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ファントム Ⅱ 過去の亡霊 15

・・・・・・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・

ルシウス・トゥラスト             39歳
                     ・・・王子(グラハム王の長男)

ベルガー警部                 55歳


キュベレー男爵                64歳
                          ・・・劇団の団長

ロザリア夫人                  53歳
                          ・・・セシリア妃の母 ヴァレンシアの貴族

ヴァレンシア王妃               50歳
                         


ゴード・エンタールⅢ世            30歳
                          ・・・俳優(ファントム)

マクファーレン・トゥラスト          14歳
                          ・・・ルシウスの長男


ロード・クロス・ヴァレンシア王      ・・・51歳
                        ヴァレンシア国王


サラジュール王                 35歳
                          ・・・サラジュール国国王(通称・銀の鯨)





第 15 話  「  絆  」


その馬車は郊外へとひたすらに走っていた。

「マクファーレン殿、手の傷は痛みますか?」
キュベレー男爵はシャツを引き裂くと、包帯のように赤紫色に腫れ傷だらけの手首に巻いた。
「・・・大丈夫です。それよりも、さっき・・・私のロープを解いてくれたご夫人は・・・」
男爵は手元から目を離さずに言った。「あなたの、お祖母様です」
マクファーレンは驚いて男爵の顔を見上げた。「まさか?!母の?」

「そうです・・・あなたは2つの国を繋ぐ、大切なお方だ」

馬車は向かい風の中、急ぎに急いでいた。

「・・・夢だと・・・・思っていました。
ヴァレンシア王が、僕に言ったんですーーーーー

我々が勝てば、おまえが総てを支配出来る。
もし、負ければーーーーおまえは生きてここを出る事は無い・・・・・・

おまえが望む 平和・・・・それは2つの国が1つになるまで 永遠にくることはない・・・」

風は唸りを上げて馬車の隙間から入り込んできた。

「・・・なぜなら、おまえは私の息子だからだ・・・・・・」頭を振って、マクファーレンは苦しそうな
表情を向けた。「・・・そんな話・・・・僕は信じられない!絶対に!!」

「--もし、それがーーー」キュベレー男爵は言った。
「真実だとしたら、王子、王子はどうされますか?」

突然、馬車は大きく外側へふくらんで向きを変えようと御者の掛け声が響いた。
「将軍の兵隊が追いついてきました!」御者は間髪を入れず鞭をいれた。
「ここからは道が悪い、何かに掴っていてください!」

馬車は雑木林のくねくねとした道を、全速力で走った。しかしすでに気付いた時には、周囲を
兵隊に囲まれていた。馬車は止められた。そこに将軍がやってくると兵隊は一斉に弓矢を引き
絞って馬車を狙った。「・・・さあ、王子!おとなしく城に戻っていただこうか?」

そこに、林の遥か遠くから弓矢が将軍目掛けて放たれた。「!!」将軍は弓矢を間一髪で払い
落としたが、今度は兵隊目掛けて何千と飛んできた。
「ぎゃっ!!」「何者だ?!」

「ヴァレンシア!!!借りは返してもらうぞ!!!」



同時刻・・・・・・・・・・・
ヴァレンシア王宮にて、ルシウス将軍とベルガー達が、ヴァレンシア王や将軍に取り囲まれていた。
「じきに人質は戻る。お前達は新たな人質として、我が国の戦いを優位に導いてくれる訳だ!」
将軍の一人がそう言ったのを合図に、皆が一斉に飛びかかろうとした。

そこに大声で軍隊と共に階段を駆け上がってきた者がいた。

「何者だ?!」将軍達が振り向いた。

「おお!勇ましい姿だな!シルバーシャーク将軍!!!」
それは海軍王サラジュールだった。

「もう、王子は助けた。人質はいないぞ。どうする?ヴァレンシア王よ。私の銀の鯨軍が、
この城を取り巻いているが?我々はこの場を戦場と化しても一向に構わないがな?
・・・改めて、取引といこうか。

俺は海で戦いたいんでね!そこにいる女将軍、ユノー殿との決着をつけさせてもらいたい!
我々は、このルシウス将軍共々、貴公らを海で迎え撃つ。

否、と言うなら、ここで皆殺しにするまで!いかがか?!」

女将軍は、きっ!とサラジュール王を睨み返すと、叫んだ。
「貴公が、我々を皆殺しだと?!出来もしない大ぼら吹きは、相変わらずだな!!
我が王に、お前の指一本触らせるものか!!!

ヴァレンシア王、私はこの者と決着をつけさせて頂きたい!!サラジュール王は、私の仇敵!!!
海の上でなら、私は負けはしない!!!私に今すぐ出撃命令を!!!」

怒りで紅潮した頬は、この女将軍を不思議と美しく見せた。
「ここから、サラジュール王、無傷で出られるものならな!!」血気にはやった若い将軍の一人が
切りかかった。「馬鹿者が!!!」ベルガーがその剣を目にも留まらぬ速さで弾き返した。
「サラジュール王が言った意味を、理解できんのか?!ここでの無意味な殺戮を避ける為だろうが!!」
「お前・・・ただの兵士ではないな?」年老いた将軍が、思い出したように言った。
「そういえば・・・騎馬隊を率いて無敗だった将軍に似ている」ベルガーはその将軍を睨み返した。
「過去に何の意味も無い。私は大切な方を護りにきた、それだけだ」



「サラジュール王、今すぐ城の周りの軍の包囲を解けば、貴公の話を信じてもいい」
ヴァレンシア王の言葉に、サラジュール王は頷いた。
「良し!!!海兵、すぐに包囲網解除の伝令を!!!」「了解!!!」
「こちらも、すぐに全軍出撃だ!!よいか、将軍、すぐに全軍に指示を!!!」
「ははっ!!!!」

将軍達は、ルシウス将軍とサラジュール王に一瞥すると、急いでそれぞれの軍隊の駐屯地へと
向かった。
ヴァレンシア王は、何も言わずに王の執務室へと向かっていた。王妃はその後を追った。
その様子に、ラザルフ将軍は一抹の不安を覚え、自軍への指示もそこそこに、王の元へと急いだ。

サラジュール王は外に出るとルシウスに話しかけた。
「急ぐぞ!!!マクファーレンを待たせては悪い。やっと海で戦える!!!」
「・・・いや、私は、これから国境線でヴァレンシア軍を迎え撃つ。後続の、将軍が来るのでね」
「山越えか!!!ふむ・・・それも良し!!だな!!ルシウス・・・・・・・」

珍しく、サラジュール王はぼやいた。
「ユノーは相変わらず、いい女だったが・・・いつになったら俺の事を想ってくれるようになるだろうか」
「・・・・勝っても、負けても・・・・・敵に変わりないからな」
「くそ~~~~!!!!意地でもあいつを負かしてやる!!!!!」
くすっと笑って、ルシウスは馬にまたがった。「ありがとう、感謝している!!それでは!!」
「おお!!!御武運を!!!」「貴方にも!!!」




(この お話は フィクションです)



・・・・・・・・いつも拙ブログを御覧頂きまして、ありがとうございます。


ちょっと休憩・・・・・・・・・



最近、好きな物が増えました。

漫画 では  バクマン。(ジャンプ)

音楽では   ゆず  「逢いたい」  
         JAYWALK  ”STORIES”

ドラマでは   これから放送予定の ブレイン・・・・・・・


まだ観ていないですけど・・・・・
by f-as-hearts | 2009-05-21 23:59 | ミステリー・ファントム 2

タロット占い師ASのブログです。


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