ファントム Ⅱ 過去の亡霊 10
2009年 04月 16日
・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・
ヴォーグ・レーヴィエ 67歳
・・・革新派議員 ジョルジュの伯父
ゴード・エンタールⅢ世 30歳
・・・俳優(ファントム)
ルシウス・トゥラスト 39歳
・・・王子(グラハム王の長男)
・・・・・・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・
キュベレー男爵 64歳
・・・劇団の団長
ロザリア夫人 53歳
・・・セシリア妃の母 ヴァレンシアの貴族
マクファーレン・トゥラスト 14歳
・・・シャトーグランデ王国王子 ルシウスの長男
第 10 話 「 守護するもの 」
・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・
レーヴィエ卿は王宮の門に入る所で、ノーブルノワールのメンバーに手紙を渡された。
封は破られていなかった。表にレーヴィエ卿へと書かれていて、その字には見覚えがあった。
「誰からだね?」「・・・わからないのです。私は王宮の衛兵から渡されたもので・・・」
メンバーが帰ったのを確かめてから、レーヴィエ卿は封を切った。
ヴォーグ・レーヴィエ卿
マクファーレン王子は無事にサラジュール王に助け出されたと、伝書鳩が先程
届きました。 新しい情報ですが、ルシウス王子に、セシリア妃を狙って、特殊
部隊が動き出したと、お伝え下さい。
ゴード・エンタールⅢ世
レーヴィエ卿は、唸った。「ゴードは何かを掴んだのか・・・」レーヴィエ卿はその手紙を
持ってルシウス王子の部屋まで行き、扉の前でふと、立ち止まった。
そして、もう一度手紙を読み返した。
ーーー呼吸を整えると、レーヴィエ卿は呟いた。
「---成る程・・・・敵の考えが読めて来た・・・・・・・
さて、どう動くべきかな?」
卿は目の前の扉を叩かずにそのまま王宮を後にした。それから数時間後、
ルシウス王子に手紙が届けられ、そして・・・・・・・・・・・
ルシウスの叫び声が、王宮に響き渡った。
・・・・・・・・・・・・・王宮の大会議室・・・・・・・・・・・・・・
ルシウス王子は王と議会の全員の前で、過去の戦争と同じく、自分もまた一人の将として
前線に赴くと宣言した。
その姿は、すでに今までの王子ではなく、11人の将軍と同じ、いやそれ以上に気迫に満ちて
いた。王子も加わった円卓会議で、他の将軍達は王子の戦略に驚いていた。
「それは、ルシウス王子、いかに足の速い馬を揃えても、3日はかかると・・・」
「いや、それでは私がヴァレンシアへ行く意味が無くなる。2日だ!誰か、2日で行けるという
者を知らぬか?」皆が、押し黙った。
「王子、あの山道をですか?!・・・・ううむ!!いいでしょう、私は警ら隊を束ねる男で、
優秀な馬達を育てている者を知っていますから、その者達を王子の軍隊で働かせましょう。
しかし、その者達は兵隊ではありませんから、王子の先発部隊に遅れても後続の部隊はかなりの
使い手を揃えねば・・・」将軍の中では特に武勇に優れて、その手の甲の傷を隠すように立派な皮の
手袋をした将軍が話した。
「では後続の部隊にはーーー」王子とほとんど年齢も変わらない、1番若い将軍が後に続いた。
「私達が行きます。皆さん、それでいいですね?」
皆は1も2もなく頷いた。「あなたが行くなら、万全だが!王子、彼はこの国で1番剣術に長けた
軍隊をお持ちだ。王子もご存知でしょう?」
「勿論!彼とは剣術の試合でいつも決勝で戦っているからね」王子はじっとその将軍の顔を見つめた。
「それから・・・・
これは将軍、皆に言っておくが、これからは私を王子と呼ばないでくれ。
戦争になったからには、私は将軍としての責任を全うする。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キュベレー男爵は歌劇団をソード国へ見送ると、自分はヴァレンシア王国に密かに入国
していた。彼の向かった先は、ヴァレンシアでも由緒正しい、とある貴族の邸宅であった。
邸宅の広い庭園、その垣根の蔦に覆われた扉を、一定のリズムで叩くと、中から従者が
現れ、男爵を招き入れた。
「・・・急な帰国の連絡に驚きましたが、一体何があったのですか?」
年配の、白髪をとても上品に結い上げた貴婦人が、従者達を人払いしてからキュベレー男爵に
尋ねた。
「奥様、マクファーレン王子が・・・」声を殺して話し出した。「ヴァレンシア王の軍隊に捕まりました。
戦争になれば、必ず何か起こるものです。私は国の為ではなく、私の信念によって、ここに参り
ました。奥様には真実をお伝えすべきだと・・・・」
貴婦人は驚き、また少し眼を潤ませながら頷いた。
「そうでしたか・・・・・・あなたは、エンタールⅡ世殿に頼まれていらしたのですね・・・・
・・・・・皮肉な、本当になんという運命なのでしょう・・・・・・・
・・・・男爵、それから・・・娘は・・・セシリアは?・・・・」
「・・・ブランの件が明るみに・・・その為、今は公の公務を総て辞退され、幽閉されています」
「なんですって!!!・・・・・・まさか、そのような?!・・・」貴婦人が倒れそうになったので
キュベレー男爵は支えた。「ロザリア様!お気を確かに」
「・・・そうでしたか・・・・・・・そのようなことになっていたのですね・・・・
戦争になるのも、それも・・・・王の・・・・」
キュベレー男爵はロザリア夫人としばらく話した後、ヴァレンシアの街並みに消えた。
ヴァレンシア海軍はその次の日ヴァレンシア王宮に到着した。
(この お話は フィクションです)
ヴォーグ・レーヴィエ 67歳
・・・革新派議員 ジョルジュの伯父
ゴード・エンタールⅢ世 30歳
・・・俳優(ファントム)
ルシウス・トゥラスト 39歳
・・・王子(グラハム王の長男)
・・・・・・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・
キュベレー男爵 64歳
・・・劇団の団長
ロザリア夫人 53歳
・・・セシリア妃の母 ヴァレンシアの貴族
マクファーレン・トゥラスト 14歳
・・・シャトーグランデ王国王子 ルシウスの長男
第 10 話 「 守護するもの 」
・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・
レーヴィエ卿は王宮の門に入る所で、ノーブルノワールのメンバーに手紙を渡された。
封は破られていなかった。表にレーヴィエ卿へと書かれていて、その字には見覚えがあった。
「誰からだね?」「・・・わからないのです。私は王宮の衛兵から渡されたもので・・・」
メンバーが帰ったのを確かめてから、レーヴィエ卿は封を切った。
ヴォーグ・レーヴィエ卿
マクファーレン王子は無事にサラジュール王に助け出されたと、伝書鳩が先程
届きました。 新しい情報ですが、ルシウス王子に、セシリア妃を狙って、特殊
部隊が動き出したと、お伝え下さい。
ゴード・エンタールⅢ世
レーヴィエ卿は、唸った。「ゴードは何かを掴んだのか・・・」レーヴィエ卿はその手紙を
持ってルシウス王子の部屋まで行き、扉の前でふと、立ち止まった。
そして、もう一度手紙を読み返した。
ーーー呼吸を整えると、レーヴィエ卿は呟いた。
「---成る程・・・・敵の考えが読めて来た・・・・・・・
さて、どう動くべきかな?」
卿は目の前の扉を叩かずにそのまま王宮を後にした。それから数時間後、
ルシウス王子に手紙が届けられ、そして・・・・・・・・・・・
ルシウスの叫び声が、王宮に響き渡った。
・・・・・・・・・・・・・王宮の大会議室・・・・・・・・・・・・・・
ルシウス王子は王と議会の全員の前で、過去の戦争と同じく、自分もまた一人の将として
前線に赴くと宣言した。
その姿は、すでに今までの王子ではなく、11人の将軍と同じ、いやそれ以上に気迫に満ちて
いた。王子も加わった円卓会議で、他の将軍達は王子の戦略に驚いていた。
「それは、ルシウス王子、いかに足の速い馬を揃えても、3日はかかると・・・」
「いや、それでは私がヴァレンシアへ行く意味が無くなる。2日だ!誰か、2日で行けるという
者を知らぬか?」皆が、押し黙った。
「王子、あの山道をですか?!・・・・ううむ!!いいでしょう、私は警ら隊を束ねる男で、
優秀な馬達を育てている者を知っていますから、その者達を王子の軍隊で働かせましょう。
しかし、その者達は兵隊ではありませんから、王子の先発部隊に遅れても後続の部隊はかなりの
使い手を揃えねば・・・」将軍の中では特に武勇に優れて、その手の甲の傷を隠すように立派な皮の
手袋をした将軍が話した。
「では後続の部隊にはーーー」王子とほとんど年齢も変わらない、1番若い将軍が後に続いた。
「私達が行きます。皆さん、それでいいですね?」
皆は1も2もなく頷いた。「あなたが行くなら、万全だが!王子、彼はこの国で1番剣術に長けた
軍隊をお持ちだ。王子もご存知でしょう?」
「勿論!彼とは剣術の試合でいつも決勝で戦っているからね」王子はじっとその将軍の顔を見つめた。
「それから・・・・
これは将軍、皆に言っておくが、これからは私を王子と呼ばないでくれ。
戦争になったからには、私は将軍としての責任を全うする。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
キュベレー男爵は歌劇団をソード国へ見送ると、自分はヴァレンシア王国に密かに入国
していた。彼の向かった先は、ヴァレンシアでも由緒正しい、とある貴族の邸宅であった。
邸宅の広い庭園、その垣根の蔦に覆われた扉を、一定のリズムで叩くと、中から従者が
現れ、男爵を招き入れた。
「・・・急な帰国の連絡に驚きましたが、一体何があったのですか?」
年配の、白髪をとても上品に結い上げた貴婦人が、従者達を人払いしてからキュベレー男爵に
尋ねた。
「奥様、マクファーレン王子が・・・」声を殺して話し出した。「ヴァレンシア王の軍隊に捕まりました。
戦争になれば、必ず何か起こるものです。私は国の為ではなく、私の信念によって、ここに参り
ました。奥様には真実をお伝えすべきだと・・・・」
貴婦人は驚き、また少し眼を潤ませながら頷いた。
「そうでしたか・・・・・・あなたは、エンタールⅡ世殿に頼まれていらしたのですね・・・・
・・・・・皮肉な、本当になんという運命なのでしょう・・・・・・・
・・・・男爵、それから・・・娘は・・・セシリアは?・・・・」
「・・・ブランの件が明るみに・・・その為、今は公の公務を総て辞退され、幽閉されています」
「なんですって!!!・・・・・・まさか、そのような?!・・・」貴婦人が倒れそうになったので
キュベレー男爵は支えた。「ロザリア様!お気を確かに」
「・・・そうでしたか・・・・・・・そのようなことになっていたのですね・・・・
戦争になるのも、それも・・・・王の・・・・」
キュベレー男爵はロザリア夫人としばらく話した後、ヴァレンシアの街並みに消えた。
ヴァレンシア海軍はその次の日ヴァレンシア王宮に到着した。
(この お話は フィクションです)
by f-as-hearts
| 2009-04-16 23:59
| ミステリー・ファントム 2