を探し始め、患者達は皆驚いて立ち止まった。
「何してるんですか?」「捜査です、ご協力願います」そのフロアでは手術が行われていた。
「止めてください!!その部屋は今手術の真っ最中です!!何の権限であろうが、そこに立ち入りは禁止されています!!!」だが、そこも無理やり押し通った。「何をしている・・・・・・出て行きなさい!」手術を執刀している医者が静かにその血の付いたメスを持ったまま振り向いた。マスクしたその目は鋭く侵入者を睨んだ。
男達は何も言わず、その場にいる数人の顔を見て、出て行った。
車がその病院を後にしたのは、それから数十分後であった。
「先生、あいつらなんだったんですか?」手術をしながら執刀医に助手が質問した。
「人探しらしいが・・・どう見てもあいつらの方が、人さらいだろう・・・ふ・・・」マスクを外した顔は、ザ・フーその人だった。「まさか、本物の医者が仲間だとは思わなかったようだな?そうだ、あれは付けてくれたかい?」
「発信機ですね、はい、あの車の下に」「ありがとう、後は頼むよ」フーは手術室を後にした。
「・・・こっちもOKだ。リンダ、君の指示を仰ぐよ。どうすればいい?」
博士のいる地下駐車場では、やっと科学班が地下へのエレベーターを動かしていた。
「このタイプは車の加重と、またセンサーが複雑でして・・・」「ああ、わかった。解釈はもういい。早く地下へ」
車が降りた先は、埃の上に車のタイヤの後がついていた。そしてその先には明かりが洩れていた。
「急げ!すでに中では警戒している筈だ。トラップに注意を払え!突入!」ガスマスクをし、ドアを開けるやそこに催涙ガスを投げ込んで、5人の男が銃を構えて突入した。「・・・・・・どこだ?探せ!!」
奥に進んだ2人が手で合図した。「おい、こっちだ!」そのドアの先には睡眠カプセルのようなものが並んでいた。「これは??ボス、来てください!」
ガスマスクをしたまま、そのカプセルを覗くと、間違いなくジェームズ博士だった。そしてそのカプセルにはいかにも爆弾とわかる代物がコードによってカプセルの上蓋に繋がれていた。部下の一人が蓋をあけようとしたのをボスはすぐに手で止め、触るな!と忠告した。「よく見ろ!博士の首のところ!!」
それは、首に巻かれた小型爆弾だった。
「これが解除出来なかったら上蓋が爆破して、連動しているこの小型爆弾もボン!!だ。博士は、自分の命で俺達を脅している。聞き及んだ通りのマッド・サイエンティストぶりだな!!科学班!!早くこれを解除だ!」
「これは・・・ええっとコールド・スリーパーですね。冷凍睡眠機械です。ああ、完璧に氷温睡眠の温度になってる。・・・爆弾は、ええっとこれ、凄いですね、破裂するのは液体で・・・爆弾じゃなくてここの全員が死亡するだけの化学物質です。建物は無事ですが、人間だけ死にます」「それで解除出来るのか?」
その時、ドアが自動で閉じ、部屋の中に声が響いてきた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(この お話は フィクションです)
by f-as-hearts
| 2010-02-14 23:59
| SFジェームズ博士の憂鬱