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紡ぐ夢 綴る夢

fashearts.exblog.jp

タロット占い師ASのブログです。

ファントム Ⅱ  過去の亡霊 2


・・・・・・・・・・・・・・・シャトーグランデ王国・・・・・・・・・・・・・・・



シャトー・エンタールⅡ世           60歳
                          ・・・ゴードの養父

ジェラール・レックス              48歳
                          ・・・マジシャン


アイーダ・ローゼンハイム          24歳
                          ・・・女優

ベルガー警部                 55歳


ゴード・エンタールⅢ世            30歳
                          ・・・俳優(ファントム)



第 2 話  「 ジェラールの嫉妬 」


ジェラール・レックスはゴードとアイーダの関係が、本当のところどうなのか、気になって仕方が無かった。
アイーダは流石舞台で主演女優になる程の美女で、またベルガー警部や自分を煙に巻く事が
出来る程頭の回転が速く、どこか憎めない・・・・・・
酒の席でつい絡んでしまったのも、自分がアイーダの事を好きになり始めたからだと、認めるしかなかった。
ゴードは笑って取り合わなかったが、アイーダがゴードに気があるのは、誰が見ても明らかだった。

「また、やっかいな娘を好きになったもんだな!!ジェラール、悪い事は言わない、諦めが肝心だ」
ベルガー警部は相変わらず調書の山に埋もれながら、ジェラールに話しかけた。

「・・・やっかいじゃない娘がいるなら、教えて欲しいね」「・・・確かに。上手いことを言う」
「お前からみて、ゴードはあの娘に本気だと思うか?」「そういうことを、俺に訊くな!」
「お前しか、2人を知っている奴がいないんだから、仕方ないだろ?」
「お前がこの山のような調書を魔術で消し去ってくれるなら、答えてもいい」「・・・上手いことを言うね」
「ヒマなら手伝え」「嫌だ」
「じゃあお前が消えてくれ」「・・・・・・仕方ない。じゃあな」

宿舎を出た所で、ジェラールは驚いて立ちつくした。そこに、アイーダがいたのである。

「アイーダ!!!」駆け寄ったジェラールに驚いたようにアイーダは手を口元に持っていった。
「ジェラール?!」

「何故ここに?!」二人が同じ言葉を口にして、笑った。
「・・・君からどうぞ?」「ええ、私はベルガー警部に会いに来たのよ」「俺は、今彼に会って来た
ところだ」

「何の用事で?」またしても、同じ言葉が出て、2人は大笑いした。

「ゴード様から警部へ手紙を預かって参りました。それで・・・」
「ゴード様、ね・・・いいよ、俺が渡しておくよ・・・あ、いいや、やっぱりちょっと一緒に来てくれないかな?」

「ベルガー、さっきは悪かったよ。それから、お前に客人だぞ」
山に埋もれてベルガーは顔を上げずに、返事をした。

「・・・まあ、お前の気持ちもわからんでもないが。あれだけ綺麗な女優は、どこを探したって
いないーーー」顔を上げてベルガーは絶句した。
「ジェラール!!!?お前どんな魔術を使ったんだ ???」
アイーダとジェラールがベルガーの驚く顔に満足して言った。
「どこを探したって?誰のこと?」「あっはっは!!!」

3人はゴードからの手紙を開けて読んだ。

内容はゴードがベルガー警部に感謝している旨とシャトー・エンタールⅡ世がお礼を
したいということで、直筆で城への招待状がしたためられていた。
すでにベルガー警部の上官からは許可が下りている事と、ジェラールとアイーダ
にも同席してもらいたいということであった。

「これはまた、随分と正式な・・・!私は城へなど上がった事もないというのに」
「・・・おい、最後まで読んでみろよ!」


追記

こちらの急な申し出でございますので、どうかそのまま城へお越し下さいます様
お願い申し上げます。馬車を用意致しましたので、どうかご利用下さいませ。

 
  
                   シャトー・エンタールⅡ世


3人は、そのままエンタールⅡ世の城へと向かった。
城に着くとすぐに3人は晩餐の用意がされている広間へと通された。

「ようこそ、エンタールⅡ世の城へ。皆様とお会い出来る事を、養父は心待ちに
しておりました。今宵はゆっくりと愉しんでいって下さい」
ゴードが夜会服に身をつつんで現れると、ヴァイオリンの四重奏が静かに始まった。
皆が大きなテーブルに着くとエンタールⅡ世が奥の扉から現れ、皆に順にお礼を
述べた。

「こうして、ゴードが無事に私達の元へ戻れましたのも、皆様のご尽力のお蔭です。
どうかこれからは、気兼ねなく私共のところへお立ち寄り頂けます様に」

ベルガー警部は驚いていた。貴族の、それもシャトー家は王族・・・
まさかこんな風に招待される事など、ありえないと思っていたのだ。
ジェラールの落ち着き払った顔を横目で見てから、エンタールⅡ世に思い切って
尋ねてみた。

「ゴード殿はもう、危険な目には遭わずに済むのでしょうか?私は、やはり
治安を守る立場ですので、どうしても楽観的な見方が出来ませんが」
「・・・そう願っております」
言葉少なく頷くと、エンタールⅡ世は赤いワインをじっと見つめた。

皆がかなりワインの杯を重ねた頃、アイーダがゴードの席の隣へ移ってきた。
「・・・どうかしましたか?アイーダ?」アイーダは少し上気した頬に冷えたグラスを
押し付けながらゴードに言った。「・・・おかしいですわ、ゴード様」
「何が、ですか?」「・・・魔術師さんとは何でもお話されているのでしょう?」
「いいえ?」そこにジェラールが割って入ってきた。

「いいや、なーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーんにも!!
なーーーーーーーーーんにも、話してはいないね!!!」
「おや、かなり上機嫌のご様子ですね?」
「ゴード!!!!!いいかあ?!アイーダの質問に・・・・・・・答えてやれよ!?」
「ベルガー警部、彼は、ワインを何杯召し上がられましたか?」
「2杯・・・いや、3杯か」「成る程、2杯までが限界ですね」「そのようだが・・・おい、ジェラール!
エンタールⅡ世殿がもうお休みになられるそうだ。我々も帰るとしよう」
「・・・それはそれは!ミス・アイーダ、名残惜し・・・・」・・・・・・・・・バッタリ・・・・・・・・・・・・

「おやおや、彼は城の客間で休まれていく方がよいでしょうね。ベルガー警部も
お泊りになってください」「・・・・私は?ゴード様・・・」
「勿論、貴女を一人で帰すわけにはまいりません。すぐに用意させますから、もう少し
ワインでもどうぞ・・・」

ベルガー達が部屋から出てゆくと、急に静けさが戻ってきた。
アイーダはゆっくりとワインを飲んでゴードが何か話してくれるのを待っていた。

「・・・アイーダ・・・君は、俺の傍にいたい?」
「勿論!いつも一緒にいたいと思っています」
「・・・俺は・・・君と いられないかもしれない ・・・それでも?」
「どうして?どうしてそう思うのですか?また、何かが始まるのですか?!」

ゴードは少し微笑んだ。
「いいや?・・・ただ、そう思っただけだよ」





(このお話は フィクションです)
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by f-as-hearts | 2009-03-01 10:23 | ミステリー・ファントム 2