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ファントム Ⅱ  過去の亡霊 10

・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・

ヴォーグ・レーヴィエ            67歳
                     ・・・革新派議員 ジョルジュの伯父


ゴード・エンタールⅢ世            30歳
                          ・・・俳優(ファントム)


ルシウス・トゥラスト             39歳
                     ・・・王子(グラハム王の長男)



・・・・・・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・


キュベレー男爵                64歳
                          ・・・劇団の団長

ロザリア夫人                  53歳
                          ・・・セシリア妃の母 ヴァレンシアの貴族


マクファーレン・トゥラスト          14歳
                          ・・・シャトーグランデ王国王子 ルシウスの長男


第  10  話   「 守護するもの  」


・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・


レーヴィエ卿は王宮の門に入る所で、ノーブルノワールのメンバーに手紙を渡された。
封は破られていなかった。表にレーヴィエ卿へと書かれていて、その字には見覚えがあった。

「誰からだね?」「・・・わからないのです。私は王宮の衛兵から渡されたもので・・・」
メンバーが帰ったのを確かめてから、レーヴィエ卿は封を切った。



        ヴォーグ・レーヴィエ卿


   マクファーレン王子は無事にサラジュール王に助け出されたと、伝書鳩が先程
   届きました。  新しい情報ですが、ルシウス王子に、セシリア妃を狙って、特殊
   部隊が動き出したと、お伝え下さい。


              ゴード・エンタールⅢ世



レーヴィエ卿は、唸った。「ゴードは何かを掴んだのか・・・」レーヴィエ卿はその手紙を
持ってルシウス王子の部屋まで行き、扉の前でふと、立ち止まった。
そして、もう一度手紙を読み返した。

ーーー呼吸を整えると、レーヴィエ卿は呟いた。

「---成る程・・・・敵の考えが読めて来た・・・・・・・

さて、どう動くべきかな?」


卿は目の前の扉を叩かずにそのまま王宮を後にした。それから数時間後、
ルシウス王子に手紙が届けられ、そして・・・・・・・・・・・
ルシウスの叫び声が、王宮に響き渡った。




・・・・・・・・・・・・・王宮の大会議室・・・・・・・・・・・・・・

ルシウス王子は王と議会の全員の前で、過去の戦争と同じく、自分もまた一人の将として
前線に赴くと宣言した。
その姿は、すでに今までの王子ではなく、11人の将軍と同じ、いやそれ以上に気迫に満ちて
いた。王子も加わった円卓会議で、他の将軍達は王子の戦略に驚いていた。

「それは、ルシウス王子、いかに足の速い馬を揃えても、3日はかかると・・・」
「いや、それでは私がヴァレンシアへ行く意味が無くなる。2日だ!誰か、2日で行けるという
者を知らぬか?」皆が、押し黙った。

「王子、あの山道をですか?!・・・・ううむ!!いいでしょう、私は警ら隊を束ねる男で、
優秀な馬達を育てている者を知っていますから、その者達を王子の軍隊で働かせましょう。
しかし、その者達は兵隊ではありませんから、王子の先発部隊に遅れても後続の部隊はかなりの
使い手を揃えねば・・・」将軍の中では特に武勇に優れて、その手の甲の傷を隠すように立派な皮の
手袋をした将軍が話した。
「では後続の部隊にはーーー」王子とほとんど年齢も変わらない、1番若い将軍が後に続いた。
「私達が行きます。皆さん、それでいいですね?」
皆は1も2もなく頷いた。「あなたが行くなら、万全だが!王子、彼はこの国で1番剣術に長けた
軍隊をお持ちだ。王子もご存知でしょう?」
「勿論!彼とは剣術の試合でいつも決勝で戦っているからね」王子はじっとその将軍の顔を見つめた。

「それから・・・・

これは将軍、皆に言っておくが、これからは私を王子と呼ばないでくれ。
戦争になったからには、私は将軍としての責任を全うする。」





・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ヴァレンシア王国・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


キュベレー男爵は歌劇団をソード国へ見送ると、自分はヴァレンシア王国に密かに入国
していた。彼の向かった先は、ヴァレンシアでも由緒正しい、とある貴族の邸宅であった。
邸宅の広い庭園、その垣根の蔦に覆われた扉を、一定のリズムで叩くと、中から従者が
現れ、男爵を招き入れた。

「・・・急な帰国の連絡に驚きましたが、一体何があったのですか?」
年配の、白髪をとても上品に結い上げた貴婦人が、従者達を人払いしてからキュベレー男爵に
尋ねた。
「奥様、マクファーレン王子が・・・」声を殺して話し出した。「ヴァレンシア王の軍隊に捕まりました。
戦争になれば、必ず何か起こるものです。私は国の為ではなく、私の信念によって、ここに参り
ました。奥様には真実をお伝えすべきだと・・・・」

貴婦人は驚き、また少し眼を潤ませながら頷いた。
「そうでしたか・・・・・・あなたは、エンタールⅡ世殿に頼まれていらしたのですね・・・・

・・・・・皮肉な、本当になんという運命なのでしょう・・・・・・・

・・・・男爵、それから・・・娘は・・・セシリアは?・・・・」

「・・・ブランの件が明るみに・・・その為、今は公の公務を総て辞退され、幽閉されています」
「なんですって!!!・・・・・・まさか、そのような?!・・・」貴婦人が倒れそうになったので
キュベレー男爵は支えた。「ロザリア様!お気を確かに」

「・・・そうでしたか・・・・・・・そのようなことになっていたのですね・・・・
戦争になるのも、それも・・・・王の・・・・」

キュベレー男爵はロザリア夫人としばらく話した後、ヴァレンシアの街並みに消えた。

ヴァレンシア海軍はその次の日ヴァレンシア王宮に到着した。




(この お話は フィクションです)
by f-as-hearts | 2009-04-16 23:59 | ミステリー・ファントム 2

タロット占い師ASのブログです。


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