SF 小説 Eagle.0 -イーグル.ゼロー 20
2009年 10月 15日
鷹島尋 達真 (タカトウジン タツマ) ・・・16歳 高校1年
山藤(ヤマフジ)所長 ・・・59歳 科学研究所 所長
高ノ宮(タカノミヤ)博士 ・・・37歳 ロボット工学博士
時舟(トキフネ)リエ子 ・・・28歳 高ノ宮博士の助手
鷹島尋 晃太 (タカトウジン コウタ) ・・・14歳 中学2年
レイリー・ミラー博士 ・・・39歳 科学者
モニターの男 サー・ヴァイズ ・・・???
第 20 話 「 山藤所長 」
レイリー博士はマウスと警備所長が待つ小ホールに2人のボディーガードと
共に現れた。銀髪で偏光サングラスがその目を隠して、ちょっと見た限り
科学者らしくない、不思議な雰囲気が漂っていた。
「プロフェッサー・レイリー。お休みのところ申し訳ございません。
このロボットについて、ご存知でしょうか?」
レイリー博士はかがむとマウスの顔をじっと見つめた。
「おやおや・・・私のペット君はいつの間に外に出てしまったんだ?
気がつかなかったよ。・・・見つけてくれて、ありがとう。所長」
「・・・・・あの申し上げにくいんですが・・・プロフェッサー、このマウスは警備の
カメラを壊したようなんですが・・・・・・」警備所長は檻を掴んで放さない風で
レイリー博士に不満たらたらに言った。
「そういうのは、持ち主に請求せよと上からの命令で・・・・・」
「・・・・・・・このロボットがカメラを壊した?その証拠は?」
「・・・ええ、はい、ええっと・・・それはそのう・・・」
「それは私がこのロボットに命令しただろうという前提の上の発言か?」
「いえ、そんな・・・・いえいえ、そうではなくてですね」
「このロボットは命令の実行と身を守ること以外はしないんだが?」
「・・・・・・・・えっ?!そうなんですか!!それは存じませんでした!!
あ、ああそうだ、私はまだ修理作業が残っておりますので、これで失礼
致します!」
警備所長は慌てて戻っていった。
レイリー博士は檻からマウスを出すと、笑いかけた。
「・・・・・・・・マウス君、お疲れ様~~~!!もうしゃべってもいいよ」
「博士~~レイリー博士、俺達が何してるか、知ってたんだね~~!!」
「?ちょっと言葉が困るかな?ちょっと待ってくれ・・・・・・」
博士は大き目のイヤホンを耳に付けた。「これは同時翻訳機でね。マウス君の
耳にも入れてあげよう、これはかなり小型だから入るだろう」
「あーあー・・レイリー博士、初めまして。俺、コウタっていいます。中学生です」
「初めまして。レイリー・ミラーです。君達がどうしてここにいて、何故狙わ
れていたか、わかっている。今捕まっている2人組がテロの手先だったのも
戦闘機のことも。さて・・・・私の部屋でゆっくり説明しよう」
モニターの男は、会議場で2人組が捕まったことでタワーと交信していた。
「・・・・タワー、あの2人組から情報が漏れる恐れはないんだな?」
「こちらタワー。サー・ヴァイズ、それは無い」「100%?」「そうだ」
「しかし、携帯の通信記録は」「いつもすぐ削除させている。また捕まった
時点で携帯を破壊するように指令は与えている」「・・・まあ独自の通信網
だから、履歴のたぐりようもないが・・・・わかった」
「サー・ヴァイズ。戦闘機のパイロットが一人国防省で尋問を受けています」
「こちらタワー。そちらも問題無い。彼らは洗脳を受けている」
「はい。ではサー次の指令を」
「・・・・・・・・・あの銀色、レイリー博士のミラーショットとイーグル
・・・この2つは絶対に必要になる・・・・どうやって手に入れるかだが・・・」
モニターの男、サー・ヴァイズはイーグルの空中戦の映像を食入る様に眺めて
いた。
その頃・・・
「タツマ君、ゼロで戦闘機が墜落した所を捜索してくれ」
「?何かあるんですか?」「もしかしたら、ね」「わかりました」
森の中に墜落した1機は、パイロットが脱出した後翼が折れ横倒しになっていた。
「ゼロ、戦闘機の上に降りて・・・・その中を見せてくれ」
パイロットの持ち物らしい小さなケースが床に落ちているのがゼロの視界に入って
きた。
「ゼロ、それを持って国際会議場まで戻ってくれないか。何か・・・手がかりがあるかも
しれない」
・・・それはレイリー博士の元に届けられた。イーグルは屋上でレイリーの特製ボックス
の中に隠れて待っていた。
「・・・・・見えるかい?高ノ宮?これは、パイロットの家族の写真だ。それと・・・手紙だな」
「手紙?この、携帯が主流の時代に?」「そう。この家族を見る限りでは・・・砂漠地帯の
少数民族だろう」「・・・・・・・・・・このパイロットの出身、そこから、辿れるだろうか、
テログループの本拠地だが・・・」「いや、それは難しい。こんな貧しい国の出身の
兵士はいくらでもいる。許せないのは、そういう兵士を生み出すテログループの思想だよ」
レイリー博士は、サングラスを取った。
「私の顔は、半分爆発で吹っ飛んだ。だからこの顔は移植したものだ。
私達が乗ったバスを、テロが狙った。今から5年前・・・
私が科学者だから?私がテロ撲滅推進派だったから?それなら、私だけを狙えばいい。
バスにはその時乗客が21人乗っていたんだ。ほとんどの人が、助からなかった。
・・・彼らは私には理解出来ない。私には彼らを理解する事は意味の無い事だ。
私は1人でも戦うつもりだ」
レイリー博士はサングラスをかけた。
タツマはのどがからからに渇くのを感じた。「・・・レイリー博士は、山藤所長と、どういう
・・・・」「・・・・そう、山藤所長は私の国の大学でロボット工学科の教授に招かれていた。
そこで、博士課程を取っていた私は出会ったんだよ。山藤所長と・・・」
レイリー博士はちょっと話すべきか考えているようだったが、一息つくと続けた。
「彼は・・・博士ではないが、某国の大学教授だったと、伺っている。それも、国立の
・・・日本人だが彼は本当の国際人だと思う。今はその国に身を寄せている筈だ」
高ノ宮博士はタツマ達の方を見ると、頷いた。
「私は・・・テロとの戦いは怖い。だが、ゼロが軍事目的やテロリストのロボットとして
利用される事は、絶対にあってはならないと思う。それを防ぐ為にレイリー博士や
他の科学者グループの力が必要なんだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです)
山藤(ヤマフジ)所長 ・・・59歳 科学研究所 所長
高ノ宮(タカノミヤ)博士 ・・・37歳 ロボット工学博士
時舟(トキフネ)リエ子 ・・・28歳 高ノ宮博士の助手
鷹島尋 晃太 (タカトウジン コウタ) ・・・14歳 中学2年
レイリー・ミラー博士 ・・・39歳 科学者
モニターの男 サー・ヴァイズ ・・・???
第 20 話 「 山藤所長 」
レイリー博士はマウスと警備所長が待つ小ホールに2人のボディーガードと
共に現れた。銀髪で偏光サングラスがその目を隠して、ちょっと見た限り
科学者らしくない、不思議な雰囲気が漂っていた。
「プロフェッサー・レイリー。お休みのところ申し訳ございません。
このロボットについて、ご存知でしょうか?」
レイリー博士はかがむとマウスの顔をじっと見つめた。
「おやおや・・・私のペット君はいつの間に外に出てしまったんだ?
気がつかなかったよ。・・・見つけてくれて、ありがとう。所長」
「・・・・・あの申し上げにくいんですが・・・プロフェッサー、このマウスは警備の
カメラを壊したようなんですが・・・・・・」警備所長は檻を掴んで放さない風で
レイリー博士に不満たらたらに言った。
「そういうのは、持ち主に請求せよと上からの命令で・・・・・」
「・・・・・・・このロボットがカメラを壊した?その証拠は?」
「・・・ええ、はい、ええっと・・・それはそのう・・・」
「それは私がこのロボットに命令しただろうという前提の上の発言か?」
「いえ、そんな・・・・いえいえ、そうではなくてですね」
「このロボットは命令の実行と身を守ること以外はしないんだが?」
「・・・・・・・・えっ?!そうなんですか!!それは存じませんでした!!
あ、ああそうだ、私はまだ修理作業が残っておりますので、これで失礼
致します!」
警備所長は慌てて戻っていった。
レイリー博士は檻からマウスを出すと、笑いかけた。
「・・・・・・・・マウス君、お疲れ様~~~!!もうしゃべってもいいよ」
「博士~~レイリー博士、俺達が何してるか、知ってたんだね~~!!」
「?ちょっと言葉が困るかな?ちょっと待ってくれ・・・・・・」
博士は大き目のイヤホンを耳に付けた。「これは同時翻訳機でね。マウス君の
耳にも入れてあげよう、これはかなり小型だから入るだろう」
「あーあー・・レイリー博士、初めまして。俺、コウタっていいます。中学生です」
「初めまして。レイリー・ミラーです。君達がどうしてここにいて、何故狙わ
れていたか、わかっている。今捕まっている2人組がテロの手先だったのも
戦闘機のことも。さて・・・・私の部屋でゆっくり説明しよう」
モニターの男は、会議場で2人組が捕まったことでタワーと交信していた。
「・・・・タワー、あの2人組から情報が漏れる恐れはないんだな?」
「こちらタワー。サー・ヴァイズ、それは無い」「100%?」「そうだ」
「しかし、携帯の通信記録は」「いつもすぐ削除させている。また捕まった
時点で携帯を破壊するように指令は与えている」「・・・まあ独自の通信網
だから、履歴のたぐりようもないが・・・・わかった」
「サー・ヴァイズ。戦闘機のパイロットが一人国防省で尋問を受けています」
「こちらタワー。そちらも問題無い。彼らは洗脳を受けている」
「はい。ではサー次の指令を」
「・・・・・・・・・あの銀色、レイリー博士のミラーショットとイーグル
・・・この2つは絶対に必要になる・・・・どうやって手に入れるかだが・・・」
モニターの男、サー・ヴァイズはイーグルの空中戦の映像を食入る様に眺めて
いた。
その頃・・・
「タツマ君、ゼロで戦闘機が墜落した所を捜索してくれ」
「?何かあるんですか?」「もしかしたら、ね」「わかりました」
森の中に墜落した1機は、パイロットが脱出した後翼が折れ横倒しになっていた。
「ゼロ、戦闘機の上に降りて・・・・その中を見せてくれ」
パイロットの持ち物らしい小さなケースが床に落ちているのがゼロの視界に入って
きた。
「ゼロ、それを持って国際会議場まで戻ってくれないか。何か・・・手がかりがあるかも
しれない」
・・・それはレイリー博士の元に届けられた。イーグルは屋上でレイリーの特製ボックス
の中に隠れて待っていた。
「・・・・・見えるかい?高ノ宮?これは、パイロットの家族の写真だ。それと・・・手紙だな」
「手紙?この、携帯が主流の時代に?」「そう。この家族を見る限りでは・・・砂漠地帯の
少数民族だろう」「・・・・・・・・・・このパイロットの出身、そこから、辿れるだろうか、
テログループの本拠地だが・・・」「いや、それは難しい。こんな貧しい国の出身の
兵士はいくらでもいる。許せないのは、そういう兵士を生み出すテログループの思想だよ」
レイリー博士は、サングラスを取った。
「私の顔は、半分爆発で吹っ飛んだ。だからこの顔は移植したものだ。
私達が乗ったバスを、テロが狙った。今から5年前・・・
私が科学者だから?私がテロ撲滅推進派だったから?それなら、私だけを狙えばいい。
バスにはその時乗客が21人乗っていたんだ。ほとんどの人が、助からなかった。
・・・彼らは私には理解出来ない。私には彼らを理解する事は意味の無い事だ。
私は1人でも戦うつもりだ」
レイリー博士はサングラスをかけた。
タツマはのどがからからに渇くのを感じた。「・・・レイリー博士は、山藤所長と、どういう
・・・・」「・・・・そう、山藤所長は私の国の大学でロボット工学科の教授に招かれていた。
そこで、博士課程を取っていた私は出会ったんだよ。山藤所長と・・・」
レイリー博士はちょっと話すべきか考えているようだったが、一息つくと続けた。
「彼は・・・博士ではないが、某国の大学教授だったと、伺っている。それも、国立の
・・・日本人だが彼は本当の国際人だと思う。今はその国に身を寄せている筈だ」
高ノ宮博士はタツマ達の方を見ると、頷いた。
「私は・・・テロとの戦いは怖い。だが、ゼロが軍事目的やテロリストのロボットとして
利用される事は、絶対にあってはならないと思う。それを防ぐ為にレイリー博士や
他の科学者グループの力が必要なんだ」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・続く・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
(このお話は フィクションです)
by f-as-hearts
| 2009-10-15 23:59
| SF イーグル・ゼロ